売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00882 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、中東での紛争が拡大するなど新たな地政学リスクの高まりを受け、不安定な状況にありました。内需と輸出のいずれも低迷が続く欧州経済は停滞が見られた一方、米国経済は個人消費支出と製造業を中心とする設備投資の増加を背景に堅調に推移しました。中国経済は米中貿易摩擦による輸出の冷え込みに加え、国内経済の不安要素が内需を抑制し、低調に推移しました。わが国経済においては、インバウンド需要の増加が続き、緩やかな回復が見られました。しかしながら、海外経済の停滞が続くなか、国際情勢の悪化に伴い、先行きの不確実性は高まりました。

 このような環境のなか、当社グループにおいては、自動車産業の堅調な推移やインバウンド需要の増加などの好要因があったものの、欧州経済や中国経済の停滞による輸出不振や可塑剤の海外市況下落による価格競争力の低下などの影響が大きく、販売数量は伸び悩み、収益を圧迫する結果となりました。

 

 この結果、当第3四半期連結累計期間における当社グループの売上高は240億8千万円(前年同四半期比5.1%減)となり、損益面では、営業損失9千5百万円(前年同四半期は2億2千6百万円の損失)、経常利益3億4百万円(前年同四半期比16.1%増)、親会社株主に帰属する四半期純損失8千3百万円(前年同四半期は2億3千5百万円の損失)を計上する結果となりました。

 

 当社グループは、中期経営計画(2022年3月期~2026年3月期)に基づき、サステナブル経営の実現に向けた事業構造の改革を推し進めております。

 収益構造の見直しについては、不採算事業の整理・立直しを進めるとともに、環境負荷の低減を可能にする製品やバイオマス由来など環境価値の高い製品などの新規事業にリソースを重点配分いたします。具体的には、販売シェアの回復と徹底したコスト削減に努めるほか、製造拠点の集約や製品ラインアップの見直しなどの合理化に着手しており、昨年6月に原料調達難及びコスト競争力の低下を背景としたステアリン酸の生産を停止しており、収益を圧迫する既存事業のスクラップ&ビルドを更に加速させてまいります。一方、新規事業育成の面では、バイオマス事業に注力しております。環境課題解決に寄与するバイオマス由来の化粧品原料「リカナチュラ」をはじめ、バイオマス由来潤滑油「エヌジェルブ」、バイオマス可塑剤「グリーンサイザー」の3ブランドを成長させてまいります。

 

 主要製品の概況は次のとおりであります。

 トイレタリー向け界面活性剤においては、中国市場の減退および国内消費の低迷により数量、売上高ともに大幅な減少となったほか、需要が低迷していた繊維油剤原料向けアルコールは市場が回復に向かってはいるものの、数量は前年を下回りました。食品・医薬品向け添加剤が前年並みで推移した一方、日用品雑貨などのポリオレフィン樹脂成形物向け樹脂添加剤は、主要輸出先である欧州においてポリオレフィン需要が低迷し、数量、売上ともに前年を下回りました。

 床材や電線被覆材などの建材向け原料である可塑剤製品は、国内需要が緩やかな回復基調にあったことから、販売数量は前年を上回ったものの、海外市況下落の影響が大きく、売上高は前年を下回りました。

 自動車産業向け製品においては、需要回復から堅調に推移し、数量、売上ともに前年を上回りました。電子材料向け製品においては、実需要の回復は鈍いものの、メーカー需要に回復がみられ、数量、売上高ともに前年を上回りました。

 

② 財政状態

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は前期末比3.2%増となり、金額で12億3千3百万円増加の397億8千7百万円となりました。

 流動資産につきましては、現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加したものの、仕掛品、原材料及び貯蔵品が減少したことなどにより、前期末比0.2%減、金額で3千3百万円減少の189億5千4百万円となりました。固定資産につきましては、投資有価証券の時価が上昇したことなどにより前期末比6.5%増となり、金額で12億6千7百万円増加の208億3千2百万円となりました。

 流動負債につきましては、短期借入金の減少などにより、前期末比1.7%減、金額で2億1千9百万円減少の123億1千2百万円となりました。固定負債は繰延税金負債の増加などにより、前期末比2.5%増、金額で2億2千3百万円増加の92億9千万円となりました。

 純資産につきましては、その他有価証券評価差額金が増加したことなどにより、前期末比7.3%増、金額で12億2千9百万円増加の181億8千4百万円となりました。

 この結果、当第3四半期連結会計期間末の自己資本比率は42.8%となりました。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(3)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は622百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。