売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00981 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 経営成績の状況

当社グループは、サイエンスとテクノロジーに立脚し、医薬品の研究(創薬)から開発、さらには販売までを手掛けるバイオ医薬品企業です。創薬は英国を拠点とする100%子会社のHeptares Therapeutics Ltd.が、開発・販売は日本を拠点とする100%子会社のイドルシアファーマシューティカルズジャパン株式会社(以下「IPJ」)と、韓国を拠点とするIdorsia Pharmaceuticals Korea Co., Ltd.(以下「IPK」)が主にその役割を担っています。

 

創薬においては、特に、Gタンパク質共役受容体(以下「GPCR」)を標的とする新規の低分子、ペプチド並びに抗体医薬品の創薬に注力しており、独自のStaR®(Stabilized Receptor)技術及び構造ベース創薬(以下「SBDD」)に基づき、低分子化合物及びペプチドの創薬やモノクローナル抗体探索のための抗原作成が可能です。

 

開発・販売においては、日本及びAPAC(中国除く)でピヴラッツ®(2022年発売済)及びダレドレキサント(2023年申請済)のライセンスと、第Ⅲ相臨床開発段階にあるCenerimod、Lucerastatの同地域でのライセンスオプション権を保有しており、持続的な開発・販売活動を行うことが可能です。

 

また上記に加えて、既存ビジネスとしてNovartis International AG(以下「ノバルティス社」)の呼吸器疾患製品シーブリ® ブリーズヘラー®、ウルティブロ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®のグローバルでの販売からのロイヤリティ収入を受領しております。ロイヤリティ収入は、当社グループの戦略的目標を支える資本の源泉となっています。

 

2022年に発足した新経営体制のもと、独自の創薬プラットフォーム及びパイプラインを起点とし、世界と日本の両面から事業を成長させる、明確で進化した新たな戦略を打ち出しています。

 

この戦略では、以下の4つを柱としています。

(1) 社内での継続的なイノベーションと、それを補完する優れたテクノロジーを持つ他社との提携を通じ、世界をリードするStaR®/SBDDに基づく創薬プラットフォームの競争優位性を、さらに拡大・強化する。

(2) グローバル製薬企業との既存の提携を前進させ、加えて価値の高い新規提携を行うことで、契約一時金、開発マイルストン、上市品の売上から得られるロイヤリティなどから、継続的な売上を確保する。

(3) 研究開発体制のプログラム重視型モデルへの転換、ターゲットの機能への深い理解、トランスレーショナルメディシンへの注力を通じて迅速に臨床POCを確立することで、開発品の品質と投資対効果を向上させ、より高い価値でのライセンスと、日本での自社開発を見据えた重厚なパイプライン構築を目指す。

(4) 日本での臨床開発~販売体制をアジャイルかつ拡大可能な形で構築し、日本という大きく魅力的な市場で、見逃されている市場の発掘に取り組む。開発リスクの低い、海外で承認済あるいは後期臨床開発段階の開発品を導入するとともに、中長期的には自社品の開発によりパイプラインの拡充を図る。

 

 

(1) 世界をリードするStaR®及びSBDD創薬力の拡大・強化

 

世界をリードするStaR®/SBDDの強化については、これまで行った提携を通じた取り組みを進めるとともに、新たな提携についても模索しています。当社グループは、GPCRに関する技術的優位性を強化することにより、複数のプログラムを創出し、自社開発パイプラインの強化と同時に、大手バイオ医薬品企業の創薬・開発パートナーとして選ばれ続けることを目指します。

 

2023年10月5日、当社グループとVerily Life Sciences LLC(以下「Verily社」)は、炎症性腸疾患(IBD)を適応症とした最初のGPCRターゲットの検証と選定に成功したことを発表しました。これはVerily社の持つ免疫プロファイリング能力と、当社グループの持つGPCR構造ベース創薬(SBDD)技術を集約した、2022年に発表した研究開発提携の成果です。両社は、遺伝子及び機能ゲノミクスのデータを用い、コンピュータ上での高度な解析と研究所での実験による実証を経て創薬ターゲットを選定することで、ターゲットと疾患との関連性を高い信頼性をもって検証し、臨床試験成功の可能性を大幅に向上させます。

