売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E35941 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当第1四半期連結累計期間よりサービス区分を変更しているため、新しいサービス区分にて記載しております。

 

(1) 業績の状況

当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日~2024年3月31日)における日本の経済は、賃金上昇や景気対策、内需の回復によって一定の成長が見られたものの、ロシア・ウクライナ戦争の長期化や堅調な米国経済がもたらす大幅な円安進行、物価の上昇といった懸念材料によって、依然として日本経済を取り巻く環境としては不安定な状況が続いております。

このような経済環境の中、当社グループが属するIT業界は、AI(人工知能)やDX(デジタルトランスフォーメーション)などの技術革新により、急速な技術発展を遂げております。とりわけ生成AIの登場・進化は、労働人口の減少をはじめとする社会課題だけでなく新たなビジネスモデルの創出、イノベーションの促進に大きく貢献し始めております。生成AIに対してより適切な回答を求めることができるプロンプトエンジニアの需要は、生成AIを利用する企業で増している一方、ガイドラインやルールの整備が十分ではないため著作権やプライバシーの問題といった法制度の問題の他に倫理的な問題、誤った情報を生成して回答するハルシネーションの問題が表面化しております。

当第1四半期連結累計期間におきまして、前連結会計年度と同様に大型案件がAI、DXのそれぞれのサービス区分で進行しており、近年推し進めているロイヤルクライアント化が売上単価の増加に大きく貢献しております。特定の業界に特化することなく幅広い業界からAIソリューション事業の需要は拡大しており、複数の案件が並行して推進されております。

 

当社グループは、AIソリューション事業を以下の3つのサービス区分に分けて事業を推進しております。

 

AIインテグレーションサービス:生成AI、Copilot、エッジAIなどのコンサルティング・開発案件

DXサービス:プラットフォーム開発、DXコンサルティング、Azureクラウド開発、ローコード開発など

プロダクトサービス:自社サービス、クラウド利用料などの代理店販売モデル

※当連結会計年度より「OPSサービス」を廃止しております。(理由については後述参照)

前年同期比に記載の数字は、前連結会計年度においてもOPSサービスの数字をAI、DX、プロダクトの3サービス区分に振り分けた数字と比較して記載しております。

 

AIインテグレーションサービス

当社グループでは、IoTを活用したエッジAI案件に加えて、前連結会計年度から生成AIに対するGPTサービスラインナップを拡充して、生成AI案件の推進に注力しております。チャットベースの生成AI利用から、すでに顧客サービスや業務利用に向けた開発案件を複数実施しております。顧客が保持する大量の業務データは、データプラットフォーム上で取り扱うことによって効率的に生成AIへ学習させることができます。データプラットフォームで行うデータの分析・可視化と生成AIを利用した開発の両方を行える会社は稀有な存在であり、当社グループではこれに内製化支援も含めて顧客と伴走したプロジェクト推進を実施しております。

当第1四半期連結累計期間におきましては、生成AI案件の成長、及びエッジAI案件の売上拡大によって、AIインテグレーションサービスの売上高は378,293千円(前年同期比47.7%増)となりました。

 

 

DXサービス

当社グループのDXサービス案件は、Microsoft Azureを中心としたクラウドサービスのプラットフォーム開発や企業のDX化に向けたコンサルテーション、効率化を目的としたローコード開発となっており、主にモダナイゼーションと呼ばれる古いシステムを先進的な技術・手法に更新・改善する案件や、Microsoft Power Platformに代表されるローコードツールを活用した内製化支援を行っております。企業のDX化に向けた動きは、前連結会計年度から引き続き堅調に案件数、売上とも推移しております。

当第1四半期連結累計期間におきましては、AIインテグレーションサービスと同様に再び大型案件が開始され、既存顧客へのクロスセルを行っておりますが、DXサービスの売上高は290,700千円(前年同期比8.2%減)となりました。前年同期比の減少理由は、大型案件の案件規模、及び案件実施期間の違いによって発生する検収金額の差によるものとなります。

 

プロダクトサービス

プロダクトサービスは、SyncLect、Pocket Work Mateなどの自社サービスによるライセンス型モデルと、クラウド利用サービス料やIoT機器の仕入れ販売による代理店型モデルの2つに大きく分けられます。

当第1四半期連結累計期間におきましては、生成AI活用プラットフォーム「SyncLect Generative AI」のサービスラインナップの拡充を行っております。Microsoft 365を利用しているエンタープライズ系企業を中心に、生成AIを利用したい新規顧客からの問い合わせやマイクロソフト社からの紹介案件を安定的に獲得でき、プロダクトサービスの売上高は39,374千円(前年同期比27.2%増)となりました。

 

 OPSサービス

 当第1四半期連結累計期間から、以下の理由によりOPS区分は廃止しております。

・成長戦略の1つとして掲げている「収益基盤の強化」対策として、売上単価向上施策に取り組んでおり、単価が低く設定されやすい運用保守フェーズへの対策としてDevOps(※)を前提とした契約の取り方、案件の回し方にシフトできたこと

・ロイヤルクライアント化の推進によって、DevOpsによる開発手法が伴走型のプロジェクト推進を要望する顧客ニーズとマッチし、開発と運用をセットで受注する準委任契約が多くなったこと

なお、前連結会計年度でOPS区分に計上されていた案件は、案件数でDXへ80%、AIに15%、プロダクトに5%移管しております。

※DevOpsとは、開発を意味するDevelopmentと、運用を意味するOperationsを組み合わせた造語で、厳密な定義はないものの、開発チームと運用チームが協力することで、迅速かつ柔軟なサービス提供を行うための考え方や仕組みを表します。

 

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は708,367千円(前年同期比17.3%増)、営業利益は132,306千円(前年同期比115.9%増)、経常利益は131,605千円(前年同期比112.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は89,896千円(前年同期比122.6%増)となりました。

当社グループでは、AIを活用し更なる顧客サービスの実現を目指すAIソリューション事業の単一セグメントで推進しております。

 

(2) 財政状況の分析

(資産)

第1四半期連結会計期間末における総資産は、1,440,366千円となり、前連結会計年度末と比較して146,128千円の増加となりました。

流動資産は1,375,266千円となり、前連結会計年度末と比較して148,770千円の増加となりました。これは主に、仕掛品が10,356千円減少したものの、現金及び預金が104,033千円、売掛金及び契約資産が47,404千円、前払費用が9,859千円増加したことによるものです。固定資産は前連結会計年度末と比較して2,642千円減少し、65,100千円となりました。主な要因は、有形固定資産が801千円、無形固定資産が915千円、投資その他の資産が925千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

当第1四半期連結会計期間末における負債合計は386,736千円となり、前連結会計年度末と比較して54,157千円の増加となりました。これは主に、契約負債が2,715千円減少したものの、買掛金が19,002千円、未払金が14,340千円、未払費用が2,419千円、未払法人税等が18,453千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は1,053,630千円となり、前連結会計年度末と比較して91,970千円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が89,896千円増加したことによるものです。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2,779千円であります。

なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。