売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04760 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間の世界経済は、不安定な国際情勢の長期化、世界的な物価上昇とそれに対処するための各国中央銀行による金融引き締めの継続や急激な為替の変動、中国経済の減速など先行き不透明な状況が続きました。

こうした環境下、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、下表のとおりです。売上総利益は前年同期比6.9%増となりました。売上総利益のオーガニック成長率は△3.7%でした。日本は増収増益でしたが、日本以外の3地域はオーガニック成長率の低迷により減益となり、調整後営業利益は同22.1%減、オペレーティング・マージンは同380bps減、親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は同31.1%減、営業利益は同43.8%減、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同53.2%減となりました。

調整後営業利益は、営業利益から、買収行為に関連する損益及び一時的要因を排除した、恒常的な事業の業績を測る利益指標であります。

買収行為に関連する損益:買収に伴う無形資産の償却費、M&Aに伴う費用、完全子会社化に伴い発行した株式報酬費用

一時的要因の例示:構造改革費用、減損、固定資産の売却損益など

親会社の所有者に帰属する調整後四半期利益は、四半期利益から、営業利益に係る調整項目、条件付対価に係る公正価値変動額(アーンアウト債務再評価損益)・株式買取債務に係る再測定額(買収関連プットオプション再評価損益)、これらに係る税金相当・非支配持分損益相当などを排除した、親会社所有者に帰属する恒常的な損益を測る指標であります。

 

当第1四半期連結累計期間の業績(金額の単位は百万円、△はマイナス)

科目

前第1四半期連結累計期間

当第1四半期連結累計期間

前年同期比増減

収益

305,809

332,905

8.9%

売上総利益

270,224

288,949

6.9%

営業利益

25,778

14,489

△43.8%

四半期利益(親会社の所有者に帰属)

11,878

5,554

△53.2%

 

※ 従来、「その他の収益」に表示していたコンテンツ事業の収益分配金は、当第1四半期連結累計期間において「収益」に含めて表示することに変更しております。また、従来、当該収益分配金に関連する費用として「その他の費用」に表示していた長期前払費用償却費等は、収益の控除項目として「収益」に含めて表示することに変更しております。これに伴い、前第1四半期連結累計期間については、当該表示方法の変更を反映した遡及修正後の金額を記載しています。遡及修正の内容については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 2.作成の基礎(2)表示方法の変更 (要約四半期連結損益計算書関係)」を参照ください。

 

 

当第1四半期連結累計期間の主要な利益指標(金額の単位は百万円、△はマイナス)

科目

前第1四半期連結累計期間

当第1四半期連結累計期間

前年同期比増減

調整後営業利益

38,294

29,849

△22.1%

オペレーティング・マージン

14.2%

10.4%

△380bps

調整後四半期利益(親会社の所有者に帰属)

22,968

15,823

△31.1%

 

※ 2022年11月にロシア事業の譲渡契約を締結したことから、譲渡が完了するまでの期間に発生するロシア事業に係る営業損益は、一時的要因として当第1四半期連結累計期間の調整後営業利益には含めておりません。これに伴い、前第1四半期連結累計期間については、前第1四半期連結累計期間に調整後営業利益に含めていたロシア事業に係る営業損益を排除して組替表示しております。

 

当第1四半期連結累計期間における報告セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

a.日本

インターネット広告の成長がけん引し広告事業が回復基調に戻り、売上総利益のオーガニック成長率は2.4%、売上総利益は1,229億51百万円(前年同期比2.3%増)となりました。人員増による人件費の増加などにより、調整後営業利益は339億10百万円(同0.4%増)、オペレーティング・マージンは27.6%(前年同期は28.1%)となりました。

 

b.Americas(米州)

Americasにおける売上総利益のオーガニック成長率は△6.6%となりました。主要マーケット別にみると、カナダ、ブラジルなどは堅調でしたが、米国は厳しい状況となっています。

為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、Americasの売上総利益は805億18百万円(前年同期比9.9%増)となりましたが、為替影響排除ベースでは減収減益となったため、調整後営業利益は130億62百万円(同2.2%減)、オペレーティング・マージンは16.2%(前年同期は18.2%)でした。

 

c.EMEA(ロシアを除くヨーロッパ、中東及びアフリカ)

