E33880 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国の経済状況は、所得・雇用環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調が続いているものの、日銀の金融政策正常化による影響や、欧米における金利動向、中東情勢及びエネルギー価格の変動が国内景気に及ぼすリスクが見られる等、先行きが不透明な状況が続いております。
その一方で、情報サービス業界においては、技術革新のスピードが更に加速しており、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、2023年のOpenAI社による「ChatGPT-3.5」「ChatGPT-4.0」のリリース、そして2025年の「ChatGPT-5.0」のリリースに端を発した生成AIブームは、実証実験フェーズから本格導入フェーズへと移行しており、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下、「AIX」という。)に関する投資が一層加速しております。また、AI市場の進化として、AIエージェント技術の台頭が顕著となっており、単なる対話型AIから、自律的に判断・実行するAIエージェントへと進化することで、業務の自動化・効率化が飛躍的に進展しております。LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)の性能向上に加え、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術やマルチモーダルAIの実用化、プライベートLLMの需要拡大等、AI技術は次のステージへと移行しております。
なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、と捉えており、LLMを含むAIが当たり前のように社会全体に浸透していく中で、主にBPO市場において、AIを業務ツールとして断片的に使うのではなく、より根本的な価値創造・人とAIの共創がテーマとなる世界が到来しております。
また、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」「AIエージェント機能の組み込み」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、生成AIを悪用したサイバー攻撃の高度化やサプライチェーンを狙った攻撃、一般企業・病院等を狙うランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)が増加しており、また企業によるクラウドサービスの利用やDX化・AI導入の推進、AIガバナンス体制の構築ニーズ等もあって、セキュリティ対策は必然となっております。
このような環境の中で、当社グループは、HEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げ、単なるSaaSツール提供会社にとどまらず、生成AI・AIエージェント等を駆使し、大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しております。特に当中間連結会計期間においては、グループ各社のプロダクトにおけるAIエージェント機能の実装を積極的に推進しており、顧客の業務効率化に大きく貢献しております。「Meta Agent」(課題分解、ゴール設定、解決策探索・実行までを完全自律的に遂行し、業務全体を再構築できる自律型AIエージェント)の実現を目指し、「AI Agent2.0」として社会全体への価値提供・事業成長に繋げていきたいと考えております。
加えて、当社のグループ会社であるVOIQ株式会社(以下、「VOIQ社」という。)は、前連結会計年度にbizy株式会社の展開するセールス支援事業等の譲り受けを行い、約1年が経過いたしました。本事業譲受を通じて、VOIQ社がグループ全体におけるインサイドセールスの機能を担うとともに、セールス領域・コンタクトセンター領域において、当社グループのAI関連技術を活用し、各種課題の解決を推し進めております。これらの活動を通じて、当社やバリオセキュア株式会社を中心にインサイドセールス機能として定着しており、商談件数の増加・営業効率の向上に大きく貢献しております。
セグメント別の経営成績の概況は、以下の通りです。なお、第1四半期連結会計期間より、「AI/DX事業」のセグメントについて、名称を「AIX事業」に変更しております。
なお、セグメント別の経営成績の概況は以下の通りです。
(AIX事業)
AIX事業は、当社グループに蓄積されたAI・SaaS関連技術・ノウハウ・データ等を活用し、AI関連ソリューションの提供や、AIを活用したSaaS導入支援・SaaS間連携開発等を提供することにより各企業・業界のAIX推進を目指すセグメントとなります。当セグメントは、主に「BtoCサービス」と「BtoBサービス」に分類されます。
当中間連結会計期間において、当社グループのAIX事業については、AIエージェント機能の実装による競争力強化、稼働案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等により、収益が拡大しております。
BtoC領域については、もともと市場において有している圧倒的なネットワーク外部性に加え、将棋への継続的な注目度により、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」「棋神ラーニング」ともに安定した収益を上げました。2025年2月には、新たに「スプリントモード」をリリースいたしました。本モードは、将棋の中終盤戦の白熱した局面から始まるモードとなっており、短時間で緊迫感のある対局を楽しめることから、ユーザの皆様から高い評価をいただいております。スプリントモードのリリースにより、対局数の増加、プレミアムユーザー数の増加に大きく寄与しており、将棋ウォーズの収益拡大に貢献しております。また、前連結会計年度にリリースした「シーズンパス」も好調に推移しており、ユーザの皆様に継続的にお楽しみいただけるコンテンツとして定着しております。当中間連結会計期間は、棋神戦ヨーロッパ大会や「たんぽぽ杯」等のイベントを実施しており、将棋ウォーズのMAU(Monthly Active User)や対局数は引き続き増加しております。日本将棋連盟との連携も継続して強化しており、各種イベントやコラボレーション企画を通じて、将棋文化の普及・発展に貢献しております。
BtoB領域については、LLMを含むAIやITに関する投資が実証実験フェーズから本格導入フェーズへと移行する中、案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等もあり、収益が拡大しております。特に、HEROZのAIソリューション関連事業については、前年同期比で20%弱の成長を達成しております。VOIQ社のインサイドセールス領域での貢献もあり、商談件数は前年同期比で大幅に増加しているほか、稼働案件数も増加しており、下期以降も更なる成長を見込んでおります。
