E04761 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出や、まん延防止等重点措置の適用が各地で実施される中、徐々にワクチン接種率の高まりとともに、景気に持ち直しの動きがみられますが、依然としてコロナ終息の目途は立たず、先行き不透明な状況にあります。
当社グループを取り巻く環境は次のとおりです。航空市場において、国内線は本年3月中旬から回復基調となりましたが、4月25日に3度目の緊急事態宣言が発出され、回復はやや鈍化しました。国際線は依然として厳格な出入国制限が続き、インバウンド需要は消失したままとなり、厳しい環境が継続しました。また外食業は、店舗への営業制限や人々の外出自粛などによる外食需要の低迷が続きました。一方で、自家消費を中心とする在宅での購買需要の高まりを背景に、引き続き各種小売店や通信販売を通じた購買活動は堅調に推移しています。
このような事業環境の中、前年同期に大幅な減収となった国内空港店舗事業や重工業メーカー向け取引が一部回復・改善したことに加え、食品事業において販路開拓・拡大への取組みに注力した結果、当社グループにおける当第1四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
売上高については、当連結会計年度から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日、以下「収益認識会計基準」)等を適用しています。これに伴い当第1四半期連結累計期間の売上高は、9,913百万円となりました。なお、従前の計上方法による売上高(取引総額)は、前年同期に比べ1,957百万円増の22,383百万円(前年同期比109.6%)となりました。
売上総利益は、前年同期に比べ545百万円増の3,312百万円(同119.7%)となりました。
営業利益(△は損失)は、売上総利益が増加した一方、歩合家賃や人件費など販売費及び一般管理費が増加した結果、△456百万円(前年同期は△796百万円)となり、前年同期に比べ339百万円改善しました。
経常利益(△は損失)は、営業利益の改善に加え、持分法による投資利益の増加や連結子会社における助成金収入を計上した一方、営業外収益として投資有価証券の受取配当金が減少した結果、△263百万円(前年同期は△767百万円)となり、前年同期に比べ503百万円改善しました。
なお、各空港店舗の臨時休業期間中に発生した固定費(人件費・賃借料・減価償却費)60百万円を店舗臨時休業による損失として特別損失に計上しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益(△は損失)は、△203百万円(前年同期は△950百万円)となり、前年同期に比べ746百万円改善しました。
※当連結会計年度より収益認識会計基準等を適用しており、従前の計上方法による売上高を取引総額として記載しています。収益認識会計基準等の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しています。
なお、当社グループ企業の決算期について、国内連結子会社は3月期、海外連結子会社は12月期です。また、従前の計上方法による売上高は取引総額として記載し、収益認識会計基準等を適用した売上高は当期のみ記載しています。
当第1四半期連結累計期間におきましては、世界中で拡大した新型コロナウイルス感染症が経済や人々の日常生活に甚大な影響を及ぼす中、ワクチン接種が進むにつれ世界経済の回復が見られてきましたが、経済活動の再開とともに新たに新型コロナウイルス変異株の脅威が生じるなど、先行き不透明な状況が続いています。また、日本国内においても、4月25日に東京・大阪・京都・兵庫の4都府県に3回目の緊急事態宣言が発出され、大型連休であるゴールデンウィークは大都市圏を中心に引き続き人々の移動や接触が著しく制限されました。さらに、ゴールデンウィーク明けには、愛知・福岡・北海道・広島・岡山にも緊急事態宣言が発出され、事態の終息を見通せない状況が続きました。
世界の航空市場について、国際航空運送協会(IATA)が本年5月下旬に発表した新たな需要予測によると、世界の航空旅客数は2019年に比べ、2021年は52%、2022年は88%、2023年は105%とされており、従前に比して早い回復が予測されています。当社においては、国内線旅客数は第2四半期以降に回復に向かう一方、国際線旅客数の動向は依然として不透明感が高いものと想定しています。
このような状況の下、当社グループでは2021年度の対策として、以下3つの取組み方針を定め、推進しています。
(1)「守り重視」の経営の継続
