売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E34721 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)における我が国経済は、内需及びインバウンド需要拡大により社会経済活動が進んでおります。

当社グループについては、主たる事業領域であるPHR(パーソナル・ヘルス・レコード)関連業界において、いわゆる「団塊の世代」がすべて75歳以上となり超高齢社会を迎える「2025年問題」を見据え、給付と負担のバランスを図りながら制度の持続可能性を確保するための医療制度改革が進む一方、高齢化に伴い慢性疾患罹患率が増加し、日常生活の中で生活の質(QOL)の維持・向上を図っていく必要性が高まるなど医療に対するニーズの変化が着実に進みました。

また、医療資源の不足等により医療機関による患者への遠隔モニタリングや平時から災害に備えたPHRを利用した地域住民の健康管理情報の活用の必要性の理解が高まっており、当社グループが進めるPHRサービスが社会的課題の解決策の一つとして認識されております。

このような事業環境の下、当社グループは「Empower the Patients」を事業ミッションとして掲げ、医療関係者をはじめ、製薬企業、医療機器メーカー等とともにPHRプラットフォームサービスの普及に取り組みました。

PHRプラットフォームサービスにおいては、政府が運営するマイナポータルに接続し、予防接種歴、薬剤情報及び特定健診情報の取得・閲覧が可能となりました。これにより、患者(個人)はもとより、保険者(健康保険組合・自治体)など健康維持改善を支援する団体や医療機関等が様々な保健医療情報(健診・予防接種情報、レセプト・処方箋情報、電子カルテ・検査情報など)とライフログデータ(日々の食事の内容やカロリー、血圧や血糖値など)にシームレスにアクセスでき、運動管理、健康維持、服薬管理、医療従事者による患者の健康状態や治療状況の把握・介入などの目的で活用することができるようになります。

また、PHRサービス事業を展開する企業と共に多様なステークホルダー間の協調を促進し、PHRサービス産業の発展を通じて、国民の健康寿命の延伸や豊かで幸福な生活(Well-being)に貢献することを目的として「PHRサービス事業協会」に参画しております。本協会の執行役として、またPHRサービスのリーディングカンパニーとして、さらなる利便性を追求し、患者の同意を前提とした上での医療データポータビリティを促進するため、ステークホルダー(医療機関関係者・学術機関・行政など)との対話を重ね、患者の皆様にいっそう安心してご利用いただける医療環境の構築を目指しております。

当社と中部電力株式会社は、個人向けヘルスケアアプリや医療機関向けサービスの開発・普及に向けた資本業務提携に合意しました。この合意に基づき、当社は、中部電力株式会社の子会社であるメディカルデータカード株式会社株式の過半数を取得するとともに、中部電力株式会社を引受先とした第三者割当増資を実施しました。

また、当社を持分法適用会社とし、中部電力株式会社と業務提携を締結している株式会社スズケンも加えた3社共同でヘルスケアサービスを開発し、地域に新たな価値を提供していくため、株式会社スズケンもメディカルデータカード株式会社株式の一部を取得いたしました。今後、3社は当社が持つPHRサービスを中心として、各社が保有するサービスを掛け合わせ、中部電力株式会社が持つお客さまへの利用提案をはじめ、医療機関への診療効率向上につながるソリューション提案や自治体にヘルスケアサービスをセットで提供可能な体制の構築を目指すとともに、中部電力株式会社のお客さまとの接点や株式会社スズケンの医療機関・医療介護従事者との接点を最大限活用し、三位一体となった「医療プラットフォーム」の構築による新たな価値の提供を目指していきます。

 

当社グループの疾患ソリューションサービスの売上高は87,000千円となりました。製薬企業から受注を受けた新規PHRサービスの企画や開発、既存PHRサービスの改修や機能追加、既存案件の保守運用が売上の主な構成要素となっております。2024年12月期に新規PHRサービスとして重症喘息、眼科系疾患及び免疫反応疾患の疾患領域において、サービスリリースを行うべく推進しております。製薬業界全体のDX(Digital Transformation)は継続しており、顧客の需要は高いため、売上パイプライン拡充への取組を継続して実施します。

