売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E35287 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、雇用・所得環境が改善するなかで、景気回復の兆しがみられた一方、海外景気の下振れや物価高により金融市場の見通しは未だ不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受け大きく変容しました。2023年1月に当社グループが実施した「働き方調査2023」(注)によると、フリーランスの約4割、副業者の約6割が2020年以降に活動を開始しており、新型コロナウイルス感染症の流行が働き方に変化をもたらしたと言えます。また、収益を得ることのみならず、スキルアップといった自己実現を目的にそのような働き方を選択する人材が増えていることも特徴的です。一方、経済活動の再開に伴い企業側の人手不足の問題もより深刻化しております。特に2030年にはデジタル人材が最大79万人不足すると言われており、日本政府はデジタル人材の育成に投資することを表明しております。そうした状況下で、デジタルスキルを習得したフリーランスや副業人材の活躍がより一層期待されるとともに、企業側の外部人材の受け入れや多様な働き方ニーズへの対応が進み、人材の流動性が増していくことが予測されます。また「働き方調査2023」によれば、フリーランスや副業人材の案件獲得方法として当社のようなプラットフォームを利用しての獲得が半数を占め、獲得や依頼におけるオンライン化が進行していることが窺えます。それらは人材の流動性を加速させる後押しとなっており、今後更なる市場拡大が見込まれることと想定しております。

当社グループはこのような環境において「個のエンパワーメント」をミッション、「すべてのビジネスを『ランサーの力』で前進させる」、「誰もが自分らしく才能を発揮し、『誰かのプロ』になれる社会をつくる」をビジョンとして、マッチングプラットフォームを通じた双方への価値提供を強化してまいりました。オンライン上でクライアント(企業)とランサー(個人)を直接マッチングするサービスである「Lancers」、クライアントのエンジニア・デザイナー・マーケター等の求人ニーズに対応して、エージェントを介してフリーランス人材を紹介するサービスである「Lancers Agent」と、同様の形でコンサルタントを紹介する「Professionals On Demand」を当社グループの主力サービスに位置付け、事業を拡大しております。

当第3四半期連結累計期間においては、規律ある投資や生産性向上施策に継続して取り組むなかで、43,279千円の営業黒字を達成し、通期営業黒字に向けても計画通りに進捗しております。事業については、組織体制を強化することで1人当たり売上総利益は増加し、併せて販管費の継続的な見直しにより、収益性を大きく改善しております。今後は多数のプロダクトアップデートを通じてユーザー体験を大きく改善することで利用ユーザー数の拡大を図ってまいります。

さらに、来期以降の成長性・収益性の拡大実現に向け、2024年1月に子会社である株式会社ワークスタイルラボを当社に吸収合併いたしました。吸収合併に伴い、業務再編を行うなかで、システム機能の統合や、人員削減等の合理化を実施するなど構造改革を推進いたしました。今後は、一連の構造改革に伴い発生した余剰費用をセールスやマーケテ ィング等の成長投資に振り向けることで、事業成長の加速を図ってまいります。

 以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は3,364,537千円(前年同期比3.0%減)となり、営業利益は43,279千円(前年同期は営業損失304,828千円)、経常利益は46,945千円(前年同期は経常損失299,940千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益は7,026千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失306,685千円)となりました。
 なお、当社グループはプラットフォーム事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(注)「働き方調査2023」は、当社グループが「Lancers」にランサー(受注者)として登録している個人(フリーランス)を対象に、2023年1月30日~2月5日までの期間に実施した調査であり、209名からの回答を得てまとめたものです。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産につきましては、前連結会計年度末と比較して83,466千円減少し、2,990,051千円となりました。これは主に、流動資産において売掛金が105,818千円、未収入金が37,501千円、無形固定資産においてソフトウエアが70,004千円減少したこと等によるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債につきましては、前連結会計年度末と比較して103,579千円減少し、2,012,542千円となりました。これは主に、流動負債において賞与引当金が45,816千円、固定負債において長期借入金が48,650千円減少したこと等によるものです。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産につきましては、前連結会計年度末と比較して20,112千円増加し、977,508千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が7,026千円増加し、さらに譲渡制限付株式報酬としての新株式発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ2,953千円、また、新株予約権行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ3,752千円増加したこと等によるものです。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、(6)に記載した事項を除き、重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(6)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策

