売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E23492 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当第2四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第2四半期連結累計期間(2023年10月1日~2024年3月31日)の世界経済は、緩やかな減速傾向にあります。米欧経済は、既往の金融引き締めによる需要抑制の影響が強まっていますが、インフレ目標達成の確度が高まっていることから、利下げに向けた議論が始まっています。中国経済は、政府による財政支出拡大が経済を下支えしていますが、GDPに占める割合が大きい不動産業の市況低迷は長期化しており、経済の回復ペースは緩慢なものにとどまっています。

 わが国経済は、物価高による消費抑制が続いているほか、能登半島地震や自動車認証不正問題の影響もあり、景気回復は足踏み状態にあります。一方、わが国企業の設備投資計画は強めを維持しているほか、海外企業が半導体やデータセンター関連等の対日投資を発表するなど、投資拡大の動きは続いています。また、春闘の賃上げ率は連合の集計によると5%を超えるなど、明るい材料もみられます。このような状況を踏まえ、日本銀行は、賃金と物価の好循環を確認し、マイナス金利を解除して、17年ぶりに政策金利を引き上げました。また、政府は引き続きDX・GX(*)、AIに関する取り組み等を強化しています。さらに相次ぐ自然災害を踏まえたわが国のレジリエンス向上への対策も進むとみられます。

 このような社会情勢・事業環境を踏まえつつ、当社は経営理念「豊かで持続可能な未来の共創を使命として、世界と共に、あるべき未来を問い続け、社会課題を解決し、社会の変革を先駆ける」を掲げ、事業に取り組んでいます。

 当連結会計年度は「中期経営計画2026」(中計2026)の初年度です。「中計2026」では、当社グループの経営理念のもと、財務、非財務、社会の3価値の拡大とともに、DX事業の成長による規模拡大と基幹事業の質の改革による収益性向上、次世代事業の育成・拡大による事業ポートフォリオ転換の加速などによって実現を図ります。

 特に事業戦略においては、「社会・公共イノベーション」「デジタルイノベーション」「金融システムイノベーション」の3つの事業軸で戦略領域を定めるとともに、当社グループの連携を強化し、公共向けには行政DXの推進、民間向けにはDXコンサルティングとクラウド移行を組み合わせた支援やビッグデータ分析を採り入れたデジタルマーケティング、金融向けには事業領域や顧客層拡大などを積極的に展開しています。

 当第2四半期連結累計期間は、「中計2026」の開始にあたり、株主や投資家の皆さまとの対話等を通じ、対外的にも理解を深めて頂くよう努めました。また、「中計2026」を策定するにあたって検討してきた内容をあらためて整理・編集し、東京証券取引所による「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を踏まえた開示を行っております。

 事業面においては、戦略領域における取り組みは順調に始動しており、AIを活用したサービス展開をはじめとしたDX、GX・環境エネルギー分野での取り組み・協業や、医療・ヘルスケア関連等における実績の着実な積み上げを図っております。こうした取り組みの成果は、当第2四半期連結累計期間では、政府関係のデジタル化推進、クラウドや通信・放送関連事業等、民間企業のDX推進支援やスマートモビリティ関連事業等の実績として顕在化しております。また、中計2026実現に向けた事業ポートフォリオ転換への先行投資も進めています。加えて、物価と賃金上昇の好循環を目指す潮流のなかでのベースアップによる人件費増加等により、費用増の圧力が高まっています。当社グループは、適正な価格転嫁やお客様に提供する付加価値の一層の向上等に努め、適切な利益の確保・向上に取り組んでおります。

 

 このような結果、当社グループの当第2四半期連結累計期間における業績は、売上高は66,534百万円(前年同期は9.3%減)、営業利益は8,601百万円(同7.4%減)、経常利益は9,341百万円(同5.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は6,212百万円(同4.9%減)となりました。

 

(*)GX :グリーン・トランスフォーメーションの略。化石燃料中心の経済・社会、産業構造を再生可能エネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革すること。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(シンクタンク・コンサルティングサービス)

 当第2四半期連結累計期間は、前第2四半期連結累計期間に計上した複数の通信関連の大型実証案件等の終了により、売上高(外部売上高)は30,433百万円(前年同期比16.0%減)となりました。これらの大型案件は外部委託費用等の占める割合が高く、減収による利益影響は限定的でした。一方、官公庁のアナログ規制見直しやデジタル化、放送・通信・ヘルスケア関連事業やエネルギー・運輸・IT関連企業のシステム、事業戦略支援関連業務等が貢献し、経常利益は6,233百万円(同2.1%増)となりました。

 

(ITサービス)

 当第2四半期連結累計期間は、産業・公共分野のシステム更改案件等の伸長はあったものの、金融・カード分野の減収影響により、売上高(外部売上高)が36,101百万円(前年同期比2.7%減)、経常利益は3,104百万円(同16.7%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

 当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて12,383百万円増加し、130,392百万円(前年度末比10.5%増)となりました。内訳としては、流動資産が81,396百万円(同14.4%増)、固定資産が48,996百万円(同4.6%増)となりました。流動資産の増加は、季節要因により、現金及び預金が14,460百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が24,822百万円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、ソフトウエアの取得や投資有価証券の時価評価等によるものであります。

 負債は、季節要因により買掛金が7,187百万円増加したこと等により、前連結会計年度末と比べて7,478百万円増加し、51,102百万円(同17.1%増)となりました。

 純資産は、利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末と比べて4,905百万円増加し、79,290百万円(同6.6%増)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ14,460百万円減少し、10,466百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、7,983百万円の支出(前年同四半期は13,059百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前四半期純利益9,254百万円、売上・受注の増加及び季節要因による売上債権及び契約資産の増加24,822百万円、仕入債務の増加7,188百万円等によるものであります。なお、当社グループは3月から4月にかけて完了するプロジェクトが多いことから、第2四半期連結累計期間までは支出が先行し営業活動によるキャッシュ・フローはマイナスになる傾向があります。

 前第2四半期連結累計期間との比較においては前期の大型実証案件等の終了に伴い、売上債権及び契約資産の増減額の減少により7,358百万円増加した一方、仕入債務の増減額の減少により4,491百万円減少したこと等により、5,076百万円の支出減となりました

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、3,506百万円の支出(前年同四半期は2,920百万円の収入)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,152百万円、無形固定資産の取得による支出1,335百万円等によるものであります。

 前第2四半期連結累計期間との比較においては有価証券の償還による収入が5,000百万円減少、敷金及び保証金の差入による支出が938百万円増加したこと等により6,426百万円の支出増となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、2,968百万円の支出(前年同四半期は4,061百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額1,203百万円及び自己株式の取得による支出1,034百万円等によるものであります。

 前第2四半期連結累計期間との比較においては自己株式の取得による支出が849百万円減少したこと等により、1,093百万円の支出減となりました

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第2四半期連結累計期間における研究開発費は705百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。