売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00120 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 経営者による当社グループの経営成績等の状況の分析は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類感染症に移行されたことにより、経済活動はほぼ正常に戻ってきております。一方で、世界経済においては引き続き不安定な国際情勢による原材料やエネルギー価格の上昇等による物価高騰、為替相場の変動等、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

 当社グループの主たる事業である建設業界におきましては、公共建設投資及び民間建設投資は、底堅く推移しておりますが、一方で建設コストの高止まりが解消される見込みは薄く、特に民間建設投資では、住宅・非住宅ともに新規工事着工に足踏みする様子も窺えます。公共建設投資につきましては、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」をはじめとした公共事業関係予算が確保されていることから、引き続き堅調に推移しております。

 このような状況の中、当社グループは[淺沼組らしさ(独自性)を深耕させ「変化に挑戦」]を基本方針と掲げる「中期3ヵ年計画(2021年度~2023年度)」の最終年度を迎えておりますが、2024年度からは建設業においても時間外労働の上限規制が適用されるため、重要施策の一つとして掲げている建設分野における生産労働人口の減少への対応を一層強化しております。当社では、協力会社協働による施工現場での生産性向上策を募集し、優れた策に対して表彰制度を設け、社内での水平展開を継続的に実施しております。また、人材教育のツールとして、他社と共同開発で施工管理を学習することができるシステム「現場トレーナー」を開発し昨年秋にリリースしました。RPGゲームに匹敵する映像にてバーチャル現場を再現し、アバターをゲームライクに操作し学習していくものとなっており、若手社員をはじめとした研修や自己啓発ツールとして展開していく予定です。

 以上の結果、当社グループにおける当第3四半期連結累計期間の受注高は1,271億3千2百万円で、前年同期比20.2%の増加、売上高は1,116億1千2百万円で前年同期比7.1%の増加、売上総利益は98億2千3百万円で前年同期比6.7%の減少となりました。

 

 営業利益につきましては26億1千7百万円(前年同期比25.6%の減少)となりました。

 経常利益につきましては27億4千2百万円(前年同期比26.3%の減少)となりました。

 親会社株主に帰属する四半期純利益につきましては15億9千1百万円(前年同期比44.5%の減少)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

(建 築)

 受注高は1,117億4千1百万円(前年同期比23.0%増)、売上高は944億2千万円(前年同期比12.2%増)となり、セグメント利益は71億3千6百万円(前年同期比3.3%減)となりました。

(土 木)

 受注高は153億9千1百万円(前年同期比2.9%増)、売上高は148億7千7百万円(前年同期比17.4%減)となり、セグメント利益は20億1千3百万円(前年同期比22.1%減)となりました。

 

 また、「その他」の事業につきましては、売上高23億1千4百万円(前年同期比14.2%増)、セグメント利益4億8千4百万円(前年同期比24.0%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

(資 産)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ2.3%減少し、749億4千5百万円となりました。これは、現金預金が31億6千2百万円減少したことなどによります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて1.3%増加し、165億3千3百万円となりました。これは、投資その他の資産に含まれる投資有価証券が7億4千万円増加したことなどによります。

 この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べて1.7%減少し、914億7千8百万円となりました。

(負 債)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べて1.7%減少し、346億2百万円となりました。これは、短期借入金が79億7千6百万円増加した一方で、未払法人税等が10億8千万円、主に未払消費税等の減少によりその他の流動負債が71億4千8百万円それぞれ減少したことなどによります。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べて5.4%減少し、124億6千万円となりました。これは、社債が流動負債の1年内償還予定の社債への振替で3億9千万円減少したことなどによります。

 この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて2.7%減少し、470億6千3百万円となりました。

(純資産)

 純資産合計は、前連結会計年度末に比べて0.6%減少し、444億1千5百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上や配当金の支払などの結果、利益剰余金が14億8千8百万円減少したことなどによります。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発費は2億7千8百万円であります。

 なお、子会社においては、研究開発活動は特段行われておりません。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

 世界的に高騰した物価は依然上昇傾向にあり、世界経済に大きな打撃を与える要因となっております。国内におきましても、海外ほどでは無いものの物価上昇が続き、高止まりや更なる上昇傾向も見られ、今後の経済への悪影響が懸念されます。建設業界におきましても2021年度以降の世界的な資材価格高騰と人手不足による労務費の上昇により、建設工事費は上昇傾向で推移しており、設備投資マインドの下押しにつながって経営成績に重要な影響を与える懸念があります。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響が落ち着き、景気回復傾向の下、物価や人件費の上昇を価格転嫁できるようになった企業の中には最高益を更新するところも見られますが、順調に景気、経済活動が拡大していくことに伴う資材価格の上昇、とりわけ建設事業における人手不足に拍車が掛かることにより、工事原価の上昇や工程の遅れにつながる懸念があり、経営成績に重要な影響が及ぶ可能性があります。