当社グループは、「第2 事業の状況 1事業等のリスク」に記載のとおり、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

それに対し、当社グループは当該重要事象等を解消するべく、以下の対応策を講じることにより収益改善及び財務基盤の安定性に取り組んでまいります。

 

 

事業の選択と集中

当社グループの事業ポートフォリオの見直しを行っております。具体的には、前連結会計年度においてはマネージドサービス事業の完全撤退をすることで当社グループの収益性を改善し、さらに2022年6月には株式会社ワークスタイルラボを子会社化することで当社グループの競争力を強化いたしました。また、当連結会計年度において、新規事業であるLancers Digital Academy事業の事業推進状況や採算性を鑑み、2023年9月末において事業撤退することを意思決定し、2023年12月末で完全撤退しております。

さらに、2022年6月に子会社化した株式会社ワークスタイルラボについても第1四半期連結会計期間末から構造改革による収益改善を進め、2024年1月には経営の効率化と成長の加速を企図し、当社との吸収合併も行っております。

これらの取り組みに加え、当社グループでは、主要サービスである「Lancers」、「Lancers Agent」、及び「Professionals on demand」をマッチング事業に集約し、成長性・収益性の高いマッチング事業への投資に集中することで成長角度を上げていきます。

 

②マッチング事業の収益性の改善

前連結会計年度においては、より規律ある投資を推進いたしました。具体的には、費用対効果の高い施策への集中やテイクレート改善、付加価値の高い領域への職種拡大、営業活動の効率化等、売上総利益の拡大を推進するとともに収益性の改善も進めております。さらに、2023年4月に主要サービス「Lancers Agent」を運営するランサーズエージェンシー株式会社、2024年1月に主要サービス「Professionals On Demand」を運営する株式会社ワークスタイルラボを吸収合併し、経営効率・事業効率の改善を図っております。今後もマーケティング・営業組織の強化を図り成長を加速させるとともに経営資源の効率化による収益性改善にも着手してまいります。

 

販管費の更なる適正化

当社グループは、事業拡大のための先行投資が続いたことにより、販管費が増加しておりました。このような状況を鑑み、当社グループでは、前連結会計年度においてすべての販管費の見直しを行い、適正なコストコントロールができる状態に改善をしております。また、組織の適正化・強化等も行い、生産性高く事業運営ができるようプロセス及び体制の整備を進めております。さらに、前連結会計年度から会社の統合や組織機能の統合などを進めることで、人件費や間接コストの削減も推進しております。今後もグループ全社において、引き続き販管費の適正化を推進していく予定です。

 

資金の確保

当社グループの現金及び預金については、前連結会計年度末の1,295百万円から当第3四半期連結累計期間では 1,415百万円まで拡大しております。これは前第4四半期連結会計期間(2023年1月~3月)における営業黒字に加え、第2四半期連結会計期間(2023年7月~2023年9月)及び当第3四半期連結会計期間(2023年10月~2023年12月)において2四半期連続で営業黒字を達成したことによるものです。

また、前連結会計年度より主要取引銀行との当座貸越契約に加えてコミットメントライン契約を締結しておりましたが、上記キャッシュフローの改善状況及び今後の資金計画を鑑み、2023年9月の契約更新時において、コミットメントライン契約を当座貸越枠の増枠に切り替えることを判断いたしました。これにより、総額1,210百万円の機動的な資金調達枠は引き続き確保しつつ、資金調達に関わる調達コストを抑制しております。

さらに、資本業務提携を通じた資本増強施策も推進し、事業運営に必要となる資金の確保及び財務基盤の強化を実現してまいります。