 

2023年10月10日、当社グループは、PharmEnable Therapeutics(以下「PharmEnable社」)との間で、両社の優れたプラットフォーム技術を融合し、神経疾患をターゲットとした二番目の新規リード化合物創出に向けて提携を拡大したことを発表しました。本提携により、当社グループのSBDDプラットフォームと、人工知能(AI)・医薬品化学に基づくPharmEnable社独自の先進テクノロジー(chemUNIVERSE)を融合し、非常に特異性の高い新規リード化合物を特定し、開発を進めることが可能となります。両社は2021年の最初の技術提携契約を拡大し、創薬とその後の開発を共同で実施・費用負担します。すでに最初のターゲットに対する技術提携において、互いの技術を補完することで、新規の結合様式とケモタイプを持つ有望な低分子化合物を同定することに成功しています。

 

(2) 大手グローバル製薬企業との既存の提携の推進及び継続的な収益確保への取り組み

 

当社グループは、2023年1月に開催された第41回J.P.モルガン・ヘルスケア・カンファレンスにおいて、当社社長CEOのクリストファー・カーギルがプレゼンテーションを行うとともに、多くの大手グローバル製薬企業やバイオ医薬品企業との関係強化及び構築のための個別ミーティングを実施しました。

 

2023年1月5日、当社グループは、提携先のTempero Bio Inc.(以下「Tempero Bio社」)がFDAに対して、アルコールとその他の物質使用障害(Substance Use Disorder:SUD)を対象としたTMP-301の新薬臨床試験開始申請(IND)を行い、承認されたことを発表しました。TMP-301(旧開発コード:HTL0014242)は、当社グループが創出しTempero Bio社に導出した、新規の選択的mGluR5 NAM候補化合物です。Tempero Bio社は、米国国立薬物乱用研究所(NIDA)から最近交付された530万米ドルの助成金を活用し、2023年にTMP-301の健常人を対象とする第Ⅰ相臨床試験を開始しています。

 

2023年3月30日、Centessa Pharmaceuticals Limited(以下「Centessa社」)は、2022年12月期の事業進捗及び業績の報告において、当社グループのSBDDプラットフォームを利用して開発中の経口投与が可能なオレキシン受容体2(OX2R)の選択的作動薬であるORX750について、ナルコレプシー及びその他の睡眠障害に対するベストインクラスとなる可能性がある新薬開発候補品として選定したことを発表しました。また、Centessa社は、ORX750がNT1モデルマウスと野生型マウスにおいて覚醒時間の増加を示したことを発表しました。ORX750は、現在、前臨床開発及びINDに向けた研究開発活動を実施中です。

 

2023年6月27日、当社グループは、提携先であるPfizer Inc.(以下「ファイザー社」)が、糖尿病・肥満症の治療薬として臨床開発中のGLP-1受容体作動薬候補Danuglipronの開発を優先し、その結果、Lotiglipronの開発を継続しないことを決定したと発表しました。これらの新規の経口投与可能な新薬開発候補品は、いずれもファイザー社により第Ⅱ相臨床試験が行われていました。Lotiglipronは、当社グループ独自のStaR®技術を利用し、複数のターゲットを対象とした研究開発提携においてファイザー社が見出したものです。当社グループは、過去に類似の状況で他のプログラムで行ってきたのと同様に、ファイザー社とLotiglipronの今後の開発計画を含めた検討を行います。

 

2023年9月12日、当社グループは、提携先であるNeurocrine Biosciences Inc.が、NBI-1117570の安全性、忍容性、薬物動態及び薬力学を評価する、健常成人を対象とした第Ⅰ相臨床試験を開始したことを発表しました。NBI-1117570は、経口のムスカリンM1/M4デュアル受容体作動薬であり、神経疾患及び精神神経疾患の治療薬となることが期待されています。

 

