売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05713 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

再生可能エネルギー市場では、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える温暖化対策の国際枠組みである「パリ協定」*1の目標達成に向けて、各国でカーボンニュートラル*2が宣言されるなど、世界的に脱炭素化の動きが広がりを見せております。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC*3)は、2035年の温室効果ガス排出量を19年比で60%削減する必要があることを示し、主要7カ国(G7)の気候・エネルギー・環境相会合も共同声明に、これに準じた内容を織り込んでおります。産業界においても、持続可能な社会の実現(SDGs*4)のため、温室効果ガス排出目標(SBT*5)・RE100など、脱炭素化に意欲的な企業が増加しており、ESG投資やグリーンファイナンスなど、脱炭素関連の投融資も活発化しております。各国で温度差を残しながらも、地球環境温暖化への強い危機感から、世界的な脱炭素化への取り組みは今後、一層加速することが期待されております。

 

日本国内においても、2050年カーボンニュートラル*2宣言のもと、30年度の温室効果ガス排出を13年度比で46%削減、更に50%削減を目指す政府目標が示されております。「第6次エネルギー基本計画」では、再生可能エネルギーを主力電源と位置付け、その導入に最優先で取り組むものとされております。政府方針等を受けて、大企業・自治体等を中心に、電力の自家消費、蓄電池の導入促進、省エネ対策の普及等が期待される中で、グリーントランスフォーメーション(GX)、カーボンプライシング等の施策が今後進む予定となっております。また、東京都では、原則として、戸建て住宅を含む新築建物に太陽光パネルの設置義務化や使用済み太陽光パネルの利活用など、再生可能エネルギー関連の投資は、今後も拡大する見通しです。

 

当社グループでは、再生可能エネルギーの中核的グローバル企業を目指す2030年グループビジョンのもと、「中期経営計画(2022-24)」はその達成に向けた助走期間としております。太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業を主軸に、①保有発電容量1GW、②年間製造目標8GWを事業目標としていますが、後者の目標については、現行の年間生産能力が5GWとなったことから、当初の事業目標より早く達成したことにより目標値の見直しを検討しております。

2023年6月期第3四半期連結累計期間においては、太陽光パネル製造事業、グリーンエネルギー事業が引き続き、連結業績を牽引しております。太陽光パネル製造販売を営むベトナムのVSUN社において、欧米市場向けのパネル販売が、想定を超えて好調に推移いたしました。利益面においても、世界的なインフレに伴う部材価格や商品輸送費等の高騰化に対する価格転嫁、コンテナ運賃の低下等を主な要因として、利益率の改善が一層顕著となりました。また、明治機械株式会社を主な対象とする持分法による投資利益、太陽光パネルの海外輸出に伴う為替差益が、営業外収益の主な発生要因となっております。

 

通期連結業績予想(2023年6月期)については、このような好調な業績推移を踏まえて、2023年5月9日付にて、当期3度目の上方修正を行っております。太陽光パネルの旺盛な需要に応えるため、従前の生産能力(2.6GW)に加え、第4工場(2.4GW)が2023 年1月より本格稼働を開始しておりますが、VSUN社は個別受注生産であり、第4工場の稼働に伴う商品出荷の態様として、生産着手から出荷までにリードタイムがあるため、その出荷分が当社の連結業績へ計上される時期として、その一部は第4四半期以降の計上を予定しております。

 

設備投資の関連では、垂直型ワンストップ体制強化のため、太陽光パネルの主要部品であるセル(N型TOPCon)を現状の外部調達から自社生産へ移行すべく、ベトナム国 フートー省にセル工場(第1フェーズ、2023年10月完成予定)を建設中です。プロジェクト全体では、年間生産能力6GW(投資額:約3億US$(394.5億円))、その内、建設中の第1フェーズは年間生産能力3GW(投資額:約1.8億US$(236.7億円))を予定し、2023年10月完成に向けて順調に建設工事が進捗しております。本投資の目的は、主要部品の内製化によるコスト削減・利益率の向上、部品調達の安定化・サプライチェーンの強化、各国の輸入規制への対応等にあります。なお、第2フェーズのプロジェクト進行については、状況が分かり次第、速やかに継続開示致します。

()MUFG「外国為替相場一覧表」(2023年2月10日9時更新)に掲載のTTM(仲値)131.50 円/US$に基づき、外貨換算しております。

 

