中央日本土地建物グループ株式会社

不動産業総合不動産

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最終更新:

E35360 Japan GAAP

売上高

1,148.5億 円

前期

1,106.3億 円

前期比

103.8%


 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社及び連結子会社13社ほかにより構成され、その主要な事業並びに当該各事業における当社及び関係会社の位置づけは次のとおりであります。

なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントと同一の区分であります。

2024年3月31日現在

都市開発事業

 

 

中央日本土地建物㈱は、東京都心6区(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区、品川区)を中心にオフィスビル・商業施設等の事業用不動産の取得、開発、及び賃貸、運営業務を行っております。

中央日土地ビルマネジメント㈱は、当社グループ及び不動産ファンド等の保有物件を中心にオフィスビル・商業施設等の管理運営、PM(プロパティマネジメント)を行っております。

中央日土地ファシリティーズ㈱は、当社グループ保有物件を中心に建築工事、ビルリニューアル工事を行っております。

住宅事業

 

中央日本土地建物㈱は、首都圏を中心にマンション・戸建住宅の企画、開発、販売を行っております。また、ファミリー向けマンションを始め、学生マンション、老健施設等の賃貸業務を行っております。

中央日土地レジデンシャルサービス㈱は、分譲・賃貸マンションの総合管理業務を行っております。

不動産ソリューション事業

中央日土地ソリューションズ㈱は、不動産売買・賃貸借の仲介及び不動産鑑定評価業務並びに顧客企業のCRE(企業保有不動産)戦略支援を行っております。

資産運用事業

 

中央日土地アセットマネジメント㈱は、不動産ファンドの企画・組成・運用を行っております。

その他

㈱レイクウッドコーポレーションは、主に神奈川県においてゴルフ場の運営などを行っております。

Chuo-Nittochi America Corporationは、主にアメリカ合衆国内において不動産開発賃貸事業への投資を行っております。

 

 

 

主な事業の系統図は次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

注 岩一合同会社を営業者とする匿名組合は、当連結会計年度における設立(匿名組合出資)により連結子会社となりました。

24/06/25

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績等の状況

当連結会計年度のわが国経済は、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢の不安定化など地政学的リスクの高まり、エネルギー価格及び原材料価格の上昇、更には欧米の金融引き締めを背景とした国際金融資本市場の変動などにより、先行き不透明な状況が続きました。

一方、国内景気については、経済社会活動の正常化が進展するなか、政府による各種政策の効果等もあって、緩やかな回復基調で推移しました。

不動産業界においては、賃貸オフィス市場で新規供給量の増加もあり、東京ビジネス地区の空室率は高い水準で推移しましたが、出社回帰の広がり、新しい働き方や外部環境の変化に即した付加価値の高いオフィスへの多様なニーズなどを背景に、改善の兆しがみられました。首都圏の住宅市場に目を転じると、新築マンションの供給戸数は減少し、販売価格の上昇が続くなか、住宅ローンの低金利水準の継続や共働き世帯の増加などを背景として旺盛な需要が継続したことにより、マンション市場は引き続き好調に推移しました。

このような事業環境の下、都市開発事業においては、エネルギー価格や工事費等が高止まりしているものの、オフィス稼働率の改善や賃料引上げにより賃貸利益は堅調に推移しました。新築物件では物流施設の「LOGIWITH(ロジウィズ)厚木」、「一宮物流センターⅡ」の2物件が竣工しました。また、中規模オフィスビル「REVZO(レブゾ)」シリーズでは、第4段となる「REVZO麹町」を着工したほか、木造化・木質化REVZOの開発計画も進めております。新たな取り組みとして、今後のオフィスの在り方を研究するR&D施設「NAKANIWA(ナカニワ)」や、入居後速やかにオフィスを利用するための設備・家具などの基本的な機能に加え、さまざまなソフトコンテンツ・サービスを備えた新コンセプトの「セットアップオフィス」を開設しました。なお、当社グループが注力する大型再開発プロジェクトである「淀屋橋駅東地区都市再生事業」、「内幸町一丁目街区南地区第一種市街地再開発事業」、「虎ノ門一丁目東地区第一種市街地再開発事業」、「春日ビル建替計画」もそれぞれ順調に進捗しております。