2023年10月31日、当社グループは、ロシュ・グループ企業であるGenentech Inc.(以下「ジェネンテック社」)より、2019年に契約を締結した複数ターゲットを対象にした創薬提携において、3.75百万米ドルのマイルストンを受領することになったと発表しました。創薬に関する本支払いは、非公開のGPCRをターゲットとした、ファーストインクラスとなり得る医薬品の開発進展によるものです。ジェネンテック社が選定した複数のGPCRに対して、当社グループ独自のGPCR構造ベース創薬技術と、ジェネンテック社の創薬、開発及び疾患における専門知識を融合した進行中の提携において、一定のマイルストンを達成しました。本提携において、あらかじめ定められた開発及び販売の目標の達成に応じて、当社グループは総額1,000百万米ドルを超えるマイルストンを受領する権利を有しています。

 

2023年11月6日、当社グループはファイザー社より、新規の経口低分子GLP-1受動体作動薬の第Ⅰ相臨床試験を開始したと通知されたことを発表しました。PF-06954522は、当社グループのStaR®技術を用いた、複数のターゲットを対象とした研究開発提携においてファイザー社が見出したものです。ファイザー社は、2023年10月31日公表の臨床開発パイプラインにおいて、PF-06954522を臨床開発中の品目として追加しました。

 

(3) 生産性と付加価値、そして成功確率を高めるために、研究開発体制をプログラム重視型モデルに転換

 

当社グループは、研究開発体制の強化に注力しており、2023年に2つ以上の自社開発プログラムの臨床試験を開始するという目標を達成しました。

 

2023年7月3日、当社グループは、統合失調症及び関連神経疾患の治療薬として、ファーストインクラスの治療薬候補であるGPR52受容体作動薬(HTL0048149)の第Ⅰ相臨床試験で、最初の被験者への投与を行ったことを発表しました。HTL0048149は、抗精神病及び認知機能改善作用を持ち、既存の抗精神病薬に見られる副作用がない1日1回の経口低分子治療薬として生み出されました。HTL0048149は、脳内のオーファン受容体であるGPR52受容体を標的とすることで、統合失調症に伴う陽性症状(精神病、妄想、幻覚など)、陰性症状(引きこもりなど)及び認知機能障害(注意力、作業記憶、実行機能など)の改善を目指します。このような新規の作用機序により、HTL0048149は、既存の抗精神病薬で効果がない、あるいは副作用のために服薬が継続できない多くの統合失調症の患者さまのお役に立つことを目指しています。なお、既存の医薬品は、陰性症状や認知症状において十分な治療効果を得ることができていません。本第Ⅰ相臨床試験は2つのパートから構成される、18~55歳の健常人を対象とした、HTL0048149の安全性、薬物動態、薬力学的作用を検討する、無作為化二重盲検プラセボ対照、単回及び反復投与用量漸増試験です。本試験は、英国で実施されており、最初のデータリードアウトは開始から12~18ヵ月後になる予定です。

 

2023年8月10日、当社グループは、Cancer Research UK(英国王立がん研究基金)との提携において、当社グループが見出した、進行性固形がんに効果が期待される経口がん免疫療法候補薬HTL0039732の第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験で、最初の被験者への投与を行ったことを発表しました。HTL0039732は、プロスタグランジンE2(PGE2)に対する受容体の一種である、EP4受容体を介したシグナル伝達を阻害することで効果を発揮します。PGE2はがん微小環境でがん細胞の免疫回避を活性化させており、EP4受容体を標的としてPGE2の作用を阻害し、免疫系が、がん細胞を識別・抑制する機能を高めることで、マイクロサテライト安定性(MSS)大腸がん、胃食道がん、頭頸部がん、去勢抵抗性前立腺がんなど、既存の免疫療法では治療効果が十分でないがん種への効果が期待されます。本第Ⅰ/Ⅱa相臨床試験は、Cancer Research UKのCentre for Drug Developmentが資金拠出・デザイン・実施を担い、HTL0039732の毒性・忍容性・薬物動態の検討、第Ⅱ相臨床試験推奨用量の決定、単剤及びPD-L1阻害剤アテゾリズマブとの併用での抗腫瘍活性の評価、の三点を主な目的としています。Cancer Research UKのCentre for Drug Developmentが実施する本第Ⅱa相臨床試験では、特定のがん種での併用療法を対象に、最大4つのコホートで用量拡大を検討予定です。また当社グループは、その後の臨床開発・商業化に向け、HTL0039732に対する本試験の結果のライセンスを保有します。

 