「Abalanceグループ中期経営計画(2022-24)」については、不確実性を有する外部環境に関わらず、VSUNの業績が極めて好調に推移している状況を受けて、当該計画の最終年度に当たる2024年6月期の目標値を再上方修正しております(2023年2月24日付)。2023年10月完成予定のセル工場(フェーズ1)稼働に伴う利益率改善の影響については、合理的な将来見通しが可能となった時点で、改めて目標値の見直しを行う予定です。

 

グリーンエネルギー事業においては、太陽光発電所及び太陽光発電設備に係る物品販売を継続したほか、安定収益確保のため、発電所の自社保有化を更に推進致しました。重点施策として取り組んで参りましたストック型ビジネスモデルへの転換が功を奏し始め、安定収益としての売電収入が堅調に推移致しました。WWB株式会社、株式会社バローズは、PPA*6事業者として、ノンフィット案件の取り組みを強化すると共に、脱炭素化を志向する企業や自治体等へ積極的にソリューション提案を行い、自家消費案件、ソーラーシェアリング等を推進しております。脱炭素ニーズへの対応のため、ノンフィット案件の提携や新規事業部門(PPA*6等)を中心としたリソースの増員、電気代削減ニーズへの提案型営業の展開等も図っていく方針です。

その他事業として、2024年を目途に、太陽光パネルと同等価格で1日平均発電量の7日分以上の電力を貯蔵可能な大規模エネルギー貯蔵システムの研究開発を推進しております。

 

当社は、ソーラーシェアリングシステム*7の販売拡大、東南アジア全域を対象とした機械装置の販売拡大、光触媒活用による安全かつ衛生的な養豚・養鶏場の運営に係るシナジーを見込み、2022年2月、製粉製造設備、配合飼料製造設備の製造販売等を営む明治機械株式会社と資本業務提携契約を締結しております。2022年11月には、グループのWWB株式会社、日本光触媒センター株式会社と明治機械株式会社との間で業務提携契約を締結し、光触媒製品に係る共同マーケティングのほか、食の安心・安全を担保するシナジーが一部創出しております。当社の連結財務諸表において、第1四半期連結会計期間より、明治機械株式会社の持分法適用に伴う利益の取り込みを開始しております。

 

太陽光発電事業への投資の資金調達を目的として、第三者割当による新株式発行により、2023年1月、約14億円を調達しております。当社グループでは、2030年までに保有発電容量1GWの事業目標のもと、日本国内では毎年50MW分の発電所保有を進める計画であり、本件の調達資金は、主に高圧を軸とした太陽光発電所の開発・保有強化に充当していく予定です。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は162,693百万円(前年同四半期比194.0%増)、営業利益は9,213百万円(前年同四半期は、営業利益626百万円)、経常利益は10,364百万円(前年同四半期は、経常利益389百万円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3,764百万円(前年同四半期比428.1%増)となりました。

 

VSUN社のIPOについては、成長資金の獲得、ブランド向上、優秀な人材確保のため、ベトナム「UPCoM店頭市場」への株式上場に向け、株式上場の前提条件となるベトナム証券取引法における公開会社制度への登録完了のため、ベトナム当局へ必要書類の提出等を行い対応継続中となっておりますが、ベトナム証券市場以外の外国証券市場へのIPOにつきましても、併せて検討しております。

 

その他、脱炭素社会の実現を後押しするという主旨に賛同し、当社は「NIKKEI脱炭素プロジェクト」に参画しており、日本経済新聞(2023年1月25日朝刊36面、4月25日朝刊14面)に参画企業の紹介として、グループの事業展開等が掲載されたほか、IR専門家の執行役員を新たに起用するなど、今後もIR広報活動に一層取り組んで参ります。

 

セグメント毎の経営成績については、次の通りです。

 

1.太陽光パネル製造事業

VSUN社は、ベトナムのバクザン省、バクニン省に太陽光パネル製造の自社工場を有しております。再生可能エネルギーに関する事業をグローバルに展開する上で、自社グループのサプライチェーンに太陽光パネルの製造機能を持つことは、グループの大きな強みであり、競合他社との差別化となっております。世界的な再生可能エネルギー需要を背景に、VSUN社の受注が継続する一方で、生産能力に不足が生じ、生産能力を拡張する設備投資を実行し、2023年1月より、第4工場が本格稼働に入っております。年間生産能力は従前の2.6GWに、第4工場の2.4GWを加え、合計で5.0GW(凡そ国内年間設置容量に相当)へと拡張しております。