住宅事業においては、分譲マンションでは「バウス平塚」、「バウス川口新井宿」、「バウス金町」などが竣工したほか、「バウス府中」、「バウス東林間」、「バウス我孫子天王台」などの販売を開始しました。賃貸住宅では「バウスステージ練馬豊玉」、「バウスステージ大濠」、有料老人ホーム、賃貸住宅、店舗一体型の複合施設「サニーライフ北区豊島・バウスフラッツ王子神谷」が竣工しました。

不動産ソリューション事業においては、今回で19回目となるCRE戦略セミナー「企業と人を繋ぐCRE戦略」を開催。企業価値の向上に資するワークプレイスの在り方等について講演を行い、600名を超える方々にご参加いただきました。また、物件取得後に改修などバリューアップ実施のうえ売却する買取再販事業に注力しております。

資産運用事業においては、新たに不動産バリューアッド型私募ファンドを組成しました。また、中央日土地アセットマネジメントが運用する「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」で新たに合計75億円の資産を取得し、3月末時点での同投資法人の運用資産残高は1,233億円となりました。

その他事業においては、海外不動産投資として米国コロラド州デンバーの賃貸用集合住宅、同カリフォルニア州のシニアレジデンス、同ワシントンD.C.近郊の大型賃貸用集合住宅、同ワシントン州シアトル都市圏の賃貸住宅などの事業に参画しました。

サステナビリティへの取り組みとしてTCFD提言に基づく情報開示の実施、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の認定取得、「中央日本土地建物グループ人権宣言」の策定を始めとした様々な取り組みを実施しております。また、2024年3月に環境省が主催する生物多様性のための30by30アライアンスに参画しており、当社グループ保有の「生物多様性豊かな“湘南平塚ゆるぎ里地里山”」(神奈川県平塚市)が同省の「自然共生サイト」に認定されました。

以上の結果、当連結会計年度の営業収益は114,850百万円(前連結会計年度比3.8%増)、営業利益は22,458百万円(同9.0%増)、経常利益は22,240百万円(同15.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は18,626百万円(同9.4%減)となりました。

 

(営業収益・営業利益)

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(a) 都市開発事業

主力であるオフィスビル・商業施設等の賃貸収入並びに賃貸ビルの売却収入などを計上し、営業収益は58,228百万円(前連結会計年度比0.6%減)となりましたが、オフィス稼働率の改善や賃料引上げ、物件取得・売却に伴う諸費用の減少などにより、セグメント利益(営業利益)は15,877百万円(同10.1%増)となりました。

(b) 住宅事業

「バウス川口新井宿」、「バウス平塚」及び「バウス金町」などの住宅分譲収入、並びに賃貸住宅の売却収入及び賃貸収入などを計上し、営業収益は 44,118百万円(前連結会計年度比10.9%増)、セグメント利益(営業利益)は9,723百万円(同4.8%増)となりました。

(c) 不動産ソリューション事業

不動産仲介手数料、鑑定評価・各種コンサルティング手数料に加え、事業用不動産の転売収入などを計上し、営業収益は8,247百万円(前連結会計年度比2.6%減)となりましたが、受入仲介手数料等の減少によりセグメント利益(営業利益)は1,873百万円(同29.6%減)となりました。

(d) 資産運用事業

私募リート「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」を含むファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどを計上し、営業収益は1,376百万円(前連結会計年度比7.7%増)、セグメント利益(営業利益)は848百万円(同6.6%増)となりました。

(e) その他

ゴルフ事業などにより、営業収益は4,090百万円(前連結会計年度比4.6%増)、セグメント利益(営業利益)は331百万円(同5.1%減)となりました。

 

(営業外損益・経常損益)