(4) 日本における有数の販売プラットフォームの構築

 

2023年4月1日、当社グループは、当社社長CEOのクリストファー・カーギルが同日付で株式会社そーせいの代表取締役社長に就任することを決定し、当社グループの戦略目標達成のための日本事業の強化を見据え、当社CEOが直轄で同社の事業運営を行っていく体制に変更しました。

 

日本事業の確立については、臨床開発~販売体制をアジャイルかつ拡大可能な形で構築し、日本の患者さまに人生を変える医薬品を届け、この大きく魅力的な市場で、見逃されている市場の発掘に取り組むことを柱のひとつに掲げています。

2023年7月20日、当社グループは、Idorsia Ltd及びIdorsia Pharmaceutical Ltd(以下総称して、「イドルシア社」)より、IPJ及びIPKの全株式を取得し子会社化すること(以下「本取引」)を発表しました。

 

(注)  中国を除くAsia-Pacific地域。韓国、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、台湾、タイ、ベトナムを含む

 

IPJとIPKの子会社化は日本における有数の販売プラットフォームを構築するための最良の手段であり、当社チームのグローバルでの徹底的なリサーチの結果です。本取引は手元現金と低利の新規長期借入金により資金手当て済みであり、通期での初年度から、キャッシュ・フローを創出する予定です。本取引の戦略的意義は以下の通りです。

・ 日本における卓越した臨床開発機能と収益力の高い販売体制、従来にない販売・マーケティングモデル、規模拡大とさらなる価値創出力が加わることによって、当社グループのミッションを加速する。

 

・ 主要製品であるピヴラッツ®とダリドレキサントの獲得、及びCenerimodとLucerastatに対する独占的オプション権、そしてイドルシア社のグローバルパイプラインから最大5品目の臨床段階にある追加的プログラムに対する特定の権利により、将来のパイプラインを確保・拡大する。

 

・ 過去20年にわたり、日本と韓国で多くの承認取得と上市を成功させてきた田中諭氏が率いる、経験豊富で卓越した実績とサービス提供力を有するチームを獲得する。

 

・ 日本の高品質な臨床環境を活用し、見逃されている専門疾患領域をターゲットにするとともに、より広域なAPACへの拡大と製品上市を可能とするプラットフォームを獲得する。

 

また本取引によって、日本及びAPAC(中国を除く)地域において、(1)当社グループが100%保有している従来からの自社開発品、(2)イドルシア社のパイプラインから選定され当社がオプション権あるいは特定の権利を獲得した臨床候補化合物、及び(3)他社の有望な製品/開発品の導入、の3つの方法で、有望なパイプラインを獲得し開発及び販売を行うことができるようになります。

 

加えて、当社グループは、日本及びAPAC地域以外においては、従来通り、当社の強固な創薬プラットフォームから生まれた新規候補化合物やプログラムについて、大手製薬企業との提携を目指します。

 

2023年10月31日、当社グループは、IPJが、不眠症患者に対する治療薬として持田製薬株式会社(以下「持田製薬」)と共同開発してきたデュアルオレキシン受容体拮抗薬であるダリドレキサントの製造販売承認申請(NDA)を医薬品医療機器総合機構(PMDA)に提出したと発表しました。本申請に関連して、当社は15億円のマイルストンを受領することになります。本申請は、本邦におけるダリドレキサントの安全性及び有効性を検討した無作為化二重盲検プラセボ対照第Ⅲ相臨床試験の良好な試験結果に裏付けられています。ダリドレキサントは2022年1月に米国で、4月に欧州でそれぞれ承認されており、その他の承認済み地域を含めイドルシア社がQUVIVIQ™のブランド名で販売しています。日本においては、2019年12月にIdorsia Pharmaceutical Ltd.と持田製薬が不眠症(関連疾患を含む)に対するダリドレキサントの供給、共同開発及び共同販売に関する独占的ライセンス契約を締結し、同契約のもと持田製薬とIPJが共同開発を行ってきました。

 

(5) その他のビジネスハイライト

 

