売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00094 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する各種規制が緩和され、個人消費が持ち直すなど景気は緩やかに回復いたしました。一方で、世界的な金融引き締めによる影響、ウクライナおよび中東情勢の緊迫化に伴うインフレ加速や中国経済の先行き懸念など、景気を下押しするリスクに対し注視が必要な状況が続いています。

 当社の事業領域である情報通信分野については、社会全体のデジタル化進展に伴い、あらゆる社会経済活動を支える最も基幹的なインフラとしての高速かつ安定的なサービス提供が求められており、サイバー攻撃による被害も増加する状況下において、更なるネットワークの強靭化や安全性の確保は重要な課題となっております。また、近年、流通するデータ量は増加傾向にあり、大量のデータを蓄積・処理するデータセンターの重要性が更に増している状況です。

 建設分野については、エネルギー価格の高騰による影響が続いているものの、民間設備投資は半導体関連産業や更なる生産性向上に向けたソフトウェアへの投資拡大などに持ち直しの傾向が見られ、防災・減災、国土強靭化に資する道路等の設備の更新・維持に向けた公共投資も底堅く推移する見通しです。さらに、エネルギー関連事業においては、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの主力電源化に向けて、蓄電池や送配電インフラ等の関連投資が今後さらに加速すると想定されます。

 このような事業環境のなか、当社グループは、効率化を進めながら成長分野における積極投資を継続し、メリハリのある事業運営を行ってまいりました。通信キャリア事業におきましては、モバイル分野については、各通信キャリアが足元の設備投資を抑制し発注を絞っている状況に対応するため、大胆な人員シフトを含めた柔軟な施工体制の実現により生産性向上を加速する仕組みづくりを行っており、年度末の繁忙期への対応についても着実に行ってまいります。一方、アクセス分野については、コロナ禍によるリモートワーク需要に伴う光回線需要は一巡したものの、通信インフラ設備の維持・更新に係る工事等については堅調に推移しております。都市インフラ事業におきましては、大規模データセンター構築や新築ビル・工場等の電気工事の受注などが引き続き好調に推移しており、公共関連では、高速道路インフラ関連工事についても堅調に推移しました。旺盛な建設需要に対して、選別受注を強化するなど収益性の向上にも引き続き取り組んでまいります。システムソリューション事業におきましては、当社グループが強みを持つお客様に対して引き続き積極的な営業活動を展開するとともに、昨年実施した子会社を含む事業の再編により、上流から下流までの一気通貫でのサービスが可能となり、効率的かつ積極的に事業を運営してまいりました。また、グローバル分野については、IT機器を利活用するリファービッシュビジネスやインフラシェアリング設備構築のほか、EV充電設備構築を手掛けるなど、事業の幅を広げる一方、経営資源の効率的な活用を図るための構造改革を進めているところです。

 当社グループは、「2030ビジョン」及び「中期経営計画(2021~2025年度)」の達成に向け、今後とも持続的な成長に資する挑戦を続けてまいります。

 これらの取り組みの結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績につきましては、受注高は4,785億4千2百万円(前期比3.4%増)、売上高は4,033億8千7百万円(前期比3.3%減)となりました。損益面につきましては、営業利益は151億2千9百万円(前期比0.9%減)、経常利益は189億9千3百万円(前期比0.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は109億9千2百万円(前期比1.9%増)となりました。

 なお、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の概況は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

セグメント

通信キャリア

都市インフラ

システム

ソリューション

金額

増減率

金額

増減率

金額

増減率

受注高

(注)

178,691

△4.1%

157,407

22.7%

142,442

△3.9%

売上高

(注)

174,054

△4.8%

107,220

2.0%

122,112

△5.6%

セグメント利益

9,844

△6.0%

2,874

△15.9%

2,410

75.2%

(注)「受注高」「売上高」については外部顧客への取引高を記載しております。

 

(通信キャリア事業の概況)

 通信キャリア事業におきましては、アクセス分野・ネットワーク分野は概ね計画通り推移しました。NCC各社を含むモバイル分野では、都市部を中心とした繋がりにくさ解消のための投資も行われている一方で、一部キャリア事業者の投資抑制が続いており、着実に手持ち工事の消化を進めると共に、キャリア別の施工体制を一本化し、発生した人的余力を都市インフラ事業やシステムソリューション事業といった成長事業へシフトする取り組みを進めるなど、効率的な業務運営に努めております。

 

(都市インフラ事業の概況)

 都市インフラ事業におきましては、大規模データセンターに関する引き合いが引き続き強く、その他の大型開発ビル案件も含め電気関連工事が好調に推移しました。また、高速道路トンネルの通信線路工事等の道路インフラ工事も堅調に推移しました。エネルギー関連では、EV充電設備や蓄電池設備工事の需要が拡大している他、今後の事業拡大に向けた洋上風力発電の電力自営線構築を担う人財育成を引き続き進めております。また、一昨年来進めております2箇所の木質バイオマス発電所(栃木県足利市、福島県古殿町)についても、2024年に本格運用を開始する予定です。

 データセンター/スマートビル関連では、各種インフラ設備からの運転情報を集約監視・制御するシステムを提供するX1Studio株式会社様と業務提携を行いました。近年活況を呈しているデータセンター構築における事業シナジーが見込め、エネルギー消費の最適化事業を含めた幅広い分野での価値創造に向けて取り組んでまいります。

 

(システムソリューション事業の概況)

 システムソリューション事業におきましては、システム開発・運用保守における中核会社2社を中心に、上位コンサルから保守運用までワンストップでのサービス提供を行うことで、更なる収益向上を目指す取り組みを続けるとともに、文教系や地方自治体向けに当社グループの強みを生かしたソリューションを展開し、新たな収益基盤の構築に向けてアプローチを継続しております。また、当社社内における生成AI活用による業務の効率化、高度化の実績をお客様向けに展開した「生成AI利活用導入支援サービス」を開始いたしました。

 グローバル分野におきましては、リファービッシュビジネスにおける市場環境悪化に伴う在庫の評価損や、デジタル貿易プラットフォーム事業の低迷など、全体としては計画を下回る状況で推移しました。

 

②財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べ 70億2千万円減少し、5,709億2千万円となりました。これは主に受取手形・完成工事未収入金等の減少、未成工事支出金等の増加によるものであります。

 負債は、前連結会計年度末と比べ 97億8千1百万円減少し、2,602億1千7百万円となりました。これは主に支払手形・工事未払金等の減少によるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末と比べ 27億6千1百万円増加し、3,107億3百万円となりました。これは主に資本剰余金の減少及びその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した対処すべき課題等について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、351百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。