株式会社テラスカイ

ブランドなど:セールスフォース(Salesforce)AWS
情報・通信業システムプライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31453 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、ロシアのウクライナ侵攻の長期化に伴う資源高の影響や、世界的な金融引き締めに伴う海外景気の下振れなどもあり、国内外における経済的な見通しは不透明な状況が続いております。そのような状況下でも、国内企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注1)市場におきましても業界を問わず強いニーズが継続しております。

 クラウドサービスの中でも、当社グループが主力分野としている米国Salesforce.com(注2)は11月30日に8~10月期決算(第3四半期)を発表し、売上高は予想範囲内だったものの1株利益は予想を上回っております。重要な指標である進行中の残存履行義務も予想を上回っています。同社は物言う株主から利益を拡大するよう圧力を受けていましたが、それに伴って実施したコスト削減策が奏功しております。ウィーバーCFOは声明で「この1年で会社を変革し、第4四半期も力強い利益拡大を実現することができた」と述べております。

 米Amazonは、2023年10月26日に、第3四半期(2023年7~9月)決算を発表。クラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービシズ(AWS)(注3)の売上高は前年比12%増の230億5900万ドルと、成長率は鈍化したものの好調でした。営業利益はコスト削減努力により、30%増としております。(ITmedia)

 GCP(注4)に関して、Googleの持株会社である米Alphabetは10月25日、2023年度第3四半期(7~9月)の決算を発表しました。AIツールを含むGoogle Cloudの売上高は前年同期比22.5%増の84億1000万ドル(約1兆2600億円)で、アナリストが予想した86億2000万ドル(約1兆2900億円)を下回り、2021年第1四半期以降で最低の成長率となりました。クラウド部門の営業利益は2億6600万ドル(約398億円)でしたが、前年同期は4億4000万ドル(約660億円)だったとのこと。

 

 このように、当社が取り扱う米国パブリック・クラウドサービス大手の業績は好調を維持、国内市場でも引き続き企業のDXに伴うクラウド導入需要は旺盛であります。当社グループにおいては、クラウドのリーディングカンパニーとして、国内屈指のSalesforce認定技術者育成、クラウド導入のコンサルティング、カスタマイズ、インテグレーションまで、SalesforceのSFA、CRMといった中核(コア)領域での実績を積み重ねているとともに、中期経営計画に基づき、更なる人的資本への投資の加速、新会社の事業立ち上げによるMarketing Automation、エンジニア派遣、AI、分析、データ連携、MSPといったコア周辺領域への事業拡大を進めております。

 当社の第3四半期におきましては、9月12日~14日に米国サンフランシスコにて行われたSalesforce.com社の年次カンファレンス「Dreamforce 2023」にブースを出展、当社グループから70人と日本からは最多人数で参加し、最新の技術動向の把握と新規顧客開拓を行っております。

 また10月4日には、ANAインターコンチネンタルホテル東京にて当社グループの最大年次イベント「TerraSkyDay 2023」を開催し、約3,000名に登録いただきました。多くの来場者を迎えて参加者を迎えて当社の現状と今後についてのプレゼンテーション・セッションを行い、新たなビジネスチャンスにつなげております。

 2023年11月28日~29日には、Salesforce.com社主催の国内最大イベント「Salesforce World Tour Tokyo2023」にGoldスポンサーとして出展しております。

 2023年9月より提供を開始した、Salesforce連携で財務会計から人事給与、販売・購買・在庫管理までの業務を統合する新クラウドサービス「mitoco ERP」の認知拡大を狙ったプロモーション動画の制作・タクシー内での動画広告の出稿を行っております。

 第3四半期におきましては、売上は堅調に増加したものの、上記のマーケティングコストを相応に支出して次期以降の事業拡大の準備をする四半期となる関係上、利益の積み上げは限定的となっております。

 一方、連結子会社である株式会社BeeXは、SAP(注5)のクラウドマイグレーションビジネス(注6)を加速させて、業績を拡大しております。連結子会社である株式会社テラスカイ・テクノロジーズも、Salesforceエンジニアの派遣人数を伸ばしております。

 

 これらの結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高13,890,118千円(前年同期比21.8%増)、営業利益279,541千円(前年同期比39.4%減)、経常利益379,614千円(前年同期比18.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益114,912千円(前年同期比50.3%減)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

