売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05713 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

(1) 経営成績に関する説明

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、社会経済活動の回復が進み、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、エネルギー・資源価格の高止まり、円安基調の長期化、中国経済の低調に加えて、ウクライナ及び中東情勢の地政学リスクなど、先行きは依然として不透明な状況が続いています。

再生可能エネルギー市場の事業環境については、国内では、日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言の下、2030年度に温室効果ガス排出を2013年度比46%削減するとの目標が設定されています。国際的には、昨年開催された国連気候変動枠組条約(COP28)及び米国のインフレ抑制法による気候変動対応など、脱炭素化社会の実現への取り組みは、一層進展することが見込まれています。

このような経営環境の下、当社グループは、「再生可能エネルギーの中核的グローバル企業」(2030年グループが目指す姿)の実現に向けて、「Abalanceグループ中期経営計画(2024-26)」を加速期間と位置づけ、太陽光パネル製造事業とグリーンエネルギー事業を成長ドライバーとして、中長期的な企業価値の向上に取り組んでいます。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は155,626百万円(前年同四半期比4.3%減)、営業利益は14,040百万円(前年同四半期比52.4%増)、経常利益は14,482百万円(前年同四半期比39.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5,469百万円(前年同四半期比45.3%増)となりました。

 

太陽光パネル製造事業は、ベトナムのVietnam Sunergy Joint Stock Company(以下「VSUN」という。)及びVietnam Sunergy Cell Company(以下「Cell Company」という。)が連携し、太陽光セル及びウエハの内製化などグローバル・サプライチェーンの強化に取り組んでいます。また、ベトナムのVSUNが得た収益は、親会社であるWWB株式会社に配当し、グループ内で資金の有効活用を図っております。なお、当第3四半期においては当該配当は19.6億円でございます。

グリーンエネルギー事業は、太陽光発電所及び関連設備の物品販売(フロー型ビジネス)を継続するとともに、太陽光発電所の自社保有化(ストック型ビジネス)を展開することにより、事業基盤の強化に取り組んでいます。

 

セグメント毎の経営成績については、次の通りです。

 

1.太陽光パネル製造事業

第3四半期連結累計期間においては、売上高148,651百万円(前年同四半期比4.8%減)、セグメント利益13,978百万円(前年同四半期比56.6%増)となりました。

売上高は、太陽光パネルのグローバルな供給過剰を受け市場価格が軟調に推移し、販売単価が下落したことから減収となりましたが、セグメント利益は、セル内製化などの生産性向上が利益率改善に大きく貢献し、増益となりました。

VSUNは、日本の生産・品質管理体制を採用し、米国・欧州向けの産業用及び家庭用太陽光パネル製造販売により事業基盤を拡大しています。Cell Companyは、競合他社との品質差別化を図るべく、2023年10月より高性能なN型TOPConの製造(第1フェーズ、4GW/年)を開始しています。

また、OCI社(韓国)からのポリシリコン調達契約の締結に加え、セル製造の上流工程であるウエハ製造を開始(2024年4月、4GW/年)するなど、競争力あるサプライチェーンの構築に取り組むとともに、インド及び米国向けにセルの外販契約を締結し、グローバル市場でのセル・サプライヤーとしてのプレゼンス向上にも取り組んでいます。今後も、安定的な成長が見込まれるグローバル市場での競争優位性の構築を図り、更なる太陽光パネル製造事業の成長に取り組んでまいります。

 

 

2.グリーンエネルギー事業

第3四半期連結累計期間においては、太陽光発電所の販売及び部材に係る物販3,307百万円、売電及びO&M収入3,041百万円、その他7百万円を計上し、売上高6,357百万円(前年同四半期比2.1%増)、セグメント利益885百万円(前年同四半期比0.4%増)となりました。

