E32969 Japan GAAP
前期
84.5億 円
前期比
123.5%
当社は住宅ローン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社は、国の施策である良質な住宅の安定的供給を目的とする独立行政法人住宅金融支援機構(以下、住宅金融支援機構)の証券化支援事業の担い手として、積水ハウス株式会社と大和ハウス工業株式会社及び、日立キャピタル株式会社(2021年4月1日付けで三菱HCキャピタル株式会社に商号変更しています。)の出資により2003年5月に設立され、さらに2004年4月に、住友林業株式会社及び積水化学工業株式会社が資本参加しました。
証券化支援事業とは、公的機関の信用力を活用して「証券化」を行うことで、長期・固定金利の住宅ローン(最長返済期間が原則35年の「フラット35」)の提供を民間金融機関を通じて実現するもので、当社はこのフラット35の顧客への提供を主な事業としております。また、証券化支援事業のスキームは、買取型と保証型があり、買取型は、顧客へフラット35を提供すると同時に、住宅金融支援機構へ当該ローン債権を譲渡し、保証型は、当該ローン債権に対し、住宅金融支援機構の住宅融資保険(保証型用)を付保して、信託銀行等へ債権を譲渡しますので、信用リスク、金利リスク等を極力取らないビジネスモデルが可能となり、当社はこれを会社の経営方針としております。
当社が、住宅ローン等を融資する主な対象顧客は、当社の出資者である提携する住宅事業者(以下、提携ハウスメーカー)が販売した住宅の購入者であり、当社の収益源は、主に住宅ローンの手数料(注1)およびサービシングフィー(注2)となります。また、フラット35以外にも提携ハウスメーカーの要望に応えた、フラット35に付随する住宅ローンや変動金利型住宅ローンの取扱いなども行っております。なお、2024年3月31日のサービシングを受託している住宅ローンの債権管理残高は、約2兆2,561億円となり、安定的なストック収入を確保しております。
また、当社はサービシング業務のうち回収代行部分を、三菱HCキャピタル株式会社に再委託しており、延滞等発生時の債権回収業務(スペシャルサービシング業務)を、三菱HCキャピタル債権回収株式会社に再委託しております。
(注1) 住宅ローンの手数料には、開始時に発生する、通常の事務手数料や融資手数料、特約手数料があります。
特約手数料とは、住宅ローン金利相当分を一部割り戻し、ローン開始時に一括で支払う手数料のことです。この場合、住宅ローンの金利は通常より下がることになります。
(注2) 主な住宅ローンは、住宅金融支援機構や信託銀行等に債権譲渡しますが、債権譲渡先より委託を受けて、当該住宅ローンの債権回収(サービシング業務)を当社が行います。この対価として、当社は債権譲渡先より、住宅ローン残高に応じたサービシングフィーを受け取っております。
[事業系統図]
(取扱商品)
当社が扱っている主な住宅ローン商品は以下のとおりであります。そのうち、MCJフラット、MCJフラット“極”30、MCJフラットネクスト30、MCJフラット“極”、MCJフラットネクスト、MCJ変動ローン等の住宅ローン債権は、原則として住宅金融支援機構や信託銀行等に債権譲渡されますので、当社の貸借対照表からオフバランス化されております。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国の経済は、緩やかに回復した一方で、海外経済は回復ペースが鈍化しました。輸出・鉱工業生産は横ばい圏内の動きとなり、また、企業収益や業況感の改善のもと、設備投資は緩やかに増加しました。雇用・所得環境は緩やかに改善しており、個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも底堅く推移しました。住宅投資は弱めの動きとなり、公共投資は横ばい圏内の動きとなりました。金融環境については年度を通して緩和した状態となりました。
2024年4月30日に国土交通省が公表した「建築着工統計調査報告 令和5年度計」によると、2023年度の新設住宅着工戸数は全体で80.0万戸(前年度比92.9%)と、2年連続で減少傾向にて推移しました。利用関係別戸数では持家が21.9万戸(前年度比88.5%)、分譲住宅は23.5万戸(前年度比90.5%)と揃って減少し、貸家は34.0万戸(前年度比97.9%)と微減となりました。
当社の主要な事業の一つである住宅金融支援機構の2023年度における「フラット35」につきましては、変動金利型住宅ローンの人気の高まりもあり、「フラット35」(買取型)の申請戸数は前年度比64.1%の36,383戸、「フラット35」(保証型)の申請戸数は、前年度比42.2%の4,400戸となり、合計では前年度比60.7%の40,783戸と大幅に減少いたしました(機構による記者発表、2024年4月30日付「フラット35の申請戸数等について」)。
当社は設立以来、提携ハウスメーカーとシステムで連携したビジネスモデルをベースにIT技術を積極活用して事業を展開してまいりましたが、ウクライナ情勢等による資材価格の上昇及び全国的な人材不足等に起因した住宅価格の上昇により、住宅ローン市場においては、高額物件に対応した住宅ローンや低金利の変動金利型住宅ローンのニーズが高まりを見せ、地方金融機関を中心とした金利競争が繰り広げられるなど、当社を取り巻くビジネス環境に対応するための取り組みが必要となりました。
これらの状況を踏まえ、2023年度の事業戦略として、「MCJ変動ローン」の商品性見直しや、一般的ながん団信とは異なるコンセプトの「がん保障特約付(ステージ限定型)MCJ団信」をリリースするなど、ユニークで競争力のある独自商品を訴求・浸透させることで、大きく変容するビジネス環境において多様化する顧客・提携ハウスメーカーのニーズに応えることを最重要課題と位置付け、事業を展開しました。
