売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00048 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況に関する分析

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、円安を背景としたインバウンド需要や個人消費の持ち直しがみられ、緩やかな回復傾向が継続いたしました。しかしながら、世界的なインフレ圧力による金融引締め政策に伴う影響や中国経済の先行き懸念、並びに地政学リスクが資源価格等に与える影響により、依然として景気の先行きに注視が必要な状況が続いております。

国内の住宅市場における新設住宅着工戸数は、持家、貸家及び分譲住宅の全てにおいて前年比マイナスとなりました。一般建設市場でも、建築着工床面積において、全使途が前年比マイナスとなりました。

このような事業環境の中で当社グループは、2022年度よりスタートした5ヵ年計画「第7次中期経営計画」において、「収益モデルの進化」・「経営効率の向上」・「経営基盤の強化」の3つの経営方針を掲げ、持続的な成長モデルの実現に向け、海外事業とストック事業の拡大やDXによる顧客体験価値向上等、様々な高付加価値提案や施策を積極的に推進してまいりました。

以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,756,464百万円(前年同四半期連結累計期間比9.8%増)、営業利益は284,980百万円(前年同四半期連結累計期間比28.0%増)、経常利益は277,452百万円(前年同四半期連結累計期間比27.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は216,284百万円(前年同四半期連結累計期間比30.1%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) セグメント情報」の「Ⅱ 2.報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。下記の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で比較しております。

 

    ① 戸建住宅事業

戸建住宅事業では、住まいのあり方が多様化する中、省エネ性に優れ、レジリエンス性能を備えた良質な住宅の提供と、住まう方の人生や変化する価値観に寄り添い、生活を豊かにするライフスタイル提案を行ってまいりました。

国内の住宅事業では、2023年10月に分譲専用の木造住宅商品「ComfortWood(コンフォートウッド)」の販売を開始しました。加えて、同年11月より注文住宅品質を継承した新しい分譲住宅「Ready Made Housing.(レディ メイド ハウジング)」という考え方を発信し、分譲住宅の取組みの強化を行ってまいりました。

注文住宅では、鉄骨商品の主力商品である「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」、3・4・5階建商品「skye(スカイエ)」を中心に販売を促進し、ZEH販売率の向上に取組むとともに、木造住宅商品「xevo GranWood(ジーヴォグランウッド)」や富裕層をターゲットとした当社最高級戸建住宅商品「Wood Residence MARE-希-(マレ)」を販売するなどカーボンニュートラルの実現とお客様の多様なニーズに対応してまいりました。

さらに、ストック型社会の到来を見据え、既存建物の再生・循環にも注力しております。特に、かつて当社が開発した各地の住宅団地において、地域活性化や空き家問題等の社会課題に向き合い、住民の方と持続的に発展する「まちの再生・再耕」に取組んでおります。

 

 

加えて、当社は2023年10月に株式会社東急Re・デザインの子会社である株式会社TRDホームズの全株式を取得する契約を締結し、2024年4月に100%子会社化することとなりました。2026年度を最終年度とする「第7次中期経営計画」において、長期にわたって事業価値と社会価値を共に最大化し続ける「持続的成長モデル」の構築を目的とし、お客様のライフスタイルに合わせたコンセプトアプローチを展開するため、「新築からストックのグループ連携強化」や「木造商品のラインアップの拡充」を進めております。今後は、木造住宅を中心としたリフォーム事業を強化するとともに、賃貸住宅における木造商品のラインアップ拡充も図ってまいります。

海外では、米国において、東部・南部・西部を結ぶスマイルゾーンで東部のStanley Martin、南部のCastleRock、西部のTrumarkのグループ3社を軸とした事業拡大を進めております。住宅ローン金利と住宅価格の高止まりは見られますが、中古住宅の在庫が低水準にあることから、新築住宅への需要は底堅く、足元では持ち直しの動きが継続しております。展開エリアでのシェア拡大を目指し、アフォーダブルな住宅の供給を可能とする立地への投資を強化し、オフサイト化への取組みも進めております。また、2023年7月にはCastleRockがアリゾナ州フェニックスにおいて新たに拠点を設立し、すでに戸建分譲住宅地の確保を進めております。Trumarkにおいては、2023年10月に米国で戸建住宅事業を行うJP Holdings, LLCの事業を譲受いたしました。これにより、カリフォルニア州を中心とした戸建住宅供給の更なる拡大を図ってまいります。

