売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00845 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間の世界経済におきましては、個人消費を中心に回復の兆しが見えるものの、ウクライナ紛争や中東情勢の悪化、資源価格の不安定化、また中国景気の減速懸念等により、先行き不透明な状況が続いております。自動車産業においては、サプライチェーンの回復により、自動車生産は地域やメーカーによって生産活動にばらつきはあるものの全般的に回復基調にあります。エレクトロニクス関連においては、テレビ、モニター用途の需要が、落ち着き始めております。一方、日本経済は、新型コロナウイルス感染症の第5類への移行や入国制限の緩和により、社会経済活動が正常化し、緩やかな回復傾向がみられるものの、資源価格の高騰や円安の影響などにより、不透明感を払拭できない状況が続いております。また、温室効果ガス排出量削減や気候変動問題など環境課題への対応は、重要性を増しております。

 日本の発泡プラスチックス業界におきましては、食品容器関連の需要は、人流の増加がありましたが、物価上昇などの影響もあり、内中食関連向けの需要は落ち着きをみせております。一方、各種部材や搬送資材・梱包材は、需要が回復傾向にあります。

 

 このような経営環境のなか、当社グループは、前年度からスタートさせた3カ年中期経営計画「Spiral-up 2024」の3つの重点課題に対してグループ全体で取り組んでおります。『収益体質の強化』においては、経営資源の選択と集中による事業ポートフォリオの再構築と抜本的な生産革新や開発品の早期収益化に取り組んでおります。『環境・社会課題解決型事業への転換』においては、「循環型ビジネスによる環境貢献製品の拡大」と「カーボンニュートラル実現への挑戦」を掲げ、SKG-5R(※)活動の一層の強化を図っております。食品容器用途では、プラスチック使用量の削減を可能にする新たな素材として「エスレンシート PZシリーズ」を株式会社エフピコと共同開発することに成功しました。また自動車部品の物流梱包材用途では、リサイクル原料を活用した「ピオセラン RNW」が、トヨタ自動車株式会社の電動部品物流用途のリターナブル資材に採用されました。今後も持続可能な社会の実現に向けて循環型社会への貢献に取り組んでまいります。『経営基盤の強化』においては、事業を通じて社会・経済・環境の課題解決に取り組み、企業価値向上につなげている企業を評価する「第5回日経SDGs経営調査」において、5年連続で3星に認定されました。引き続き事業を通じた社会・経済・環境の課題解決に取り組み、企業価値向上に努めてまいります。

 

 売上面においては、ヒューマンライフ分野では、環境貢献製品の販売拡大に努めるものの、水産など主要用途での需要が減少となり、また年末需要も伸び悩み厳しい状況となりました。一方、インダストリー分野では、各地域により差があるものの、各領域での回復需要の取り込みを進めてまいりました。

 利益面においては、エネルギー価格高騰に対して原価低減や固定費の削減、そして販売価格への転嫁など収益改善に取り組みました。

 

※「SKG-5R」は、SKGは積水化成品グループ、「5R」は、Reduce,Reuse,Recycle,Replace,Re-createを指します。

 

 

 その結果、当第3四半期連結累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

① 財政状態

 

前連結会計年度

(百万円)

当第3四半期連結会計期間

(百万円)

増減

(百万円)

流動資産残高

66,874

69,529

2,654

固定資産残高

78,301

78,280

△20

資産合計残高

145,175

147,809

2,634

負債残高

86,711

90,841

4,130

純資産

58,464

56,967

△1,496

 

(資産の部)

 資産の部では、受取手形、売掛金及び契約資産などの増加により流動資産が26億5千4百万円増加しました。また、建物及び構築物などの減少により固定資産は2千万円減少しました。

(負債の部)

 負債の部では、短期借入金などが増加し、流動負債は62億7千3百万円増加しました。また、長期借入金などの減少により、固定負債は21億4千3百万円減少しました。

(純資産の部)

 純資産の部では、為替換算調整勘定などの減少により14億9千6百万円減少し、569億6千7百万円となりました。純資産から非支配株主持分を控除した自己資本は562億2千万円となり、自己資本比率は38.0%となりました。

