売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05162 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の分析

① 経営環境及び概況

 当第3四半期連結累計期間の世界経済は、一部で堅調な動きもありましたが総じて軟調に推移しました。米国においては個人消費を中心に足許の景気は堅調に推移した一方で、欧州においては金融引き締めを受け需要が減速し、中国においては個人消費が軟調に推移し景気が減速しました。日本経済においては個人消費におけるサービス消費やインバウンド需要の回復が一服するも緩やかな回復が継続しました。

 当社の売上面では、モバイル・インターネット気象事業において、広告投資を通じた認知度向上によるアプリ利用者数の増加や広告市況の改善等を背景に、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が増加しました。なお、サブスクリプションサービス売上におけるキャリア向け売上が減少したことで、当初想定より緩やかな売上成長となりました。航海気象事業においては、船舶需要の低迷や紅海の物流混乱などで荷動きが軟調に推移したものの、米州におけるサービス提供数が増加し、また為替の影響もあり増収となりました。陸上気象事業においては、高速道路市場における顧客数の増加により増収となりました。その結果、当第3四半期連結累計期間の連結売上高は16,658百万円(前年同期比5.4%増)となりました。

 費用面では、広告投資については足許の天候状況に鑑みた柔軟な投資を実行しており、当第3四半期連結累計期間においては安定した天候を背景に前年同期比で減少しました。人件費についてはSaaS型プロダクト開発をはじめとするIT開発人財及び海外事業人財の強化を前年度に引き続き実施したことで増加しました。通信費については開発・運用環境のクラウド化の継続実施に伴い増加しました。

 なお、一時的な費用として、第2四半期連結会計期間においては外注費等にかかる費用が発生しました。また、当第3四半期連結会計期間においては当期より開始した新たな中期経営計画に基づき、気象データの取得を一層加速させていくために戦略の見直しを行いました。その一環で観測インフラ展開については自社開発の気象観測レーダーの生産台数を当初計画から減少させることを決定し、その処分費用が発生しました。

 その結果、営業利益は2,287百万円(前年同期比8.9%減)、経常利益は2,337百万円(前年同期比9.3%減)となりました。なお、第1四半期連結会計期間において定年退職制度導入に伴う税効果の認識により法人税等調整額を含む法人税等合計が前年同期比で大幅に減少し、親会社株主に帰属する四半期純利益は1,749百万円(前年同期比3.0%減)となりました。

 

② 事業別の状況

<航海気象>

 海運市場では、コンテナ船の新造船竣工をはじめとする船舶供給量が回復する一方でバルク船需要の低迷が継続し、全体的に荷動きは軟調に推移しました。当社においては紅海の物流混乱などの影響でサービス提供数の総数が減少したものの米州では顧客獲得などで提供数が増加しました。また為替の影響もあり、全体では増収となりました。

 

<航空気象>

 エアライン市場では、新型コロナウィルスにかかる各種制限の緩和・撤廃を背景に国内線及び国際線の旅客数の回復が継続しました。当社においても国内外のエアライン市場の売上が増加しましたが、前第1四半期連結会計期間において連結決算日との間に生じた重要な取引に関わる必要な調整を行ったことに伴い航空気象の売上が一時的に増加した影響で、当第3四半期連結累計期間は減収となりました。

 

<陸上気象>

 高速道路・鉄道をはじめとする物流関連市場では、極端気象発生時の拠点防災や輸送影響など物流における安全確保の観点で気象情報のニーズが高まりました。当社の高速道路市場においては、地域特性に基づいた気象情報の提供により顧客数が増加し増収となりました。

 

<環境気象>

 日本と欧州の再生可能エネルギー市場の拡大によるエネルギー気象全般の市場性の高まりが継続しました。当社においては、SaaS型プロダクトのサービスである「ウェザーニュース for business」の日本における好調な販売により増収となりました。

 

<スポーツ気象>

 各種スポーツ競技大会の開催可否判断支援や代表チームのサポートを行いました。

 

