株式会社リンクアンドモチベーション

ブランドなど:モチベーションクラウドAVIVAロゼッタストーン
サービス業経営コンサルプライムTOPIX Small 1

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05727 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、当社グループは、子会社である株式会社リンクエージェント(旧 株式会社リンクスタッフィング)が運営する国内人材派遣事業に関して、2022年1月1日をもって株式会社iDAに譲渡したため、これらの事業を非継続事業に分類しております。このため、売上収益、売上総利益、営業利益については継続事業の金額を表示し、親会社の所有者に帰属する四半期利益については、継続事業及び非継続事業の合算を表示しております。

 

(1)経営成績の分析

 当社グループは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というミッションのもと、経営学・社会システム論・行動経済学・心理学等の学術的成果を取り入れた、当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を用いて多くの組織と個人の変革をサポートしております。当第3四半期連結累計期間の日本経済は、個人消費の持ち直しやインバウンド需要の増加により、引き続き緩やかな景気の持ち直しが見られました。一方、国内の物価上昇に加え、世界各国の長期金利上昇による世界経済の停滞リスクは存在しており、その先行きは依然として不透明な状況です。このような経済状況下、企業が変化に適応するための人的資本経営推進のニーズはますます高まっていくと認識しております。

 このような経営環境下、当社グループの売上収益は25,052百万円(前年同期比102.7%)、売上総利益は13,043百万円(同108.1%)、営業利益は3,323百万円(同105.7%)、親会社の所有者に帰属する四半期利益は1,829百万円(同98.0%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、売上収益は年初の想定を下回り、前年同期比で微増となったものの、利益率の高いコンサル・クラウド事業の回復と人材紹介事業の大幅成長により、売上総利益は前年同期比で増加となりました。また、営業利益は前第3四半期連結累計期間においてキャリアスクール事業の校舎の移転・撤退に伴うリース負債の取り崩しによって一過性の収益約700百万円を計上した影響を踏まえても、前年同期比で増加となりました。営業利益は通期業績予想に対して想定通りに進捗しており、当連結会計年度の営業利益は、2018年12月期の3,825百万円を超えて、過去最高益となる見込みです。親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比で微減となったものの、通期業績予想に対しては想定通りに進捗しております。

 なお、当社グループは、IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を第1四半期連結会計期間から適用しております。本改訂は遡及適用され、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前第3四半期連結累計期間において120百万円増加しております。

 

 当社グループのセグメント区分と事業区分は次のとおりであり、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント・事業別の概況は以下のとおりであります。

※画像省略しています。

 

《組織開発Division》

 組織開発Divisionでは、個人から選ばれる組織(モチベーションカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”を適用し、従業員・応募者・顧客・株主等の企業を取り巻くステークホルダーのエンゲージメント向上を支援するサービスを提供しております。

 当該セグメントでは、当第3四半期連結累計期間における売上収益は9,439百万円(同105.9%)、セグメント利益は6,632百万円(同108.2%)となりました。当第3四半期連結累計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(コンサル・クラウド事業)

 当該事業は、企業の「従業員エンゲージメント向上」のため、独自の診断フレームに基づいたエンゲージメント状態の診断、及び組織人事に関わる採用・育成・制度・風土といった変革ソリューションをワンストップで提供しております。また、企業が従業員エンゲージメントをマネジメントできるクラウドサービス「モチベーションクラウドシリーズ」を展開しております。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は8,088百万円(同104.7%)、売上総利益は6,113百万円(同110.1%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、売上収益はコンサルティングが想定通りに回復し、前年同期比で増加、売上総利益は利益率の高いモチベーションクラウドシリーズの大幅積上げが寄与し、前年同期比で大幅増加となりました。第2四半期連結会計期間末までは、2023年3月期からの有価証券報告書における人的資本開示の義務化の対応に企業が追われ「変革」の優先順位が低下したことに加え、当社グループのプロダクト別の組織編成によって、多様化する顧客の人的資本経営ニーズに対応しきれなかったことで一時的に成長が鈍化しましたが、企業の開示対応が落ち着いた7月以降、想定通りの回復を実現しました。管理会計制度の変更によって内部の組織間の連携を促し、事業間のクロスセルを拡大したことが回復の大きな要因です。引き続き、クロスセルの拡大と長期的な支援に注力することで、多様化する顧客の人的資本経営ニーズへの対応力を高めてまいります。

 

(IR支援事業)