2023年3月15日、株式会社東京証券取引所の承認を受け、当社株式は東証グロース市場から東証プライム市場へ上場市場区分を変更しました。当社グループは、東証プライム市場への上場市場区分変更により、国内外の機関投資家を通じたより大きく長期的な資本へのアクセスを可能とし、グローバルに事業を展開する当社グループの特性に見合ったものへと株主基盤が強化されることで、当社グループのビジョン達成の助けとなることを期待しています。2023年4月27日、当社株式は日本の重要な株価指数である東証株価指数(TOPIX)に採用されました。

 

当社グループの当第3四半期連結累計期間の経営成績

2023年9月30日現在、当社グループの従業員数は348人(2022年12月31日時点比146名増)です。これは主に、当第3四半期連結累計期間において、IPJ及びIPKの株式を取得し、連結の範囲に含めたことによるものです。

 

当第3四半期連結累計期間の業績は、売上収益5,474百万円(前年同四半期比3,167百万円減少)、営業損失7,992百万円(前年同四半期は615百万円の損失)、税引前四半期損失7,865百万円(前年同四半期は3,108百万円の損失)、四半期損失6,985百万円(前年同四半期は3,225百万円の損失)となりました。なお、以下の業績には、IPJ及びIPKの株式取得日(2023年7月20日)以降の業績が含まれています。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 当第3四半期連結累計期間

(自 2023年1月1日

 至 2023年9月30日)

 前第3四半期連結累計期間

(自 2022年1月1日

 至 2022年9月30日)

増減

売上収益

5,474

8,641

△3,167

売上原価

△1,352

△740

△612

研究開発費

△7,013

△5,623

△1,390

販売費及び一般管理費

△6,012

△3,170

△2,842

営業費用合計

△14,377

△9,533

△4,844

その他の収益及びその他の費用

911

277

634

営業損失(△)

△7,992

△615

△7,377

金融収益及び金融費用

127

110

17

持分法による投資損益

△767

767

持分法で会計処理されている投資の減損損失

△1,836

1,836

税引前四半期損失(△)

△7,865

△3,108

△4,757

法人所得税費用

880

△117

997

四半期損失(△)

△6,985

△3,225

△3,760

 

 

 

 

代替業績評価指標

 

 

 

(コア営業損益)(注)1

 

 

 

営業損失(△)

△7,992

△615

△7,377

調整額

 

 

 

有形固定資産の減価償却費

621

421

200

無形資産の償却費

875

579

296

株式報酬費用 (注)2

568

382

186

構造改革費用 (注)2

53

533

△480

企業買収関連費用

1,272

1,272

売上原価調整額 (注)3

683

683

コア営業利益又は損失(△)

△3,920

1,300

△5,220

 

 

 

 

USD:JPY(期中平均為替レート)

138.09

127.94

10.15

GBP:JPY(期中平均為替レート)

171.91

160.51

11.40

(注)1 コア営業損益は営業損益(IFRS)+重要な非現金支出費用+重要な一時的支出費用で定義され、事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を表しております。

2 構造改革に係る株式報酬費用の加速償却による影響額は構造改革費用に含まれております。

3 売上原価調整額は、企業結合により取得した在庫の会計上の調整額のうち当期の売上原価に対応する額です。

当社グループは、医薬事業の単一セグメントであるため、報告セグメント別の記載は省略しています。

 

(売上収益)

 

 

 

(単位:百万円)

 

 当第3四半期連結累計期間

(自 2023年1月1日

 至 2023年9月30日)

 前第3四半期連結累計期間

(自 2022年1月1日

 至 2022年9月30日)

増減

医薬品販売

2,408

80

2,328

契約一時金及びマイルストン収入

974

5,947

△4,973

 前受収益振替額 (注)

908

623

285

 マイルストン収入(条件達成時認識額)

66

4,151

△4,085

 契約一時金収入(契約開始時認識額)

1,173

△1,173

ロイヤリティ収入

1,877

1,918

△41

その他

215

696

△481

合計

5,474

8,641

△3,167

(注) 第4 経理の状況 11.売上収益(4) 契約残高 ②契約負債に含まれている前受収益より取り崩したものになります。

 

当第3四半期連結累計期間の売上収益は、前年同四半期に比べ3,167百万円減少し、5,474百万円となりました。

 