EMEAにおける売上総利益のオーガニック成長率は、△9.4%となりました。主要マーケット別にみると、スペイン、イタリアなどは堅調でしたが、イギリス、スイス、ドイツ、デンマークなどは厳しい状況となっています。

為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、EMEAの売上総利益は571億79百万円(前年同期比9.6%増)となりましたが、為替影響排除ベースでは減収減益となったため、調整後営業損失は6億58百万円(前年同期は調整後営業利益37億96百万円)、オペレーティング・マージンは△1.2%(前年同期は7.3%)でした。

 

d.APAC(日本を除くアジア太平洋)

APACにおける売上総利益のオーガニック成長率は△7.1%となりました。主要マーケット別にみると、タイは堅調でしたが、オーストラリア、台湾、インドなどは厳しい状況となっています。

為替レートが全般的に円安となっていること及びM&Aにより、APACの売上総利益は241億85百万円(前年同期比9.1%増)となりましたが、オーガニック成長率の低迷により、調整後営業損失は31億43百万円(前年同期は調整後営業損失22億52百万円)、オペレーティング・マージンは△13.0%(前年同期は△10.2%)でした。

 

当第1四半期連結会計期間末の財政状態については、前連結会計年度末と比べ、「営業債権及びその他の債権」及び「のれん」が増加したものの、「現金及び現金同等物」が減少したことなどにより、資産合計で96億95百万円の減少となりました。一方、負債については、「借入金」が増加したものの、「営業債務及びその他の債務」が減少したことなどにより、負債合計で508億43百万円の減少となりました。また、資本については、主に「在外営業活動体の換算差額」などにより「その他の資本の構成要素」が増加したことなどから、資本合計は411億47百万円の増加となりました。

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,751億25百万円となりました。営業活動による支出などにより、前連結会計年度末に比べ1,155億53百万円の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ235億80百万円増加し、1,523億40百万円となりました。主に運転資本が増加したことなどによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ12億92百万円減少し、68億0百万円となりました。主に子会社の取得による支出が減少したことなどによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果により得た資金は、前年同四半期連結累計期間に比べ739億3百万円増加し、359億35百万円となりました。主に短期借入金の純増減額が増加し、長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものであります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について、重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容に、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における研究開発活動の金額は、3億48百万円であり、日本におけるものであります。

なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 従業員数

当第1四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。

 

(7) 生産、受注及び販売の実績

当第1四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。

 

(8) 主要な設備

当第1四半期連結累計期間において、著しい変動はありません。

 

(9) 経営成績に重要な影響を与える要因

当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した経営成績に重要な影響を与える要因に、重要な変更はありません。

 

 

(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資金需要の主な内容

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。

また、2021年2月に発表した中期経営計画期間においては、新しいテクノロジーやソリューション開発、イノベーションへの投資や高成長領域であるカスタマートランスフォーメーション&テクノロジーへのM&A・投資に係る資金需要が見込まれます。

 

② 資金調達及び流動性の状況

当社グループは、内部資金、金融機関からの借入、社債、コマーシャル・ペーパー、又は債権流動化等の多様な手段の中から、その時々の市場環境や長期資金の年度別償還額も考慮した上で、機動的に有利な手段を選択し、資金調達を行っております。なお、長期資金については、原則として当社で一元的に資金調達しております。

また、緊急時の流動性を確保するため、当社はシンジケーション方式による極度額500億円のコミットメントラインを、Dentsu International Limited(以下「DI社」といいます。)は5億英ポンド(約954億円)のコミットメントラインを設定しております。また、急速な外部環境変化等に万全を期すため、引き続き金融機関との間で一時的に追加の銀行融資枠を設定しております。

さらに、グループ内の資金調達の一元化・資金効率の向上・流動性の確保の観点から、資金余剰状態にある子会社から当社が資金を借り入れ、資金需要が発生している子会社に貸出を行うキャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。

当社グループは、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題と認識しており、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期格付AA-、短期格付a-1+を取得しております。また、主要な内外金融機関との間で長期間に亘って築き上げてきた幅広く良好な関係に基づき、当社グループの事業の維持拡大、必要な運転資金の確保、成長投資資金の調達に関しては問題なく実施可能であると認識しております。