中央日本土地建物グループ株式会社

不動産業総合不動産

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E35360 Japan GAAP


3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績等の状況

当中間連結会計期間のわが国経済は、新型コロナウイルス禍後の経済社会活動への本格的な移行が進むなか、各種の政策効果や緩和的な金融環境なども背景として、緩やかな回復の動きがみられました。また、世界的な物価高騰を契機に企業の価格転嫁が進み、今春は高い水準の賃上げが実現するなど、長らく経済成長を抑制してきた一因でもある、物価や賃金も動き始めました。しかしながら、多様化する地政学的リスクは、海外経済、資源価格、国際金融資本市場の動向などに波及し、わが国の経済や物価を巡る環境は、極めて不安定な状況が続きました。

不動産業界においては、地価上昇や建築費高騰などに留意が重要な時期でありました。賃貸オフィス市場は、大規模オフィスビルの供給増加により、東京ビジネス地区の空室率が高止まりし、平均賃料は下落基調で推移しました。住宅市場では、首都圏全体で新築マンションの供給戸数は減少しましたが、都心部で高額物件の供給が続き、平均価格や初月契約率は底堅く推移しました。

このような事業環境の下、都市開発事業においては、環境配慮型オフィスビル「中央日土地博多駅前ビル」、「田町駅前建替プロジェクト」が着工、物流施設の「LOGIWITH(ロジウィズ)厚木」が竣工したほか、注力する大型再開発プロジェクト「虎ノ門」、「内幸町」、「淀屋橋」等もそれぞれ順調に進捗しました。また、今後のオフィスの在り方を研究するR&D施設「NAKANIWA(ナカニワ)」や、新コンセプトの「セットアップオフィス」の開設など、新たな取り組みも積極的に進めています。

住宅事業においては、分譲マンションでは「バウス平塚」、「バウス川口新井宿」、「バウス金町」などが竣工、「バウス府中」、「バウス東林間」等が新たに販売を開始しました。このうちバウス府中では「ZEH-M Oriented」および「BELS5つ星評価」の環境認証を取得するなど、サステナビリティに配慮した取り組みを推進しています。また、賃貸住宅では「サニーライフ北区豊島」を竣工、学生向けレジデンス「(仮称)千代田区外神田3丁目プロジェクト」を着工しました。

不動産ソリューション事業においては、今回で19回目となるCRE戦略セミナー「企業と人を繋ぐCRE戦略」を開催。企業価値の向上に資するワークプレイスの在り方等について講演を行い、600名を超える方々にご参加いただきました。

資産運用事業においては、セキュリティ・トークンを活用した不動産バリューアッド型私募ファンドを組成したほか「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」において、4物件、計52億円の資産を新たに取得し、9月末時点で同投資法人の運用資産残高は1,231億円となりました。

その他の事業領域では、米国コロラド州デンバー近郊での賃貸用集合住宅の開発や、オフサイトフィジカルコーポレートPPAの活用など、海外事業や再生可能エネルギー分野の取り組みを積極化しました。また、ゴルフ事業では、施設改修など顧客満足度向上に向けた取り組みを継続しています。

 

以上の結果、当中間連結会計期間の営業収益は67,956百万円(前年同期比19.1%増)、営業利益は15,318百万円(同14.0%増)、経常利益は15,894百万円(同12.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は15,901百万円(同22.6%増)となりました。

 

(営業収益・営業利益)

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

(a) 都市開発事業

当セグメントにおきましては、主力であるオフィスビル・商業施設等の賃貸収入を中心に、営業収益は  26,134百万円(前年同期比1.2%増)となりましたが、物件取得・譲渡に伴う諸費用の増加などにより、セグメント利益(営業利益)は8,136百万円(同6.2%減)となりました。

