E00922 IFRS
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社および子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
また、文中における将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績
(業績管理指標「コア営業利益」について)
当社グループでは、IFRSの適用にあたり、会社の経常的な収益性を示す利益指標として、「コア営業利益」を設定し、これを当社独自の業績管理指標として採用しています。
「コア営業利益」は、営業利益から当社グループが定める非経常的な要因による損益(以下「非経常項目」)を除外したものとなります。非経常項目として除かれる主なものは、減損損失、事業構造改善費用、企業買収に係る条件付対価公正価値の変動額等です。
当第3四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、以下のとおりです。
■ 売上収益は2,350億円(前年同四半期比48.9%減)となりました。
進行性前立腺がん治療剤「オルゴビクス」、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤「マイフェンブリー」、過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」(以下「基幹3製品」)の売上は増加しましたが、非定型抗精神病薬「ラツーダ」の米国での独占販売期間が終了した影響や、連結子会社であった住友ファーマフード&ケミカル株式会社および住友ファーマアニマルヘルス株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、減収となりました。
■ コア営業損益は964億円の損失(前年同四半期は429億円の利益)となりました。
北米グループ会社の再編等による販売費及び一般管理費の減少に加え、住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡によるその他の収益の計上がありましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コア営業損失となりました。
■ 営業損益は1,177億円の損失(前年同四半期は178億円の損失)となりました。
前年同四半期には、特許権等の減損損失がありましたが、当四半期はコア営業損失になったことに加え、北米グループ会社の再編等に伴う事業構造改善費用を計上したことにより、営業損失は前年同四半期と比較し増加しました。
■ 税引前四半期損益は1,052億円の損失(前年同四半期は22億円の利益)となりました。
円安の影響により為替差益を計上しましたが、営業損失の影響が大きく、税引前四半期損失となりました。
■ 四半期損益は1,177億円の損失(前年同四半期は326億円の損失)となりました。
当四半期は税引前四半期損益が損失となったことから、四半期損失は前年同四半期と比較し増加しました。
■ 親会社の所有者に帰属する四半期損益は1,177億円の損失(前年同四半期は185億円の損失)となりました。
四半期損失の増加の影響が大きく、非支配持分に帰属する利益を控除した親会社の所有者に帰属する四半期損失は前年同四半期と比較し増加しました。
(セグメント業績指標「コアセグメント利益」について)
セグメント別の業績では、各セグメントの経常的な収益性を示す利益指標として、「コアセグメント利益」を設定し、当社独自のセグメント業績指標として採用しています。
「コアセグメント利益」は、「コア営業利益」から、グローバルに管理しているため各セグメントに配分できない研究開発費、事業譲渡損益等を除外したセグメント別の利益となります。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
なお、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分方法を変更したことに伴い、前第3四半期連結累計期間及び前第3四半期連結会計期間についても変更後の報告セグメント区分に組み替えて比較を行っています。当該報告セグメントの変更の詳細は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 (5) 要約四半期連結財務諸表注記 4.事業セグメント (2) 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
<日本>
■ 売上収益は892億円(前年同四半期比39.2%減)となりました。
2型糖尿病治療剤「ツイミーグ」や「ラツーダ」などの売上が伸長しましたが、2022年12月に2型糖尿病治療剤「トルリシティ」の販売提携が終了したことに加え、前年同四半期にはライセンス契約の契約一時金の売上収益計上があったことや、国内連結子会社2社について、それぞれの全株式を譲渡したことに伴い、当該2社が当社グループ傘下でなくなったことなどから、減収となりました。
■ コアセグメント損益は113億円の利益(前年同四半期比42.6%減)となりました。
販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、減益となりました。
<北米>
■ 売上収益は1,154億円(前年同四半期比58.7%減)となりました。
基幹3製品や小児先天性無胸腺症治療剤「リサイミック」の売上は増加しましたが、「ラツーダ」の米国での独占販売期間が2023年2月に終了した影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント損益は601億円の損失(前年同四半期は557億円の利益)となりました。