引き続き、先行き不透明な事業環境が続く中、財務基盤の安定性を確保するため、2020年4月以降、手元現預金を通常時より増加させ、当第1四半期末時点において連結現預金残高68億円を有しています。また、前連結会計年度に、コマーシャル・ペーパー発行限度額の増枠、複数行とのコミットメントライン契約の増枠(2021年8月13日時点、全額未使用)、複数行からの長期借入金合計40億円の調達を行い、十分な流動性と長期的な安定資金を確保しています。加えて、前連結会計年度に赤字となった事業については構造改革を加速させ、コスト削減への努力を継続しています。
(2) 次期中期経営計画(2022年度より3カ年計画)に向けた基盤構築
第一に、「ポストコロナ」を視野に入れ、特に影響の大きかった航空・空港事業領域においては、回復と成長を目指します。具体的には、空港店舗事業「BLUE SKY」において、抜本的な事業構造改革の実施とともに、店舗販売データを徹底活用するなどして、競争優位性の獲得を図っています。免税店舗事業「JAL DUTYFREE」では、当社グループ内での人員シフトなどによりコスト削減を図り、ローコストオペレーションを推進しています。また、航空機エンジン部品販売事業では、各国の国内線の回復を見込み、供給体制を構築しています。
第二に、「事業拡大への取組み」として、非航空・空港事業領域での成長を加速させることにより集中リスクを低減し、事業ポートフォリオの最適化を図ります。具体的には、通信販売事業におけるECサイトにデジタルテクノロジーを積極的に導入し、付加価値の向上による事業規模の早期拡大を目指しています。また、2020年度より推進している「地方創生・第6次産業プロジェクト」では、食品事業を中心に、地方自治体や各種小売店とのパートナー戦略による新たなバリューチェーンを構築し、収益規模の拡大を図っています。
これら2つの取組みを実践し、2022年度から2024年度までの3カ年の次期中期経営計画に向けた基盤を構築してまいります。
(3) 企業ガバナンスのさらなる向上
東証市場区分再編をにらみ、新たなコーポレートガバナンス・コードに準拠したガバナンス体制のさらなる充実化に取組み、企業価値の向上を図ります。本年6月16日の定時株主総会において、独立社外取締役1名増員を決議し、直後の取締役会において任意の指名・報酬委員会を設置するなど、企業ガバナンス強化に取り組んでいます。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における経営成績は、営業利益(△は損失)は△456百万円(前年同期は△796百万円)、経常利益(△は損失)は△263百万円(前年同期は△767百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益(△は損失)は△203百万円(前年同期は△950百万円)となり、赤字幅が縮小しました。
当社グループは、イノベーション推進とサステナビリティ推進を経営戦略の両輪と位置付け、短期的な業績回復、そして中長期的な持続的成長を目指してまいります。イノベーション推進による既存事業の収益力強化と新たな事業創造による収益力向上を図り、また、持続可能な社会の実現が企業活動の大前提であるとの認識の下、サステナビリティ推進を経営戦略や事業戦略の中核に組み込むことで、豊かな未来に向けた「サステナビリティ経営」を推進してまいります。
(2)財政状態
一部重工業メーカー向け航空機エンジン部品の販売が進んだため、棚卸資産が減少し、売掛金が増加しました。一方で、同取引の支払いが進んだため、現金及び預金が減少しました。
その結果、総資産は前連結会計年度末と比較して1,461百万円減少し、50,814百万円になりました。
なお、収益認識会計基準等を当第1四半期連結会計期間の期首から適用し、棚卸資産のうち代理人取引に係るものは、立替金に含めて表示しています。
(負債)
一部重工業メーカー向け航空機エンジン部品の仕入債務が減少しました。また、長期借入金の返済を行いました。
その結果、負債合計は前連結会計年度末と比較して1,176百万円減少し、26,413百万円になりました。
(株主資本)
親会社株主に帰属する四半期純損失を計上したことなどにより、利益剰余金が減少しました。
その結果、株主資本は前連結会計年度末と比較して223百万円減少し、23,606百万円になりました。
また、自己資本比率は0.9ポイント増加し、45.7%になりました。
収益認識会計基準等の詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載しています。
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
該当事項はありません。