E00905 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当第3四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の落ち込みから持ち直しの動きが続き、原油をはじめとする資源価格も安定するなど世界的なインフレに鈍化の動きが続いたものの、ウクライナ問題の長期化や金融引き締めの継続により欧米において景気後退への懸念が続き、また中国においても個人消費の停滞や不動産市場の悪化などにより景気回復への遅れが懸念される状況で推移しました。
このような状況のなかで、当社グループは2030年を見据えた長期ビジョン『SAKATA INX VISION 2030』を実現させるため、基盤構築フェーズである『中期経営計画2023 (CCC-I)』の最終年度として、環境配慮型製品を中心としたパッケージ用インキと機能性材料の拡販とともに、新規事業の確立に向けた基盤作りを進めました。また、印刷インキの主要原材料につきましては、海外においては前年同期に比べ、価格面で安定した状況にあるものの、国内では依然として高い状態が続いております。このため、製品の安定供給を最優先として、グループ会社間の連携強化やグローバル調達などによるサプライチェーンの安定化に取り組むとともに販売価格の改定に取り組みました。機能性材料事業では、インクジェットインキをはじめとして、カラーフィルター用顔料分散液、トナーなどの従来製品の拡販に加え、社会トレンドを捉えた高付加価値製品の開発に取り組みました。
売上高は、欧米において市況の悪化による需要減の影響を受けたものの、アジアにおいて販売が好調に推移するとともに、販売価格の改定が進んだことや機能性材料の拡販が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、1,686億3千4百万円(前年同期比5.5%増加)となりました。
利益面では、日本においては原材料や副資材の価格が高止まりしているものの、海外においてはこれらの価格が落ち着きをみせるなかで、販売価格の改定効果やインキコストの削減により収益性の改善が続いたことなどから、営業利益は85億2千5百万円(前年同期比160.7%増加)となりました。経常利益は101億1千6百万円(前年同期比173.7%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、66億3千7百万円(前年同期比114.8%増加)となりました。
(参考)USドルの期中平均為替レート
|
第1四半期 連結会計期間 |
第2四半期 連結会計期間 |
第3四半期 連結会計期間 |
第3四半期 連結累計期間 |
2023年12月期 |
132.34円 |
137.37円 |
144.62円 |
138.11円 |
2022年12月期 |
116.20円 |
129.57円 |
138.37円 |
128.05円 |
(注)第3四半期連結累計期間の期中平均為替レートは、1月~9月の単純平均レートを記載しております。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(単位:百万円) |
|
売上高 |
営業利益又は営業損失(△) |
|||||||
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
(※)実質 |
前期 |
当期 |
増減額 |
増減率 |
|
印刷インキ・ 機材(日本) |
37,909 |
38,328 |
419 |
1.1% |
1.1% |
342 |
324 |
△17 |
△5.2% |
印刷インキ (アジア) |
35,233 |
38,017 |
2,784 |
7.9% |
3.7% |
987 |
2,931 |
1,943 |
196.8% |
印刷インキ (米州) |
55,433 |
58,580 |
3,146 |
5.7% |
△2.2% |
807 |
3,571 |
2,764 |
342.4% |
印刷インキ (欧州) |
14,403 |
14,723 |
319 |
2.2% |
△6.7% |
△341 |
△496 |
△155 |
- |
機能性材料 |
11,437 |
12,352 |
915 |
8.0% |
4.1% |
1,169 |
1,404 |
234 |
20.1% |
報告セグメント計 |
154,417 |
162,002 |
7,584 |
4.9% |
△0.0% |
2,965 |
7,735 |
4,770 |
160.9% |
その他 |
10,595 |
11,072 |
477 |
4.5% |
4.5% |
258 |
349 |
91 |
35.2% |
調整額 |
△5,163 |
△4,440 |
722 |
- |
- |
46 |
439 |
393 |
- |
合計 |
159,849 |
168,634 |
8,785 |
5.5% |
0.8% |
3,270 |
8,525 |
5,254 |
160.7% |
(※)実質増減率:海外連結子会社の為替換算の影響を除いた増減率
印刷インキ・機材(日本)
新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行により社会経済活動の正常化が進んだことに加え、水際対策の終了により外国人観光客の増加が続きました。一方で、日用品、食品、飲料など多くのアイテムで値上げの影響による買い控えの動きが長期化していることもあり、パッケージ関連ではグラビアインキ、フレキソインキともに全体としてやや低調に推移しました。印刷情報関連では、デジタル化の影響など市場の構造的な縮小や、広告需要の低迷が続いていることなどから、新聞インキ、オフセットインキともに低調に推移しました。このような状況ではあるものの、販売価格の改定効果もあり、印刷インキ全体では前年同期を上回りました。機材につきましては、印刷製版用材料、機械販売ともに前年同期を上回りました。これらの結果、売上高は383億2千8百万円(前年同期比1.1%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定を進めてはいるものの、原材料価格が高止まりしているなか、印刷情報関連の印刷インキの販売が低調に推移したことなどから、営業利益は3億2千4百万円(前年同期比5.2%減少)となりました。
印刷インキ(アジア)