前記の通り、パネル製造の主要部品となるセル(N型TOPCon)を現状の外部調達から自社生産体制へ移行するため、ベトナム国 フートー省におけるセル工場建設に係る設備投資を実行しております。まず第1フェーズとして、年間生産能力3GW(投資額:約1.8億US$(236.7億円))のセル工場の建設を行い、2023年10月の完成を予定し、設備投資資金は自己資金及び借入金により充当致します。生産予定のセルは、VSUN社の太陽光パネル製造利用を想定し、サプライチェーンの垂直的な川上強化、主要部品の内製化による部品の安定供給・コスト削減を実現し、利益率の向上に大きく寄与することを企図しております。セル工場の操業度に鑑みて、将来は外部販売による売上増を見据え、セル市場動向に関するグローバルマーケティングも継続して実施して参ります。

()MUFG「外国為替相場一覧表」(2023年2月10日9時更新)に掲載のTTM(仲値)131.50円/US$に基づき、外貨換算しております。

 

 

VSUN社は日系資本の世界的な太陽光パネルメーカーに成長し、「Tier1リスト」(Bloomberg社)に掲載されるなど、生産能力は日系パネルメーカー首位にあるものと認識しております。VSUN社は、日本の生産・品質管理の手法・体制を取り入れながら、これまで欧州向けの産業用・家庭用太陽光パネル販売で事業を拡大させてきました。近年は、米国向けのパネル販売が急速に伸長しており、欧米向けのパネル販売で、VSUN社の売上高の8割以上を占めております。その他、南米、アフリカ、アジア地域からの受注も獲得しております。利益面においては、当第2四半期に続き、世界的なインフレに対応した価格転嫁の推進、コンテナ運賃の低下、生産体制の効率化等を主な要因として、利益率が大きく改善しております。また、中国の春節・ベトナムのテト(旧正月/祝日)に伴う工場操業度の低下を回避するため、サプライヤー協力や生産スケジュールの事前調整等により、工場稼働・出荷体制の維持を図りました。

 

また、VSUN社は、2023年3月に、第4工場の設備資金(融資額:10百万US$)として、グリーンローンによる資金調達を行っております。本件は、国内外のグリーンプロジェクトに要する資金調達に用いられる融資で、グリーンローン原則に準拠したフレームワークを作成の上、格付機関よりグリーンローン原則や関連ガイドライン等に適合している旨のセカンドオピニオンを取得しております。当社グループは、VSUN社において生産された太陽光パネルの総発電容量によるCO2排出削減量を年次報告する予定です。

 

VSUN社は、サプライチェーンを主体とするCSR、サステナビリティの世界的な評価機関であるEcoVadis(エコバディス、本社:フランス)の評価において、世界中の 75,000 以上の参加企業の中で64位にランクされ、前年度に続き、Bronze Medalを受賞しました。EcoVadisは、グローバルサプライチェーンを主体とする企業のCSR活動、サステナビリティを環境、労働と人権、倫理、及び持続可能な資材調達の4分野で包括的な評価を行う世界的な第三者機関であり、同社は2007年の設立以来、世界160か国、200業種、75,000社以上が登録する情報共有プラットフォームを通じた多数の評価実績を有します。本評価を受けたサプライチェーンには特段のリスクがないことの社会的な評価を得られ、アメリカや欧州を始め、日本国内でも購買部門におけるサプライヤー契約リスク管理のため、同社の評価が広く活用されております。本件の受賞は、太陽光パネルの企画設計から仕入、各工程における製造、製品検査等の一連のデュープロセスや事業実績が高く評価された証左と認識しております。また、太陽光モジュールの信頼性・性能試験機関のPV Evolution Labs(PVEL)より、モジュールの信頼性に関する調査結果を纏めた報告書「PV モジュール信頼性スコアカード」(2022 年度版)におきましても、前年度に続き、「トップパフォーマー(Top Performer)」の一社に認定されております。

 

以上の結果、売上高156,177百万円(前年同四半期比215.0%増)、セグメント利益8,927百万円(前年同四半期は、セグメント利益429百万円)となりました。

 

