E34999 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間会計期間(2024年8月1日~2025年1月31日)の日本における再生医療・医薬品業界においては、引き続き新規モダリティや新薬創出のための研究開発が進展し、革新的な治療法の実用化が加速しています。
政府では、創薬力強化を目的とした支援策を講じており、厚生労働省は2025年度のバイオ関連予算として535億1,300万円(前年度比0.1%)を計上しました。創薬エコシステム強化や新規モダリティ対応、医療機器開発支援が重点施策とされており、特に創薬シーズの実用化支援(30億円)、創薬クラスターの設備整備(70億円)、AIを活用した創薬基盤の強化(35億円)などに重点が置かれています。そのほか、経済産業省では、国内の再生医療や遺伝子治療などの受託製造を手掛ける医薬品開発製造受託企業に対し、設備投資や人材育成を支援する新規事業の設立を予定しており、2024年度の補正予算では100億円を確保する見込みです。これらの取組により、国内の創薬基盤の強化・再生医療研究の環境整備が進むことが期待されています。現在、世界の再生医療における市場規模は2024年267億米ドルに達しており、2033年までに1,304億米ドルに推移することが予測されており、今後も再生医療に対するニーズが着実に高まっていくことが想定されます。
また、再生医療等安全性確保法が2024年に改正され、in vivo遺伝子治療やゲノム編集技術を用いた医療技術が新たに法の対象に追加されました。これにより、先端医療技術の安全性確保が促進されることが期待されています。
一方で、世界的な金融環境の変化により、バイオテック企業の資金調達環境は依然として慎重な姿勢が見られ、開発パイプラインの選択と集中がより一層求められる状況となっています。また、再生医療等安全性確保法の改正等、再生医療・遺伝子治療に関する承認審査の厳格化が進んでおり、エビデンスの質や治験デザインの適正化が一層重視されています。
このような状況のもと、当社では、再生誘導医薬®開発品レダセムチド(HMGB1より創製したペプチド医薬)について、新たな臨床試験開始に向けた研究開発が引き続き進捗するとともに、レダセムチドに続く第二世代の再生誘導医薬®TRIM3、TRIM4について、非臨床開発及びライセンスアウトに向けた事業開発活動が引き続き進捗いたしました。
再生誘導医薬®は、従来の再生医療とは異なり、体外で人工的に培養した細胞の移植や投与を一切必要とせず、医薬品の投与によって患者自身の体内で間葉系幹細胞の集積誘導による再生医療を実現する、全く新しい作用メカニズムに基づく医薬品です。投与するのはペプチド、タンパクなどの物質であり、従来の医薬品と同じ方法で製造、輸送、保管、投与が可能であるため、再生医療・細胞治療と比較し、より手軽かつ安価に損傷組織の再生を促すことが可能であり、かつ再生医療・細胞治療と同等もしくはそれ以上の効果を発揮することが可能です。「生きた細胞を一切用いることなく、物質(化合物)の投与によって、再生医療/細胞治療を実現する」をコンセプトとする再生誘導医薬®は、移植治療や従来型の再生医療が抱える数多くの問題を克服する革新的な再生医療技術として、日本のみならず世界的な再生医療業界のゲームチェンジャーになることが期待されます。
(*)「再生誘導」、「再生誘導医薬」、「再生誘導医学」、「再生誘導医療」は当社の登録商標です。
各パイプラインにおける研究開発進捗は下記図の通りです。
※画像省略しています。
現在、当社から塩野義製薬株式会社へ導出済みの再生誘導医薬®開発候補品レダセムチドにおいて、栄養障害型表皮水疱症、急性期脳梗塞、虚血性心筋症、変形性膝関節症、慢性肝疾患を対象とした臨床開発が進捗しております。
また、レダセムチドに続く新規再生誘導医薬®候補物質TRIM3、TRIM4について、各疾患モデル動物での実験データを着実に蓄積し、ライセンスアウトに向けた事業開発活動が引き続き進捗いたしました。
そのほか、表皮水疱症の根治治療を目的とした幹細胞遺伝子治療SR-GT1について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)実施の令和6年度「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業(再生・細胞医療・遺伝子治療産業化促進事業)」に採択されております。本研究は、令和4年度「難治性疾患実用化研究事業」で確立した遺伝子導入細胞加工物の製造体制と、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)のレギュラトリーサイエンス戦略相談で受けた助言内容を引き継ぎ、臨床での実用化を念頭に置いた治験薬製造を実施することで、速やかに医師主導治験に移行することを目的としております。本研究では、支出した経費の3分の2をAMEDからの補助金として受領することが可能であり、3年間合計で最大179百万円の助成金を受領する可能性があります。
この結果、当中間会計期間の事業収益はなし(前年同期の事業収益はなし)、営業損失は1,066,080千円(前年同期は1,033,708千円の営業損失)、経常損失は1,065,434千円(前年同期は1,033,753千円の経常損失)、中間純損失は1,048,742千円(前年同期は1,005,612千円の中間純損失)となりました。
なお、当社は再生誘導医薬®事業の単一セグメントであるため、セグメント別の業績記載を省略しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
当中間会計期間末における流動資産合計は8,147,434千円となり、前事業年度末に比べ730,054千円減少いたしました。これは主に現金及び預金が748,060千円減少したことによるものです。また、固定資産合計は222,136千円となり、前事業年度末に比べ19,210千円増加いたしました。これは建物附属設備が41,360千円増加したことによるものです。この結果、資産合計は8,369,570千円となり、前事業年度末に比べ710,844千円減少となりました。
(負債)
当中間会計期間末における流動負債合計は93,144千円となり、前事業年度末に比べ25,617千円増加いたしました。これは主に未払法人税等の増加23,502千円、前受金の増加12,133千円によるものです。また、固定負債合計は118,439千円となり、前事業年度末に比べ86千円増加いたしました。これは資産除去債務が86千円増加したことによるものです。この結果、負債合計は211,584千円となり、前事業年度末に比べ25,703千円増加となりました。
(純資産)
当中間会計期間末における純資産合計は8,157,985千円となり、前事業年度末に比べ736,548千円減少いたしました。これは中間純損失の計上、新株予約権の増加、及び役員の株式報酬としての譲渡制限付株式の発行に伴う資本金及び資本準備金の増加によるものです。この結果、資本金116,400千円、資本剰余金9,528,475千円、利益剰余金△2,902,558千円となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、7,662,388千円となり、前事業年度末に比べて748,060千円減少いたしました。当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において営業活動の結果使用した資金は746,072千円(前年同期は1,094,238千円の支出)となりました。これは主に、税引前中間純損失の計上1,046,926千円、株式報酬費用の計上231,276千円、前払費用の増加100,454千円、未収消費税等の減少131,393千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において投資活動の結果使用した資金は43,238千円(前年同期の支出は2,386千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得43,032千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当中間会計期間において財務活動の結果獲得した資金は41,250千円(前年同期は62,800千円の収入)となりました。これは株式の発行による収入41,250千円によるものであります。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間会計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変化はありません。
(5)研究開発活動
当中間会計期間における当社の研究開発費の総額は、739,576千円(前年同期の研究開発費の総額は732,257千円)であります。なお、当中間会計期間においては、「(1)経営成績の状況」に記載した通り、研究開発を推進しております。