「ラツーダ」の独占販売期間終了および北米グループ会社の再編等に伴い販売費及び一般管理費は減少しましたが、減収による売上総利益の減少の影響が大きく、コアセグメント損失となりました。
<アジア>
■ 売上収益は305億円(前年同四半期比10.9%減)となりました。
東南アジアにおいて売上収益は増加しましたが、中国において薬剤費抑制策の影響を受けたカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の売上減少の影響が大きく、減収となりました。
■ コアセグメント損益は140億円の利益(前年同四半期比20.9%減)となりました。
減収による売上総利益の減少により、減益となりました。
(2) 財政状態
資産については、非流動資産では、当社が保有する投資有価証券の公正価値評価の変動等によりその他の金融資産が増加したことに加え、為替換算の影響によりのれんや無形資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ429億円増加しました。
流動資産は、棚卸資産は増加しましたが、現金及び現金同等物やその他の金融資産が減少した結果、前連結会計年度末に比べ1,177億円減少しました。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ748億円減少し、1兆600億円となりました。
負債については、金融機関からの借入金等が増加しましたが、北米での売上割戻金にかかる引当金やその他の流動負債等が減少した結果、前連結会計年度末に比べ116億円減少し、7,164億円となりました。
資本合計は、保有投資有価証券の公正価値変動および円安の影響によりその他の資本の構成要素が増加しましたが、利益剰余金が減少した結果、前連結会計年度末に比べ632億円減少し、3,436億円となりました。
なお、当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は32.4%となりました。
(3) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、四半期損失となったことに加え、引当金が減少したことや法人所得税の支払額が増加したことなどにより、前年同四半期に比べ2,873億円収入が減少し、2,307億円の支出となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却や住友ファーマアニマルヘルス株式会社の株式譲渡に伴う子会社の支配喪失による増加、短期貸付金の減少等により、前年同四半期に比べ167億円収入が増加し、383億円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加等により、前年同四半期に比べ1,051億円収入が増加し、721億円の収入となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物に係る換算差額および売却目的で保有する資産への振替額を加えた結果、当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は365億円となり、前連結会計年度末に比べ1,070億円減少しました。
(4) 事業上および財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は736億円(前年同四半期比3.1%減)となりました。なお、当該金額は、当第3四半期連結累計期間に計上した北米事業構造改善費用等57億円を含んでいることから、これを除いたコアベースの研究開発費は、680億円(前年同四半期比9.2%減)となりました。また、当社グループは、研究開発費をグローバルに管理しているため、セグメントに配分していません。
精神神経領域では、日本において、昨年6月、株式会社ヘリオスと共同開発を進めている他家iPS細胞由来網膜色素上皮(RPE)細胞(開発コード:HLCR011)について、網膜色素上皮裂孔を対象としたフェーズ1/2試験を開始しました。米国において、昨年7月、大塚製薬株式会社と共同で開発しているウロタロント塩酸塩(開発コード:SEP-363856)の急性期の統合失調症患者を対象とした2本のフェーズ3試験において、いずれの試験においても主要評価項目を達成しなかったという解析結果を得ました。更に詳細なデータ解析を続けており、統合失調症の今後の開発方針は大塚製薬株式会社と検討中です。昨年10月には、大塚製薬株式会社と共同で開発しているSEP-4199(開発コード)の双極Ⅰ型障害うつを対象として米国および日本で実施していたフェーズ3試験について、被験者登録の進捗の大幅な遅れにより試験の中止を決定しました。また、昨年11月に、カリフォルニア大学サンディエゴ校が、当社が製造するiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞を用いたパーキンソン病治療に関する医師主導治験(フェーズ1/2試験)を開始しました。
その他の領域では、米国で販売中の過活動膀胱治療剤「ジェムテサ」について、昨年9月、前立腺肥大症を伴う過活動膀胱(OAB)を対象としたフェーズ3試験において、主要評価項目を達成しました。また、中国において、昨年11月、市中肺炎治療剤「XENLETA」(一般名:lefamulin acetate)について承認を取得しました。
当社グループにおける開発状況は以下のとおりです。
(6) 生産、受注及び販売の実績
「ラツーダ」の米国での独占販売期間終了により、北米セグメントにおける生産実績及び販売実績が著しく減少しました。また、住友ファーマフード&ケミカル株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、同社が当社グループ傘下でなくなったことに加え、「トルリシティ」の販売提携が終了したことにより、日本セグメントにおける仕入実績及び販売実績が著しく減少しました。