 

② 経営成績

 

前第3四半期連結累計期間

(百万円)

当第3四半期連結累計期間

(百万円)

増減

(百万円)

売上高

93,089

97,592

4,503

うち国外売上高

36,836

40,746

3,909

(国外売上高比率)

(39.6%)

(41.8%)

営業利益

161

492

330

(売上高営業利益率)

(0.2%)

(0.5%)

営業外収益

734

1,245

511

営業外費用

656

969

313

経常利益

239

768

529

特別利益

794

△794

特別損失

39

39

四半期純損失(△)

△239

△235

4

親会社株主に帰属する四半期純損失(△)

△245

△244

0

 

 当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高は975億9千2百万円(前年同期比4.8%の増加)、営業利益は4億9千2百万円(前年同期比205.4%の増加)、経常利益は7億6千8百万円(前年同期比220.8%の増加)、親会社株主に帰属する四半期純損失は2億4千4百万円(前年同四半期は2億4千5百万円の損失)となりました。

 

 

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

ア ヒューマンライフ分野

 ヒューマンライフ分野の売上高は374億5千4百万円(前年同期比5.5%の減少)、セグメント利益は15億5千9百万円(前年同期比16.7%の減少)となりました。

 食領域においては、食品容器用途は食材価格の値上げの影響も受け、内中食関連向けの需要は伸び悩みました。農産用途は生育不良や天候などの影響もあり出荷が伸びず、水産用途も漁獲量の減少傾向が継続し低調に推移しました。売上高は価格改定による増加はありましたが、全体的には前年を下回る結果となりました。

 住環境・エネルギー領域においては、屋上緑化関係での物件獲得は進みましたが、建材用途・土木用途は工事物件の進捗遅れなどがあり低調に推移しました。

 主力製品である「エスレンシート」(発泡ポリスチレンシート)の売上数量は、納豆容器用途は堅調に推移し、生鮮食品容器用途は回復傾向となりました。また、新たに開発した省資源素材「エスレンシート PZシリーズ」は新規需要を取り込み、数量を伸ばしましたが、即席麺用途の市場動向による影響もあり、全体では前年を下回りました。「エスレンビーズ」(発泡性ポリスチレンビーズ)の売上数量は、クッション用ビーズなどのライフグッズ用途の出荷が減少し、水産分野は継続して低調になったことで、全体では前年より減少しました。

 利益面では、原価低減や固定費削減、販売価格への転嫁、また製品移管運賃の低減などを図りましたが、売上数量の減少により減益となりました。

 

イ インダストリー分野

 インダストリー分野の売上高は601億3千7百万円(前年同期比12.5%の増加)、セグメント利益は8億5百万円(前年同四半期は7億5千万円の損失)となりました。

 モビリティ領域における、「ピオセラン」(ポリスチレン・ポリオレフィン複合樹脂発泡体)の販売は、自動車部材用途では、上期前半は一部自動車メーカーで部品不足の影響が残ったものの、自動車生産台数の回復を背景に好調に推移しました。部品梱包材用途では、地域によっては、電動部品梱包用途での需要が一巡したところもあり、全体として前年を下回りました。また、トラック、バス向けのFRP(繊維強化プラスチック)部材ならびに関連資材などで新たな需要を取り込み好調に推移しました。

 欧州のProseatグループでは、欧州自動車市場は緩やかに回復する中、生産量は増加しております。そのような中で、エネルギー価格、人件費の高騰に対し、生産性改善、固定費削減や自動車メーカーへの価格転嫁を進めており、改善効果もみられていますが赤字が継続しております。

 エレクトロニクス領域においては、「テクポリマー」(ポリマー微粒子)の液晶パネル等の光拡散の用途では、液晶パネルメーカーの在庫調整が解消され需要が回復し、順調に推移しました。パネル搬送資材・梱包材用途での「ピオセラン」は、台湾での需要は回復、好調に推移しましたが、中国では国内消費の低迷により需要回復が遅れ前年を大幅に下回りました。

