売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E23487 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものです。

 なお、当社は、単一セグメント(「医薬品」)により構成されているため、セグメントごとの記載はしていません。

 

(1) 経営成績および財政状態

 当社の属する抗がん剤開発の領域は、臨床上の治療満足度が未だ低くアンメットニーズが大きいことなどから、世界の製薬企業や当社同様のベンチャー企業(創薬ベンチャー)が、それぞれの強み・特色を活かした画期的新薬の開発を目指し、研究開発に日々しのぎを削っています。

 この中で当社は、独自の創薬アプローチを活かした基礎研究および臨床開発に取り組みました。

 当社の開発パイプライン中で最も先行している化合物CBP501は、当社独自のスクリーニング(薬剤探索)から獲得された、蛋白質カルモジュリンの制御機能を調整し複数の作用により免疫コールド(がんを攻撃するT細胞の乏しい状態)ながんを免疫ホット(T細胞が存在しがんを攻撃できる状態)ながんにすることで抗がん活性を示す、独特の抗がん剤(免疫着火剤)です。米国FDAの規制下で、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床第2相試験(対象:膵臓がん3次治療)を実施しました。同臨床試験は、CBP501を含む3剤併用投与群において主要評価項目を達成し、現在は承認獲得を目指す次相臨床試験開始に向けた準備を進めています。

 また、2つ目の候補化合物CBS9106は、同じスクリーニングから獲得された、可逆的XPO1阻害剤です。当社は同化合物について、開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利を供与するライセンス契約を米国 Stemline Therapeutics, Inc.(以下「Stemline社」)との間で締結しています。なお、この提携による収益は現在発生していません。

 さらに当社は、これら2つの候補化合物の開発を推進すると共に、これらの開発の過程で新たに得られた知見を踏まえて創出したCBT005、CBP-A08、静岡県立大学との共同研究により最適化を進めているIDO/TDO阻害剤など、新規候補化合物の創出・開発パイプラインの拡充に向けて、探索研究を実施しています。これらのうちCBT005については、開発の初期段階である前臨床試験(臨床試験開始申請のために必要なデータを揃えるための非臨床試験)へ進めることを決定し、そのための準備を開始しました。

 以上の結果、当第2四半期累計期間の研究開発費は、前年同四半期比184,720千円減少の241,042千円となりました。販売費及び一般管理費は、前年同四半期比20,594千円増加の146,368千円となりました。研究開発費と合わせた事業費用は、前年同四半期比164,125千円減少の387,411千円となりました。

 この結果、営業損失は前年同四半期比164,125千円損失減の387,411千円、経常損失は前年同四半期比169,366千円損失減の393,340千円、四半期純損失は前年同四半期比169,366千円損失減の393,965千円となりました。

 

 当社の財政状態は次のとおりです。当第2四半期会計期間末の総資産は3,271,809千円となり、前事業年度末比1,185,809千円の増加となりました。資産の部においては、主として臨床試験の進捗による支出とそれを上回る新株予約権行使による資金調達の結果、流動資産の現金及び預金が1,162,676千円増加しました。純資産の部においては、四半期純損失の計上により利益剰余金が393,965千円減少する一方、新株予約権の行使および譲渡制限付株式報酬としての新株発行に伴い、資本金および資本準備金がそれぞれ808,078千円増加するとともに新株予約権が3,666千円減少しました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第2四半期累計期間のキャッシュ・フローの状況は、以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、臨床第2相試験等にかかる研究開発費の支出等により、374,201千円の減少(前年同四半期は555,763千円の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは発生していません。(前年同四半期も不発生。)

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の株式への転換による収入等により1,539,296千円の増加(前年同四半期は1,791,195千円の増加)となりました。

 

 これらに加え、外貨建預金について現金及び現金同等物に係る換算差額△2,419千円を計上した結果、当第2四半期会計期間末の現金及び現金同等物は、前事業年度末と比べ1,162,676千円増加し、2,780,472千円となりました。

 

 