営業外収益は、受取配当金等により5,737百万円と前連結会計年度比4,980百万円の減少となりました。また、営業外費用は、支払利息等により5,955百万円と前連結会計年度比810百万円の増加となりました。これらにより、経常利益は22,240百万円と前連結会計年度に比べ3,945百万円(15.1%)の減少となりました。

 

(特別損益)

特別利益は、投資有価証券売却益、固定資産売却益等により6,601百万円を計上し、前連結会計年度比1,312百万円の増加となりました。また、特別損失は、投資損失引当金繰入額、固定資産除却損等により2,256百万円と前連結会計年度比637百万円の減少となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益26,585百万円を計上し、法人税等で7,805百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18,626百万円と前連結会計年度に比べ1,927百万円(9.4%)の減少となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べ143,281百万円増加し1,322,486百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ28,964百万円増加し245,307百万円となりました。これは主に販売用不動産並びに現金及び預金等の増加によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ114,316百万円増加し1,077,179百万円となりました。これは主に有形固定資産の増加や株式相場の上昇に伴う投資有価証券の増加によるものであります。賃貸等不動産を中心とした有形固定資産並びに流動資産である販売用不動産を合わせると総資産の約7割を占めております。

 

(負債)

総負債は、前連結会計年度末に比べ91,132百万円増加し871,218百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ28,782百万円増加し203,404百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金等の増加によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ62,350百万円増加し667,813百万円となりました。これは主に長期借入金及び繰延税金負債の増加、並びに、グリーンボンドの発行によるものであります。

 

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ52,148百万円増加し451,268百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加及び株式相場の上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。結果として純資産額と総資産額との比率は約34%となっております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローは、

営業活動によるキャッシュ・フロー

10,171百万円

(前連結会計年度は

19,894百万円)

投資活動によるキャッシュ・フロー

△70,037百万円

(前連結会計年度は

11,368百万円)

財務活動によるキャッシュ・フロー

63,032百万円

(前連結会計年度は

△23,537百万円)

 

となり、現金及び現金同等物は、3,379百万円増加し、当期末残高は114,420百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益26,585百万円、減価償却費10,050百万円、投資有価証券売却損益△4,043百万円などを計上し、売上債権の減少2,137百万円、仕入債務の増加1,703百万円などによる資金増加、並びに、棚卸資産の増加△26,186百万円、法人税等の支払額△3,872百万円などによる資金減少の結果、10,171百万円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の売却による収入9,500百万円、投資有価証券の売却による収入6,155百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△69,155百万円、投資有価証券の取得による支出△15,374百万円、固定資産の除却による支出△1,306百万円などによる資金減少の結果、△70,037百万円の支出となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の借入・返済による純収入44,987百万円、社債の発行・償還による純収入20,000百万円、配当金の支払額△1,802百万円などにより、63,032百万円の収入となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a 生産実績

該当事項はありません。

 

b 受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注金額(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

都市開発事業

3,689

+48.6

2,854

+90.6

 

(注)1. セグメント間取引については相殺消去しております。

  2. 中央日土地ファシリティーズ㈱における請負工事について記載しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年同期比(%)

販売件数(戸・件)

前年同期比(%)

都市開発事業

5,347

△28.7

2

+100.0

住宅事業

35,973

+11.8

494

+12.8

不動産ソリューション事業

3,017

+25.6

10

+25.0

合計

44,338

+5.4

506

+13.2

 

(注)1. 金額は販売用不動産の販売金額によっております。

       2. 住宅事業の販売金額、販売戸数には、他社との共同事業によるマンション分譲等が含まれております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する分析等

  当連結会計年度においては、テナントを始めとしたお客様、お取引先様、株主様、地域社会並びに当社グループ社員などステークホルダーの安全を最優先に図りながら、収益維持、積み上げに取り組んでまいりました。

 なお、当社グループの当連結会計年度における経営成績等については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