以上の結果、当事業の売上高は668,129百万円(前年同四半期連結累計期間比5.9%増)、営業利益は22,962百万円(前年同四半期連結累計期間比20.7%減)となりました。

 

② 賃貸住宅事業

賃貸住宅事業では、ご入居者様・地球環境・街への3つの視点から持続的な価値を提供することで、オーナー様の資産価値の最大化に繋がる賃貸住宅経営のご提案とサポートを行ってまいりました。加えて、環境負荷を低減し、省エネ・創エネ対応のZEH-M物件の普及に努めてまいりました。

大和リビング株式会社では、幅広いご入居者様に選ばれる、高品質で住み心地の良い賃貸住宅「D-ROOM」の供給に加え、リノベーション事業の強化も奏功し、管理戸数の増加及び高い入居率の維持につながっております。

大和ハウス賃貸リフォーム株式会社では、当社施工の賃貸住宅を所有されているオーナー様に対し、定期点検・診断を通じたリレーションの強化を図り、保証延長工事やリノベーション提案を推進してまいりました。

海外では、主要エリアである米国においては、金利上昇の高止まりは見られますが、金利動向や不動産マーケットの状況を注視しながら、賃貸収入による収益の最大化を目指し、マーケットの回復時には遅滞なく売却できるよう稼働率や収益性の向上に注力してまいります。

以上の結果、当事業の売上高は907,872百万円(前年同四半期連結累計期間比5.0%増)、営業利益は88,516百万円(前年同四半期連結累計期間比13.7%増)となりました。

 

③ マンション事業

マンション事業では、お住まいになる方々の多彩なライフスタイルに応えるため、ハウスメーカーとして培ってきたノウハウを駆使しながら、長寿命の住まいに欠かせない基本性能や快適性、安全性、管理体制の提供を追求してまいりました。お客様にとっての資産価値に加えて、環境や社会への配慮、地域社会への貢献を目指した付加価値の高いマンションづくりに努めております。

2023年12月に販売開始した「プレミスト那覇新都心 ザ・パークフロント」は、商業・文化等の都市機能が集結した那覇新都心の中心エリアでありながら、約18haの広大な新都心公園に隣接しており、利便性に加え、豊かな緑と開放感を享受できる点が評価され、販売が順調に進捗しております。

大和ライフネクスト株式会社では、働きながら子育てする家庭の増加を受けて、子育て世代向け賃貸レジデンス「COCOWA(ココワ)」(商標出願中)を立ち上げました。2024年2月に第一弾「COCOWA平和台」(東京都)の開業を予定し、2023年12月より入居者の募集を開始しております。家事・育児に便利な設備と居住者同士のつながりを創出する仕掛けで、子育て世代の暮らしをサポートしてまいります。

 

 

海外では、株式会社コスモスイニシアにおいて、新たにベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)ホーチミンエリアにおける分譲住宅開発事業に参画するため、ベトナムの現地不動産デベロッパーであるTT Capital Investment Joint Stock Company及び日本発祥のグローバル不動産会社を目指して2020年に設立されたKoterasu Partners Pte. Ltdとの戦略的パートナーシップを組成し、同パートナーシップの下、分譲住宅開発事業に着手しております。今後は、当該戦略的パートナーシップを通じて、ホーチミン市近郊エリアにおいて、中間所得層向けに年間1,000~2,000戸のより良質な住宅の提供を目指してまいります。

以上の結果、当事業の売上高は293,062百万円(前年同四半期連結累計期間比11.4%増)、営業利益は19,676百万円(前年同四半期連結累計期間比49.6%増)となりました。

 

④ 商業施設事業

商業施設事業では、テナント企業様の事業戦略やエリアの特性を活かし、ニーズに応じたバリエーション豊富な企画提案を行ってまいりました。特に、大型物件への取組みの強化や、当社で土地を取得し、開発企画・設計施工・テナントリーシングまで行った物件を投資家様に販売する分譲事業にも注力してまいりました。

都市型ホテル事業では、大和ハウスリアルティマネジメント株式会社において、2023年10月に「ダイワロイネットホテル那覇おもろまちPREMIER」が開業し、同年12月末時点で国内76店舗16,318室となり、平均稼働率は約89%に改善、順調に業績が推移いたしました。