<気候テック>

 国内企業を中心に気候変動リスク分析サービス「Climate Impact」の採用社数が伸び、増収となりました。

 

<モバイル・インターネット気象>

 テレビCM等の広告投資を継続したこと及び日本国内において気象トピックへの注目が高まったことでアプリ利用者数が増加しました。サブスクリプションサービス売上のうちキャリア向け売上が減少しましたが、広告市況の改善やアプリ利用者数の増加を背景に広告収入が増加した結果、全体では増収となりました。

 

<放送気象>

 防災報道において気象情報の重要性がますます高まる一方、テレビ局等の主要顧客の事業環境の構造的な変化に伴いコスト見直しの動きが継続した結果、減収となりました。

事業区分

前第3四半期連結累計期間

(自 2022年6月1日

至 2023年2月28日)

(百万円)

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年6月1日

至 2024年2月29日)

(百万円)

増減率

(%)

 

航海気象

4,153

4,308

3.7

航空気象

946

939

△0.7

陸上気象

2,407

2,572

6.9

環境気象

774

886

14.5

その他 BtoB

28

90

214.4

BtoB事業 計

8,311

8,798

5.9

 

モバイル・インターネット気象

5,842

6,211

6.3

放送気象

1,650

1,648

△0.1

BtoS事業 計

7,492

7,859

4.9

合 計

15,804

16,658

5.4

 

 

(参考)地域別売上高

地域区分

前第3四半期連結累計期間

(自 2022年6月1日

至 2023年2月28日)

(百万円)

当第3四半期連結累計期間

(自 2023年6月1日

至 2024年2月29日)

(百万円)

増減率

(%)

 

日本

4,959

5,246

5.8

アジア

1,678

1,801

7.3

欧州

1,409

1,471

4.4

米州

263

279

5.8

BtoB事業 計

8,311

8,798

5.9

 

日本

6,951

7,358

5.9

アジア

541

501

△7.4

欧州

-

-

-

米州

0

-

△100.0

BtoS事業 計

7,492

7,859

4.9

合 計

15,804

16,658

5.4

(注)1.前連結会計年度まで、サービス提供の対価として継続的に発生する売上であるトールゲート売上と一時的な調査やシステム販売であるSRS売上(Stage Requirement Settings)の2つの区分で売上を開示しておりましたが、全体の売上に占めるSRS売上の割合が減少してきたため、売上の区分を廃止しております。

2.BtoS事業:個人向け事業(Sはサポーターの意)を指します。

 

(2)財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は、売掛金などの減少により、前連結会計年度末に比べて193百万円減少し、20,786百万円となりました。また、負債合計額は、未払法人税等などの減少により、前連結会計年度末に比べて824百万円減少し、1,754百万円となりました。純資産合計額は、前連結会計年度末の配当及び当連結会計年度の中間配当1,324百万円を行った一方で、親会社株主に帰属する四半期純利益1,749百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて631百万円増加し、19,031百万円となりました。

 以上により、自己資本比率は91.1%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等884百万円を支払う一方で、税金等調整前四半期純利益2,333百万円を計上したことなどにより、1,296百万円の収入(前年同期980百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支払などにより、359百万円の支出(前年同期187百万円の支出)となりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより、1,311百万円の支出(前年同期1,097百万円の支出)となりました。

 現金及び現金同等物に係る換算差額73百万円を加算し、現金及び現金同等物の当第3四半期末残高は12,218百万円(前年同期11,167百万円)となりました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループでは、長期ビジョンをもとに事業に取り組んでおります。なお、当第3四半期連結累計期間において、対処すべき課題について重要な変更はありません。

