売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05297 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、米国の金融引締め縮小を想定した為替動向や、原材料価格の高騰に伴う物価上昇の影響などがありましたが、国内での経済活動の活発化によって、緩やかながらも景気は回復の動きが続きました。

 日本経済の先行きにつきましては、雇用・所得環境が改善する下で、金融・財政などの各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。一方、中東情勢の悪化に伴う原材料価格の上昇や、中国経済の下振れが日本経済を下押しするリスクに加えて、金融資本市場の変動による影響には十分に注意する必要があります。

 このような経済状況の下、ITサービス市場におきましては、顧客企業におけるIT投資は幅広い業種にわたり拡大基調が続いており、事業の拡大や競争力を目的としたIT投資への意欲は力強いものがあります。世界的な海外景気の下振れ懸念はあるものの、社会のデジタル化に対応するための既存システムのクラウド対応需要等、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。

 当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、様々な業態におきまして業務効率化と生産性向上への強い意欲や、企業価値向上に向けたWeb等へのIT投資を背景に当社サービスの拡大導入への需要が継続しており、今後も継続していくものと考えております。

 当社グループにおきましては、過年度から引き続き収益構造の改善に取り組むとともに、当第3四半期連結累計期間におきましては、継続して当社サービスのブランディングをはじめとしたマーケティング施策の構築及び実行により顧客との商談機会が増加し、提供する各種製品によるストックビジネスの積み上げを進めてまいりました。

 また、当社グループにおける活動方針であります「売りやすく、作りやすく、使いやすく」を掲げ、マーケティング(認知向上)や顧客ニーズに寄り添う支援体制の強化、プロダクト開発に積極的な取り組んでまいりました。その中心となる主力製品が、自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」及びクラウド電話サービス「telmee(テルミー)」並びにWebサイトやコンテンツを簡単に構築・管理・更新できるシステム「SITE PUBLIS(サイトパブリス)」であり、当第3四半期連結累計期間の事業活動により次の成果が得られております。

 

<commubo>

・AIロボットとの会話内容お客様自身で確認・編集可能なcommubo「セルフエディットページ」をリリース

・展示会において督促業務専用版パッケージ「ぺリマ」のデモ体験などを出展し、顧客への浸透を図るとともに受注に向けた提案を進めています。

・自然会話 AI プラットフォームcommuboの新機能として、ボイスボットの安定的な運用を支援する新機能として「入電/架電状況異常検知」機能を新たにリリース

・自然会話 AI プラットフォーム「commubo」の追加機能として、ボイスボットの内線電話構成への配置と、顧客データベースへの効率的な情報送信を実現する「CTI/CRM 連携ソリューション」をリリース

・AI プラットフォームcommuboが「AIsmiley PRODUCT AWARD 2023 AUTAM」ボイスボット部門を受賞

・AI 電話自動応答サービスを提供するBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)企業との連携により、導入に向けた活動を推進してまいりました。

 

<telmee>

・コンタクトセンターにおける利便性向上機能の開発

 

<SITE PUBLIS>

・CMS「SITE PUBLIS Connect」にDXツールと連携する新オプションサービスの提供開始

・オプションサービスの提供開始とともに、デモサイトの提供も同時に開始することにより、販売パートナーにおいては顧客への新案件提案時の活用を促進することが可能となりました。

既存顧客においては新機能を体験して頂き、今後のバージョンアップの検討を促すためのコミュニケーションを開始しています。

また、オンラインセミナーを複数開催することにより認知度を向上させるとともに、受注に向けた活動を推進しています。

 

 以上の結果、当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高639,804千円(前年同四半期比21.4%増)、営業損失151,926千円(前年同四半期は営業損失84,091千円)、経常損失156,068千円(前年同四半期は経常損失86,333千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失302,628千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失76,819千円)となりました。

 

 売上高につきまして、既存事業の「SUPREE」が通信事業者等からの受注により堅調に推移したこと及び開発案件の増加、「commubo」の利用料の増加及び新規受注、「SITE PUBLIS」の受託開発の増加により、前年同四半期と比べて増収となっております。売上原価につきまして、エンジニアの採用が予定より遅れたことによる外注費の増加やソフトウェアの減価償却費の増加により前年同四半期より増加しております。販売費及び一般管理費につきまして、グループでの効率化による経費の削減を進める一方、展示会等への出展やマーケティング活動の積極化による広告宣伝費の支出等により前年同四半期より微増し、結果として営業損失となりました。特別損益ではのれんの償却額の計上もあり、親会社株主に帰属する四半期純損失となりました。

 当社グループの主力製品であります「commubo」及び「telmee」は月額課金のストック型ビジネスであり、また「SITE PUBLIS」も保守契約等のストック型ビジネスであることから、売上高においては今後も顧客数の伸びに応じて安定的な収益が堅調に推移するものと見込んでおりますが、受託開発売上においては、顧客企業の動向による受注の遅れにより工事進行基準売上の計上が期ずれする可能性がございます。

 

 なお、当社グループは、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

② 財政状態の分析

(資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は387,703千円となり、前連結会計年度末に比べ9,379千円減少いたしました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が36,407千円増加した一方で、現金及び預金が55,234千円減少したことによるものであります。固定資産は82,667千円となり、前連結会計年度末に比べ293,166千円減少いたしました。これは主に、のれんが174,104千円、ソフトウエアが70,497千円、ソフトウエア仮勘定が22,063千円、投資その他の資産のその他が14,198千円減少したことによるものであります。

(負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は132,616千円となり、前連結会計年度末に比べ20,508千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等が5,033千円、流動負債のその他が17,627千円増加したことによるものであります。固定負債は158,719千円となり、前連結会計年度末に比べ6,672千円減少いたしました。これは、長期借入金が6,672千円減少したことによるものであります。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は179,035千円となり、前連結会計年度末に比べ316,381千円減少いたしました。これは主に、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ12,224千円増加した一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失302,628千円を計上したことにより利益剰余金が302,628千円、非支配株主持分が38,153千円減少したことによるものであります。

 この結果、自己資本比率は30.9%(前連結会計年度末は54.8%)となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 なお、当社グループは、2023年6月26日付で発表した「事業計画及び成長可能性に関する事項」の下、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に示す課題への対処を的確に行っております。

 

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループにおける研究開発活動の金額は、4,952千円であります。

 当社グループは、リアルタイム通信のコア技術とWebコンテンツ・マネージメント技術をコア技術として、

デジタル・コミュニケーション基盤の拡張に向けた技術開発活動を展開しております。

 当第3四半期連結累計期間における主な研究開発の内容は以下のとおりであります。

・LLM技術を応用した音声認識技術の研究

 音声コミュニケーションのデジタル化/自動化を進める上で、優れた精度の音声認識処理の実現が、業界全体の課題になっています。

 この課題を解決すべく、従来の音響モデル/言語モデルによる音声認識方式ではなく、大規模学習データをもとにした新たな音声認識方式を、日本語特有で必要となる言語処理や、演算リソースの管理方法とともに、研究しております。

・会話AIロボットサービスと連携可能なサービスの調査

 当社が開発する「会話業務を自動化するAIロボット」を企業の業務へ導入するにあたっては、在庫管理や伝票入出力などの会話以外の前後の業務と円滑に結合し、自動化する業務の範囲を広げていくことが重要になります。

 市中において、多様なそれぞれの業務ごとに、AI技術による自動化の取組みが行われていることから、スタートアップ企業を中心に保有技術や製品、サービスの調査を行い、当社技術との連携について研究しております。