売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E27655 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

 

2023年3月
第3四半期
(千円)

2024年3月
第3四半期
(千円)

増減率
(%)

売上高

26,879,428

28,666,336

6.6

営業利益

2,125,584

1,422,161

△33.1

経常利益

2,336,676

1,525,281

△34.7

親会社株主に帰属する四半期純利益

又は四半期純損失(△)

1,394,159

△76,150

 

※2023年3月期連結会計年度末において企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、2023年3月期第3四半期連結累計期間に係る各数値については、暫定的な会計処理の確定の内容を反映させております。

 

当社のエンタープライズ事業を取り巻くデジタル関連市場では、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速等を背景に企業におけるIT投資が活発化する一方、慢性的なIT人材不足やソフトウェアの複雑化に伴うテストノウハウの高度化等により、テスト工程をはじめとするソフトウェアの品質向上に関するアウトソースニーズが拡大しております。また、当社のエンターテインメント事業を取り巻くゲーム関連市場では、コンテンツの海外同時展開が主流となりつつあることに加え、NFTゲームをはじめ、最新技術を活用した新たなコンテンツ開発が活発化しています。

このような状況のもと、当社では現在、需要が急増するエンタープライズ事業の成長スピードの加速及び祖業であるエンターテインメント事業の安定成長フェーズから成長軌道への転換に注力しております。 

当第3四半期連結累計期間の売上高は、エンターテインメント事業が前期好調だった国内デバッグの反動等により減収となるも、エンタープライズ事業がM&Aの効果もあり2桁成長を継続したことにより、28,666,336千円(前年同四半期比6.6%増)と増収を達成いたしました。一方、利益面では、エンターテインメント事業の減収の影響やエンタープライズ事業に属する海外子会社における収益性の低下、さらにはエンタープライズ事業の中核子会社である株式会社AGEST(以下、「AGEST」)の株式分配型スピンオフ及び上場(以下、「スピンオフ上場」)の準備開始に伴う費用の増加等により、営業利益は1,422,161千円(前年同四半期比33.1%減)、経常利益は1,525,281千円(前年同四半期比34.7%減)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は、第2四半期連結会計期間に連結子会社ののれんの減損損失を特別損失として計上したこと等により、76,150千円(前年同四半期は、四半期純利益1,394,159千円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

2023年3月
第3四半期
(千円)

2024年3月
第3四半期
(千円)

増減率
(%)

売上高

26,879,428

28,666,336

6.6

エンタープライズ事業

12,066,159

14,415,654

19.5

エンターテインメント事業

14,926,328

14,336,733

△4.0

調整額

△113,058

△86,051

営業利益

2,125,584

1,422,161

△33.1

エンタープライズ事業

298,701

203,744

△31.8

エンターテインメント事業

3,206,027

2,550,391

△20.5

調整額

△1,379,144

△1,331,974

 

なお、各セグメントの売上高については、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めて記載しており、セグメント利益は営業利益ベースとなっております。

 

a エンタープライズ事業

当セグメントでは、主に、エンタープライズシステムの不具合を検出するシステムテスト、セキュリティテスト、ERPの導入支援等を行うQAソリューションのほか、エンジニア派遣、システムの保守・運用支援等を行うITサービス及びその他のサービスを提供しております。

当第3四半期連結累計期間においては、中核子会社であるAGESTを中心に、“テック”ブランドを活かしたエンジニア採用活動を継続するとともに積極的な営業活動に注力することで、増加する需要を確実に獲得いたしました。また、開発の最終工程におけるテストの実施だけではなく、開発の上流工程から品質を支える“シフトレフト”に対応した高付加価値型ソリューションである“QA for Development”の確立やアライアンスも活用したエンジニアの技術力向上等に努めることで、競合他社との差別化や競争力の向上を図ってまいりました。

さらに、収益性が低下している欧米における事業の成長戦略の見直しや、ベトナム子会社のAGESTブランドへの統一等をはじめとするベトナムリソースの日本活用本格化に向けた取り組みを推進するとともに、スピンオフ上場を見据え、2024年1月1日付でエンタープライズ事業を営むグループ各社をAGESTの直接子会社とする組織再編を実施するなど、AGESTを中心に日本における事業拡大にフォーカスする体制への転換を図ってまいりました。さらに、2025年内でのスピンオフ上場実行に向け、AGEST独自の本社機能の構築や本社移転等の準備を着実に進めてまいりました。