 医療・健康領域においては、「エラスティル」(熱可塑性エラストマー発泡体)は、トレーニングシューズ用のミッドソール関連は、上期で旧モデルの販売が減少したものの、下期には新モデルの販売開始により回復傾向にあります。「テクノゲル(ST-gel)」(機能性高分子ゲル)は、検診需要の回復に伴い対極板などの医療用途は順調でしたが、低周波治療器用パッドなどの健康用途は低調に推移しました。

 利益面では、エレクトロニクス領域での需要回復、モビリティ領域では自動車生産台数が回復していく中で、生産性改善、固定費削減、価格転嫁等に努めた結果、黒字化することができました。

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間のキャッシュ・フロー

 

前第3四半期連結累計期間

(百万円)

当第3四半期連結累計期間

(百万円)

増減

(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

396

2,471

2,075

投資活動によるキャッシュ・フロー

△606

△2,991

△2,385

財務活動によるキャッシュ・フロー

△62

△2,452

△2,390

現金及び現金同等物の四半期末残高

10,198

8,302

△1,895

(注)現金及び現金同等物の前連結会計年度末残高は11,072百万円であります。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

営業活動によるキャッシュ・フロー は、損害保険金の受取額が増加したことなどにより前年同期に比べ20億7千5百万円増加し、24億7千1百万円の収入となりました。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に計上があった投資有価証券の売却による収入の減少などもあり、前年同期に比べ23億8千5百万円の支出が増加し、29億9千1百万円の支出となりました。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の減少などにより前年同期に比べ23億9千万円の支出が増加し、24億5千2百万円の支出となりました。

<現金及び現金同等物当第3四半期連結会計期間末残高>

 上記キャッシュ・フローの結果、現金及び現金同等物の当第3四半期連結会計期間末残高は、前連結会計年度末に比べて27億6千9百万円減少し、83億2百万円となりました。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 2024年3月期連結業績予想につきましては、下記のとおりとなります。

 

2022年度
実績

2023年度
計画

売上高

1,246億円

1,300億円

営業利益

7億円

13億円

経常利益

7億円

17億円

親会社株主に帰属する当期純利益

4億円

5億円

※ 億円未満は切捨てで表示しております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、19億8千2百万円であります。

 

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

 今後の当社グループの経営に影響を与える主な要因としては、市場動向、資材費動向、海外動向等があります。

 市場動向については、従来からの景気動向に加え、本感染症拡大による需要の回復動向、ウクライナ情勢などの地政学リスクやサプライチェーンの混乱、他社との競合による需給バランスや価格の変動によって、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、市場における経済状況、需要家や個人消費の動向に留意した戦略を遂行できるよう販売力、開発力、財務体質の強化に努めております。

 資材費動向については、当社グループで使用する原材料の価格変動をタイムリーに製品価格に転嫁できなかった場合または自然災害の発生や仕入先の供給が不安定な場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、原材料、荷造材料、製造設備等の有利購買に注力しております。

 海外動向については、アジア地域をはじめ、欧州、米国、中米でも生産・販売事業を展開しており、予期しない法律または規制の変更、不利な政治または経済要因、戦争や政情不安等の社会的混乱などにより、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があるため、リスクを最小限にとどめるため情報収集に努めております。また、グローバルなEV及び次世代自動車市場動向の重要性を認識し、高機能化や環境負荷を低減する新たな新素材開発を行うなど対応を強化しております。

 これらの点を踏まえ、当社グループは、中期経営計画「Spiral-up 2024」を着実に推進してまいります。

 

(7) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料や仕入商品の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としております。また、シンジケート方式によるコミットメントライン契約及び社債発行による調達を行い、資金調達方法の多様化と負債と資本のバランスに配慮しつつ必要な資金需要に対応しております。

 なお、当第3四半期連結会計期間末における借入金・社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は427億6千6百万円となっております。また、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は83億2百万円となっております。

 当社グループは、設備等の投資にあたっては、調達した資金のコスト(資本コスト、借入コスト等)を十分に勘案し、投資前に投資効果の収益性について十分な精査を行った上で実行しております。