(b) 住宅事業

当セグメントにおきましては、「バウス平塚」、「バウス川口新井宿」、「バウス金町」などの住宅分譲収入、並びに賃貸住宅の譲渡収入及び賃貸収入などを計上し、営業収益は35,795百万円(前年同期比43.8%増)、セグメント利益(営業利益)は8,470百万円(同36.8%増)となりました。

 

(c) 不動産ソリューション事業

当セグメントにおきましては、不動産仲介手数料、鑑定評価・各種コンサルティング手数料に加え、事業用不動産の売却収入などを計上し、営業収益は3,701百万円(前年同期比9.9%減)、セグメント利益(営業利益)は761百万円(同9.8%増)となりました。

(d) 資産運用事業

当セグメントにおきましては、「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」及びその他ファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどを計上し、営業収益は731百万円(前年同期比29.2%増)、セグメント利益(営業利益)は469百万円(同43.7%増)となりました。

(e) その他

当中間連結会計期間においては、ゴルフ事業などにより、営業収益は2,211百万円(前年同期比7.2%増)、セグメント利益(営業利益)は372百万円(同24.1%増)となりました。

 

(営業外損益・経常損益)

営業外収益は、受取配当金、持分法による投資利益等により3,114百万円となりました。また、営業外費用は、支払利息等により2,538百万円となりました。これらにより、経常利益は15,894百万円(前年同期比12.6%増)となりました。

 

(特別損益)

特別利益は、投資有価証券売却益及び固定資産売却益等により6,876百万円となりました。一方、特別損失は、投資有価証券評価損等により319百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する中間純利益)

税金等調整前中間純利益22,451百万円となり、法人税等で6,471百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する中間純利益は15,901百万円(前年同期比22.6%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べ130,252百万円増加し1,309,457百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べ75,280百万円増加し291,623百万円となりました。これは主に有価証券、現金及び預金等が増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ54,971百万円増加し1,017,834百万円となりました。これは主に有形固定資産及び投資有価証券が増加したことによります。

(負債)

総負債は、前連結会計年度末に比べ91,543百万円増加し871,629百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べ25,501百万円増加し200,124百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金及び未払法人税等の増加によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ66,042百万円増加し671,505百万円となりました。これは主に長期借入金及び社債の増加によるものであります。

(純資産)

純資産は、前連結会計年度末に比べ38,708百万円増加し437,828百万円となりました。これは主に利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間のキャッシュ・フローは、

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

22,197百万円

(前年同期は

△7,307百万円)

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

△18,808百万円

(前年同期は

10,333百万円)

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

69,450百万円

(前年同期は

△17,182百万円)

 

となり、現金及び現金同等物は73,113百万円増加し、中間期末残高は184,154百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前中間純利益22,451百万円、減価償却費4,886百万円、投資有価証券売却損益△3,934百万円、有形固定資産売却損益△2,777百万円などを計上し、仕入債務の減少△2,642百万円、法人税等の支払額△1,314百万円などによる資金減少の一方、売上債権の減少2,765百万円、棚卸資産の減少2,631百万円などによる資金増加の結果、22,197百万円の収入となりました。

 

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の売却による収入9,652百万円、投資有価証券の売却による収入5,005百万円、出資金の回収による収入902百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△30,346百万円、投資有価証券の取得による支出△3,915百万円などによる資金減少の結果、18,808百万円の支出となりました。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の借入・返済による純収入53,465百万円及び社債の発行による収入17,000百万円などにより、69,450百万円の収入となりました。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

 a 生産実績

該当事項はありません。

 

 

 b 受注実績

当中間連結会計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注金額(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

都市開発事業

887

+0.1

1,574

+139.8

 

(注)1. セグメント間取引については相殺消去しております。

  2. 中央日土地ファシリティーズ㈱における請負工事について記載しております。

 

 c 販売実績

当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売金額(百万円)

前年同期比(%)

販売件数(戸・件)

前年同期比(%)

住宅事業

31,782

+50.4

413

+28.3

不動産ソリューション事業

1,271

△39.9

6

-

合計

33,054

+42.2

419

+27.7

 

