売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05561 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復傾向となりました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や緊迫する中東情勢による世界経済の先行き不透明感からくる、インフレの加速や急激な為替変動などに依然として注視が必要な状況です。

このような状況下において、国内企業のIT投資動向は、大手企業を中心に更なる付加価値の向上やビジネスモデルの変革を目的としたバリューアップ投資が拡大する一方、既存のレガシーシステムの更改ニーズに伴うダウンサイジングやクラウドへの移行へと言った効率化投資も堅調に推移しています。

現在、当社では中期経営計画(2021年度~2023年度)の基本戦略である「サービスシフト」に取り組んでいます。この取り組みは、当社製品やサービスを活用されるお客様の利便性向上に加え、お客様とのつながり方を変革し、利用価値の最大化を目指すカスタマーサクセス活動として取り組んでいます。なお、当四半期の「サービスシフト」に基づく主な実績は、以下のようなものです。

 

■複数のSaaS間の業務フローを自動化する「bindit」、「kintone」との連携を開始

 業務フローを自動化するSaaS連携ツール「bindit(バインドイット)」は、サイボウズ株式会社が開発、提供するSaaSアプリケーション「kintone」との連携を開始しました。「kintone」は、データベースやワークフロー、業務コミュニケーションに有効なアプリをノーコード・ローコードで作成できるため、現場主導の業務改善を実現しています。この度の「bindit」との連携が、「kintone」を用いた電子契約の締結業務や商品の入庫・出庫管理業務の自動化を支援します。

 

■当社が提供する6つのサービスが、「第17回ASPICクラウドアワード2023」の各賞を受賞

 総務省後援の「第17回ASPICクラウドアワード2023」は、国内で優秀かつ社会に有益なクラウドサービスに対し、総務大臣賞やアワード総合グランプリ他、各賞の表彰を行っています。この度、当社が提供する「LMIS(エルミス)」や「Growwwing(グローウィング)」、「まるっと帳票クラウドサービス」など6つのクラウドサービスが、先進ビジネスモデル賞やASPIC会長賞、奨励賞などを受賞しました。

 

■(株)ユニ・トランドの社会課題解決サービス、岐阜県笠松町が運営するコミュニティバスに採用

 バスの運行データや乗降データのリアルタイム収集と分析を自動化するサービスが、岐阜県笠松町が運営するコミュニティバスに採用されました。本サービスは、位置情報や混雑情報などの可視化によるバス利用者の利便性向上と、リアルタイムデータに基づく運行情報の収集と分析で、バス事業者の運営効率を飛躍的に高めます。また本サービスは、デジタル田園都市国家構想の取り組みにも重要になるものと考えています。

 

■(株)ヒューアップテクノロジーの人材派遣業界向けサービスの拡充に向け、Appシリーズをリリース

 「人材派遣業界のあらゆる業務のDX化」をコンセプトに、人材ビジネスに必要な業務ソリューションの統一プラットフォーム化に向け、APPシリーズの提供を開始しました。この取り組みの一環として、インボイス制度に対応する「AppInvoice(アップインボイス)」や、スマホによるビジネスコミュニケーションツール「AppMyPortal(アップマイポータル)」、さまざまなシステムやサービスを連携する「AppTransformer(アップトランスフォーマー)」などをリリースしました。

 

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高88億5百万円(前年同期比6.6%増)となり、全セグメントにおいて概ね計画通りに推移しました。利益面では、クラウドサービスセグメントの収益改善やプロフェッショナルサービスセグメントの事業増収効果により、営業利益7億37百万円(同37.7%増)となり、これに伴い経常利益8億72百万円(同21.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5億77百万円(同27.7%増)となりました。

 

<セグメント業績>

 セグメントごとの業績は次のとおりです。

(百万円)

セグメント

項目

1Q

2Q

3Q

累計

前年同期

前年同期比増減率

プロダクトサービス

売上高

1,083

1,155

1,109

3,349

3,290

1.8%

営業利益

246

279

223

749

774

△3.3%

営業利益率

22.7%

24.2%

20.1%

22.4%

23.5%

△1.1pt

クラウドサービス

売上高

767

869

817

2,454

2,331

5.3%

営業利益

△31

21

△25

△36

△250

-

営業利益率

-

2.4%

-

-

-

-

プロフェッショナル

サービス

売上高

1,062

988

950

3,001

2,640

13.7%

営業利益

90

88

111

290

152

90.3%

営業利益率

8.5%

8.9%

11.7%

9.7%

5.8%

3.9pt

 

 

<プロダクトサービス>

 自動化・帳票事業においては、DX推進に伴うシステム更改や本格化する「2025年の崖」問題への対応ニーズを受け、自動化を伴うマイグレーション案件の受注が増加し、堅調に推移しました。また、帳票領域のサービスシフトを牽引する「まるっと帳票クラウドサービス」が、インボイスや電子帳簿保存法対応も含め、固有業務の多いエンタープライズ企業のニーズにマッチし、受注が増加しました。