当第3四半期連結累計期間の医薬品販売に関する収益は、前年同四半期比2,328百万円増加し、2,408百万円となりました。これは主に、7月にIPJを連結範囲に含めたことにより、ピヴラッツ®の販売額が加わったことによるものです。

 

当第3四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストンに関する収益は、前年同四半期比4,973百万円減少し、974百万円となりました。契約一時金及びマイルストン収入は、契約一時金収入、マイルストン収入及び前受収益振替額で構成されています。契約一時金及びマイルストン収入は、新規提携契約が締結できるかどうか、あるいはあらかじめ定められた成果(マイルストン)を達成できるかどうかによって、四半期ごとに変動する可能性があります。一部の契約において、研究開発受託収益は、契約一時金又はマイルストン収入の一部に含まれ、前受収益として受領しております。前受収益振替額は、当期に研究開発受託業務を行ったことにより前受収益から売上収益に振り替えられた金額です。

 

当第3四半期連結累計期間の契約一時金及びマイルストン収入の減少は、前第3四半期連結累計期間において、新規提携契約により契約一時金1件、及びマイルストン3件を達成したことに対し、当第3四半期連結累計期間においては新規の提携契約は無く、マイルストンの達成が1件であったことによります。

 

当第3四半期連結累計期間のロイヤリティに関する収益は、前年同四半期比41百万円減少し、1,877百万円となりました。当社グループのロイヤリティに関する収益は導出先であるノバルティス社(注)によるウルティブロ® ブリーズヘラー®、シーブリ® ブリーズヘラー®及びエナジア® ブリーズヘラー®の売上に関連するものです。

 

(注)  グリコピロニウム臭化物とその製剤の独占的開発・販売権は、2005年4月に、当社グループ及び共同開発パートナーであるVectura社からノバルティス社に導出しています。シーブリ®、ウルティブロ®、エナジア®及びブリーズヘラー®はノバルティス社の登録商標です。

 

 

(営業費用)

売上原価

当第3四半期連結累計期間の売上原価は、前年同四半期比612百万円増加し、1,352百万円となりました。なお、IPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く売上原価は、前年同四半期比390百万円減少し、350百万円となりました。これは、顧客に向けた研究開発受託サービスに係る内部コストである売上原価が、研究開発受託契約に基づく収入の減少に伴い減少したことによるものです。IPJを連結範囲に含めたことによるピヴラッツ®の売上原価を1,002百万円計上しております。

 

研究開発費

当第3四半期連結累計期間の研究開発費は、前年同四半期比1,390百万円増加し、7,013百万円となりました。なお、IPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く研究開発費は、前年同四半期比1,032百万円増加し、6,655百万円となりました。これは主に、研究開発体制の強化に伴う支出の増加、及び円安の影響によるものです。IPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる研究開発費を358百万円計上しております。

 当第3四半期連結累計期間においては、研究開発費全体の94%は英国における活動によるものです。

 

販売費及び一般管理費

当第3四半期連結累計期間の販売費及び一般管理費は、前年同四半期比2,842百万円増加し、6,012百万円となりました。なお、IPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる影響を除く販売費及び一般管理費は、前年同四半期比1,425百万円増加し、4,595百万円となりました。これは主に、一時的支出費用である企業買収関連費用1,272百万円によるものです。IPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる無形資産の償却費を含む販売費及び一般管理費を1,417百万円計上しております。

 

その他の収益及びその他の費用

当第3四半期連結累計期間のその他の収益及びその他の費用の純額は、前年同四半期比634百万円増加し、911百万円の収益となりました。これは主に、当第3四半期連結累計期間において英国における研究開発税額控除が増加したことによるものです。

 

(営業損益)

当第3四半期連結累計期間の営業損益は、7,992百万円の損失(前年同四半期は615百万円の損失)となりました。これは上述の複合的な影響によるものです。

 

金融収益及び金融費用

当第3四半期連結累計期間の金融収益及び金融費用の純額は、前年同四半期比17百万円増加し、127百万円の収益となりました。これは主に、英国において金利が大幅に上昇したことに伴い、預金利息が増加した一方で、為替の影響により為替差損が増加したことによるものです。

 