(注)1. 金額は販売用不動産の販売金額によっております。

       2. 住宅事業の販売金額、販売戸数には、他社との共同事業によるマンション分譲等が含まれております。

    3. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の連結営業収益に対する割合

相手先

前中間連結会計期間

当中間連結会計期間

販売金額(百万円)

割合(%)

販売金額(百万円)

割合(%)

クイーンズウェイ特定目的会社

8,876

13.1

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間末現在において判断したものであります。

 

経営成績等の状況に関する分析等

  当中間連結会計期間においては、テナントを始めとしたお客様、お取引先様、株主様、地域社会並びに当社グループ社員などステークホルダーの便益を最優先に図りながら、収益維持、積み上げに取り組んでまいりました。

 当社グループの当中間連結会計期間における経営成績等については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績等の状況」に記載のとおりであります。

 

 a.経営成績の状況に関する分析等

以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。

当中間連結会計期間の営業収益は680億円で、前年同期比109億円の増収となりました。

このうち、土地建物賃貸収入は271億円で、新規テナント成約などのテナント入れ替え効果もあり前年同期比6億円の増収となりました。

販売用不動産売上は331億円で、前年同期比98億円の大幅な増収となりました。これは主に、賃貸住宅物件売却の増加及び、バウスシリーズなどの住宅分譲販売の増加によるものであります。

営業収益のうちその他は78億円で、前年同期比5億円の増収となりました。これは主に、不動産ソリューション事業及び資産運用事業における手数料収入の増加、並びにゴルフ場収入の増加などによるものであります。

当中間連結会計期間の営業利益は153億円で、前年同期比19億円の増益となりました。これは営業総利益が30億円増益となった一方、販売費及び一般管理費が12億円増加したことによるものであります。

当中間連結会計期間の経常利益は159億円で、前年同期比18億円の増益となりました。このうち営業外収益は持分法による投資利益の減少などにより2億円減少し、営業外費用はその他の営業外費用の減少などにより1億円減少しております。

当中間連結会計期間の税金等調整前中間純利益は225億円で、前年同期比47億円の増益となりました。このうち特別利益は投資有価証券売却益の増加などにより23億円増加し、特別損失は投資有価証券評価損等を計上し、前年同期比では7億円減少しております。

以上の結果、当中間連結会計期間の親会社株主に帰属する中間純利益は159億円で、前年同期比29億円の増益となりました。

 

 

当中間連結会計期間のセグメント別営業利益の状況等は以下のとおりです。

都市開発事業の営業利益は81億円で、前年同期比5億円の減益となりました。これは、同事業に係る物件費などの費用の増加が主な要因であります。

住宅事業の営業利益は85億円で、前年同期比23億円の増益となりました。賃貸マンション物件売却の増加及び、バウスシリーズなどの住宅分譲販売の増加等によるものであります。当中間連結会計期間においては、分譲マンションの「バウス東林間」、「バウス府中」の販売(契約)を開始しました。

不動産ソリューション事業の営業利益は8億円で、前年同期比1億円の増益となりました。事業用不動産の売却収入が減少した反面、不動産仲介手数料、鑑定評価・各種コンサルティングなどの手数料収入は増加いたしました。

資産運用事業の営業利益は5億円で、前年同期比1億円の増益となりました。同事業の収益はファンドからのアセットマネジメントフィー、アクイジションフィーなどが主体であり、中央日土地アセットマネジメント株式会社が運用する私募リート「中央日土地プライベートリート投資法人(CNPR)」においては、新たに4物件の取得を行うなど、ポートフォリオの成長・改善に継続的に努めております。

その他の営業利益は4億円で、前年同期比1億円の増益となりました。これは、ゴルフ場事業の収益増加を主な要因としております。

 

b.財政状態の状況に関する分析等

当中間連結会計期間末における財政状態の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

財政状態の状況に関する分析は以下のとおりです。なお、以下は当社の内部管理上の計数に基づいており、億円単位で記載をいたします。

 

