売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00210 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日、以下、当四半期累計期間)のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により経済活動の正常化に向けた動きが見られ、緩やかな回復が続きましたが、為替の変動、海外紛争の長期化などに伴う物価上昇や海外景気の下振れリスクなどにより、先行き不透明な状況が続いております。

 

 このような経済環境下、当社グループの事業領域におけるお客様の投資意欲は、分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。

 企業においては、DX(※1)などの最先端技術を活用した、オフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方や、製造業などにおけるスマートファクトリー化、それに伴うセキュリティの見直しなどのニーズが強まっております。通信事業者においては、全般的に、昨年度来の設備投資抑制の動きが一段と強まりました。一方、国際間通信においてはデータ量の増大に伴う海洋通信網の設置ニーズが堅調に推移しております。ローカル5Gにおいては、通信事業者における5Gサービス本格普及の遅れの影響を受けて端末デバイスの低価格化が進まず、市場の立ち上がりに遅れが出ておりますが、発電所や医療など、高速無線ネットワークの中でも高セキュリティや安定性などといったローカル5Gが強みとする特徴が必須となる領域から、徐々に実装への動きが見られております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革への動きが顕在化してくるとともに、防災・減災や安全保障をテーマとしたネットワーク整備のニーズの高まりや、デジタル田園都市国家構想など街づくりにおけるデジタルインフラの整備に向けた動きも見られはじめました。

 

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、2022年5月に発表した中期経営計画「Shift up 2024」に基づき、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け社会への提供価値を高めるべく、DX×次世代ネットワークを軸に、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションと顧客伴走によるスパイラル型成長を行う新しい事業モデルへのシフトに注力しております。

 DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業を、さらにお客様の経営力、事業力強化につながるサービスへと進化させるべく、積極的なDX技術の活用によるイノベーションを生む働き方/プロセス改革に取り組み、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとしてサービス開発や提案型モデル(オファリングモデル)を強化してまいりました。また、企業向けのみならず自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体向けには、パートナー企業とともに自治体の閉域ネットワークに対応したサービスを順次リリースし、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースを活用したお客様提案を加速するとともに、様々な自治体とDX推進に関する連携協定を締結するなど、連携も強化しております。通信事業者向けにおいても、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めております。

 5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、先行市場に向けた対応を強化するとともに、海外企業や東京大学発のベンチャー企業などとのパートナーシップによる製品・サービスの強化、技術者の育成など、市場の本格立ち上がりに備えた積極的な取り組みを行いました。

 なお、これらの取り組み成果を、事業としてより迅速にお客様に実装するため、全社横断組織であった新事業開発機能を、2023年4月に各事業部門に融合するとともに、成長戦略を支えるコンサルティングやDX、次世代ネットワークに対応した高度人材の育成を進めてまいりました。さらに、新たな事業領域の開拓として、ICT(※2)を活用した陸上養殖により、気象等の諸条件に左右されず水産資源の安定的供給を実現すべく山梨県にサーモンの陸上養殖場を設立しておりましたが、2023年8月より育成したサーモンの出荷を開始いたしました。

 加えて、社会課題としての重要性がさらに拡大している気候変動対応に関しては、2022年4月に設置した「カーボンニュートラル推進本部」を中心に強化を進めており、次世代ネットワーク活用や最先端のDXソリューション実証の場として2023年3月に移転した新本社ビルを活用し、カーボンニュートラルの実現に向けたオフィスビル活用の検証等を行っております。また、これまで培ってきた様々な環境関連のサービス、ノウハウと当社の全事業とを組み合わせて気候変動対応型ビジネスの強化を図っており、2023年5月には経済産業省の「GXリーグ」にも参画いたしました。情報開示の面でも、2023年6月にはTCFDのフレームワークに基づく2度目の情報開示を行うとともに、カーボンニュートラル実現に向けた目標を前倒し修正いたしました。

 

 このような状況下において、当四半期累計期間における連結業績は、

売上高                 2,494億39百万円(前年同期比  12.4%増加)

営業利益                 124億50百万円(前年同期比  11.4%増加)

経常利益                 121億90百万円(前年同期比   8.8%増加)

親会社株主に帰属する四半期純利益      76億98百万円(前年同期比  26.0%増加)

<参考>

受注高                 2,698億77百万円(前年同期比   8.0%増加)

となりました。

 

 売上高は、豊富な受注残からの売上が本格化したことなどにより全セグメントで増加し、前年同期比12.4%増加の2,494億39百万円となりました。なお、受注高は、通信事業者による投資抑制の影響はあったものの、働き方改革関連、ネットワーク・セキュリティなどを中心とした企業向けや、道路・交通などといった官公庁・公共分野が堅調に拡大したことに加え、サウジアラビアにおけるプラント通信設備構築や国内における機器調達に係る第1四半期の大型案件受注が牽引し、前年同期比8.0%増加の2,698億77百万円となりました。