持分法による投資損益

2022年10月にMiNA (Holdings) Limited(以下、MiNA社)を持分法適用の関連会社から除いたことに伴い、当第3四半期連結累計期間での持分法による投資損益の発生はありません。

 

持分法で会計処理されている投資の減損損失

前第3四半期連結累計期間における持分法で会計処理されている投資の減損損失は、持分法適用の関連会社であったMiNA社の公正価値が減少したことによるものです。

 

(税引前四半期損益)

当第3四半期連結累計期間の税引前四半期損益は、7,865百万円の損失(前年同四半期は3,108百万円の損失)となりました。これは上述の複合的な影響によるものです。

 

法人所得税費用

当第3四半期連結累計期間の法人所得税費用は△880百万円(前年同四半期は117百万円)となりました。法人所得税費用に関しましては、グループ会社各社ごとに見積実効税率を適用しております。

 

 

(四半期損益)

当第3四半期連結累計期間の四半期損益は、6,985百万円の損失(前年同四半期は3,225百万円の損失)となりました。これは上述の複合的な影響によるものです。

 

(代替業績評価指標:コア営業損益)

コア営業損益は、中核事業の潜在的な経常キャッシュ創出能力を示すために、重要な非現金支出費用及び一時的な費用を調整した代替的な業績評価指標です。

当第3四半期連結累計期間のコア営業損益は、3,920百万円の損失(前年同四半期は1,300百万円の利益)となりました。

 

コア営業損益はIFRSの営業損益に対して以下の調整を行い算出しております。

 

・ 有形固定資産の減価償却費621百万円(前年同四半期比200百万円増加、うちIPJ/IPKを連結範囲に含めたことによる増加額160百万円)

・ 無形資産の償却費875百万円(前年同四半期比296百万円増加、うちIPJ及びIPK社を連結範囲に含めたことによる増加額243百万円)

・ 株式報酬費用568百万円(前年同四半期比186百万円増加)

・ 構造改革費用53百万円(前年同四半期比480百万円減少)

   うち26百万円(前年同四半期158百万円)は構造改革に係る株式報酬費用の加速償却の影響によるものです。

   構造改革費用は子会社の執行体制の変更に伴う費用となります。

・ 企業買収関連費用1,272百万円(前年同四半期発生なし)

   うち1,147百万円は企業結合に係る取得関連費用です。

・ 売上原価調整額683百万円(前年同四半期発生なし)

   売上原価調整額は企業結合により取得した在庫の会計上の調整額です。

   当該在庫が全て払い出された以後の調整は不要となります。

 

(2) 財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ50,022百万円増加し、149,439百万円となりました。これは主に、IPJ/IPKを連結範囲に含めたことにより、無形資産が44,109百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ50,004百万円増加し、91,485百万円となりました。これは主に、企業結合に伴うIPJ/IPK株式等の取得に必要な資金調達のために40,000百万円の借入を実行したことによるものです。

 

(資本)

当第3四半期連結会計期間末における資本は、前連結会計年度末に比べ18百万円増加し、57,954百万円となりました。これは主に、在外営業活動体の為替換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が6,406百万円増加した一方で、四半期損失6,985百万円を計上したことによるものです。

 

なお、現金及び現金同等物並びに有利子負債の総資産に占める比率及び親会社所有者帰属持分比率は、それぞれ28.4%、49.1%及び38.8%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ24,171百万円減少し、42,386百万円となりました。

当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは4,446百万円の支出となりました。これは主に、営業に関する現金支出が売上に関する現金収入を上回ったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間の投資活動によるキャッシュ・フローは62,941百万円の支出となりました。これは主に、企業結合に伴うIPJ/IPK株式等の取得による支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第3四半期連結累計期間の財務活動によるキャッシュ・フローは39,596百万円の収入となりました。これは主に、企業結合に伴うIPJ/IPK株式等の取得に必要な資金調達のための長期借入を実行したことによるものです。

 

(現金及び現金同等物の為替変動による影響)

当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の為替変動による影響は3,620百万円の増加となりました。これは主に、円安ポンド高・ドル高の影響によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社グループは財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針は定めておりません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費は、前第3四半期連結累計期間に比べ1,390百万円増加し、7,013百万円となりました。なお、詳細につきましては、(1)経営成績の状況に記載しております。