① ソリューション事業

 当第3四半期連結累計期間におけるソリューション事業の売上高は、Salesforceの導入開発に加えて、AWS、GCP関連の子会社売上も堅調に増加したことから12,798,897千円(前年同期比24.3%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、グループ全体で100名弱の新卒採用行ったことで、未稼働人員のコストが増加したこと、イベント参加の支出が行われたこと、量子コンピュータ(注7)関連の研究開発を行う株式会社Quemix、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)に積極的に投資を行いながらも、1,464,113千円(前年同期比9.0%増)となりました。

 

② 製品事業

 当第3四半期連結累計期間における製品事業は、引き続き「DataSpider Cloud」、「SkyVisualEditor」及び「mitoco(ミトコ)」の契約はいずれも堅調で、各製品でサブスクリプション売上が増加しているものの、初期導入開発売上が減少したこと等により、売上高は1,233,562千円(前年同期比0.1%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、引き続き「mitoco」の新機能開発へ積極投資していることによるコスト増や大型イベントへの参加、mitocoのタクシー内動画広告制作・出稿を行ったこと等で、147,388千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)99,531千円)となりました。

 

 

当第3四半期連結累計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

2023年3月

・「mitoco Work 経費」バージョン2.0をリリースしました。電子帳簿保存法への対応の他、経費精算を効率よく行うための機能改善を多く実施しました。

・「mitoco Work 勤怠」バージョン2.0をリリースしました。時間外労働時間の超過状況の確認画面や、年休の取得義務の確認画面など、社員の労務管理を担当する方にご利用いただける機能を新たに追加いたしました。

2023年4月

・連結子会社である株式会社テラスカイ・テクノロジーズ(本社:東京都中央区)がAWS専門の人材を派遣する「AWS事業推進部」を新設。2026年度には、人員100名体制まで増強し、売上高10億円を目指してまいります。

・Salesforce Japan Partner Award 2023におけるカスタマーサクセス部門「Best Reviewed Partner of the Year」を受賞しました。受賞理由は、いずれのアプリにおいてもAppExchangeサイトで多くのレビューを収集し、かつ、ユーザーから高い評価を得ていることによるものです。

・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2023 Spring」において、Salesforce拡張機能部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、4回連続となります。

2023年5月

・サテライトオフィス新設に向け、2023年5月16日に、秋田県及び秋田市と立地協定を締結いたしました。本締結により秋田市内にサテライトオフィスを新設、2024年3月にはクラウドサービスの導入支援・開発を主体としたクラウドインテグレーション事業を開始予定です。

2023年6月

・組織内の問い合わせ対応を自動化するチャットボット「mitocoアシスタント(ミトコアシスタント)」に、ChatGPTに対応した新機能「FAQ自動生成機能」を標準搭載し提供を開始しました。

・Flosum Corporation. (本社:米国 カリフォルニア州)と、同社製品の日本国内における独占販売契約を締結しました。同社製品は、Salesforce上のリリース管理を効率化し、DXに欠かせないCI(継続的インテグレーション)/CD(継続的デプロイ)を可能にします。国内では株式会社カインズ、株式会社ジェーシービー、富士通フロンテック株式会社など、Salesforceの活用や内製化を推進する企業に採用されています。

・テラスカイ社員が秋田県立大学、秋田情報ビジネス専門学校及び秋田工業高等専門学校にて、「ITのトレンドと、クラウドコンピューティングの世界」をテーマに、IT業界分析やクラウドコンピューティングやCRMの利点などについて約100名の学生を対象に講義を行いました。

 

2023年7月

・国内でサービスをするFujitsu GLOVIA OMにおいて、2024年1月から電子帳簿保存法の義務化にともなう対応機能の提供を開始しました。

・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2023 Summer」において、チャットボットツール部門 で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。mitocoの受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、5回連続となります。

・株式会社テクノスジャパン(本社:東京都新宿区)と資本業務提携契約を締結いたしました。本提携により、テクノスジャパンが提供する企業間協調プラットフォーム「CBP」とテラスカイの「mitoco」、「Fujitsu GLOVIA OM」を"つなげる"ことで価値を高めたERP総合ソリューションの提供を開始いたします。また北米市場を中心に、製品・連携ソリューションの共同販売を開始します。

2023年8月

・連結子会社である株式会社Cuon(本社:東京都中央区)が、「OpenAI API」を介して、企業が生成AIをセキュアに、かつ独自のデータを活用できる「生成AI 導入支援サービス」の提供を開始しました。株式会社Cuonは、生成AIの導入コンサルティング・開発・運用保守までを一貫してサポートし、確実な早期展開を実現いたします。