2.グリーンエネルギー事業

当社グループでは、WWB株式会社、株式会社バローズを主体として、低圧発電所を中心とした太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS、産業用及び住宅用の蓄電池等の太陽光発電設備に係る主に産業用の物品販売をフロー型のビジネスとして行いつつ、近年では、売電収入を原資とする安定収益確保のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型のビジネスモデルを推進しております。PPA*6事業者として、ノンフィット案件への取り組みのほか、太陽光発電所を保有する企業や物件仕入・施工管理の強化等を目的としたM&Aを積極的に推進しております。グループのWWB株式会社は、株式会社フレックスホールディングスの全株式取得により、茨城県内の6箇所の太陽光発電所(発電出力7.9MW、年間予定発電量9,045MWhでCO2削減量約3,500トン)を取得しております(2023年1月)。これらの発電所は、FIT価格32円/kWh(税別)~36円kWh(税別)、取得後の残存期間は約12~14年間の売電が可能であり、高利回りの売電収入が見込まれる良質の太陽光発電所であります(初年度売電収入予測額:約3億5千万円)。その後のアフターFIT期間も再生可能エネルギーを必要とする企業等への売電を計画しております。

 

また、WWB株式会社、株式会社バローズは、脱炭素化を推進している企業、団体、自治体等を対象に積極的な提案を行い、新規事業として自家消費案件、ソーラーシェアリング、ソーラーカーポート事業等を推進しております。稼働案件については、角田市太陽光発電所(宮城県)を始め、大波太陽光発電所(福島県)、花畑太陽光発電所(群馬県)、長嶺ソーラーファーム(宮崎県)、能登町太陽光発電所(石川県)、邑智郡太陽光発電所(島根県)、宮之浦太陽光発電所(鹿児島県)等から売電収入を収受しております。発電所の自社開発については、大和町・大衡村太陽光発電所(宮城県)、神栖太陽光発電所(茨城県)、宮崎市案件、風力案件(陸上/小型)等について、計画的に開発・建設を推進し、神栖太陽光発電所については稼働を開始しております。O&M収入も安定収益源として定着し、WWB株式会社の実績に加え、株式会社バローズエンジニアリングにて、落雷対策に効果のあるアース線配線、施設内カメラの設置によるセキュリティの確保、RPAシステムを通じた異常点探知等のシステム完備により、本事業を引き続き推進しております。その他、脱炭素化への目標設定(SBT*5、RE100)など、企業の脱炭素経営の活発化や自治体等の再エネ導入への意欲から、脱炭素化に対するソリューションの企画・提案力の強化、ノンフィット申請や営農型太陽光発電案件等の積極的な推進を図っております。

 

 

WWB株式会社は、系統蓄電池の設置・運用において、国内有数の大手発電事業者、建設会社、重電システムメーカーと協業し、設計・調達・施工・試験調整、電力市場取引システムによる需給運用を新規事業として行います。系統用蓄電池の導入は、電力需給変動の調整力を提供することで、国内における再エネの有効活用、普及促進等の社会的意義がありますが、本事業の推進に当たっては、経済産業省資源エネルギー庁の「令和 4 年度補正 再生可能エネルギー導入拡大に資する分散型エネルギーリソース導入支援事業費補助金(系統用蓄電システム・水電解装置導入支援事業)」における補助金交付が2023年4月20日付で決定されております。

 

海外事業では、ベトナム、カンボジア、インドネシア、スリランカ、台湾等のアジアその他における旺盛な電力需要に対して、現地企業・総合商社との合弁等により事業参画しております。また、WWB株式会社は、ホテル三日月グループ様が運営されている、複合型リゾート「ダナン三日月ジャパニーズリゾート&スパ / Da Nang Mikazuki Japanese Resorts & Spa」に、設備容量約1MW相当(年間想定電力量:1,530.78MWh)の屋根設置型 太陽光発電設備のEPC事業を担い、グランドオープン以降、電力供給が開始されております。当該設備にはVSUN社製造の太陽光パネルが搭載され、ホテル、スパ施設の約35%に相当する電力供給を想定し、本事業を推進しております。

 

ファイナンス面については、脱炭素化への取り組み、グリーンエネルギー事業の実績が評価され、脱炭素化への貢献度に応じて、金利スプレッドが調整されるサステナビリティ・リンク・ローン契約の締結により、2022年9月、WWB株式会社は運転資金4億円を調達しております。当社グループでは、サステナビリティの推進に資する脱炭素経営の実践により、「安心・安全」でクリーンなエネルギー供給を通じ、今後もサステナビリティ、ESGに係るグリーンファイナンス関連のローン組成に積極的に取り組んで参ります。

 

以上の結果、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販3,786百万円、売電及びO&M収入2,352百万円、その他88百万円を計上し、売上高6,228百万円(前年同四半期比11.7%増)、セグメント利益881百万円(前年同四半期比30.6%増)となりました。

