E00761 IFRS
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(経営成績の状況)
当第3四半期連結累計期間のわが国を含む世界経済は、コロナ禍から経済社会活動の正常化が進んでおり、景気の緩やかな回復が続くことが期待されますが、一方で、中国および欧州経済の減速や中東およびウクライナ情勢の長期化、世界的な金融引き締めに伴う影響等が懸念され、先行きが不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは、「中長期的な企業価値の向上」と「持続可能な社会への貢献」を両立し、サステナビリティ経営を推進して当社グループを一層発展させるべく、新たに『クレハグループ企業理念』、『クレハビジョン』、2030年度に向けた『経営方針』と「クレハグループ新中長期経営計画『未来創造への挑戦』」を策定し、取組みをしております。
当社グループの当第3四半期連結累計期間は、機能製品事業のリチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂の売上げが減少し、前年同期比で減収減益となりました。
売上収益は前年同期比10.8%減の1,328億54百万円、営業利益は前年同期比36.9%減の154億57百万円、税引前四半期利益は前年同期比34.8%減の163億23百万円、四半期利益は前年同期比41.9%減の103億20百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比42.0%減の102億38百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 営業損益の調整額には、報告セグメントに配分していないその他の収支が含まれております。詳細は、要約四半期連結財務諸表注記「5.セグメント情報」に記載しております。
① 機能製品事業
機能樹脂分野では、PPS樹脂およびシェールオイル・ガス掘削用途向けのPGA(ポリグリコール酸)樹脂加工品の売上げは増加しましたが、リチウムイオン二次電池用バインダー向けのフッ化ビニリデン樹脂およびその他の樹脂加工品等の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
炭素製品分野では、高温炉用断熱材の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比25.3%減の493億57百万円となり、営業利益は前年同期比46.9%減の61億円となりました。
② 化学製品事業
農薬・医薬分野では、農業・園芸用殺菌剤および慢性腎不全用剤「クレメジン」の売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
工業薬品分野では、無機および有機薬品類の売上げが増加し、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比3.6%減の244億65百万円となり、営業利益は前年同期比56.6%減の9億44百万円となりました。
③ 樹脂製品事業
コンシューマー・グッズ分野では、家庭用ラップ「NEWクレラップ」およびフッ化ビニリデン釣糸「シーガー」の売上げが増加したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに増加しました。
業務用食品包装材分野では、熱収縮多層フィルムおよび塩化ビニリデンフィルムの売上げが減少したことから、この分野での売上げ、営業利益はともに減少しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比0.1%増の365億24百万円となり、営業利益は前年同期比5.6%減の70億49百万円となりました。
④ 建設関連事業
建設事業では、民間工事の増加により、売上げ、営業利益はともに増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比33.3%増の92億57百万円となり、営業利益は前年同期比95.6%増の7億87百万円となりました。
⑤ その他関連事業
環境事業では、産業廃棄物処理の減少により、売上げ、営業利益はともに減少しました。
運送事業では、売上げ、営業利益はともに減少しました。
病院事業では、売上げは前年同期並みでしたが、営業損失は増加しました。
この結果、本セグメントの売上収益は前年同期比6.0%減の132億49百万円となり、営業利益は前年同期比29.5%減の17億97百万円となりました。
(財政状態の状況)
当第3四半期末の資産合計につきましては、前期末比258億35百万円増の3,222億40百万円となりました。流動資産は、棚卸資産および営業債権が増加した一方で、現金及び現金同等物が減少したこと等により、前期末比19億65百万円減の1,190億29百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産ならびにその他の金融資産が増加したこと等により、前期末比278億円増の2,032億10百万円となりました。
負債合計につきましては、前期末比249億37百万円増の1,045億67百万円となりました。これは、営業債務および引当金が減少した一方で、有利子負債が社債および借入金等の増加により前期末比301億83百万円増の564億58百万円となったこと等によるものです。
資本合計につきましては、前期末比8億97百万円増の2,176億72百万円となりました。これは、自己株式の取得を100億3百万円、剰余金の配当を52億68百万円実施した一方で、親会社の所有者に帰属する四半期利益を102億38百万円計上するとともに、投資有価証券の評価額の増加や為替市場での円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加したこと等によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローは107億2百万円の収入となり、前年同期に比べ27億20百万円収入が減少しました。これは、棚卸資産の増加による支出が減少した一方、税引前四半期利益が減少したこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは324億61百万円の支出となり、前年同期に比べ236億2百万円支出が増加しました。これは、有形固定資産および無形資産の取得による支出が増加したこと、前年同期に発生した持分法で会計処理されている投資の売却による収入が、当第3四半期連結累計期間に発生しなかったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期98億93百万円の支出から、141億79百万円の収入となりました。これは、自己株式の取得による支出が増加した一方、社債の発行による収入および長期借入れによる収入が発生したこと等によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当第3四半期末残高は、前期末に比べ69億60百万円減少し252億44百万円となりました。
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した事業上および財務上の対処すべき課題はありません。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4,928百万円です。
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりです。