売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05352 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、創業以来の中核事業であるSMO事業及びCRO事業の拡大を推進するとともに、グループ戦略として、SMO事業及びCRO事業で創出される資金を原資として、先端医療事業における医薬品や先端医療技術の開発、メディカルサポート事業のノウハウを活かした設備投資等を行うことで、各事業の事業基盤を強化し、多様化・高度化する市場の要求に応えることができる製品・サービスの品質向上及び研究開発力の強化を実現しています。

 引き続き変革と革新に取り組み、グループシナジーをさらに拡大し競争優位性を高めることで、さらなる飛躍に向けた中長期的な企業価値の向上にも取り組んでいます。

 

 SMO事業においては、基幹病院との提携拡大及びがんや難治性疾患を含むあらゆる疾患領域の試験の受託が可能な体制を整備したことにより、安定した収益拡大の基盤を構築しています。第4四半期には新たに受託した大型案件の実施を予定しているなど、計画は順調に進捗しており、事業基盤の強化がここ数年の業績の拡大に顕著に現れています。

 CRO事業においても、海外事業が堅調に推移するとともに、国内事業において受託業務の拡大や統計解析分野のさらなる強化などの取り組みにより、医師主導治験をはじめとした新規試験の受託が増加しています。国内事業の事業基盤の強化を進めたことにより業績が急拡大しています。

 先端医療事業では、上記グループ戦略に基づきSMO事業及びCRO事業で創出される資金を原資として、COVID-19ワクチン「IRO-203」やバイオシミラー等の研究開発を推進しています。

 「IRO-203」は、国内初のウイルスベクターを用いた経鼻接種ワクチンとして開発を進めており、第Ⅰ相臨床試験を実施中です。中間解析では単回接種による安全性及び忍容性について問題となる事象は見られておらず、引き続き2回接種による安全性評価及び接種間隔やブースト効果等の有効性評価を実施する予定です。ワクチン開発については将来的にこの技術を他のワクチン等にも活用することを視野に入れて開発を進めています。

 バイオシミラーの開発は、国際共同第Ⅲ相試験を実施中です。試験の開始は前期の予定から今期に変更となりましたが、計画よりも早く進捗することができ、目標症例数の登録が完了しました。本開発は2027年度の上市を目指して推進しています。

 なお、創薬事業における臨床開発は開発ステージの進捗に伴い経費が増加するため、当第3四半期連結累計期間に「IRO-203」及びバイオシミラーの臨床試験を実施したことにより費用が集中して発生し、前年同四半期比において影響が生じています。

 

 その結果、当第3四半期連結累計期間においては、売上高は12,868百万円(前年同四半期比7.4%減)、営業利益は810百万円(前年同四半期比73.2%減)、経常利益は1,134百万円(前年同四半期比61.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は972百万円(前年同四半期比56.5%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

① SMO事業

 当セグメントにおきましては、引き続きアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等の疾患領域の開発が増加しているため、専門医療センターや大学病院等の基幹病院との提携を拡大し、あらゆる疾患領域の試験の受託が可能な体制を構築しています。また、がんや難治性疾患等の試験と比較して1試験あたりの規模が大きいプライマリー領域の試験の受託も推進しており、第4四半期には新たに受託した大型案件の実施を予定しているなど、計画が順調に進捗しています。

 また、医薬品・医療機器等の開発はグローバル化や開発期間の短縮化が進むとともに、開発手法の変化により、臨床試験に対するニーズの多様化が続いています。当社グループのSMO事業では、医薬品開発を取り巻く環境の変化及び複雑化・高度化する臨床試験に迅速かつ柔軟に対応するため、より一層の人材教育の徹底を図っており、これらの品質マネジメントへの取り組みが治験依頼者や治験実施医療機関から評価され、新たな試験の受託に結びついています。

 その結果、売上高は6,373百万円(前年同四半期比20.7%減)、営業利益は2,839百万円(前年同四半期比34.9%減)となりました。

 

② CRO事業

 当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、国内外の製薬企業の臨床試験や申請業務等の支援を行うとともに、医師主導治験や臨床研究の支援を行っています。

 当第3四半期連結累計期間においては、海外の臨床試験実施施設における新規試験の受託が堅調に推移するとともに、国内の臨床試験実施施設や開発業務支援事業の業績が伸長しました。

 国内の臨床試験実施施設や開発業務支援事業では、受託業務の拡大や統計解析分野の強化に継続的に取り組んでおり、医師主導治験をはじめとする複数の新規試験を受託するなど、事業基盤の強化によって業績が急拡大しています。

 その結果、売上高は4,418百万円(前年同四半期比11.4%増)、営業利益は51百万円(前年同四半期は営業損失70百万円)となりました。

 

③ 先端医療事業

 当セグメントにおきましては、COVID-19ワクチンの開発において、国内初となる経鼻接種によるウイルスベクターワクチンの実用化を目指し、第Ⅰ相臨床試験を実施中です。中間解析では単回接種による安全性及び忍容性について問題となる事象は見られておらず、引き続き2回接種による安全性評価及び接種間隔やブースト効果等の有効性評価を実施する予定です。

 バイオシミラーの開発は、国際共同第Ⅲ相試験を実施中であり、目標症例数の登録が完了しました。

 また、iPS細胞作製キット「CytoTune-iPS」のライセンス事業が顕著に拡大しており、複数の企業と新規ライセンス契約を締結しました。締結済のライセンス契約に基づく当該技術の再実施権が行使されるなど、ライセンス事業により基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いた新たな事業機会の創出に取り組んでいます。

 当セグメントでは、COVID-19ワクチンやバイオシミラー開発をはじめとする研究開発に注力しており、その経費が引き続き発生しておりますが、ライセンス事業や化粧品の販売及びOEM事業などの当セグメントにおける各事業の推進により収益の改善を図っています。

 その結果、売上高は1,049百万円(前年同四半期比2.8%増)、営業損失は130百万円(前年同四半期は営業損失102百万円)となりました。

 

④ メディカルサポート事業

 当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益を確保しています。

 一方で、当社グループの各事業のさらなる拡大のために、設備投資等を含めたサポートを行っており、それらにかかる費用が発生しています。

 その結果、売上高は801百万円(前年同四半期比2.1%減)、営業利益は3百万円(前年同四半期比94.5%減)となりました。

 

⑤ その他

 その他の事業におきましては、上記以外の事業等により、売上高は224百万円(前年同四半期比303.1%増)、営業損失は566百万円(前年同四半期は営業損失67百万円)となりました。

 

(注) 売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。

 

(2)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、521百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。