従来からの取り組みであるPHRを製薬企業の新薬プロモーションにおけるPSP(Patient Support Program)や臨床研究に必要なePRO(Patient Reported Outcome)データ収集ツールとして利用するなどの事業を、従前からの生活習慣病領域に加えて自己免疫疾患、オンコロジー、慢性疼痛等の多岐にわたる疾患領域において継続展開することにより、売上パイプライン及びPHRを利用する医療機関が全国で拡大しています。また、大学病院等と連携した臨床研究を推進するとともに、さらなるPHRの臨床実装を拡大しております。
  オンコロジー領域においては、医療機関等へマイカルテONCの普及活動を行うことにより契約医療機関等は増加し、臨床実装は拡大しております。患者や医療従事者を含む、がん治療に関わるステークホルダーがマイカルテONCを利用することにより、患者の記録した日々の症状日誌や医療従事者の記録した治療データがPHRとして蓄積され、がん治療領域におけるリアルワールドデータとして今後の治療・研究等の推進に利用されることを見込んでいます。

実臨床におけるPSPと臨床研究の両方の目的を同時に満たすPHRソリューションを展開することで、新たなマーケットを創出し、更なる売上パイプライン拡充を行います。

 2023年7月に株式会社リハサクへの出資を行い、リハビリテーション領域でのPHR活用での協業を進めております。本出資は、かねてからの当社の強みである薬物療法のみならずさまざまな療法を事業に包含する機会の一環として捉えるものです。今後も当社サービスを利用する患者を取り巻くステークホルダーによる患者体験の向上に対して投資を推進します。

 

当社グループのWelbyマイカルテサービスの売上高は、主にPHRプラットフォームの保守運用売上及びPHRサービス利活用に向けた実証実験により15,925千円となりました。基盤提供については、案件の大型化により受注リードタイムが長期化しておりますが、自社でPHRサービスを展開したい顧客の需要は高まっており、2024年12月期以降において収益の拡大を見込んでおります。具体策としては、従来の生命保険会社や健保組合のみならず、ヘルスケア事業に新規参入する企業へのアプローチとして、定期的なWebinarを開催して新規顧客の発掘に努めております。

サービス普及の観点からは、広範な顧客網を有する株式会社スズケン、フクダ電子株式会社などのパートナー企業との協業を重点地域においてより強化することや、大学病院や学会等との協業だけではなく、新規パートナー企業である中部電力株式会社及び株式会社NTTドコモとサービス普及を推進しております。中部電力株式会社とは、特に中部圏でのPHRの社会実装の加速、株式会社NTTドコモとはPHRを活用した各疾病領域における予防および重症化防止を目的としたサービス提供を行っております。引き続き、新たな医療機関への普及を積極的に行いながら、これまでに導入を完了した医療機関を対象に実臨床におけるPHRの利用価値の訴求・情報提供を推進しました。また、糖尿病領域向けには株式会社三和化学研究所や各血糖測定器メーカーとの連携により、糖尿病専門医に特化した普及や利用促進が加速しております。また、PHRと電子カルテ及び検査値データ等の連携推進を通じて医療の質的向上に寄与すると見込んでおり、PHRのデータポータビリティ実現に向けて更なる普及に取り組んでおります。具体的には、広範な検査会社とデータ連携機能を有するメディカルデータカード株式会社株式の過半数を取得し協業を強化します。加えて今後は、処方箋送信機能や決済機能などの機能強化を行いながら株式会社スズケンと保険薬局向けサービスを共同展開し、保険薬局へのWelbyマイカルテ普及を推進する予定です。Welbyマイカルテ利用者が登録したかかりつけ医療機関は2024年3月末時点で約28,105施設(無料利用施設を含み、重複を除く)となっています。なお、2024年3月末時点で各アプリの合計ダウンロード数は約106万回に達しております。

PHRサービスと他分野の協業の一環として、患者や利用者個人の健康状態や好みに合わせてパーソナライズ化された情報やユーザー体験を提供することや、そのサービス提供によるアウトカム向上(健康状態の改善)を目指すヘルスケア事業を展開しております。具体的には、生命保険分野において業務提携関係になる大同生命保険株式会社と保険契約者の生活習慣の改善に向けた取り組みや新たな保険商品・サービスの開発などを目的としたWelbyマイカルテ利用者の生活習慣・重症化予防効果についての共同研究を行った結果を踏まえ、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症などを対象に生活習慣を改善するための保険商品と連動したサービス開発などを継続推進するとともに、対象疾患の拡大を進めております。