 

その他、気候変動等の環境問題対策や脱炭素社会の推進は社会的な使命であるとの認識に立ち、一般社団法人 炭素会計アドバイザー協会の目的・姿勢に強く賛同し、その普及・発展に貢献したいとの思いから、今般、特別賛助会員としてご承認いただき、入会しております。

 

3.光触媒事業

光触媒事業については、商品の知名度や商品性・品質は評価されましたが、事業収益化するまでに一定期間を必要とし、コロナ禍の一時的な落ち着きが見られた状況等を受けた結果、売上高29百万円(前年同四半期比58.3%減)、セグメント損失31百万円(前年同四半期は、セグメント損失1百万円)となりました。

前記の通り、2022年11月に当社の連結対象子会社であるWWB株式会社及び日本光触媒センター株式会社と明治機械株式会社との間で業務提携契約を締結しており、今後も両社グループの強みを発揮できるシナジーの創出・連携営業を拡大し、食に関わるすべての顧客に付加価値の高い提案を続けて参ります。

 

4.IT事業

企業によるDX投資、5Gサービス、クラウドを活用したSaaSがIT市場で注目されており、IoTの浸透によって収集したビッグデータをAIで解析のうえ、業務効率・予測精度を向上させ、単純作業の効率化や人間への提案に転化するなど、新たな事業機会が創出されております。このような市場環境のなか、グループのAbit株式会社では、ナレッジ(情報・知識・経験)の共有や業務プロセスの再構築による労働生産性の向上を目的とした自社製品「KnowledgeMarket®」、MicrosoftパートナーとしてMicrosoft365を活用したDX支援サービス、その他RPA製品を活用した効率化・省力化サービス等を実施致しました。

 

グループの株式会社デジサインでは、強みであるデータセキュリティ技術を活かしたシステム開発や企業のデジタル化/DX支援を進める中、契約書作成~締結~管理まで契約業務をオンライン化し、紙依存・印紙代など様々な契約業務課題を解決するワンストップ電子契約ソリューション「e-Digi Sign」をリリースしております。各種プロフェッショナル人材の紹介サービス、データセキュリティを啓発するためのオウンドメディア「情報資産管理マガジン」、セキュリティ系商材を中心としたECサイト「Johoいっちば」などの運営と合わせ、今後もビジネスニーズとのマッチング創出を通じ、多くのソリューションを展開/提供していけるよう推進して参ります。

 

以上の結果、売上高485百万円(前年同四半期は、売上高40百万円)、セグメント利益17百万円(前年同四半期比214.8%増)となりました。

 

(文中注釈)

*1 京都議定書(1997年、COP3)に代わる地球温暖化対策の国際ルールとして、「パリ協定」(2015年、COP21)において、産業革命前からの気温上昇を2度より十分低く保つと共に、1.5度以内の努力目標を掲げている。

 

*2 カーボンニュートラルとは、地球全体の温室効果ガスの排出量と、地球全体の森林等による吸収等の量をイコールとすることによって、さらなる地球温暖化を防止していくことをいう。世界各国でカーボンニュートラルが宣言されるなか、日本政府は2020年10月、積極的な温暖化対策が産業構造や経済社会の変革をもたらし、大きな成長に繋がるとして、2050年カーボンニュートラルを宣言した。

*3 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)とは、気候変動に関連する科学的評価を担当する国連機関をいう。気候変動に関する科学的評価を定期的に提供するために設置され、国連やWMOの加盟国が参加している。

*4 SDGsとは、2015 年国連にて全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」であり、2030年を目標年度とする国際的な共通目標をいう。持続可能な世界を実現するための17のゴール・169のターゲットから構成される。

*5 SBTとは、パリ協定が求める水準と整合した、企業の温室効果ガス排出削減目標をいう。

*6 PPAとは、太陽光発電事業者が太陽光発電所を開設し、脱炭素化を企図した再生可能エネルギーの電気を購入したい需要家と電力購入契約(Power Purchase Agreement : PPA)を結んで発電した電気を供給する仕組み。

*7 ソーラーシェアリングシステムとは、ソーラーシェアリングを前提とした太陽光発電設備のことをいう。ソーラーシェアリングとは、営農型太陽光発電をいい、農地に支柱を立てて上部空間に太陽光発電設備を設置し、太陽光を農業生産と発電とで共有する取り組みをいう。

 