 当該事業は、企業の「投資家エンゲージメント向上」のため、IR領域を中心に様々なメディアやイベントを通じて、コーポレートブランディング構築をワンストップで支援しております。具体的には、株主・投資家向けの統合報告書等の紙メディア制作や、IRページ等のWEBメディア、決算説明会の動画配信等の映像メディア制作に加えて、株主総会等の場創りを行っております。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は1,487百万円(同109.6%)、売上総利益は605百万円(同92.2%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、注力サービスである統合報告書制作が想定通りに伸長し、売上収益は前年同期比で増加となりました。また、売上総利益は制作に係る人件費の増加に伴い、前年同期比で減少となりました。

 有価証券報告書における人的資本開示の義務化を受け、非財務情報、特に人的資本情報の開示ニーズはさらに高まっており、当社が提供しているモチベーションクラウドにおける診断結果の公表社数は2023年9月末時点で100社を超え、従業員エンゲージメントの開示も着実に進んでおります。引き続き、単なる情報開示ではなく、診断・変革を踏まえた人的資本経営の魅力的な開示を支援することで、コンサル・クラウド事業ともシナジーを創出してまいります。

 

《個人開発Division》

 個人開発Divisionでは、組織から選ばれる個人(アイカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”をキャリアスクール・学習塾のビジネスに適用し、小学生から社会人までを対象に、目標設定から個人の課題把握、学習プランの策定・実行に至るサービスをワンストップで提供しております。

 当該セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上収益は4,775百万円(同89.1%)、セグメント利益は2,158百万円(同99.0%)となりました。当第3四半期連結累計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(キャリアスクール事業)

 当該事業は、大学生や社会人の「キャリア向上」のため、パソコンスクールの「AVIVA」、資格スクールの「DAIEI」、外国語スクールの「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」、「ロゼッタストーンプレミアムクラブ」及び「ハミングバード」の5つのサービスを提供しております。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は4,214百万円(同86.8%)、売上総利益は1,921百万円(同97.9%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、BtoCサービスについて、コロナ禍による学びのニーズの変化に適応して全国に81校展開していた校舎を移転・撤退してオンラインへ移行する構造改革が計画通り進捗し、売上総利益率が想定通りに向上しました。当第3四半期連結累計期間の売上総利益率は45.6%となり、前第3四半期連結累計期間の40.4%と比較して向上しております。また、オンライン講座の売上収益は、前第3四半期連結累計期間において214百万円であったのに対し、当第3四半期連結累計期間は393百万円となりました。引き続き、顧客価値の向上と事業効率の改善を同時に実現してまいります。また、BtoBサービスについては継続性の高いサービスへの移行を目指しており、福利厚生メニューを従業員自らが選択できる企業制度であるカフェテリアプランにおいて、2023年9月末時点の月平均受講者数が2023年6月末と比較して約20%増加する等、移行が順調に進捗しております。今後も、継続性の高いサービスへの移行を促進してまいります。

 

(学習塾事業)

 当該事業は、小・中・高校生の「学力向上」のため、中学受験を目指す小学生を対象にした個別指導学習塾「SS-1」と、中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」の2つの進学塾を、通学・オンラインの形態にて展開しております。特に「モチベーションアカデミア」では、一般的な学習塾とは異なり単なる学力向上にとどまらず、社会で活躍するためのスキル獲得も支援しております。将来的には、キャリアスクール事業が持つ「プログラミング教育」や「英会話教育」といったアセットも活用し、小学生から高校生まで一気通貫で学力向上に加えて社会で活躍するためのスキル獲得の場も提供することを目指してまいります。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は560百万円(同111.6%)、売上総利益は237百万円(同108.7%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、教室の在籍生徒数が伸長し、売上収益は前年同期比で大幅増加、売上総利益は前年同期比で増加となりました。引き続き、「SS-1」から「モチベーションアカデミア」への継続率の向上に加えて、オンライン授業による学びの機会を通塾可能地域にとどまらない幅広い層に提供することで、新規入会者数を伸長させてまいります。

 

《マッチングDivision》

 マッチングDivisionでは、組織と個人をつなぐ機会提供としてALT(Assistant Language Teacher)配置事業と人材紹介事業を展開しており、企業や自治体が求めるスキル要件にとどまらず、当社グループの基幹技術である“モチベーションエンジニアリング”を適用したデータをもとに個人の特性とのマッチングを可能にした「フィッティング」も行うことで、定着率の高いマッチングを実現しております。

 当該セグメントの当第3四半期連結累計期間における売上収益は11,416百万円(同105.9%)、セグメント利益は4,764百万円(同109.8%)となりました。当第3四半期連結累計期間における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(ALT配置事業)