 

 a.経営成績の状況に関する分析等

以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。

当連結会計年度の営業収益は1,149億円で、前連結会計年度比42億円の増収となりました。

このうち、土地建物賃貸収入は537億円で、前連結会計年度比14億円の増収となりました。これは主に、稼働率改善などによるものであります。

販売用不動産売上は443億円で、前連結会計年度比23億円の増収となりました。これは主に住宅事業における賃貸住宅物件の売却によるものであります。

営業収益のうちのその他は168億円で、前連結会計年度比6億円の増収となりました。これは主に都市開発事業における完成工事高などの増加によるものであります。

当連結会計年度の営業利益は225億円で、前連結会計年度比18億円の増益となりました。これは、営業総利益が30億円の増益となった一方で、販売費及び一般管理費が11億円増加したことによります。

当連結会計年度の経常利益は222億円で、前連結会計年度比39億円の減益となりました。このうち受取配当金、持分法による投資利益等の営業外収益は50億円の減少、営業外費用は8億円増加しております。営業外収益の減少は、主に前連結会計年度において計上した出資ファンド保有物件売却による多額の受取配当金の剥落などによるものであります。

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は186億円で、前連結会計年度比19億円の減益となりました。これは上記の諸要因に加え、投資有価証券売却益などの特別利益の増加と減損損失などの特別損失の減少によるものであります。

 

当連結会計年度のセグメント別営業利益の状況等は以下のとおりです。

都市開発事業の営業利益は159億円で、前連結会計年度比で15億円の増益となりました。これは、主に稼働率の改善等による賃貸利益の増加などにより、営業総利益が24億円増加した一方で、業務委託費や租税公課等の増加により販売費及び一般管理費が9億円増加したことによります。

住宅事業の営業利益は97億円で、前連結会計年度比約4億円の増益となりました。これは主に、賃貸住宅物件の売却増加により営業総利益が11億円増加した一方、業務委託費や租税公課等の増加により販売費及び一般管理費が6億円増加したことによるものです。

不動産ソリューション事業の営業利益は19億円で、前連結会計年度比8億円の減益となりました。これは主に、不動産仲介手数料や各種コンサルティング手数料等の役務収益の減少によるものであります。

資産運用事業の営業利益は8億円で、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。同事業の収益はファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどが主体であります。このうちアセットマネジメントフィーは、預り資産に基づいており、ステーブルな利益に貢献しております。

その他の営業利益は3億円で、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。これは、主に安定的なゴルフ事業の運営によるものであります。

 

 

b.財政状態の状況に関する分析等

当連結会計年度末における財政状態の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

財政状態の状況に関する分析は以下のとおりです。なお、以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。

 

(資産)

当連結会計年度末の総資産は1兆3,225億円で、前期末比1,433億円増加しました。この前期末比増減の内訳は、増加要因で、現金及び預金が前期末比34億円、販売用不動産(含む仕掛及び信託受益権)が前期末比255億円、有形固定資産が前期末比535億円、投資有価証券及び出資金が612億円であり、減少要因で、営業未収入金及び契約資産が前期末比21億円であります。

現金及び預金の前期末比34億円増加は、前期末残高比約0.3%の微増であります。なお、手厚い手元流動性残高は、金利動向を踏まえたうえで、複数の大型再開発案件等への投資に対応するために積上げたものであります。

販売用不動産(含む仕掛及び信託受益権)の前期末比255億円増加は、購入・造成等による増加589億円、販売による減少328億円、固定資産への振替による減少5億円などによるものであります。

有形固定資産の前期末比535億円増加は、取得・設備投資による増加691億円、販売用不動産からの振替による増加5億円、売却による減少71億円、減価償却による減少98億円などによるものであります。

投資有価証券及び出資金の前期末比612億円の増加は、主に米国における不動産事業に関連した出資等による増加141億円、売却・償還による減少23億円であり、その他は上場株式の株価上昇に伴う時価評価額の増加が主要因であります。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債は8,712億円で、前期末比911億円増加しました。この前期末比増減の内訳は、主に有利子負債の増加653億円、繰延税金負債の増加158億円、未払法人税等の増加40億円などであります。