(社会・環境課題に関する近年の取り組み)

当社グループは、持続可能な開発目標(SDGs)との関連では、「安全・安心」でクリーンなエネルギーを提供し続けることを通じて、SDG7(エネルギーをみんなにそしてクリーンに)、SDG11(住み続けられるまちづくりを)、SDG13(気候変動に具体的な対策を)を中心にコミットしております。また、光触媒事業等のヘルスケア関連の事業において、SDG3(すべての人に健康と福祉を)についても積極的に取り組んでおります。

また、当社グループは、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明すると共に、同提言に賛同する企業や金融機関等から構成されるTCFDコンソーシアムに参画しております。

 

■  再生可能エネルギーに係る事業実績(VSUN社の太陽光パネル製造事業、WWB株式会社、株式会社バローズによるグリーンエネルギー事業)。

■  台風による各地の被災・停電等の発生を受けて、折り畳み式軽量のポータブルバッテリー「楽でんくん」をリリース(WWB株式会社が自社開発。熊本県人吉市、宮崎県えびの市、小林市、宮城県角田市、大衡村等へ寄贈)。

■  次世代エネルギーを担うと期待される水素を活用したエネルギー貯蔵システムの開発(バーディフュエルセルズ合同会社)。

■  太陽光パネルの廃棄問題に対する貢献、資源の有効活用のため、リサイクル・リユース事業に着手(PV Repower株式会社)。

■  福島第一原発事故の発生時に寄贈協力を行った三一重工製、大型コンクリートポンプ車(大キリン)に係る交換部品の無償提供、技術協力を実施。近年では、東南アジアへの日本ODA事業におけるインフラ整備への貢献として、コロナ禍においても海外への建設機械投入及びメンテナンス等を継続(WWB株式会社/建機事業)。

■  港湾地域において、脱炭素化に向けた先導的な取り組みに対して、EV港湾荷役機械等の供給により貢献(WWB株式会社/建機事業)。

■  サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット(SPTs)への達成度に応じて金利スプレッドが調整されるSDGsリーダーズローン契約締結。金融機関と共同で営む活動として、発行額の一部が地域の学校、医療機関、環境保護団体等へ寄付される仕組みのSDGs私募債、CSR私募債を発行。

■  光触媒の塗布により殺菌・防虫効果のある、発電するビニールハウス「Maxar® EneZone」等の開発による営農と食の安心・安全確保への貢献(WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社)。

■  社外役員として、SDGsの専門家を登用(研究論文、教育研修等多数)。

■  気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言賛同、及びTCFDコンソーシアムへの参画。

■  SDGs関連の団体加盟として、(外務省) JAPAN SDGs Action Platform、(内閣府)地方創生SDGs官民連携プラットフォーム、(JCLP)日本気候リーダーズ・パートナーシップ賛助会員、炭素会計アドバイザー協会 特別賛助会員ほか。

■  啓蒙活動として、長野県及び神奈川県内の中・高校生、都内私立中学校の生徒へのSDGs研修の実施。社会・環境活動イベントへの支援・技術協賛(Peace On Earth、Earth Day等)。

 

(2) 財政状態に関する説明

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における流動資産は91,669百万円となり、前連結会計年度末に比べ34,218百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が14,774百万円増加、商品及び製品が17,381百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は36,990百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,330百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が5,645百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、128,702百万円となり、前連結会計年度末に比べ43,581百万円増加いたしました。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における流動負債は89,427百万円となり、前連結会計年度末に比べ31,706百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が14,155百万円増加、契約負債が13,013百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は20,412百万円となり、前連結会計年度末に比べ959百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が1,004百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、109,840百万円となり、前連結会計年度末に比べ32,666百万円増加いたしました。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は18,862百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,915百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益を3,764百万円計上、及び非支配株主に帰属する四半期純利益を4,981百万円計上したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は8.5%(前連結会計年度末は6.9%)となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

該当事項はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は52百万円であります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

再生可能エネルギー業界においては、固定価格買取制度(FIT)の見直しが続いていますが、国内エネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源としての役割が期待され、脱炭素化への取り組みを強化する国の方向性が示されていることから、事業分野として今度も拡大していくものと考えられます。当社グループが推進するグリーンエネルギー事業は、ESG投資への関心の高まりや世界的潮流となっているSDGsの趣旨に沿った事業であります。今後も、自社保有に基づく安定収益を確保する収益構造の転換を進め、上場企業としての持続的成長を図っていく方針です。