 

 利益面では、データ経営の強化とその実践を通じた提案力の向上に向けた新基幹システムの導入に係る費用など成長に向けた費用の増加により販売費及び一般管理費が拡大しましたが、売上高拡大の本格化により、営業利益は前年同期比11.4%増加の124億50百万円、経常利益は8.8%増加の121億90百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は26.0%増加の76億98百万円となりました。なお、第3四半期について、前期に計上されたミャンマーのプロジェクトにおける受注損失引当金の戻入益の影響で営業減益となっておりますが、その一過性の前期要因を除いた当四半期の営業利益は大幅に増加しております。

 

 セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

<セグメント別売上高>

(単位:百万円)

 

 

DX

ソリューション事業

ネットワーク

ソリューション

事業

社会・環境

ソリューション

事業

その他

当第3四半期

連結累計期間

89,294

59,475

94,463

6,205

249,439

前第3四半期

連結累計期間

80,202

55,511

80,598

5,569

221,881

増減額

9,092

3,964

13,865

635

27,557

増減率(%)

11.3

7.1

17.2

11.4

12.4

 

<参考:セグメント別受注高>

(単位:百万円)

 

 

DX

ソリューション事業

ネットワーク

ソリューション

事業

社会・環境

ソリューション

事業

その他

当第3四半期

連結累計期間

92,233

59,546

106,590

11,506

269,877

前第3四半期

連結累計期間

89,517

61,594

92,613

6,236

249,961

増減額

2,716

△2,047

13,976

5,269

19,915

増減率(%)

3.0

△3.3

15.1

84.5

8.0

 

 

1.DXソリューション事業(892億94百万円:前年同期比11.3%増):

 コンタクトセンター事業を行う子会社における新型コロナ関連ビジネスの売上が減少しましたが、DX技術を活用した働き方改革や次世代ネットワーク・セキュリティ分野など中期経営計画における注力領域に加えて、既存領域も増加し、売上高は前年同期比11.3%増加の892億94百万円となりました。

2.ネットワークソリューション事業(594億75百万円:前年同期比7.1%増):

 通信事業者による設備投資抑制の影響を受け厳しさが継続しておりますが、宇宙や放送関連などといった社会基盤事業が増加したことに加え、改刷需要を捉えた製造子会社の売上増加により、売上高は前年同期比7.1%増加の594億75百万円となりました。

3.社会・環境ソリューション事業(944億63百万円:前年同期比17.2%増):

 第2四半期以降、受注残からの売上が本格化し、道路・交通などの国内ICT施工領域を中心に増加したことに加え、第1四半期に受注した機器調達大型案件が売上計上されたことにより、売上高は前年同期比17.2%増加の944億63百万円と大きく拡大いたしました。

 

※1 DX:

Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企

業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。

※2 ICT:

Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。

 

<セグメントの概要>

セグメント

主な事業内容

DXソリューション事業

主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー

ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、

最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー

ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供

ネットワークソリューション事業

主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供

社会・環境ソリューション

事業

主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業

その他

主に情報通信機器等の仕入販売

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当第3四半期連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ123億38百万円減少し、2,546億61百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ106億9百万円減少し、2,101億25百万円となりました。これは主に、現金及び預金が107億91百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が33億5百万円減少したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ17億29百万円減少し、445億35百万円となりました。

(負債)

 当第3四半期連結会計期間の負債は、前年度末に比べ126億84百万円減少し、1,086億1百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金が88億36百万円減少したほか、未払法人税等が32億21百万円減少したことなどによるものであります。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ3億45百万円増加し、1,460億59百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益が76億98百万円、および第91期期末および92期中間配当金の支払70億75百万円により利益剰余金が6億22百万円増加したことなどによるものであります。

 

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ107億91百万円減少し、577億57百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は34億19百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、棚卸資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると19億1百万円の増加となっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、41億50百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるもので、前年同期と比べると2億85百万円の減少となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、7億31百万円の減少となりました。前年同期と比べると16億15百万円の増加となっております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、101億76百万円となりました。これは主に、配当金の支払および短期借入金の返済などによるもので、前年同期と比べると7億23百万円の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を23円、中間の1株当たり配当金を24.5円にしたことにより、70億58百万円の支払となっております。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(6)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は6億72百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)従業員数

 当第3四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

(8)生産、受注および販売の実績

 当第3四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。

 

(9)主要な設備

 当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。