当社グループでは、WWB株式会社、株式会社バローズを主体に、太陽光発電所の販売のほか、太陽光パネル、PCS(パワーコンディショナ)、産業用及び住宅用蓄電池等の太陽光発電設備に係る物品販売をフロー型ビジネスとして行いつつ、重点施策として、売電収入を原資とする安定収入体制の構築のため、完工後も発電所を継続して保有するストック型ビジネスを推進しています。ストック型ビジネス体制を加速するため、太陽光発電所の一括的な取得を目的とするM&Aを積極的に推進するとともに、SPC(特別目的会社)を利用した案件保有などの検討も開始しています。北海道地区においては、電力需要の高い時間帯や停電時などに備えて、安定的な電力供給を可能とする系統蓄電池事業に参入しました。また、グローバル事業においては、ベトナムにて日系企業と20年間のPPA(電力購

入契約)の締結が完了し、売電開始の取組を進めることにより、事業基盤の拡充に取り組んでいます。

 

3.IT事業

第3四半期連結累計期間においては、売上高450百万円(前年同四半期比7.1%減)、セグメント利益27百万円(前年同四半期比58.4%増)となりました。

当社グループでは、株式会社デジサインを主体に、様々な業界のビジネス課題へのコンサルティング・DX支援から、電子認証・セキュリティ技術などの強味を活かした業務系システム開発~保守まで、幅広いニーズに対応する技術ソリューション提供を推進しております。

また、ナレッジ共有~業務プロセス再構築を通じて生産性向上・組織力強化を実現するAbit株式会社製品「KnowledgeMarket」、インボイス制度・電子帳簿保存法等に対応して取引文書配信~ライフサイクル管理を行う株式会社FORTHINK製品「e-Digi DataSharing」、契約書作成~締結~管理まで契約業務のワンストップ電子契約サービス「e-Digi Sign」、Microsoft 365など、パッケージ製品を活用したQCDバランスの高いソリューション提供も併せて推進しております。

 

4.光触媒事業

第3四半期連結累計期間においては、売上高27百万円(前年同四半期比8.0%減)、セグメント利益0百万円(前年同四半期は、セグメント損失31百万円)となりました。

光触媒事業おいて、商品の知名度や商品特性・品質が評価されており、WWB株式会社、日本光触媒センター株式会社と明治機械株式会社との間で業務提携契約締結を契機に、各社の強みを生かしたシナジーの創出と連携営業の拡大を図っています。食と衛生に関わる顧客に対して付加価値の高い提案を行った結果、新たに明治機械株式会社を通じて全農(JA)グループ会社へのブロッキン販売を実現しました。また、足元では、大手食品スーパーに対して除カビ・防カビ施工を請負う光触媒事業を確立するなど事業の多角化に取り組んでいます。さらに、佐賀県における次世代ものづくり投資促進事業による設備導入も完了し、弊社グループの水素事業とのシナジー効果を生む研究開発を開始しました。引き続き、事業基盤の構築及び収益の安定化に取り組んでまいります。 

 

 

(2) 財政状態に関する説明

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における流動資産は87,211百万円となり、前連結会計年度末に比べ12,837百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が4,865百万円増加、商品及び製品が19,407百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は60,587百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,986百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が16,272百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は147,859百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,167百万円増加いたしました。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における流動負債は90,460百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,895百万円減少いたしました。これは主に短期借入金が3,770百万円減少、契約負債が13,101百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は24,770百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,207百万円増加いたしました。これは主に長期割賦未払金が4,019百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は115,231百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,688百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は32,627百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,856百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する四半期純利益を5,469百万円計上、及び非支配株主に帰属する四半期純利益を6,991百万円計上したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は12.4%(前連結会計年度末は8.8%)となりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

該当事項はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は269百万円であります。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

再生可能エネルギー業界においては、固定価格買取制度(FIT)の見直しが続いていますが、国内エネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源としての役割が期待され、脱炭素化への取り組みを強化する国の方向性が示されていることから、事業分野として今度も拡大していくものと考えられます。当社グループが推進するグリーンエネルギー事業は、ESG投資への関心の高まりや世界的潮流となっているSDGsの趣旨に沿った事業であります。今後も、自社保有に基づく安定収益を確保する収益構造の転換を進め、上場企業としての持続的成長を図っていく方針です。