フィットネスクラブ事業では、スポーツクラブNAS株式会社において、販促プロモーションを強化することで会員数の回復に努めてまいりました。

ホームセンター事業では、ロイヤルホームセンター株式会社において、2023年11月にメインターゲットを大工工事・左官・管工事・内装仕上げ・水道設備等の職人様とした「ロイヤルプロ横浜上郷店」(神奈川県)がオープンし、同年12月末時点の総店舗数は62店舗となりました。

海外では、米国カリフォルニア州において、稼働中の商業施設である「TRADE(トレード)」と「Village Center(ビレッジセンター)」に対し、日系テナントの入居を推進することで安定的に高い稼働率を維持しております。

以上の結果、当事業の売上高は854,123百万円(前年同四半期連結累計期間比6.2%増)、営業利益は103,161百万円(前年同四半期連結累計期間比7.2%増)となりました。

 

⑤ 事業施設事業

事業施設事業では、法人のお客様の様々なニーズに応じた施設建設のプロデュースや不動産の有効活用をトータルサポートすることで業容の拡大を図ってまいりました。

物流施設関連では、2025年日本国際博覧会に向けて関西での需要が高まっており、2023年10月に「DPL兵庫川西」、2023年12月に「DPL東大阪」など、2023年10月からの3ヶ月間において3件が竣工いたしました。また新規着工案件として、2023年10月に半導体や自動車関連需要が堅調な東北地区に位置する「DPL福島伊達」と、2023年12月に日本貨物鉄道株式会社(JR貨物)との協業シリーズである「DPL千葉レールゲート」を着工いたしました。市場環境の変化の中でも当社の強みであるリーシング力を活かし、堅実なテナントニーズを取り込むべく案件開発を継続しており、リーシング成果として「DPL東大阪」は竣工前に一棟賃貸借契約を締結しております。

医療介護施設関連では、老朽化した建物を持つ病院並びに特別養護老人ホーム・介護老人保健施設等の大型介護施設をターゲットに建替えや移転の提案を行うとともに、大型介護施設開発案件の売却を実施いたしました。またCCRC(※)やヘルスケアを核とした街づくりの提案を継続してまいりました。

主に当社が開発した物流施設を管理・運営する大和ハウスプロパティマネジメント株式会社では、2023年10月完成の「DPL兵庫川西」をはじめとする物流施設等4棟について新規プロパティマネジメント(PM)契約を締結し、累計管理棟数は248棟、累計管理面積は約987万㎡となりました。

ロジスティクスサービス業を展開するダイワロジテックグループでは、IT事業において顧客企業のDX化に伴うIT関連投資の拡大が続いております。2024年問題に関わる物流業務の省人化・自動化システムの導入推進提案により新規顧客獲得へ繋げてまいります。また物流事業においては、物販系EC市場の拡大ペースが鈍化傾向の中、一部のクライアント撤退による減収がみられましたが、主要クライアントの出荷数の堅調な推移と倉庫の拡大により順調に業績が推移いたしました。引き続き新規顧客獲得に向けて営業活動を実施してまいります。

 

 

海外では、主な展開エリアとなるASEANにおいて、2023年12月にベトナムの「タンドゥックB」レンタル倉庫、タイ王国の「レムチャバン フェーズⅡ」レンタル倉庫の2件を売却いたしました。

以上の結果、当事業の売上高は965,212百万円(前年同四半期連結累計期間比28.2%増)、営業利益は89,099百万円(前年同四半期連結累計期間比74.3%増)となりました。

※ Continuing Care Retirement Community(コンティニューイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ)の略。地域住民や多世代と交流しながら健康でアクティブな生活を送り、必要に応じて医療・介護を受けることができる地域づくりを目指すもの。

 

⑥ 環境エネルギー事業

環境エネルギー事業では、脱炭素への流れが加速し、再生可能エネルギー導入のニーズが高まる中、EPC事業(再生可能エネルギー発電所の設計・施工)、PPS事業(電力小売事業)、IPP事業(発電事業)の3つの事業を推進してまいりました。

