売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00903 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当企業グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間における世界経済は、一部の地域において弱さがみられるものの、持ち直しの動きが続いております。一方、世界的な金融引き締めや中国における不動産市場の停滞に伴う影響、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動の影響等、先行きは不透明な状況にあります。

このような環境のなかで当企業グループは、年度方針である「高収益既存事業群への変革」、「戦略的重点事業群の創出」、「経営基盤の変革」の実現に取り組んでまいりました。

この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は817億27百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益は43億54百万円(前年同期比128.0%増)、経常利益は49億81百万円(前年同期比212.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は40億95百万円(前年同期比739.7%増)と、増収増益になりました。

 

セグメントごとの経営成績につきましては、次のとおりです。

 

① 色材・機能材関連事業

液晶ディスプレイカラーフィルター用材料は、中国や台湾での拡販が進んだことや、大型の液晶パネルの生産が増加傾向となり全体の出荷は増加しましたが、パソコン用などの中小型パネル向けは低迷が続きました。

プラスチック用着色剤は、海外で太陽電池用は好調に推移しましたが、事務機器用が低調で、国内でも建材用や産業資材用が伸び悩みました。

インクジェットインキは、需要の増加に伴い海外を中心に販売が拡大しました。車載用リチウムイオン電池材料は、EV需要の鈍化により伸び悩みましたが、今後の需要増加に対応する設備の増強が進みました。

これらの結果、当事業全体の売上高は201億40百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益は7億86百万円(前年同期比45.1%増)と、増収増益になりました。

 

② ポリマー・塗加工関連事業

塗工材料は、スマートフォンやモバイル端末用の生産が立ち上がり、導電性接着シート等の機能性フィルムが好調に推移しました。また、半導体関連材料の開発品が一部実績化となりました。

粘着剤は、国内ではラベル用やディスプレイ用が伸び悩みましたが、海外では設備増強による拡販が進み堅調に推移しました。接着剤は、包装用が国内や東アジアでは伸び悩んだものの東南アジアやインドでは販売が拡大し、工業用はリチウムイオン電池向けが顧客の稼働拡大に伴い好調でした。

缶用塗料は、国内では飲料缶用が堅調に推移し、海外でも水産加工物向けの製缶需要の増加や前期に実施したタイの塗料メーカー買収効果もあり、伸長しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は198億94百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益は13億26百万円(前年同期比64.9%増)と、増収増益になりました。

 

 

③ パッケージ関連事業

リキッドインキは、国内では、コンビニ向けは堅調でしたが、物価上昇による買い控えから食品関連向けや詰め替え包材向けの出荷は低調に推移しました。段ボール用は、水産加工物の輸出減少や震災等により青果物の動きが鈍く低調でした。

海外では、中国で消費の低迷により伸び悩みましたが、東南アジアやインド、米国等では需要が堅調でしたことに加え、韓国で環境に配慮した水性インキの拡販が進みました。

グラビアのシリンダー製版事業は、包装用が買い控えによる商品数の減少もあり改版需要が低迷し、エレクトロニクス関連の精密製版も回復の兆しはみられるものの低調でした。

この事業環境のなか価格改定の効果があり、当事業全体の売上高は213億75百万円(前年同期比5.7%増)、営業利益は11億79百万円(前年同期比69.2%増)と、増収増益になりました。

 

④ 印刷・情報関連事業

国内では、情報系印刷市場の構造的な縮小が継続し、チラシや広告、出版向けは低調に推移しましたが、事業構造の変革によるコストダウンや原材料値上りに対する価格の見直しにより、利益面での改善が進みました。また機能性インキは、紙器パッケージ向けで消費者の買い控えの影響を受けたものの、省エネルギー対応の高感度UVインキが伸長しました。

海外では、中国で市況は低迷したものの教材向けの販売が拡大し、東南アジアでも紙器パッケージ向けが堅調でした。また、欧州や米国でもLEDや省エネルギー対応のUVインキの販売が好調に推移しました。

これらの結果、当事業全体の売上高は198億82百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は10億69百万円(前年同期は1億41百万円の営業損失)と、増収増益になりました。

 

⑤ その他

上記のセグメントに含まれない事業や、持株会社であるartienceによる役務提供などを対象にしています。当第1四半期累計期間においては、売上高は13億68百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益は2百万円(前年同期比77.3%減)と、減収減益になりました。

 

財政状態につきましては、次のとおりです。

 

当第1四半期連結会計期間末における総資産は4,579億7百万円で、前連結会計年度末より101億9百万円増加しました。負債は1,940億61百万円で、前連結会計年度末より19億16百万円増加しました。純資産は2,638億46百万円で、前連結会計年度末より81億92百万円増加しました。
 当第1四半期連結会計期間末日の為替レートが前連結会計年度末日の為替レートに比べ、円安外貨高に振れたため、海外子会社で保有する資産、負債及び為替換算調整勘定が増加しました。また、海外での設備増強に伴い有形固定資産が増加しました。さらに、日本国内の株価上昇を反映し、投資有価証券及びその他有価証券評価差額金が増加しました。一方、法人税や配当金の支払いに伴い現金及び預金は減少しました。なお、一部の短期借入金を返済し、新規資金調達を実施したため、長期借入金及び固定負債「その他」が増加しております。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期連結累計期間において、当企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更はありません。

 

 

(4) 研究開発活動

当第1四半期連結累計期間における当企業グループの研究開発活動の金額は、22億92百万円であります。また、当第1四半期連結累計期間において、当企業グループの研究開発活動の状況における変更の内容は次のとおりであります。

当企業グループの研究開発活動において、新たな製品やソリューションを生み出す素材技術や科学技術の獲得を目的に、「R&D本部」内の「技術開発研究所」と「フロンティア研究所」の一部機能を統合し、「次世代技術研究所」としました。また、「フロンティア研究所」の一部機能であったバイオ研究部門を「インキュベーションセンター」に移管しました。マーケティング部門と研究開発部門とを統合したことで、事業化に向けた活動を一層推進してまいります。

 

(5) 主要な設備

当第1四半期連結累計期間において、新たに確定した主要な設備の新設等の計画は、次のとおりです。

会社名

事業所名

所在地

セグメントの名称

設備の内容

投資予定金額

資金調達方法

着手及び完了予定

総額

(百万円)

既支払額

(百万円)

着手

完了

トーヨーカラー㈱

富士製造所

静岡県

富士市

色材・機能材関連

リチウムイオン電池材料製造設備

2,720

-

自己資金

2024年1月

2025年6月

Toyo Ink India Pvt. Ltd.

インド

グジャラート

ポリマー・

塗加工関連

粘着剤製造設備

1,400

-

自己資金

2024年3月

2026年3月

トーヨーカラー㈱

富士製造所

静岡県

富士市

色材・機能材関連

リチウムイオン電池材料製造設備

1,830

-

自己資金

2024年3月

2025年5月

 

(注)完成後の増加能力については、算出が困難であります。従って、完成後の増加能力は記載しておりません。