① 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは「船乗りの命を守りたい。地球の未来も守りたい。」という夢に向かって、サポーターとともに最多・最速・最新の気象コンテンツサービスにより気象・環境に関する社会的リスクに対応する「気象コンテンツ・メーカー」になることを基本コンセプトとしており、気象コンテンツ市場のフロントランナーとして、独創的に新たな市場を創造しながら「サポーター価値創造」と企業価値の最大化を目指します。また、このコンセプトの実現のため、「世界最大のデータベース・業界No.1の予報精度・あらゆる市場におけるコミュニティー」をValueと考え、Full Service“Weather & Climate”Companyとなることが当社のミッションであると認識しています。

② 対処すべき課題(中期経営計画)

 2023年6月からの第5成長期においては、事業の一層のスケールアップに向けた新たな施策に取り組みます。

 中期経営計画(2023年6月~2026年5月)の3年間における具体的な取り組みとして、より多くの企業をサポートできるSaaS型ビジネスの展開を目指していきます。同時に、人によるリスクコミュニケーション機能をAI型運営モデルによってコンテンツ化し運営の生産性を高めていきます。また、BtoSが持つサポーターのネットワークを生かした広報・マーケティング支援等をBtoBでも活用し、BtoBとBtoSのシナジー創出を狙います。加えて、グローバルビジネス展開を加速させるための海外販売体制の再構築を実施します。また事業拡大の新たな施策として、航海気象事業におけるCO2削減サービスや、気候テック事業における気候変動に対応したサービスの展開など、事業成長のみならず地球環境への貢献も行っていきます。

詳細は当社HPの中期経営計画の資料をご覧ください。

https://jp.weathernews.com/irinfo/plan/

 

(5)会社の支配に関する基本方針

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容の概要

 当社グループでは、民間の気象情報会社として「船乗りの命を守りたい。地球の未来も守りたい。」という夢を掲げ、気象が水、電気、交通、通信に続く第5の公共資産=公共インフラであると考え、世界中のあらゆる企業、個人の生命、財産に対するリスクを軽減し、ソリューションの提供などを通じた顧客の事業の効率化・最適化の機会の増大を実現する気象サービスを目指しております。また、当社グループは、サポーター自身が主体的に気象の観測(感測)、分析、予測、配信・共有に参加し、当社とともに価値を共創していく新しい気象サービスのあり方を追求していくことにより、社会や地球環境に貢献していきます。当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。言うまでもなく、上場会社である当社の株券等については、株主及び投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社取締役会としては、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、最終的には株主の皆様全体のご意思により決定されるべきであり、当社の株券等に対する大量取得行為の提案又はこれに類似する行為があった場合に、当社の株券等を売却するかどうかの判断も、最終的には当社の株券等を保有する株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかしながら、近年わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大量取得行為の提案又はこれに類似する行為を強行する動きが増加しております。そして、かかる株券等の大量取得行為の中には、その目的等から見て企業価値及び株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株券等の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株券等の大量取得行為の内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値及び株主共同の利益を毀損するものも少なくありません。当社としては、このような当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益を毀損する大量取得行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量取得行為に対しては必要かつ相当な対抗手段を講じることにより、当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益を確保する必要があると考えます。

② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの内容の概要

 当社は、中長期にわたり企業価値を持続・発展させていくことこそが株主の皆様の共同の利益の向上のために最も優先されるべき課題であると考え、当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益の向上を目的に、当社の中期経営計画の策定及びその実施、コーポレート・ガバナンスの強化、更に、業績に応じた株主の皆様に対する利益還元を従前どおり進めてまいる所存です。