当セグメントにおいて、LLMの活用・AIエージェント機能の実装は事業戦略の中核となるテーマであります。2024年5月に本リリースした、生成AIを活用したエンタープライズ向けAIアシスタントSaaS「HEROZ ASK」については、リリースから約1.5年が経過し、利用企業数・ID数ともに順調に増加しており、2025年10月にはARR1億円を突破いたしました。この間、継続的な機能拡張を実施しており、UI・デザインの改善、シングルサインオン・IP制限機能等の各種セキュリティ機能の追加に加え、RAG機能の実装やAIエージェント機能の強化、さらには最新の大規模言語モデルである「GPT-5」「Claude Sonnet 4.5」への対応、ダッシュボード機能のリリース等、顧客ニーズに合わせて高速で開発を進めております。当中間連結会計期間においては、「議事録AI」機能のアップデートや「OCR・画像生成」「コードインタープリター」といった新機能を順次リリースいたしました。「AI 人工知能EXPO」をはじめとする各種展示会への出展や、デジタルマーケティング・コンテンツマーケティングの強化等を行い認知向上に努めており、導入企業からは業務効率化の成果について高い評価をいただいております。
「HEROZ ASK」のほか、「AIさくらさん」等のリカーリング売上も引き続き増加しており、また、株式会社ストラテジットが提供する「JOINT iPaaS for SaaS」についても、売上拡大が継続しております。既存顧客の利用拡大と新規顧客の獲得の両面で成長を続けており、今後も、開発面・事業面が一体となって事業拡大に取り組んでまいります。また、当社グループでは、企業のAIガバナンス体制構築支援や、プライベートLLM環境の構築等、AI導入における企業の課題に対するコンサルティング・実装支援にも注力しており、AI市場の成熟に伴う多様なニーズに対応してまいります。
(AI Security事業)
AI Security事業は、グループ会社であるバリオセキュア株式会社が提供するインターネットセキュリティ関連の事業となります。
サイバー攻撃やセキュリティ被害の増加、AIエージェントの潮流の高まり等に伴い、セキュリティ関連の需要も拡大する中で、同社は、従来のゲートウェイセキュリティに加え、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDR、増加するランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)から企業の情報資産を守るデータバックアップサービス(VDaP)、社内の通信機器の状況を運用監視し、通信環境を脆弱性から守るマネージドLAN/WIFI等の各種サービスにより、増大する脅威に対して多層防御により安心、安全なビジネス環境の構築を支援してまいりました。
前連結会計年度にリリースした、クラウドからオフィス環境まで対応した、中堅・中小企業の規模に合ったゼロトラストセキュリティサービス「Vario Ultimate Zero」は、主力サービスとして順調に拡販が進んでおり、最新のサイバー攻撃を検知・防御可能なセキュリティの担保はもちろん、クラウドからオンプレまで対応可能な柔軟性を兼ね備えており、また、シングルサインオンにも対応しているなど、運用保守の省力化も考慮されたサービスとして、お客様から高い評価をいただいております。また、生成AIを悪用したサイバー攻撃の増加やAI導入に伴うセキュリティリスクへの対応として、AI活用環境におけるセキュリティ対策の強化にも取り組んでおります。
同社は、2024年2月期から2026年2月期にかけて、中期経営方針のもと「マネージドサービスの対応領域拡大・競争力強化」「成長セキュリティ市場への参入」「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」を掲げ、人材の獲得、サービス企画・事業開発の強化、ソフトウェア開発等の事業投資を行う計画を公表し、実現に向けての取り組みを行っております。
a.財政状態
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ75,376千円減少し、8,072,292千円となりました。これは主に、暗号資産の増加129,743千円、売掛金の増加86,795千円があったものの、現金及び預金の減少385,592千円があったこと等によります。
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ232,050千円減少し、2,714,180千円となりました。これは主に、長期借入金の減少241,732千円があったこと等によります。
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ156,674千円増加し、5,358,111千円となりました。これは主に、利益剰余金の減少14,335千円があったものの、資本金の増加18,700千円、資本剰余金の増加18,700千円、非支配株主持分の増加135,268千円があったこと等によります。
b.経営成績
当中間連結会計期間の売上高は3,098,639千円(前年同期比:9.6%増)となり、EBITDA(注)492,561千円(前年同期比:69.1%増)、営業利益258,698千円(前年同期比:191.2%増)、経常利益212,883千円(前年同期比331.6%増)、親会社株主に帰属する中間純損失は14,335千円(前年同期は118,275千円の損失)となりました。
費用面に関しては、当社グループにおいて適切なコストコントロールを進め、広告宣伝費については効果の高い施策に集中することで抑制を図りました。一方で、事業・サービス拡大に伴う人材採用強化による人件費等の増加や、支払手数料の増加等がありましたが、販売費及び一般管理費は前年同期比で減少しております。なお、売上原価については事業拡大に伴い増加しております。また、主に当社・バリオセキュア社における繰延税金資産の計上等により、連結全体での法人税等調整額は△11,535千円(△は利益)となっております。
当社グループの当中間連結会計期間におけるセグメント別の損益状況については、第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)をご参照ください。
(注)EBITDA:営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、2,844,025千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において営業活動の結果得られた資金は、92,938千円(前年同期は16,602千円の使用)となりました。主な内訳は、減価償却費129,685千円、のれん償却費83,920千円、暗号資産の増加129,743千円及び法人税等の支払額72,725千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において投資活動の結果使用した資金は、153,003千円(前年同期は271,941千円の使用)となりました。主な内訳は、無形固定資産の取得による支出102,817千円、有形固定資産の取得による支出41,837千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間連結会計期間において財務活動の結果使用した資金は、241,733千円(前年同期は549,835千円の収入)となりました。主な内訳は、長期借入金の返済による支出241,732千円であります。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当中間連結会計期間において、当社グループが前連結会計年度の有価証券報告書に記載した会計上の見積りの内容及び当該会計上の見積りに用いた判断について、重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は14,725千円であり、すべてAI Security事業に係るものであります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。