売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05377 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当社は、「フェアネス」「透明性」「顧客側に立つプロ」の企業理念に基づき、建設プロジェクトの発注者である顧客側に立ち、顧客のプロジェクト目標の達成を支援しております。

CM(コンストラクション・マネジメント=発注者支援事業)業界に影響を与える建設投資、設備投資を取り巻く環境は、建設資材価格の高騰や労務費の上昇、2024年問題等における人手不足により、発注者単独で建設投資を実行することが難しい状況となり、高い専門性等をもって発注者を支援する当社のCMの社会的役割が益々高まっています。

当期は、プロジェクトの早期立ち上げ支援や、数多くのプロジェクトで品質の適正化・スケジュール短縮・コスト縮減に加え、脱炭素化やSDGs関連(環境共生・BCP・長寿命化等)について支援する他、働き方の可視化や施設の維持保全等に関るDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進することで、発注者へより高い「CMの価値」を提供しております。

当第3四半期累計期間における社内で管理する売上粗利益は過去最高となり、同受注粗利益は、過去最高であった前年同期間の約99%という堅調な水準で推移しております。

期初から実施している優秀な人材確保を目的とした社員の処遇向上による人件費増加、および将来の売上安定に寄与するDXの更なる推進に伴う開発費用の増加等を、この売上高の増加によって吸収し、第3四半期累計期間の経常利益および純利益も過去最高を記録しました。

これらの結果、当第3四半期累計期間の売上高は3,836百万円(前年同期比11.7%増)、売上総利益は2,026百万円(同9.4%増)、営業利益は816百万円(同11.7%増)、経常利益は817百万円(同11.7%増)、四半期純利益は600百万円(同18.3%増)となりました。

 

事業のセグメントの業績は次のとおりです。

当社では、次の4つのセグメントを設けておりますが、自社開発したプロジェクト管理システム等の活用によって、顧客の期待に応えられる人材が所属に縛られることなくマルチにプロジェクトに対応することで、顧客満足度の向上、サービス品質の向上を実現し、セグメント間の負荷を調整し全体としての業務効率を向上させております。 

 

① オフィス事業

当社のCM手法によるプロジェクト立ち上げ支援及び、PM(プロジェクト・マネジメント)サービスは、オフィス移転の可否や働き方改革の方向性を検討する構想段階およびビルの選定から引越しまでワンストップで、高度な専門性で支援することが可能であります。企業がアフターコロナへの働き方を模索する中で、働き方改革及びDXに自ら取り組む先進企業として当社の認知度が高まり、大企業のグループ統合や中央官庁における働き方改革支援及び執務環境整備プロジェクトの引き合いが増加しました。

当第3四半期累計期間は、外務省の「オフィス改革に関するコンサルティング業務(2023年度分)」を公募にて当社が選定され、また国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の「オフィス環境整備計画の立案に係る調査」も選定される等、公共分野の発注者支援も増加しております。

当第3四半期累計期間のオフィス事業の売上高は、709百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益70百万円(同5.6%減)となりました。

 

② CM事業

数多くの地方自治体庁舎や国立大学を始めとする公共施設において当社のCMサービスが評価されました。民間企業においては、グローバル企業の国内拠点となる大型研究施設や生産施設をはじめ、商業施設及び学校法人施設の再構築や、日本最大の鉄道会社による大規模商業施設や各地方拠点施設、大手IT会社等の保有施設の電気・空調・衛生設備更新等の実績を重ね、既存顧客から継続的に引き合いを頂くと共に、新規顧客からの引き合いも増加しております。

当第3四半期累計期間は、国土交通省の「2023年度地方公共団体における入札契約改善に向けたハンズオン支援業務」を公募にて選定され、国土交通省から10年連続での公募選定となりました。また、文部科学省「グローバル・スタートアップ・キャンパスフラッグシップ拠点(仮称)整備に係る基本計画策定に関する調査・検討事業」の企画競争に応募し、審査の結果当社の提案が採択され、本事業についての契約を締結しました。その他、多くの地方自治体や国立大学法人における施設建設に関するプロポーザルに当社が応募し、発注者支援事業者として選定されました。

また、一般社団法人日本コンストラクション・マネジメント協会が主催する「CM選奨2023」において、当社がCM業務を行った「千葉商科大学付属高等学校 新校舎整備計画CM業務」で優秀賞、「森永製菓株式会社 鶴見サイト再構築CM業務」「株式会社プラニック プラスチックリサイクル工場建設プロジェクト」でCM選奨と、応募した3件全てで受賞し、7年連続の受賞となりました。

さらに、2023年6月にドイツ・ミュンヘンで行われた国際コンストラクションプロジェクトマネジメント協会(ICPMA: International Construction Project Management Association)主催のICPMA Awards 2023において、当社が支援した「株式会社プラニック プラスチックリサイクル工場建設プロジェクト」が「Overall Project Achievement」を受賞しました。

当第3四半期累計期間のCM事業の売上高は、2,276百万円(前年同期比10.4%増)、セグメント利益578百万円(同11.0%増)となりました。

 

③ CREM事業

顧客保有資産の最適化をサポートするCREM(コーポレート・リアルエステート・マネジメント)事業は、当社技術者集団による透明なプロセス(CM手法)とデジタル活用による情報の可視化やデータベース活用によって、多拠点施設同時進行の新築・改修・移転や基幹設備の更新、脱炭素化のための機能最適化更新支援等を行っております。

