売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00901 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績

 当第3四半期連結累計期間の業績は次のとおりです。

(単位:億円)

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比

現地通貨ベース

前 年 同 期 比

売上高

7,952

7,816

△1.7%

△5.7%

営業利益

329

132

△59.9%

△57.3%

経常利益

356

91

△74.3%

親会社株主に帰属

する四半期純利益

178

△28

赤字化

EBITDA

681

493

△27.5%

US$/円(平均)

127.87

138.81

+8.6%

EUR/円(平均)

136.26

150.37

+10.4%

EBITDA:親会社株主に帰属する四半期純利益+法人税等合計+支払利息-受取利息+減価償却費+のれん償却額

 

 当第3四半期連結累計期間(2023年1月~9月)における当社グループの業績は、売上高は前年同期比1.7%減の7,816億円でした。米国や欧州でのインフレ抑制を目的とした金融政策の継続、ウクライナ情勢の長期化による地政学リスクへの影響、中国での不動産市況の低迷などに起因した景気回復ペースの鈍化など不透明な状況が世界レベルで続くなか、財需要は依然として各地域で停滞し、様々な業界分野において需要の伸び悩みや在庫調整の動きが見られました。この状況下、当社グループが注力する主な顧客業界の需要動向としては、電気・電子やディスプレイを中心とするデジタル分野では、ディスプレイ市場はパネルメーカーの在庫調整が一巡し、製品需要が回復した一方で、半導体市場は市況低迷に底打ちの兆しが見られたものの、本格的な需要回復に時間を要しています。また、モビリティを中心とするインダストリアル分野では、自動車市場の世界的な販売台数の回復に伴い、自動車向け材料はサプライチェーン上の余剰在庫の解消が進みましたが、まだ需要回復の途上にあります。このようななか、当社グループにおいては、一部の地域や製品で出荷数量の回復が見られたものの、カラー&ディスプレイの顔料製品において、主要市場である欧州での長引く景気停滞と米国での物価上昇による消費財の需要減の影響により、塗料用顔料やプラスチック用顔料などの出荷が落ち込んだほか、ファンクショナルプロダクツにおいて、デジタル分野やインダストリアル分野に向けた高付加価値製品の出荷数量が全般的に低調に推移するなど、厳しい状況が続きました。

 営業利益は、前年同期比59.9%減の132億円でした。各セグメントにおいて、コスト増加分を中心に価格対応に努め、パッケージング&グラフィックでは増益を確保しましたが、カラー&ディスプレイにおける塗料用顔料やプラスチック用顔料などの顔料製品やファンクショナルプロダクツを中心とした高付加価値製品の出荷数量が減少したことに加え、塗料用顔料やプラスチック用顔料などの顔料製品の在庫削減を目的に、米国と欧州の一部生産拠点を一時的に稼働停止したことが損益に影響を及ぼした結果、全体として大幅な減益となりました。

 経常利益は、前年同期比74.3%減の91億円でした。

 親会社株主に帰属する四半期純利益は、28億円の赤字となりました。

 EBITDAは、前年同期比27.5%減の493億円でした。

 

※インダストリアル分野とは、自動車、鉄道、船舶などのモビリティ用途と建設機械、産業機械などの一般工業用途に係る製品分野の総称です。

 

 また、各セグメントの業績は次のとおりです。

 

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

セグメント

売  上  高

営 業 利 益

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年

同期比

現地通貨

ベース

前年同期比

前第3四半期連結累計期間

当第3四半期連結累計期間

前年

同期比

現地通貨

ベース

前年同期比

パッケージング&

グラフィック

3,973

4,050

+1.9%

△2.4%

138

139

+0.7%

+3.3%

カラー&ディスプレイ

1,953

1,756

△10.1%

△15.9%

72

△44

赤字化

赤字化

ファンクショナル

プロダクツ

2,345

2,288

△2.4%

△4.4%

188

112

△40.4%

△41.8%

その他、全社・消去

△320

△277

△70

△75

7,952

7,816

△1.7%

△5.7%

329

132

△59.9%

△57.3%

 

[パッケージング&グラフィック]

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比

現地通貨ベース

前 年 同 期 比

売 上 高

3,973

億円

4,050

億円

+1.9%

△2.4%

営 業 利 益

138

億円

139

億円

+0.7%

+3.3%

 

 売上高は、前年同期比1.9%増の4,050億円でした。食品包装を主用途とするパッケージ用インキは、中国では新規の顧客開拓が進み出荷数量が増加しましたが、それ以外の地域では物価上昇の影響により消費財の需要が低調となり、出荷が落ち込みました。こうしたなか、各地域で価格対応に努めた結果、売上高はほぼ前年並となりました。商業印刷や新聞を主用途とする出版用インキについては、各地域で価格対応に努めたことで、国内では増収となりましたが、米州や欧州とアジアでの需要減少や競合他社との価格競争などが原因で出荷数量が落ち込んだ結果、全体として減収となりました。デジタル印刷で使用されるジェットインキは、米国や欧州での物価上昇や金利情勢に伴う在庫調整の動きなどを背景に、海外顧客向けを中心に需要回復が遅れており、全般的に出荷数量が低調に推移しましたが、円安による為替換算影響を受けて、増収となりました。