上記のようなパーソナライズ化されたヘルスケア事業をより一層推進するため、子会社となる株式会社Welbyヘルスケアソリューションズにおいて、未病・予防を含む生活習慣病領域におけるPHRサービス利用の拡大とPHRを活用したサービス開発を推進しております。具体的には、保険者(健康保険組合・自治体)向けソリューションの事業化に向けた活動を実施しております。また、中長期的には普及拡大とサービス開発の進展及び他社とのアライアンス等によりWelbyマイカルテが生活習慣病領域における業界標準となることを目指しております。

アライアンスの一環として、当社グループは日本生命保険相互会社と業務提携契約を締結するとともに、株式会社Welbyヘルスケアソリューションズが日本生命保険相互会社と株式引受契約を締結しております。この資本業務提携により当社グループは、日本生命保険相互会社と協働して、かかりつけ医ネットワークを活用したPHRソリューションの普及を推進し、未病・予防から医療現場に至る生活習慣病領域において双方が有するノウハウや資源を活用して、保険者(自治体・健康保険組合)、企業における健康経営・データヘルス推進に向けた課題解決を図ってまいります。また、新規のアライアンスとして、当社は株式会社NTTドコモとPHRを活用した各疾病領域における予防および重症化防止を目的に、業務提携契約を締結しました。本業務提携契約を通じて、①各種疾病の予防・治療効果向上に向けたキャンペーン施策、②高血圧症およびその他疾病領域における協業の検討、③当社と株式会社NTTドコモがそれぞれ保有するPHR基盤を活用したヘルスケア事業の検討を推進してまいります。

 

これらの結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は102,925千円、売上総利益については71,062千円となりました。

販売費及び一般管理費については、業容拡大のための開発投資を行ったこと等により199,421千円となりました。開発投資の内、プラットフォーム開発投資は、共通基盤での各種ガイドラインへの適用拡大、疾患治療向けPHRの患者UXナレッジの標準化、マイナポータルや予約決済システム連携などの機能整備、セキュリティー強化など、PHRプラットフォーム基盤の継続強化のための開発投資となります。当該投資による開発コストの低減により収益性は向上しております。今後、当該投資の促進により収益性の更なる向上及び基盤提供商材の充実による収益貢献を見込んでおります。

営業損失は128,358千円、経常損失は128,889千円、親会社株主に帰属する当期純損失は126,980千円となりました。この内、マイカルテやプラットフォーム開発などへの先行投資額は51,145千円となりました。

 なお、当社グループは、PHRプラットフォームサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

 

 

 

 

2021年12月期、2022年12月期及び2023年12月期における四半期別の売上高は、次のとおりであります。

単位:百万円

(売上構成率:%)

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

2021年12月期

205(18.0)

184(16.2)

322(28.3)

427(37.5)

1,139(100)

2022年12月期

183(17.5)

226(21.6)

133(12.7)

507(48.3)

1,050(100)

2023年12月期

105(18.4)

109(18.9)

131(22.9)

228(39.8)

575(100)

 

(注) 2023年12月期第2四半期より連結財務諸表を作成しております。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当第1四半期連結会計期間末の資産については、総資産が1,298,291千円となり、前連結会計年度末と比較し92,952千円の増加となりました。

流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ55,413千円増加し、1,187,406千円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が176,329千円増加し、売掛金が112,705千円減少したことによるものであります。

固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ37,539千円増加し、110,885千円となりました。主な増減内訳は無形固定資産が39,539千円増加したことによるものであります。

(負債)

負債については、304,614千円となり、前連結会計年度末と比較して217,089千円の増加となりました。

流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ217,089千円増加し、304,614千円となりました。主な増減内訳は、短期借入金が200,000千円増加したことによるものであります。

固定負債の残高は0円となりました。

(純資産)

純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ124,136千円減少し、993,677千円となりました。主な増減内訳は、繰越利益剰余金が126,980千円減少したことによるものであります。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(5) 主要な設備の新設・除却

該当事項はありません。