その結果、当第3四半期連結累計期間のエンタープライズ事業の売上高は、M&Aの効果もあり、14,415,654千円(前年同四半期比19.5%増)と増収を達成いたしました。一方、セグメント利益は、海外子会社における収益性の低下や、グループ間における人材の再配置の影響を含めたスピンオフ上場準備関連費用の増加等により、203,744千円(前年同四半期比31.8%減)となりました。

 

b エンターテインメント事業

当セグメントでは、主に、コンソールゲームやモバイルゲーム等の不具合を検出する国内デバッグサービスのほか、ゲームの翻訳・LQA(Linguistic Quality Assurance)、ゲーム開発支援、マーケティング支援等を行うグローバル及びその他のサービスを提供しております。

当第3四半期連結累計期間の国内デバッグサービスでは、前期上期を中心に好調だったコンソールゲーム向けデバッグの反動があるなか、顧客企業における最適なQCD(Quality/ Cost/ Delivery)を実現する独自の品質管理メソッドであるDHQ(Digital Hearts Quality)を推進しサービスの付加価値向上に努めることで、圧倒的シェアの維持・拡大に努めてまいりました。また、テストセンターであるLab.を熊本に新設するとともに、テスターの時給を従来以上に引き上げるなど、優秀な人材の確保及び従業員満足度の向上に努めてまいりました。

一方、グローバル及びその他のサービスでは、依然として中国ゲーム市場の先行きに不透明さが残るなか、スペインのゲームローカライゼーション企業であるLocalsoft, S.L.と戦略的業務提携契約を締結するなど、欧米における事業拡大を本格化いたしました。また、AI自動翻訳に強みを持つ株式会社ロゼッタとエンターテインメントコンテンツ向けAI翻訳エンジンの共同開発を開始するとともに、JetSynthesys Private Limitedとインドにおけるデバッグの合弁会社設立を決議するなど、さらなる成長に向けた新たな挑戦を推進いたしました。

その結果、当第3四半期連結累計期間のエンターテインメント事業の売上高は、前期好調だった国内デバッグの反動減の影響が大きく、14,336,733千円(前年同四半期比4.0%減)、セグメント利益は、2,550,391千円(前年同四半期比20.5%減)となりました。

 

② 財政状態の分析

(資産)

流動資産の残高は13,818,041千円となり、前連結会計年度末における流動資産12,528,879千円に対し、1,289,162千円の増加(前期比10.3%増)となりました。

これは、主として現金及び預金が893,552千円増加、受取手形、売掛金及び契約資産が419,473千円増加したこと等によるものであります。

固定資産の残高は7,096,416千円となり、前連結会計年度末における固定資産7,052,756千円に対し、43,660千円の増加(前期比0.6%増)となりました。

これは、主として投資その他の資産が1,133,299千円増加し、のれんが1,115,615千円減少したこと等によるものであります。

 

(負債)

流動負債の残高は12,120,383千円となり、前連結会計年度末における流動負債9,930,990千円に対し、2,189,392千円の増加(前期比22.0%増)となりました。

これは、主として短期借入金が2,100,000千円増加したこと等によるものであります。

固定負債の残高は202,530千円となり、前連結会計年度末における固定負債176,124千円に対し、26,406千円の増加(前期比15.0%増)となりました。

 

(純資産)

純資産の残高は8,591,544千円となり、前連結会計年度末における純資産9,474,520千円に対し、882,976千円の減少(前期比9.3%減)となりました。

これは、主として配当による剰余金の減少467,620千円、及び非支配株主との取引により資本剰余金が327,465千円減少したこと等によるものであります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

事業の特性上、該当事項はありません。

 

② 受注実績

当第3四半期連結累計期間における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高
(千円)

前年同四半期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同四半期比
(%)

エンターテインメント事業

クリエイティブ

1,305,899

129.1

516,512

63.5

 

(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.当社グループの「エンタープライズ事業」及び「エンターテインメント事業」に含まれるクリエイティブ以外の事業は、受注から役務提供までの所要日数が短く、期中の受注高と販売実績と概ね対応するため、記載を省略しております。

 

③ 販売実績

当第3四半期連結累計期間における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

区分

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前年同四半期増減率(%)

エンタープライズ事業

14,415,654

19.5

エンターテインメント事業

14,336,733

△4.0

調整額

△86,051

合計

28,666,336

6.6

 

(注) 調整額は、セグメント間の内部取引に係る消去額であります。