売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00771 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により社会経済活動の正常化が進み、インバウンド需要の増加や雇用情勢の改善など持ち直しの動きが続きました。一方で、原燃料価格高騰や物価上昇に加え、ウクライナ情勢の長期化、緊迫化する中東情勢、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが国内景気を下押しするリスク等の影響もあり、依然として厳しい状況で推移いたしました。

 このような環境のもと、当社グループは、前年11月に公表した新中期経営計画「Shape the Future-2025」(2023年~2025年度)で掲げた「既存事業の継続的基盤強化」、「新製品創出力の強化」、「サステナビリティ経営の推進」の3つの基本方針に沿った具体的な施策を着実に実行してまいりました。

 「既存事業の継続的基盤強化」においては、安定したキャッシュの創出と成長分野への積極的な投資により事業基盤の拡充を図ってまいります。基礎化学品事業では、アリルクロライド製造設備の主要機器に再度不具合が認められたため生産を一部停止しておりましたが、11月より稼働は7月の不具合発生前の水準まで回復し、現在は安定稼働の状態となりました。機能化学品事業では、主要製品の需要が低下するなかで、新規開拓によりアクリルゴムの販売数量を着実に伸ばすことができました。ヘルスケア事業では、糖尿病治療薬や急速に拡大する肥満治療薬向けの医薬品精製材料の需要拡大に対応するため、松山工場での新製造設備建設の決定に続き、尼崎工場でも第2期増強として製造設備の新設を決定いたしました。松山工場では2024年9月の完成を目指して前年11月より、尼崎工場においても2026年度の完成を目指して2024年1月より建設を開始しており、医薬品精製材料への投資計画は順調に進んでいます。ヘルスケア事業の成長戦略が評価されたこともあり、株価純資産倍率(PBR)は、東証プライム企業の平均を大きく上回る水準(2023年12月末時点でPBR2倍超)となりました。

 「新製品創出力の強化」では、NEDOのグリーンイノベーション基金事業として採択された全固体電池用超高イオン伝導性ポリマー等の次世代蓄電池用材料の開発は当初計画どおりに進捗しています。新たな研究施設として電池研究棟の建設にも既に着手しており、次のグローバルニッチトップ製品へと着実に育ててまいります。

 「サステナビリティ経営の推進」では、コーポレートガバナンス・コードへの適切な対応として、TCFD対応・GHG排出量の算定等に取り組むとともに、新たに統合報告書を作成いたしました。また、当社経営ビジョンに掲げる「社員とともに成長する企業」を目指して昨年度の管理職人事制度の改定に続き、前年4月より一般社員の人事制度も改定いたしました。今後は新しい人事制度の下で、業務改革活動のさらなる浸透、従業員エンゲージメントの向上、次世代を担う人材の育成に取り組んでまいります。

 水島工場の製造設備不具合の影響もあり、当第3四半期連結累計期間の売上高は、702億1千5百万円と前年同期比9.6%の減少となりました。利益面におきましても、営業利益は75億9千9百万円と前年同期比45.5%の減少、経常利益は85億9千4百万円と前年同期比42.5%の減少、親会社株主に帰属する四半期純利益は52億9千5百万円と前年同期比48.8%の減少となりました。

 なお、ヘルスケア事業が当社第3の収益の柱として順調に成長してきたこともあり、当第1四半期連結累計期間より、報告セグメント区分を、「基礎化学品」、「機能化学品」、「ヘルスケア」、「商社部門ほか」の4部門に変更しております。これに伴い、以下の前年同期比較においては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み換えた数値で比較しております。

 

 セグメント別の概況は以下のとおりです。

(基礎化学品)

 クロール・アルカリは、水島工場の製造設備不具合の影響や需要低下により販売数量が減少したものの、原燃料価格高騰に伴う製品価格の上昇もあり、売上高は増加しました。

 エピクロルヒドリンは、製造設備不具合の影響による販売調整に加え、エポキシ樹脂の需要低下や海外市況の軟化により、売上高は減少しました。

 以上の結果、基礎化学品の売上高は272億2千9百万円と前年同期比15.9%の減少となりました。

 

(機能化学品)

 合成ゴム関連では、エピクロルヒドリンゴムは、自動車生産台数の回復に伴い、売上高は増加しました。アクリルゴムは国内外で新規採用が進んだため、売上高は増加しました。

 ダップ樹脂は、UVインキ用途向けでは中国で新規需要を獲得し販売数量は増加しましたが、絶縁ワニス用途向けの需要低迷等により、売上高は減少しました。

 アリルエーテル類では、欧米および中国で塗料用途を中心としたシランカップリング剤向けの需要低下に加え、市況の軟化により、売上高は減少しました。

 以上の結果、機能化学品の売上高は213億9千7百万円と前年同期比6.3%の減少となりました。

(ヘルスケア)

 医薬品精製材料は、欧米並びにアジア向けの糖尿病治療薬用途等の需要が順調に拡大し、売上高は増加しました。医薬品原薬・中間体は、核酸医薬原薬、抗潰瘍薬中間体および不眠症治療薬中間体の販売が拡大したため、売上高は増加しました。

 以上の結果、ヘルスケアの売上高は82億2千万円と前年同期比7.9%の増加となりました。

 

(商社部門ほか)

 生活関連商品は販売が堅調に推移したため売上高は増加しましたが、ガラス繊維等を中心に電子材料および自動車向け商材が低調に推移したため売上高は減少しました。

 以上の結果、商社部門ほかの売上高は133億6千7百万円と前年同期比10.0%の減少となりました。

 

 当第3四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態は次のとおりです。

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて、4.8%増加し1,446億4千6百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末に比べて、2.9%増加し922億6千2百万円となりました。これは、主として現金及び預金が11億7百万円、電子記録債権が19億1千3百万円それぞれ増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて、8.3%増加し523億8千4百万円となりました。これは、主として有形固定資産が6億7千7百万円、投資有価証券が32億4百万円それぞれ増加したことによります。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べて、2.8%増加し395億5千2百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末に比べて、0.2%増加し323億8千5百万円となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が30億1千4百万円増加し、未払法人税等が31億3百万円減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて、16.1%増加し71億6千6百万円となりました。これは、主として繰延税金負債が11億7千5百万円増加したことによります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べて、5.6%増加し1,050億9千4百万円となりました。これは、主として、利益剰余金が30億6百万円、その他有価証券評価差額金が22億4千万円それぞれ増加したことによります。

 

(2)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループが支出した研究開発費の総額は20億7千9百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。