当第3四半期累計期間も新規顧客を含む大企業の多拠点改修同時進行プロジェクトや自治体の公立学校改築計画、金融機関の各施設再編等を中心に、個別プロジェクト毎の進捗状況を可視化し、工事コストやスケジュール管理及び保有資産のデータベース化による資産情報の一元管理とデータ活用によって効率的なプロジェクト管理を提供しました。発注者支援事業として顧客の多拠点施設整備を効率化し、「CMの価値提供」が評価されました。

当第3四半期累計期間のCREM事業の売上高は、596百万円(前年同期比7.4%増)、セグメント利益105百万円(同5.3%減)となりました。

 

④ DX(デジタルトランスフォーメーション)支援事業

当社が自社開発し、10年以上の運用実績がある独自システムを活用して、当社が顧客の働き方や施設の維持保全等に関るDX化を推進するDX支援事業の外販を2021年4月より開始しました。DX化による働き方改革に取り組む企業や団体が増えている中、働く人が可視化された自らのアクティビティを分析して生産性向上につなげるシステムMeihoAMS(※1)、建設プロジェクトや施設の維持保全業務及び関連情報を可視化・一元管理することで顧客のDX化を支援するシステムMPS(※2)への関心が高まっております。

当第3四半期累計期間は、独自システムに更に機能を追加するシステム開発等を顧客と共に行い、また、2023年1月より、DX支援事業を全社横断型で推進する新たな組織として「DX推進部」を設置することで更なる顧客のDX化への支援を推進しております。

サービス開始3期目となる当第3四半期累計期間のDX支援事業も多くの引き合いを頂き、売上高は254百万円(前年同期比129.9%増)、セグメント利益61百万円(同160.1%増)となりました。

 

※1 MeihoAMS(Meiho Activity Management System)は、個人のアクティビティの可視化・定量化・気づきの確認、そして社員一人ひとり及び全社員の生産性や働き方向上を目的とするマンアワーシステム。

※2 MPS(Meiho Project Management System)は、新設プロジェクト管理情報や施設の維持保全に関する情報を可視化・データベース化することで、効率的なプロジェクトの推進や計画的な維持保全及び「過去からの学び」を目的とする、情報の一元管理システム。

 

・社会事業としてのCMによる脱炭素化の推進について

当社では脱炭素化支援CMを社会事業として位置づけ、全社員が一丸となって取り組んでおります。

当社は2009年10月に「環境CM方針」を定め、顧客側に立つ社内の建築や設備のプロがオフィスやビルの環境負荷の低減や環境に配慮した技術の導入・運用等に関する支援を行い、我が国初のZEBやオフグリッドシステム(電力会社などの送電網につながっていない、独立型電力システム)を実現し、顧客の脱炭素化の実現に貢献してまいりました。

2023年4月より、新たに「脱炭素CM部」を設置し、全社員が脱炭素化に取り組む中、CM(発注者支援事業)として高い技術力で脱炭素化支援を推進すると共に、発注者による脱炭素の見える化を目的とするDXを活用した革新的なアウトプットの開発等で顧客へ提供する価値を更に高めております。各自治体庁舎や民間施設におけるZEBやCASBEE認証の取得や脱炭素化のための自然エネルギー調達方式の検証等、高い専門性によって顧客の脱炭素化を支援しております。

また、2023年10月に東京都が発行するグリーンボンド「東京グリーンボンド」に前期に引き続き投資を行い、資金面においても良質な都市環境実現の施策に貢献しております。

 

・人的資本経営の推進について

当社では発注者支援事業を「明朗経営」の下で推進し、各プロジェクトに関するプロセスや成果等及び当社企業業績等に関する情報を可視化し、自ら「隠し事」が出来ない仕組みの構築及び各種法令を遵守するための体制や規程等を整備しております。CMの価値向上や更なる進化に向けて、人的資本経営を重要な経営マターとして、人材育成、体制構築、ナレッジ向上、働き方改革等を推進しております。

社員一人ひとりが顧客側に立つプロとして自らの成長と達成感を実感し、「フェアネス」「透明性」「顧客側に立つプロ」の企業理念を企業風土として定着させ、高い志の下に社員一丸となって行動しております。代表取締役会長をトップとした社員教育の他、社内研修等ナレッジセンターによる社内教育コンテンツの充実をはかり、社員が互いの成長を支援する組織マネジメント及びOJTの推進に全社で取り組んでおり、同時にダイバーシティ・インクルージョン及びデジタルな働き方の更なる進化に力を入れております。今後も優秀な人材の採用と人材育成システムの向上に取り組み、社員一人ひとりの成長と組織力強化による顧客本位の「明豊のCM」を徹底することで、継続的な企業価値向上を実現してまいります。

 

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前事業年度末に比べて、217百万円減少し、5,254百万円となりました。これは、現金及び預金が386百万円減少したことなどによります。
 固定資産は、前事業年度末に比べて、211百万円増加し、1,359百万円となりました。これは「東京グリーンボンド」への投資を行ったことなどにより、投資その他の資産が177百万円増加したことなどによります。

この結果、総資産は、前事業年度末に比べ6百万円減少し、6,614百万円となりました。

(負債)

流動負債は、前事業年度末に比べて、311百万円減少し、951百万円となりました。これは、未払法人税等が280百万円減少したことなどによります。
 固定負債は、前事業年度末に比べて、36百万円増加し、770百万円となりました。
 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ275百万円減少し、1,721百万円となりました。

(純資産)

純資産合計は、前事業年度末に比べて、268百万円増加し、4,892百万円となりました。これは、利益剰余金が220百万円増加したことなどによります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6) 研究開発活動

当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は3,681千円であります。

なお、当第3四半期累計期間において当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。