(3) 事業上および財務上の対処すべき課題

 当第2四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

 当社は、CBP501およびCBS9106という複数の臨床開発段階の抗がん剤候補化合物を創出した当社の創薬アプローチ、これらの臨床開発の過程で得られた知見とノウハウおよびがん免疫に集中した基礎研究の蓄積をもとに今後複数の抗がん剤を創出し得ると考えており、これに基づいた抗がん剤の研究開発活動を行っています。

 CBP501に関しては、免疫チェックポイント阻害抗体との併用による臨床試験を実施しており、現在は次相臨床試験の準備段階にあります。

 さらに、中長期的な企業価値の向上を見据え、CBP501、CBS9106に続く次世代化合物パイプラインとして、CBT005、CBP-A08、IDO/TDO阻害剤等についても、財務上の制約等を勘案しつつ、研究開発を進めています。これらのうちCBT005については、開発の初期段階である前臨床試験(臨床試験開始申請のために必要なデータを揃えるための非臨床試験)へ進めることを決定し、そのための準備を開始しました。

 この結果、当第2四半期累計期間における研究開発費は、241,042千円で、前年同四半期比184,720千円の減少となりました。

 

(5) 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後において製品売上高の計上により利益を確保する計画ですが、それまでの先行投資期間においては抗がん剤の研究開発費負担等から損失を計上する予定です。なお、先行投資期間においては、主に提携製薬企業等からの収入が損益改善に寄与する可能性があります。

 CBP501については、現在実施しているアライアンス活動の結果として新規提携パートナーが確保された場合には、契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の収入を受取る可能性があり、当面は開発の進捗状況および当該アライアンス活動の状況が当社の損益に大きな影響を与えます。

 また、CBS9106については開発・製造・商業化にかかる全世界における独占的権利をStemline社に供与するライセンス契約を締結していますが、このライセンス契約が何らかの事由で終了した場合、当社の将来の損益に大きな影響を与えます。

 

(6) 経営戦略の現状と見通し

 当社は長期的には、当社が創出した抗がん剤の製品売上高計上により利益を確保する計画ですが、その実現に向けた開発資金の確保や開発体制の強化のために、必要な資金調達と併せて、製薬企業等との戦略提携の実現を目指しています。

 CBP501の開発に関しては現在、臨床試験の最終工程であるピボタル試験への展開が見える段階にあり、地域や適応等を区切った部分的導出など、製薬企業等との戦略提携を獲得するためのアライアンス活動を展開しています。

 また、前臨床試験以前の段階にあるCBT005、CBP-A08、CBP-Bシリーズ、IDO/TDO阻害剤等の次世代パイプラインについても、早期アライアンス活動を行っています。

 

(7) 資本の財源および資金の流動性についての分析

 当社は、研究開発型ベンチャーであり、将来は当社開発の抗がん剤の上市後に製品販売による収入を計上する計画ですが、それまでの先行投資期間においては研究開発費の支出等から営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上する計画です。

 先行投資期間における営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスについては、必要に応じて適切な時期に資金調達等を実施し、財務活動によるキャッシュ・フローのプラスにより補填するほか、現在進めているアライアンス活動で獲得する新規提携パートナーからの契約一時金やマイルストーン、受取研究開発費等の形で営業活動によるキャッシュ・フローの確保に努める方針です。

 

(8) 経営者の問題認識と今後の方針について

 当社の経営陣は、当社が行っている事業の環境について、入手可能な情報と経験に基づいた仮定により、経営判断を行っています。医薬品市場においては、臨床上の治療満足度に改善の余地が大きいがん領域は新薬開発のターゲットとして有望な領域の一つとして考えられており、世界の製薬会社やバイオベンチャーが研究開発力の強化に取り組んでいます。

 このがん領域においては近年、免疫チェックポイント阻害抗体の登場に伴い、パラダイムシフトとも言うべき市場ニーズと開発環境の変化が起きています。免疫系抗がん剤との併用において重要な役割を果たす可能性のある当社の候補化合物CBP501や、がん免疫に関する基礎研究成果を蓄積してきた当社にとって、このニーズ変化は千載一遇の機会であると当社の経営陣は判断しています。

 当社は、これまでに蓄積してきた研究成果を生かし、世界のがん領域の市場のニーズに合致した抗がん剤を開発することを目指します。