有利子負債の前期末比653億円の増加は、物件取得や設備投資等への充当が主要因であります。

繰延税金負債の前期末比158億円の増加は、上場株式の株価上昇に伴う、その他有価証券評価差額金の増加に対応する税効果分の上昇が主要因であります。

未払法人税等の前期末比40億円の増加は、課税所得の増加等によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は4,513億円で、前期末比521億円増加しました。

この前期末比増加の内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益186億円から剰余金の配当18億円を控除した168億円の利益剰余金の増加、上場株式の株価上昇に伴うその他有価証券評価差額金347億円の増加などによります。

 

c.キャッシュ・フローの状況に関する分析等

営業活動によるキャッシュ・フローは、10,171百万円の収入となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益26,585百万円、減価償却費10,050百万円などの計上、及び売上債権の減少2,137百万円、仕入債務の増加1,703百万円等による資金増加の一方、棚卸資産の増加△26,186百万円、法人税等の支払額△3,872百万円などによる資金減少であります。このように販売用不動産等の活発な取得を行った結果、売上債権の減少及び仕入債務の増加による短期的なキャッシュ・イン・フロー(約38億円)の要因を除いた長期投資等への原資となる税引後のキャッシュ・イン・フローは約63億円となっております。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、△70,037百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の売却による収入9,500百万円、投資有価証券の売却による収入6,155百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△69,155百万円、投資有価証券の取得による支出△15,374百万円などによる資金減少であります。このように投資活動によるキャッシュ・アウト・フローは、主に事業用不動産の取得・工事代金等の支出によるものであります。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、63,032百万円の収入となりました。主な内訳は、借入金の借入・返済による純収入44,987百万円、社債の発行・償還による純収入20,000百万円、配当金の支払額△1,802百万円などであります。営業活動によるキャッシュ・イン・フロー、並びに借入金の借入・返済及び社債発行・償還による純収入等により、当連結会計年度における不動産・出資案件に対する投資を賄っております。なお、比較的高水準のキャッシュ残高は、金利動向を踏まえたうえで、複数の大型再開発案件等への投資に備えるものであります。

 

d.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主要な資金需要は不動産取得・開発資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応しております。

 当連結会計年度末における有利子負債は690,328百万円となりました。引続き長期・固定での資金調達を主とすることにより、安定した財務基盤の構築を図りつつ、調達手段の多様化を目指し、グリーンボンドやサステナビリティ・リンク・ボンドなど無担保普通社債を発行し、社債残高は99,000百万円となっております。

 また、当社及び主要な連結子会社において銀行提供のキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 投資機会及び経済・金融情勢の変動等に備えるべく、一定水準の現預金及びコミットメントライン等の借入枠設定を行う等、円滑かつ安定的な資金確保にも留意しております。

 

e. 経営指標の状況

経営指標につきましては、ビジネスモデルに合わせて、種々の指標をバランスよく総合的に見ていくべきと考えております。具体的には、持続的な成長、財務基盤の強化の観点から、期間収益力を示す「経常利益」、借入金等の返済力を示す「有利子負債/EBITDA倍率」、資産の効率的な活用を示す「総資産利益率(以下ROA)」に注視してまいります。各指標の当連結会計年度の実績は以下のとおりです。

経常利益は222億円と前期比39億円の減益となりました。稼働率改善などによる賃貸利益の増加や賃貸住宅物件売却による不動産販売利益の増加などにより営業利益は増益となったものの、前連結会計年度に計上した出資ファンド保有物件売却による受取配当金の剥落などにより、経常利益は減益となりました。

有利子負債/EBITDA倍率は約18倍となりました。成長に向けた投資が先行すると同指標が上昇いたしますが、中長期的な不動産市況、将来収益見通し等も踏まえて同指標の動向を注視し、運営してまいります。

ROAは約2.1%となりました。建替え計画等による収益の一時的な落ち込みや投資等に伴う資産の増加に十分留意した運営を目指してまいります。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成においては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。

当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。