「MCJ変動ローン」は従来、利用対象者や利用対象物件について一定の基準を設けることで、低金利かつ超長期間の融資を実現しておりましたが、2023年8月に顧客によってそれぞれ異なる金利を設定する商品性改定を実施いたしました。この改定により、利用対象者と利用対象物件が大幅に拡大され、ほぼすべての顧客が「MCJ変動ローン」をご利用いただけるようになりました。他にも、2023年5月には市街化調整区域における取扱条件緩和、同年7月には借入期間41年以上の「MCJ変動ローン」の金利について0.2%の引下げ、同年10月には床面積条件の緩和など、顧客・提携ハウスメーカーからの要望に機動的かつ段階的に応え、利便性の向上に取り組みました。今後も当社の主力商品の一つとして、更なる利用の訴求と商品性の向上に注力してまいります。
また、「MCJ変動ローン」及び「MCJ保証型フラット」にて利用可能な団体信用生命保険として、2023年11月に「がん保障特約付(ステージ限定型)MCJ団信(以下、MCJがん団信)」をリリースいたしました。元来、一般的ながん団信は「将来的ながん治療技術の発展に伴う団信保険料上昇リスク」が大きな課題となっておりました。そこで、MCJがん団信は業界初となる部位別・ステージ別の保障を採用し、ローン債務免除の必要性が高いがんのみを支払対象とすることで、「MCJ変動ローン」を利用する35歳未満の顧客であれば追加の金利負担なしで、金利負担がある場合においても、0.10%の金利上乗せのみで利用できることといたしました。また、MCJがん団信利用者のうち希望者全員にがん検査キットを毎年提供し、がんと診断された場合に治療費として活用いただけるがん診断給付金を給付する等、がんの早期発見・早期治療を可能とする仕組みとしております。2024年2月には追加の金利負担なしでMCJがん団信を利用できる年齢条件を40歳未満へ拡大いたしました。今後も商品性の向上や周知活動等を実施し、「MCJ変動ローン」及び「MCJ保証型フラット」における他社商品との更なる差別化に取り組んでまいります。
フラット35においては、2024年2月の機構制度改正にて「フラット35子育てプラス」が新設されました。「フラット35子育てプラス」は、従来の金利引き下げ制度に加えて、子育て世帯のこどもの人数等に応じた金利引き下げを適用する制度です。また、金利引き下げ制度の改正も同時に実施され、金利引き下げポイントの積み上げ方法が変更となり、金利引き下げ幅の上限が「当初10年間▲0.5%」から「当初5年間▲1.0%」となりました。さらに「フラット35子育てプラス」利用対象者の場合、金利引き下げポイント数の上限が撤廃され、ポイント数に応じて6年目以降も金利引き下げの適用を受けることが可能になりました。マイナス金利政策が解除される中、全期間固定金利で将来を見通せる商品として、これからも周知活動を実施し、更なる利用を訴求してまいります。
サービスの提供につきましては、これまでも継続的にお問い合わせ窓口(ローンプラザ)の体制強化を行ってまいりました。2023年7月には、提携ハウスメーカー担当者・顧客・ローンプラザの三者間通話も可能な「テレビ電話サービス」を導入し、同年9月には住宅ローン申込から融資実行まできめ細かな進捗管理を行う「おまかせサービス」を開始、同年11月にはお客様に対する「融資承認後のお礼架電」をスタートいたしました。これからもより質の高いサービスを提供できるよう、サービスレベルを高めてまいります。
住宅市況は、住宅価格の高騰により新規着工件数が減少する中、提携ハウスメーカーの住宅販売を金融面からサポートする役割がより一層求められているため、固定金利商品と変動金利商品双方の利便性、ラインナップを充実させることで、提携ハウスメーカーの新規受注創出に取り組んでまいります。
当事業年度における当社の住宅ローンの申込件数は20,322件(前年度比109.9%) 、融資実行件数は4,872件(同96.1%)、融資実行金額は237,580百万円(同109.0%)となりました。また、期末における住宅ローン残高は22,561億円(前年度比104.9%)となりました。なお、申込される顧客のうち、当社以外の金融機関から借り入れるなど、辞退する場合もありますので、申込の全てが融資実行されるわけではございません。
以上の結果、第21期事業年度の決算につきましては、営業収益10,437,369千円(前年度比123.5%)、営業費用7,875,685千円(同115.8%)、営業利益2,561,684千円(同155.3%)、当期純利益1,766,852千円(同154.4%)となりました。
なお、当社は住宅ローン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、7,975,526千円と、前事業年度末に比べ59,214千円減少となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により減少した資金は、41,891,511千円(前事業年度は101,341,820千円の減少)となりました。これは、主に税引前当期純利益2,561,493千円、未収金の減少5,800,625千円、前受金の増加2,022,810千円、利息及び配当金の受取額3,118,238千円があったものの、受取利息及び受取配当金3,060,021千円、営業貸付金の増加56,154,356千円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により増加した資金は、51,629,067千円(前事業年度は43,432,359千円の増加)となりました。これは主に投資有価証券の売却及び償還による収入53,152,103千円、無形固定資産の取得による支出1,312,416千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により減少した資金は、9,796,770千円(前事業年度は57,634,070千円の増加)となりました。これは、主に短期借入金の減少による支出6,854,860千円、社債の償還による支出3,000,000千円によるものであります。