2023年9月

・クラウド型データ連携サービス「mitoco X(ミトコエックス)Powered by DataSpider Cloud」(以下、「mitoco X」)の提供開始を発表しました。「mitoco X」は株式会社セゾン情報システムズの「DataSpider Cloud」をテラスカイの自社サービスとしてリリースするもので、ノンプログラミングで自由にデータ連携処理を作ることができるサービスを、クラウド環境で利用できる点が最大の特徴です。「DataSpider Cloud」と同等の機能をベースに、お客様のご要望に応じた機能追加、改善などの製品投資を継続して行っていく予定です。

・Salesforceで財務会計から人事給与、販売・購買・在庫管理までの業務を統合し、戦略的営業活動と迅速な経営判断を可能にする新クラウドサービス「mitoco ERP」を2023年9月29日より提供開始しました。テラスカイが長年にわたり培ってきたSalesforceの知見を活かし、Salesforce上で稼働する財務会計、人事給与サービスを新たに構築します。

2023年10月

・連結子会社である株式会社Quemix(本社:東京都中央区)は、2023年9月13日に特許を取得した量子優位性を示す材料計算(量子化学計算)アルゴリズム「PITE」を応用し、量子アニーリングを活用して結晶構造予測を行う新手法を、量子アニーリングの提唱者である西森秀稔教授と共同で発表しました。

・グループウェアmitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社主催の「ITreview Grid Award 2023 Fall」において、チャットボットツール部門で最高位である「Leader」、グループウェア部門で「High Performer」を受賞いたしました。チャットボットツール部門での受賞は前回に続いて2回目、グループウェア部門での受賞は「ITreview Grid Award 2022 Summer」以来、6回連続となります。

・連結子会社である株式会社テラスカイ・テクノロジーズが、「AWS人材派遣サービス」を開始しました。

 

※用語解説

(注1)クラウド

クラウドコンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。

(注2)Salesforce.com社

米国サンフランシスコを本社とするCRM(顧客関係管理)ソフトウェアで世界最大企業。クラウドベースのSalesforce製品は、日本郵政グループやトヨタ自動車などの国内大手の企業のみならず、中堅・中小企業まであらゆる業種・規模のSFA(営業支援)、CRM(顧客管理)、カスタマーサポートに利用されている。

(注3)AWS

「Amazon Web Services」の略語。米国Amazon社が企業を対象にウェブサービスという形態でITインフラストラクチャのサービス(IaaS)を提供する。クラウドの拡張性ある低コストのインフラストラクチャプラットフォームであり、世界190ヵ国の数十万に及ぶビジネスを駆動している。

(注4)GCP

Google Cloud Platform(GCP)とは、Googleが提供しているクラウドコンピューティングサービス。クラウド全体における世界的シェア3位。

(注5)SAP

SAPは主にビジネス向けソフトウェアの開発を手掛ける大手ソフトウェア企業で、売上高はマイクロソフト、オラクル、IBMに続いて世界第4位である。特に大企業向けのエンタープライズソフトウェア市場で圧倒的なシェアを有し、企業の基幹システムであるERP分野で世界一である。

(注6)クラウドマイグレーションビジネス

サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。

(注7)量子コンピュータ

量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピュータでは容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができるコンピュータであり、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の大きく2つに分類される。量子ゲート方式は、従来型のコンピュータの上位互換としての期待が高く、グーグルやIBMなどの大手ITベンダーやスタートアップがハードウェアの開発を進めている。量子アニーリング方式は、組み合わせ最適化問題を解くことに特化している。

(2)財政状態に関する説明

(流動資産)

 当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より116,411千円減少し、9,917,839千円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産の増加477,925千円に対して、現金及び預金の減少511,947千円及び前払費用の減少89,959千円があったことによるものであります。

(固定資産)

 当第3四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より1,619,551千円増加し、7,108,480千円となりました。これは主に、投資有価証券の増加1,334,149千円によるものであります。

(流動負債)

 当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より195,733千円増加し、3,842,087千円となりました。これは主に、買掛金の増加212,529千円があったことによるものであります。

(固定負債)

 当第3四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より322,982千円増加し、1,267,769千円となりました。これは主に、繰延税金負債の増加346,984千円があったことによるものであります。

(純資産)

 当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より984,423千円増加し、11,916,463千円となりました。これは主に利益剰余金の増加114,912千円及びその他有価証券評価差額金の増加786,269千円があったことによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、85,236千円であります。