(資産)

当中間連結会計期間末の総資産は1兆3,095億円で、前期末比1,303億円増加いたしました。この前期末比増加の主な内訳は有価証券(譲渡性預金)が前期比600億円、現金及び預金が前期比131億円、有形固定資産が前期比193億円、投資有価証券が前期比361億円であります。

有価証券(譲渡性預金)並びに現金及び預金の増加は、金利動向を踏まえたうえで、複数の大型再開発案件等への投資に対応するため、資金調達を実施したことによります。

有形固定資産の前期末比193億円の増加は、取得・設備投資等による増加315億円、売却による減少71億円、減価償却による減少48億円などによるものであります。

投資有価証券の前期末比361億円の増加は、主に株価上昇に伴う時価評価額の増加によるものであります。

 

(負債)

当中間連結会計期間末の負債は8,716億円で、前期末比915億円増加いたしました。

この前期末比増加は、主に有利子負債が705億円増加したことによるものであります。主に複数の大型再開発案件等への投資に対応するため、有利子負債が増加しております。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末の純資産は4,378億円で、前期末比387億円増加いたしました。

この前期末比増加は、親会社株主に帰属する中間純利益159億円から支払配当金等を控除した150億円の利益剰余金の増加、株価上昇に伴うその他有価証券評価差額金232億円の増加などによるものであります。

 

 

c.キャッシュ・フローの状況に関する分析等

営業活動によるキャッシュ・フローは、22,197百万円の収入となりました。内訳は、税金等調整前中間純利益22,451百万円、減価償却費4,886百万円、投資有価証券売却損益△3,934百万円、有形固定資産売却損益△2,777百万円などを計上し、仕入債務の減少△2,642百万円、法人税等の支払額△1,314百万円による資金減少の一方、売上債権の減少2,765百万円、棚卸資産の減少2,631百万円などによる資金増加であります。また、仕入債務の減少、売上債権の減少及び棚卸資産の減少により、合わせて短期的なキャッシュ・イン・フロー要因が約28億円発生しております。この要因を除いた長期的な投資等への本源的原資となる税引後のキャッシュ・イン・フローは約194億円であります。

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、18,808百万円の支出となりました。内訳は、有形固定資産の売却による収入9,652百万円、投資有価証券の売却による収入5,005百万円、出資金の回収による収入902百万円などによる資金増加の一方、有形固定資産の取得による支出△30,346百万円、投資有価証券の取得による支出△3,915百万円などによる資金減少であります。このように投資活動によるキャッシュ・アウト・フローは、主に賃貸等不動産への投資額から売却額を控除した純投資額によるものであります。当中間連結会計期間においては上記の営業活動によるキャッシュ・イン・フローにより投資資金を賄った形となっております。

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、69,450百万円の収入となりました。内訳は、借入金の借入・返済による純収入53,465百万円及び社債の発行による収入17,000百万円などであります。手元流動性の積み上げによる比較的高水準のキャッシュ残高は、金利動向を踏まえた上で、複数の大型再開発案件等への投資に備えるものであります。

 

d.当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの主要な資金需要は不動産取得・開発資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、金融機関からの借入や社債発行による資金調達等にて対応しております。

 当中間連結会計年度末における有利子負債は695,477百万円となりました。引続き長期・固定での資金調達を主とすることにより、安定した財務基盤の構築を図りつつ、調達手段の多様化を目指し、グリーンボンドなど無担保普通社債を発行し、社債残高は96,000百万円となっております。

 また、当社及び主要な連結子会社において銀行提供のキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。

 投資機会及び経済・金融情勢の変動等に備えるべく、一定水準の現預金及びコミットメントライン等の借入枠設定を行う等、円滑かつ安定的な資金確保にも留意しております。

 当中間連結会計期間末における財政状態については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。