「特定金融会社等の開示に関する内閣府令」(平成11年5月19日 大蔵省令第57号)に基づく、提出会社における貸付金の状況は次のとおりであります。
(注) 上記は、債権流動化により残存として評価した劣後信託受益権を含んでおりません。
(注) 上記は、債権流動化により残存として評価した劣後信託受益権を含んでおりません。
(注) 上記は、債権流動化により残存として評価した劣後信託受益権を含んでおりません。
(注) 期間は、約定期間によっております。
(注) 上記は、債権流動化により残存として評価した劣後信託受益権を含んでおりません。
当社は住宅ローン事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
ⅰ) 営業収益内訳
当事業年度における営業収益の内訳は次のとおりです。
受取手数料が前年度比で増加した主な理由は、融資実行金額が増加したことによるものです。
営業貸付金利息が前年度比で増加した主な理由は、融資実行による営業貸付金残高の増加によるものです。
その他の金融収益が前年度比で増加した主な理由は、営業貸付金の信託譲渡により、信託残高が積み上がり、受益権から得られる受取配当金の金額が増加したことによるものです。
その他の営業収益が前年度比で増加した主な理由は、営業貸付金の信託譲渡による債権譲渡益が増加したことによるものです。
(注) 1.四捨五入の関係で、「金額」と「構成比」の内訳と合計は一致しません。
(注) 2.主な相手先別の営業収益に対する割合は次の通りであります。
(注) 当社は、「独立行政法人住宅金融支援機構」より委託を受けて、住宅ローンの債権回収(サービシング業務)を行っており、この対価として、住宅ローン残高に応じたサービシングフィーを受け取っております。
ⅱ) 商品別融資実行件数および融資実行金額
当事業年度における主要な住宅ローンの融資実行件数及び金額の内訳は次のとおりです。
MCJ変動ローンの件数および金額が大きく増加しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における資産、負債の報告金額及び収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社の経営陣は財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当事業年度末における当社の住宅ローン残高(買取型、保証型、変動ローン及びその他プロパーローンの残高の合計額)は、前事業年度末比4.9%増加の22,561億円となりました。また、当事業年度の当社の主要商品であるフラット35(買取型及び保証型)及び変動ローンの融資実行金額に関して、前事業年度比9.0%増加の2,375億円となりました。
営業収益は、受取手数料が184,546千円、営業貸付金利息が165,619千円、その他の金融収益が564,726千円、その他の営業収益が1,072,836千円増加したことにより、前事業年度末比1,987,727千円増加の10,437,369千円となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が481,132千円増加し、その他営業費用が106,377千円減少し、営業収益が増加した結果、前事業年度末比912,408千円増加の2,561,684千円となりました。また、経常利益は前事業年度末比912,401千円増加の2,561,493千円となりました。
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額の合計794,640千円を計上しましたが、当期純利益は、前事業年度末比622,588千円増加の1,766,852千円となりました。
経営成績の分析の詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
営業貸付金が2,847,184千円、ソフトウェア仮勘定が272,509千円、投資有価証券が354,083千円、長期未収収益が310,965千円増加しましたが、当事業年度末の総資産は、現金及び預金が59,215千円、営業立替金が2,349,850千円、未収入金が5,800,626千円、ソフトウエアが174,752千円減少したことにより、前事業年度末比4,624,465千円減少の168,359,048千円となりました。
当事業年度末の負債は、1年内返済予定の長期借入金が1,000,000千円、前受金が2,022,810千円、預り金が1,708,023千円増加したのに対し、短期借入金が6,854,860千円、1年内償還予定の社債が3,000,000千円、長期借入金が500,000千円、繰延税金負債が493,693千円減少したことにより、前事業年度末比5,963,539千円減少の153,064,127千円となりました。
当事業年度末の純資産は、当期純利益の積上げによる繰越利益剰余金が1,766,852千円増加し、配当金を431,170千円支払ったことにより、前事業年度末から1,339,073千円増加の15,294,920千円となりました。
この結果、自己資本比率は9.08%となりました。
財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社は資金を安定的に調達することを基本方針としております。今後も引き続き債権の流動化を主要な資金調達手段としつつ、複数かつ有力な金融機関と良好な取引関係を維持し継続的に借入を行っていくとともに、資本市場におけるコマーシャル・ペーパー及び無担保普通社債の発行により、資金調達の多様化を図っていきます。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、当該将来に関する事項については、社内で合理的な根拠に基づく適正な検討を経たものであります。