EPC事業では、脱FIT(再生可能エネルギーの固定買取制度)の取組みとして、太陽光発電所から離れた需要家に供給する「オフサイトPPA(※)」、屋根上や隣接地に設置した太陽光発電所から直接電力を供給する「オンサイトPPA」の2つのPPA事業の拡大に取組んでまいりました。再生可能エネルギーを求める需要は着実に増加しております。当社が創業以来積み重ねてきた用地開発のノウハウを活かして大規模太陽光発電所の開発を行い、今後の主力事業として引き続き注力してまいります。

PPS事業では、長期化するロシア・ウクライナ情勢や円安の影響による資源価格の上昇により電力仕入価格が高騰するなど、厳しい事業環境が続いておりましたが、新料金体系の提案、仕入れに合わせた供給量のコントロール等の取組みと共に、電力卸売市場のスポット価格が安定したことにより、収益性が改善いたしました。また、今後の取組みとして電源調達調整費(独自燃調)の導入により収益の安定化を図ってまいります。しかしながら、電力業界における事業環境動向の予見は困難なため、今後も事業リスクの対策を継続し、PPS事業の安定化に取組んでまいります。

IPP事業では、太陽光発電を中心に、風力発電、水力発電を全国528ヶ所で運営しております。

今後も「第7次中期経営計画」における重点テーマの一つ「すべての建物の脱炭素化によるカーボンニュートラルの実現」の取組みの中核を担い、当社グループ全体で推進し、更なる再生可能エネルギーの普及拡大を目指してまいります。

以上の結果、当事業の売上高は105,058百万円(前年同四半期連結累計期間比21.5%減)となり、営業利益は7,744百万円(前年同四半期連結累計期間比76.4%増)となりました。

※ Power Purchase Agreement(パワー・パーチェス・アグリーメント)の略。電力購入契約。

 

(2) 財政状態の状況に関する分析

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は6,541,264百万円となり、前連結会計年度末の6,142,067百万円と比べ399,196百万円の増加となりました。その主な要因は、戸建住宅事業及び賃貸住宅事業における販売用不動産の仕入により棚卸資産が増加したことによるものです。
 

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は3,986,934百万円となり、前連結会計年度末の3,753,153百万円と比べ233,781百万円の増加となりました。その主な要因は、販売用不動産や投資用不動産の取得等のために、借入金やコマーシャル・ペーパー、社債の発行による資金調達を行ったことによるものです。

 
 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は2,554,329百万円となり、前連結会計年度末の2,388,914百万円と比べ165,414百万円の増加となりました。その主な要因は、株主配当金87,520百万円の支払いを行ったものの、216,284百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことや、円安の影響等を受けたことにより為替換算調整勘定が増加したことによるものです。これらの結果、当第3四半期連結会計期間末におけるリース債務等を除く有利子負債は2,242,446百万円となり、D/Eレシオは0.91倍となりました。なお、ハイブリッドファイナンスの資本性考慮後のD/Eレシオは0.82倍(※)となりました。

※ 2019年9月に発行した公募ハイブリッド社債(劣後特約付社債)1,500億円、及び2020年10月に調達したハイブリッドローン(劣後特約付ローン)1,000億円について、格付上の資本性50%を考慮して算出しております。

 

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

今後の社会経済環境の見通しについては、各国のインフレ継続や金融引き締め政策、中東情勢・ウクライナ情勢の緊迫化等の地政学的リスクの高まりを背景としたエネルギーや原材料価格及び調達コストに与える影響、中国の過剰債務問題の顕在化等、世界経済は注視が必要な状況が継続するものと見られます。国内においては、雇用者の平均賃金の上昇により消費拡大が見込まれ、景気の回復基調の維持が期待される一方で、インフレの持続性が一段と高まれば、日銀の大規模金融緩和策は転換され、政府は早ければ2024年度にもデフレ脱却を宣言する可能性があります。また、エネルギー価格・原材料価格の高騰等、世界経済の下振れリスクに注意し備える必要があります。

加えて、2024年4月より、建設業においても適用を受ける改正労働基準法への対応として、時間外労働の上限規制が施行され、人手不足の深刻化やコスト上昇等が事業経営等に影響を与える可能性があります。パートナー企業との関係強化と共に、業務効率化・省エネ化、DXの推進等による生産性の向上に引き続き取組んでまいります。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は8,092百万円となりました。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。