主力であるパッケージ関連のグラビアインキは、インドネシア、ベトナム、タイといった東南アジアやインドで販売が好調なことに加え、本格稼働したバングラデシュでも順調に拡販が続きました。印刷情報関連では、インドでの販売が堅調であることに加え、中国でも第2四半期以降は堅調に推移しました。売上高は、販売数量が増加したことや円安による為替換算の影響を受けたことなどから380億1千7百万円(前年同期比7.9%増加)となりました。
利益面では、全般的に経費が増加したものの、販売数量が増加したことに加え、原材料価格も前年同期を下回る水準で推移していることなどにより、営業利益は29億3千1百万円(前年同期比196.8%増加)となりました。
印刷インキ(米州)
金融引き締めによる市況の悪化の影響が長期化しており販売数量に関しては全般に低調に推移しました。主力のパッケージ関連では、顧客での需要の低迷が続いており、フレキソインキ及びグラビアインキとも販売の落ち込みからの回復は緩やかなものとなっております。メタルインキは環境負荷の観点からアルミ缶に対する需要が高まっているという背景はあるものの、販売は伸び悩みました。印刷情報関連であるオフセットインキは、市場の構造的な縮小もあり低調に推移しました。売上高は、販売数量は伸び悩んだものの、販売価格の改定が大きく進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、585億8千万円(前年同期比5.7%増加)となりました。
利益面では、人件費は増加したものの、販売価格の改定効果が大きく寄与したことに加え、原材料価格も前年同期を下回る水準で推移するなかでインキコストの削減を推し進めたことなどにより、営業利益は35億7千1百万円(前年同期比342.4%増加)となりました。
印刷インキ(欧州)
パッケージ関連を中心として拡販に取り組んだものの、欧州経済の低迷により顧客での需要減が続いていることもあり販売数量に関しては低調に推移しました。売上高は、販売価格の改定が進んだことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、147億2千3百万円(前年同期比2.2%増加)となりました。
利益面では、販売価格の改定効果が寄与したものの、販売数量が低調に推移したことや、一部で原材料高の影響が残っていることに加え、人件費などの経費が増加した影響もあり4億9千6百万円の営業損失(前年同期は3億4千1百万円の営業損失)となりました。
機能性材料
インクジェットインキは全体としては堅調に推移し前年同期を上回りました。カラーフィルター用顔料分散液はパネルディスプレイの市況の改善が続き、前年同期を上回りました。トナーは、在庫調整の動きが長引いていることなどから前年同期を下回りました。これらの結果に加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、売上高は123億5千2百万円(前年同期比8.0%増加)となりました。
利益面では、デジタル印刷材料の販売が増加したことなどにより、営業利益は14億4百万円(前年同期比20.1%増加)となりました。
(2)財政状態
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、棚卸資産は減少したものの、現金及び預金が増加したこと、売上高の増加に伴い売上債権が増加したこと、株価の上昇に伴う時価評価や持分法により投資有価証券が増加したこと、基幹システムの更新に関連して無形固定資産が増加したことに加え、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比198億6千7百万円(11.2%)増加の1,972億7千1百万円となりました。
負債は、円安による為替換算の影響を受けたことなどから、前連結会計年度末比42億4千3百万円(5.0%)増加の886億9千4百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加に加え、その他の包括利益累計額が増加したことなどから、前連結会計年度末比156億2千3百万円(16.8%)増加の1,085億7千6百万円となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
1)当面の対処すべき課題の内容
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
2)株式会社の支配に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の株式会社の支配に関する基本方針について、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は33億2千9百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備の計画
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に重要な変更があったものは、次の通りであります。
2023年9月30日現在 |
会社名 |
事業所名 (所在地) |
セグメントの名称 |
設備の内容 |
投資予定額 |
資金調達 方法 |
着手及び完了予定 |
||
総額 |
既支払額 |
着手 |
完了 |
|||||
MAOMING SAKATA INX CO.,LTD. |
茂名第二工場 (中国広東省) |
印刷インキ(アジア) |
製造設備 |
百万元
212 |
百万元
156 |
自己資金 及び 借入金 |
2018年 9月 |
(変更前) 2023年8月 (変更後) 2024年12月 |
CDI SAKATA INX CORP. |
フィリピン工場 (MANILA,PHILIPPINES) |
印刷インキ(アジア) |
製造設備 |
百万PHP
290 |
百万PHP
220 |
自己資金 |
2021年 12月 |
(変更前) 2023年6月 (変更後) 2024年6月 |
(注)1.完成後の生産能力については合理的な算出が困難なため、記載を省略しております。
2.MAOMING SAKATA INX CO.,LTD.における計画は、一部見直しに伴い、完了予定年月を2023年8月から2024年12月に変更しております。
3.CDI SAKATA INX CORP.における計画は、一部見直しに伴い、完了予定年月を2023年6月から2024年6月に変更しております。