 メインフレーム事業においても、ハードウェアやシステム更改に伴う受注により、計画通り推移しました。

 

<クラウドサービス>

 IT活用クラウド領域は、業務別に異なるアプリケーションやクラウドサービスを利用するお客様の増加に伴い、システム連携やアクセス管理などへのニーズが高まる中、「Waha! Transformer(ワッハー・トランスフォーマー)」やinfoScoop×DigitalWorkforce(インフォスクープ デジタルワークフォース)の引き合いが増加しました。また、「LMIS」については、企業のセキュリティ強化のニーズに加え、パートナー企業によるシステム運用事業の強化を背景に案件が大型化し、受注が堅調に推移しました。

 事業推進クラウド領域では、通勤費管理システム「らくらく通勤費」が、「SmartHR」とのシームレス連携を開始後、パートナー経由の受注が増加しました。また、「Growwwing」が、事業のデジタルサービス化、サブスクリプション化を推進する企業からの引き合いが増加し、受注が伸長しました。

 ソーシャルクラウド領域においては、持続可能な地域公共交通の実現を支援する移動体IoTサービスが、デジタル田園都市国家構想を追い風に、複数の地方自治体向け案件を受注しました。

 なお、損益面では、好調な主力サービス群の増収効果により、第3四半期累計の営業利益が前年同期比2億14百万円改善し、36百万円の損失となりました。

 

<プロフェッショナルサービス>

 コンサルティング事業では、データドリブン経営を志向する企業や顧客視点で事業を拡大する企業のバリューアップ投資ニーズを背景に、この分野における当社グループ企業の持つノウハウと実績が評価され、受注が増加しました。

 システムインテグレーション事業では、DX推進ニーズの高まりを受けたパートナー企業からの案件増に加え、グループ顧客基盤の活用や「Waha! Transformer」を基盤としたデータ連携開発案件などの高収益モデルへの転換が奏功し、収益性が向上しました。

 アウトソーシング事業では、当社グループの提供するプロダクトに同事業の運用サービスを加えた提案が、競争力の向上に寄与しました。また、マイグレーション案件の増加に伴う受注も好調に推移しました。

 

(脚注)

・まるっと帳票クラウドサービス

一般的な請求書の電子化やWeb配信から、多くのエンタープライズ企業に見受けられる専用封筒や専用紙を利用した郵送・宅配便などの特殊な帳票業務要件まで、幅広いアウトソーシングニーズに対応可能。帳票運用にまつわる全ての業務のDXを推進。

・Waha! Transformer(ワッハー・トランスフォーマー)

提供開始以来20年以上の運用実績を誇る、純国産のノーコードETLツール。大手企業を中心に2000ライセンス以上の導入実績を持つ。企業のビジネス環境にあわせて、基幹系システムからクラウドデータベース、Web APIやExcelファイルまで、さまざまなデータ連携を実現している。

・LMIS(エルミス)

事業者が顧客に提供するサービスを適切にマネジメントし、サービスによる課題解決と継続的なカイゼンを実現するプラットフォーム。サブスクリプション形式での提供で、導入コストやランニング費用を抑えた利用を可能にしている。

・infoScoop×DigitalWorkforce(インフォスクープ デジタルワークフォース)

利用者と管理者であるIT部門の生産性とセキュリティを向上する機能を取り揃えた働き方改革のプラットフォーム。「ポータル」「シングルサインオン」「ID管理」「API管理」「セキュアブラウザ」の5つの機能を組み合わせ、安全で快適なリモートワーク環境を構築することができる。

・Growwwing(グローウィング)

LTVの最大化を実現するためのカスタマーサクセス支援サービス。同サービスが持つ低コストかつ短期で導入できる顧客データの一元管理プラットフォームを使うことで、顧客の成功体験を促進させる分析、施策、活動に必要なリソースを確保する。

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当第3四半期連結会計期間末(以下、当第3四半期末)における総資産は、前連結会計年度末(以下、前期末)と比較して1億57百万円減少し、149億78百万円となりました。これは主に現金及び預金が2億77百万円増加した一方で、受取手形、売掛金及び契約資産が2億93百万円及びソフトウェアが1億24百万円それぞれ減少したことによるものです。

 

(負債)

負債は、前期末と比較して2億69百万円減少し、35億36百万円となりました。これは主に、買掛金が1億17百万円、賞与引当金が1億2百万円それぞれ減少したことによるものです。

 

(純資産)

純資産は、前期末と比較して1億12百万円増加し、114億42百万円となりました。これは主に、利益剰余金が63百万円、譲渡制限付株式報酬制度導入に伴う自己株式の処分により自己株式が30百万円減少並びにその他有価証券評価差額金が6百万円増加したことによるものであります。利益剰余金については、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により5億77百万円増加し、配当金の支払いにより5億13百万円減少しています。

この結果、当第3四半期末における自己資本比率は76.4%(前期末は74.9%)となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は2億78百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。