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの内容の概要

 当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みとして、2023年8月19日開催の第37期定時株主総会において、当社株券等の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)の更新について株主の皆様のご承認をいただきました(当該更新により導入される買収防衛策を、以下「本プラン」といいます。)。本プランは、当社が発行者である株券等について、(ⅰ)保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けその他の取得若しくはこれに類似する行為、若しくは、(ⅱ)公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け若しくはこれに類似する行為、又はこれらの提案(買付等)を行おうとする者(買付者等)に対し、当社取締役会が、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当該買付等についての情報収集・検討等を行う時間を確保した上で、株主の皆様に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者との交渉等を行っていくための手続を定めております。なお、買付者等は、本プランに係る手続の開始後、(ⅰ)当社取締役会による評価、検討、交渉及び意見形成のための期間が終了するまでの間、又は、(ⅱ)取締役会により株主意思確認手続が実施された場合には、同手続が完了するまでの間、買付等を開始することができないものとします。買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う場合等、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益が毀損されるおそれがあると認められる場合には、当社は対抗措置(買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権(本新株予約権)の無償割当ての実施)を講じることがあります。本プランにおいては、本新株予約権の無償割当ての実施又は不実施について、取締役の恣意的判断を排するため、対象となる買付等が本プランに定める手続を遵守しないものである場合、又は濫用的な買付行為であると明らかに認められる場合を除き、(ⅰ)株主意思確認総会における株主投票により株主の皆様のご意思を確認する手続を実施することとしております。また、対象となる買付等が濫用的な買付行為であると明らかに認められる場合であっても、(ⅱ)当社経営陣から独立した者のみから構成される独立委員会の判断を経る手続を実施することとしております。その上で、当社取締役会は、株主意思確認手続の結果に従い、又は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、本新株予約権の無償割当ての実施又は不実施に関する会社法上の機関としての決議を速やかに行うものとします。なお、当社は、上記①記載の基本方針、上記②記載の取り組み及び本プランの内容を、以下のウェブサイトにて公表しております。https://jp.weathernews.com/

④ 本プランに対する取締役会の判断及びその理由

 当社は、中長期にわたり企業価値を持続・発展させていくことこそが株主の皆様の共同の利益の向上のために最優先されるべき課題であると考え、当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益の向上を目的に、当社の中期経営計画の策定及びその実施、コーポレート・ガバナンスの強化、さらに、業績に応じた株主の皆様に対する利益還元を従前どおり進めてまいる所存です。これらの取り組みの実施を通じて、当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益を向上させ、その向上が株主及び投資家の皆様による当社株式の評価に適正に反映されることにより、上記の当社グループの企業価値及び株主の皆様の共同の利益を毀損するおそれのある当社の株券等の大量取得行為は困難になるものと考えられます。したがって、これらの取り組みは、基本方針に資するものであると考えております。また、本プランは、当社の株券等に対する買付等が行われる場合に、当該買付等に応じるべきか否かを株主の皆様が判断し、あるいは当社取締役会が株主の皆様に代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために買付者等と協議・交渉等を行ったりすることを可能とすることにより、当社の企業価値及び株主の皆様の共同の利益を確保するための枠組みであり、基本方針に沿うものです。さらに、本プランは、買収防衛策に関する指針の要件等を完全に充足していること、株主意思を重視するものであること、取締役の恣意的判断を排除するために本プランの発動及び廃止等の運用に際しての実質的な判断を客観的に行う機関として独立委員会が設置されていること、合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動できないように設定されていること、独立委員会は外部専門家等の意見を取得できる仕組みとなっていること、当社取締役の任期が1年であること、有効期間満了前であっても株主総会又は取締役会によりいつでも廃止することができるものとされていること等の理由から、株主の皆様の共同の利益を損なうものでなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。

 

(6)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は330,554千円であります。

 

(7)従業員数

① 連結会社の状況

2024年2月29日現在

 

従業員数(名)

1,134 [88]

(注)1.従業員数は就業人員数であります。

2.従業員数欄の[外書]は臨時従業員の平均雇用人数であります。

3.上記のほか、派遣社員28名、委任・準委任の業務委託者118名が従事しております。

 

② 提出会社の状況

2024年2月29日現在

 

従業員数(名)

989 [88]

(注)1.従業員数は就業人員数であります。

2.従業員数欄の[外書]は臨時従業員の平均雇用人数であります。

3.上記のほか、派遣社員28名、委任・準委任の業務委託者118名が従事しております。