株式会社テラスカイ

ブランドなど:セールスフォース(Salesforce)AWS
情報・通信業システムプライムTOPIX Small 2

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31453 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、記録的な円安による物価の上昇の影響が懸念され、引き続き先行き不透明な状況が続いております。このような物価上昇等のIT投資抑制要因となり得る要素はあるものの、「2025年の崖」(注1)が迫る状況下、国内企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、企業の情報化投資は当面堅調に推移するものと見込まれており、当社グループが事業を行うクラウド(注2)関連市場におきましても非常に強いニーズが継続しております。

 クラウド関連市場のニーズの高まりに対し、当社グループが主力事業を行うセールスフォース関連市場では、質の高いサービスの提供が出来る人材の確保や育成、再教育(リスキリング)が重要と考えており、継続して積極的な採用、独自のエンジニア育成に取り組んでおり、質量共に業界トップクラスの認定資格者を有しております。これによって、開発案件を継続的に受注、対応することを可能にしております。

 このように当社グループは、成長するクラウド導入市場でのリーダー・ポジションでの事業展開により、安定的な高成長を継続しておりますが、更なる事業の拡大を目指して、2024年4月12日株式会社NTTデータとの資本業務提携を発表しております。同提携の目的は主に下記の4点になります。

・国内顧客に共同でセールスフォース導入を推進する。

・顧客のDX戦略をEnd to Endでサポートする。

・相互のブランド力、人材育成システムをベースに、デジタル人材の獲得・拡大を加速する。

・グローバル・マーケットでの共同事業展開。

 当社と株式会社NTTデータでは、今後継続的に上記の取り組みによる事業の拡大を目指してまいります。

 又、連結子会社である株式会社BeeX(東証グロース 4270)が行う、SAPのクラウド・マイグレーション(注3)事業も、グループのコア事業として堅調に業績推移しております。

 その他の連結子会社につきましても、企業が複数のクラウドを使用したいというマルチ・クラウドニーズに対応するなど様々なクラウド・サービスの提供により徐々に事業を拡大しております。

 

 これらの結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高5,809,729千円(前年同期比33.5%増)、営業利益297,493千円(前年同期比207.6%増)、経常利益327,317千円(前年同期比151.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益176,388千円(前年同期比393.5%増)となりました。

 

 セグメントの業績は、次のとおりであります。

① ソリューション事業

 当第1四半期連結累計期間におけるソリューション事業の売上高は、Salesforceを中心としたクラウドサービスの導入開発、株式会社BeeXが行うSAPのクラウド・マイグレーション事業及び、セールスフォースエンジニア派遣の株式会社テラスカイ・テクノロジーズの業績が拡大したことで、5,399,894千円(前年同期比35.2%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は、量子コンピュータ(注4)関連の研究開発を行う株式会社Quemixと、TerraSky(Thailand)Co.,Ltd.(タイ法人)の事業の立ち上がりが遅れていながらも、740,747千円(前年同期比35.6%増)となりました。

 

② 製品事業

 当第1四半期連結累計期間における製品事業は、「mitoco(ミトコ)」を始めとする当社の全製品のサブスクリプション売上が対前年比で増加いたしました。結果として売上高は、463,838千円(前年同期比14.8%増)となりました。セグメント損失(営業損失)は、「mitoco ERP」等へ積極投資していることにより、85,909千円(前年同期はセグメント損失(営業損失)48,587千円)となりました。

 

 当第1四半期連結累計期間の当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

2024年3月

・「mitoco(ミトコ)」は株式会社セールスフォース・ジャパンが公開した「2023年人気のあったAppExchangeアプリランキング」で、「中小企業向け 売上TOP5」部門でランクインしました。

・子会社で量子コンピュータの研究開発を行うベンチャー企業、株式会社Quemixの代表取締役 松下 雄一郎が、2024年4月1日付けで東京大学大学院理学系研究科物理学専攻の特任准教授に就任しました。

2024年4月

・Salesforceと生成AIを組み合わせた新サービス「mitoco AI」の提供を開始しました。

・Salesforce Japan Partner Award 2024における「Industry of the Year」及び「Emerging Technology of the Year」を受賞しました。

・株式会社NTTデータ(本社:東京都江東区)と資本業務提携契約を締結しました。

・公式YouTubeチャンネル「TerraSkyTV with 厚切りジェイソン」を開設しました。

・mitoco(ミトコ)が、アイティクラウド株式会社(本社所在地:東京都港区)主催の「ITreview Grid Award 2024 Spring」において、グループウェア部門で「High Performer」を受賞しました。

・就活サイト「ONE CAREER」を運営する株式会社ワンキャリア(本社:東京都渋谷区)主催、「ONE CAREER 就活クチコミアワード2024」のベンチャー部門において14位にランクインし、「Silver賞」を受賞しました。

2024年5月

・近年ニーズが高まるデータやAIの活用を支援するため、株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するSalesforce Data Cloudに関し、「Salesforce Data Cloud+AIラボ」を設立しました。Data CloudやAIの知見を蓄積し、顧客企業に対してデータマネジメントを提案できる体制を整えます。

 

 

※用語解説

(注1)2025年の崖:

既存システムが事業部門ごとに構築されて全社横断的なデータ活用ができない。過剰なカスタマイズなどにより、複雑化・ブラックボックス化が問題となっている。経営者がDXを望む場合、データ活用のために上記の既存システムの問題の解決が必要であり、業務自体の見直しも求められる。一方、現場サイドの抵抗が大きく、いかにこれを実行するかが課題となっている。この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみでなく、2025年以降、最大12兆円/年の経済損失が生じる可能性をいう。

(注2)クラウド:

クラウド・コンピューティングの略で、ネットワークをベースとしたコンピュータ資源の利用形態。企業はハードウェアやソフトウェアの資産を自前で持たず、インターネット上に存在するものを必要に応じて利用する。

(注3)クラウド・マイグレーション:

サーバーなどの機器を自社が管理する施設(ビルやデータセンターなど)で運用するITシステムの環境から、AWS(Amazon Web Services)、Google Cloud PlatformやMicrosoft Azureなどのパブリック・クラウドにシステムを移行すること。

(注4)量子コンピュータ:

量子力学の現象を情報処理技術に適用することで、従来型のコンピュータでは容易に解くことのできない複雑な計算を解くことができるコンピュータであり、量子ゲート方式と量子アニーリング方式の大きく2つに分類される。量子ゲート方式は、従来型のコンピュータの上位互換としての期待が高く、GoogleやIBMなどの大手ITベンダーやスタートアップがハードウェアの開発を進めている。量子アニーリング方式は、組み合わせ最適化問題を解くことに特化している。

 

(2)財政状態の分析

(流動資産)

 当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末より746,274千円増加し、11,388,285千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加170,226千円、売掛金及び契約資産の増加425,408千円及び前払費用の増加176,204千円があったことによるものであります。

(固定資産)

 当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、前連結会計年度末より1,230,292千円減少し、6,574,297千円となりました。これは主に、投資有価証券の減少1,308,340千円によるものであります。

(流動負債)

 当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末より602,258千円増加し、5,024,827千円となりました。これは主に、買掛金の増加117,513千円及び契約負債の増加533,673千円があったことによるものであります。

(固定負債)

 当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、前連結会計年度末より404,608千円減少し、1,065,492千円となりました。これは主に、繰延税金負債の減少403,206千円があったことによるものであります。

(純資産)

 当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末より681,666千円減少し、11,872,263千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加176,388千円に対し、その他有価証券評価差額金の減少911,649千円があったことによるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、38,455千円であります。