 営業利益は、前年同期比0.7%増の139億円でした。現地通貨ベースでは3.3%の増益でした。国内では、高付加価値製品であるジェットインキの出荷が低調に推移するなか、パッケージ用インキと出版用インキのコスト増加分に対する価格対応を進めました。また、海外では、アジアにおける中国のパッケージ用インキの出荷増に加え、米州や欧州でパッケージ用インキと出版用インキの価格維持に努めた結果、全体として増益となりました。

 

[カラー&ディスプレイ]

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比

現地通貨ベース

前 年 同 期 比

売 上 高

1,953

億円

1,756

億円

△10.1%

△15.9%

営 業 利 益

72

億円

△44

億円

赤字化

赤字化

 

 売上高は、前年同期比10.1%減の1,756億円でした。売上の割合が大きい塗料用顔料とプラスチック用顔料は、主要市場である欧州での景気停滞と米国での物価上昇の影響などにより、それぞれの地域で需要の落ち込みと顧客による在庫調整の動きが続いたことから、全般的に出荷数量が減少しました。高付加価値製品については、ディスプレイ用途であるカラーフィルタ用顔料は、パネルメーカーの在庫調整が一巡し、出荷が堅調に推移しました。化粧品用顔料は、米国や欧州では物価上昇などを背景に出荷が伸び悩みましたが、遅れて新型コロナ前の生活様式に戻ったアジアでは需要が引き続き回復基調となりました。スペシャリティ用顔料は、農業向けの出荷が顧客の在庫調整の影響により伸び悩んだほか、建築向けもウクライナ情勢の長期化を背景に主な需要地である欧州での出荷が引き続き低調に推移しました。

 営業利益は44億円の赤字となりました。カラーフィルタ用顔料や化粧品用顔料の出荷が堅調に推移しましたが、塗料用顔料、プラスチック用顔料の出荷が欧州を中心に落ち込んだことに加え、高付加価値製品であるスペシャリティ用顔料の出荷が停滞した影響を受けました。また、塗料用顔料やプラスチック用顔料などの在庫削減を目的に、米国と欧州の一部生産拠点を一時的に稼働停止したことが損益に影響を及ぼしました。

 

[ファンクショナルプロダクツ]

 

前第3四半期

連結累計期間

当第3四半期

連結累計期間

前年同期比

現地通貨ベース

前 年 同 期 比

売 上 高

2,345

億円

2,288

億円

△2.4%

△4.4%

営 業 利 益

188

億円

112

億円

△40.4%

△41.8%

 

 売上高は、前年同期比2.4%減の2,288億円でした。電気・電子やディスプレイを中心とするデジタル分野については、半導体を主用途とするエポキシ樹脂は市況に底打ちの兆しが見られ、一部品目の出荷が上向いたものの、全般的には依然として出荷が低調に推移した結果、減収となりました。スマートフォンなどのモバイル機器を主用途とする工業用テープについては、需要増により、増収となりました。モビリティを中心とするインダストリアル分野については、自動車サプライチェーン上の在庫解消が進むなか、自動車向け材料の出荷は想定よりも緩やかな回復となりましたが、2022年7月から連結対象となった中国のコーティング用樹脂メーカーGuangdong DIC TOD Resins Co., Ltd.の売上が加わったことにより、増収となりました。PPSコンパウンドは、自動車向けの出荷が回復途上であるなか、価格対応などにより、増収となりました。

 営業利益は、前年同期比40.4%減の112億円でした。各製品において、コスト増加分に対する価格対応に努めましたが、電気・電子やモビリティに関連した高付加価値製品の出荷が低調に推移したことにより、大幅な減益となりました。

 

(2)財政状態

(資産、負債及び純資産の状況に関する分析)

 当第3四半期連結会計期間末の資産の部は、主に為替の影響や子会社の買収などにより、前連結会計年度末と比べて814億円増加し、1兆3,430億円となりました。負債の部は、主に有利子負債の増加などにより、前連結会計年度末比484億円増の8,890億円となりました。また、純資産の部は、為替の影響などにより、前連結会計年度末比329億円増の4,540億円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当四半期連結累計期間は第3四半期連結累計期間であり、四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成していません。このため、キャッシュ・フローの状況に関する分析について記載していません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における研究開発費は、12,229百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、11,156百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の体制及び方針に重要な変更はありません。