売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04955 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中における将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものです。

(1) 経営成績の状況

我が国の上下水道インフラ資産は、約130兆円との内閣府の試算があり、セクター別で道路に次ぐストックがあります。このうち、上水道の普及率は令和3年度末現在で98.2%、国内の全管路延長は約74万kmに達していますが、管路の年間更新率は全国平均で0.65%と低く、管路をすべて更新するのに約130年かかる計算となっています。水道管路は法定耐用年数40年とされていますが、その多くが高度成長時代の1970年代に集中的に整備されたものであり、施設の老朽化や管路の耐震化の遅れ(令和3年度末の基幹管路の耐震適合率は41.2%)、人口減少等による料金収入の減少という課題に直面し、また多くの水道事業者が小規模で経営基盤が脆弱であり、計画的な更新のための備えが不足している状況となっています。長らく厚生労働省が所管していた水道整備・管理行政が、令和6年の4月から国土交通省と環境省に移管されます。これにより、上下水道で一体的に取り組む施策を支援するための上下水道一体効率化・基盤強化推進事業の創設や水道施設整備事業調査費の拡充等の制度改正が予定されています

下水道分野については、全国の汚水処理人口普及率が92.9%(2022年度末)となっていますが、そのうち下水道によるものが81.0%にとどまり、未だに約880万人が汚水処理施設を利用できない状況にあり、普及促進の加速が求められています。施設の新設のニーズは減少の一途を辿っていますが、高度成長期に急速に整備した上下水道施設は毎年大量に耐用年数を迎え、安心・安全で文化的生活を送るために不可欠なこれらのインフラ資産を維持、更新していくことが求められています。また、近年頻発する集中豪雨、大型台風による風水害などから人命や資産を守る浸水対策や地震が発生してもトイレが使えるなどの耐震化、津波に強い下水道施設の補強対策、脱炭素・循環型社会への転換を図る「グリーンイノベーション下水道」に向けた取り組みなどのニーズも高まっています。

2024年3月に可決・成立した我が国の令和6年度予算のうち、当社の事業と関わりの深い下水道予算を含む「社会資本総合整備」の配分総額は、国費1兆3,613億円で、この内訳は防災・安全交付金8,563億円、社会資本整備総合交付金が5,051億円となっています。その内、下水道内示総額は国費約4,769億円でほぼ前年度(約4,772億円)並みとなっております。

当社は、このような事業環境のもと、主に、上水道分野では、「安全・強靭・持続・連携・挑戦」をキーワードとした厚生労働省水道課(令和6年4月より国土交通省上下水道グループ)が掲げる新水道ビジョンに則ったアセットマネジメント関連業務の積極的な受注活動を展開しております。下水道分野では、国土交通省下水道部(令和6年4月より上下水道グループ)の主要7大テーマ、「震災復旧・復興の支援の強化と全国的な安全・安心対策の実施」、「未普及地域の早期解消」、「水環境マネジメントの推進」、「施設管理・運営の適正化」、「下水道経営の健全化」、「低炭素・循環型社会への取組推進」及び「国際展開と官民連携による水ビジネスの国際展開」に沿った受注活動を展開しました。更に、総務省が支援を行っている簡易水道・下水道事業における地方公営企業法の適用による公営企業会計の導入支援関連業務、下水道事業経営戦略策定業務等の受注活動などを推進しております。国内市場においては、既存顧客である地方公共団体の施設整備状況や事業課題を熟知する当社の優位性を背景に、きめ細かい技術提案、柔軟な顧客サービスの提供を通じたリピート率の高い受注活動とともに、積み上げた業務実績を基に新規開拓営業を展開しております。海外分野では、官民連携による新興国の案件発掘などの受注活動を展開しております。

他方、社内の就労環境については、全社9割以上の社員にスマートフォンとノートパソコンを支給し、オフィスではフリーアドレスの環境で、在宅勤務や外出先でもテレワーク環境を活用しております。具体的には、全社で意識付けを行っている社内の各階層での迅速な情報共有・チャットの活用、部署別経営指標の随時確認による部署課題へのスピーディな対応、受注プロジェクトの適正な予算・工程・進捗・外注管理、社内エンジニアのスキル向上、次代を担う若手人材の確保・育成、改正労働基準法を遵守した残業時間の削減、ウェルビーイング経営の促進、時差出勤制度、有給休暇の取得促進など、社員一人ひとりがそれぞれの事情に応じてメリハリをつけて働くことができる社内制度を提供しています。社内業務管理システムにおいては、設計業務の受注から、着手、実行予算作成・変更、完了に至るまでの各業務ワークフローの承認機能の電子化を図り、予算管理の迅速化と印刷の削減を推進しております。これらにより、生産性向上と原価低減を図り、社員還元と収益の拡大に努めております。

当四半期中は官公庁の会計年度末のため、例年多くの受注業務の納期が集中する時期でありましたが、顧客である地方公共団体の担当者の方との対面またはリモート協議、中間検査、完成検査などが全般的にスムーズに進みました

海外案件については、比率は少ないですが順調に業務進捗しました。

この結果、当第1四半期累計期間の受注高は8億5千万円(前年同四半期比22.9%増)となりました。一方、完成業務高は23億9千7百万円(前年同四半期比12.0%増)、営業利益は6億6百万円(前年同四半期比22.3%増)、経常利益は6億1千1百万円(前年同四半期比21.8%増)、四半期純利益は4億9百万円(前年同四半期比22.4%増)となりました。

 

当社における事業部門別の業績は、次のとおりであります。

[建設コンサルタント部門]

建設コンサルタント部門につきましては、受注高は8億2百万円(前年同四半期比25.8%増)となりました。一方、完成業務高は22億3千2百万円(前年同四半期比10.8%増)となりました。

[情報処理部門]

情報処理部門につきましては、受注高は4千7百万円(前年同四半期比11.5%減)となりました。一方、完成業務高は1億6千5百万円(前年同四半期比30.4%増)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

(流動資産)

当第1四半期会計期間における流動資産は、71億4百万円(前事業年度末比8.4%増)となりました。これは主に業務代金の入金により「現金及び預金」が増加したことによるものであります。

(固定資産)

当第1四半期会計期間における固定資産は、15億3百万円(前事業年度末比13.0%増)となりました。これは主に投資有価証券の取得により「投資その他の資産」が増加したことによるものであります。

(流動負債)

当第1四半期会計期間における流動負債は、17億6千万円(前事業年度末比36.1%増)となりました。これは主に未完了業務の業務代金の入金が増えたことで「未成業務受入金」が増加したことによるものであります。

(固定負債)

当第1四半期会計期間における固定負債は、9千1百万円(前事業年度末比7.9%減)となりました。これは主に「リース債務」が減少したことによるものであります。

(純資産)

当第1四半期会計期間における純資産は、67億5千6百万円(前事業年度末比4.1%増)となりました。これは主に「利益剰余金」が増加したことによるものであります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期累計期間において、当社が対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第1四半期累計期間において、該当事項はありません。