 当該事業は、日本で働きたい外国籍人材と自治体のフィッティングとして、全国の小・中・高等学校へのALTの派遣及び英語指導の請負をサービスとして提供しております。本事業は、顧客との信頼関係や実績が重視されるため参入障壁が非常に高く、当社グループは民間企業で圧倒的No.1のシェアを確立しております。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は8,835百万円(同99.3%)、売上総利益は2,226百万円(同89.3%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、売上収益は前年同期比横ばいで、売上総利益は前年同期比で大幅減少となりました。2022年10月より、週20時間以上働くALTを社会保険の加入対象とする法令が、従業員数の多い企業から順次適用されることとなり、民間企業として最もシェアを持つ当社は競合他社に比して先行して適用されることとなりました。そのため、当連結会計年度については厳しい競争環境であると認識しておりましたが、この状況下でも売上収益は前年同期比で横ばいを維持し、当初の想定通りに進捗しました。今後は強みであるALTの質の更なる向上に加え、オンライン化やICT活用といった多様化する顧客ニーズへの対応も進めることで、シェアの更なる拡大を目指してまいります。

 

(人材紹介事業)

 当該事業では、求職者と企業のフィッティングとして、事業成長に必要な人材を企業に紹介する人材紹介サービスを展開しております。主に、転職を希望している社会人を企業とマッチングさせる中途紹介、そして就職を希望している学生を企業とマッチングさせる新卒動員・紹介を行っております。

 当該事業における当第3四半期連結累計期間の売上収益は2,604百万円(同137.5%)、売上総利益は2,561百万円(同137.7%)となりました。

 当第3四半期連結累計期間においては、特に成長率の高いオープンワーク株式会社にて、登録ユーザー数、社員クチコミ・評価スコア数を着実に積み上げております。中でもダイレクトリクルーティングサービス(OpenWorkリクルーティング)は、継続的なマーケティングへの投資等により新規Web履歴書登録数が増加し、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)が約95万件まで増加しました。また、既存顧客の採用活動の活性化に向けた取り組みの結果、求人企業・登録エージェント企業の採用活動が活性化し、当サービスの売上収益は1,381百万円(同228.0%)となりました。

 今後も引き続き、組織開発Divisionとのシナジーを拡大しながら、個人のスキルだけでなく、求職者の性格等のタイプも考慮することで、フィッティング支援を加速してまいります。

 

《ベンチャー・インキュベーション》

 当社グループでは、各Divisionの他に、ベンチャー・インキュベーションを展開しております。ベンチャー・インキュベーションでは、出資に加え、当社グループの組織人事コンサルティングのノウハウ等を提供し、上場を目指す成長ベンチャー企業を組織面からも支援しております。出資先の主な選定基準は、「“モチベーションカンパニー”創りへの共感」「株式上場を目指していること」の2点です。なお、ベンチャー・インキュベーションにて発生した売却益等は、要約四半期連結財政状態計算書の利益剰余金、又は要約四半期連結損益計算書のその他の収益・その他の費用に計上いたします。

 

(2)財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,686百万円増加し、30,594百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が1,585百万円増加したこと等によるものです。

 当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ667百万円減少し、16,997百万円となりました。これは主として、有利子負債及びその他の金融負債が541百万円減少したこと等によるものです。

 当第3四半期連結会計期間末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,354百万円増加し、13,597百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を実施した一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益を計上したこと等に伴い、利益剰余金が1,310百万円増加、また非支配持分が591百万円増加したこと等によるものです。

 

(3)キャッシュ・フローの分析

 当第3四半期連結累計期間において、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,585百万円増加し、当第3四半期連結会計期間末の残高は7,698百万円となりました。

 当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、営業活動により獲得した資金は前年同期より1,208百万円増加し、2,864百万円となりました。これは主として、営業債権及びその他の債権の増減が前年同期に比べ934百万円増加したことにより資金が減少した一方で、税引前四半期利益が前年同期に比べ249百万円増加、営業債務及びその他の債務の増減が前年同期に比べ658百万円増加、その他が前年同期に比べ1,190百万円増加したことにより資金が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、投資活動により獲得した資金は前年同期より188百万円増加し、400百万円となりました。これは主として、前年同期に発生した事業譲渡による収入が無かったこと、敷金及び保証金の返還による収入が前年同期に比べ792百万円減少したことにより資金が減少した一方で、無形資産の取得による支出が前年同期に比べ293百万円減少、投資有価証券の売却による収入が前年同期に比べ987百万円増加、資産除去債務の履行による支出が前年同期に比べ209百万円減少したことにより資金が増加したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、財務活動により使用した資金は前年同期より738百万円減少し、1,677百万円となりました。これは主として、長期借入れによる収入が前年同期に比べ1,300百万円減少したことにより資金が減少した一方で、短期借入金の純増減額が前年同期に比べ900百万円増加、長期借入金の返済による支出が前年同期に比べ735百万円減少、非支配持分からの払込による収入が452百万円発生したことにより資金が増加したこと等によるものです。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 該当事項はありません。