売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05191 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。

 

(1) 業績の状況

当第2四半期累計期間における国内経済は、緩やかに回復しました。設備投資の一部に足踏みもみられましたがソフトウェア投資は増加し、企業業績は堅調に推移しました。当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、個人消費の持ち直しにより、クレジットカード会社の取扱高も、前年の実績を引き続き上回り推移しています。経済産業省の算出によると2022年のキャッシュレス決済比率は36.0%、キャッシュレス決済金額は111兆円と、初めて100兆円を超えました。経済産業省は、キャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げています。

クレジットカード業界においては、不正検知のニーズが急速に高まっており、システム基盤はモダナイゼーションや費用対効果向上のためにクラウド導入の動きが加速化、また業界を問わずセキュリティに対するIT投資意欲も高まっています。

 

こうした事業環境の中、当社は2025年6月期を最終年度とする3カ年中期事業計画を推進しています。事業構造の変革や事業領域の拡大による事業基盤の強化、拡大を進めるとともに、自らの持続的成長に向けて、人財基盤と共創基盤の確立に取り組んでいます。

事業基盤の強化、拡大においては、当社が強みをもつ決済業務に係るシステム開発事業を基礎として、クラウドサービスの成長によるストックビジネスの拡大と、決済データの利活用や顧客のIT戦略支援による決済事業領域の拡大、セキュリティ事業の構造改革、及び、決済・金融以外の産業の DX に貢献する IT 基盤の提供による事業領域の拡大を進めています。人財基盤については、人的資本経営推進室を新設し、事業戦略に合致した人財戦略を進め、共創基盤については、事業改革を進めるビジネスリライアビリティプロジェクトや共創プロジェクト等の社内プロジェクトを立ち上げ、組織横断型、社員全員参加型の取組み、対話を深めています。

 

当第2四半期累計期間の業績については、前年同期にFEPシステム更改の大型ハードウェア販売がありましたが、システム開発、クラウドサービス、セキュリティの主要3分野の売上が伸長し、増収増益となりました。これまでの主力事業であったFEP領域は、既存顧客のシステム更改時期にハードウェア販売を伴うことから、売上の増減に大きな影響を与えていましたが、3カ年中期事業計画の目標である、クラウドサービスやセキュリティなどのストックビジネス拡大やFEP領域以外の決済領域への事業範囲拡大により、増収となりました。

売上高は、決済・金融分野については、クレジットカード会社向けの大型案件、及び案件数の伸長により、システム開発は増加しました。クラウドサービスについては、カード不正利用検知のクラウドサービス「IFINDS」を中心にユーザー数が伸長し、増加しました。セキュリティについては、取扱製品の絞り込みや、鍵管理システム(HSM)、ID管理ソリューションなどの取扱製品の販売強化により増加しました。結果、売上高は6,946百万円(前年同期比2.3%増)になりました。

売上総利益は、システム開発やクラウドサービスの売上増加に加え、大型案件等のシステム開発の利益率が好調に推移し増加しました。販売管理費は、人的資本投資やオフィス環境整備等により増加しましたが、コストの最適化を図り、計画通りに進捗しています。その結果、営業利益は852百万円(前年同期比6.1%増)、経常利益は859百万円(前年同期比4.3%増)、四半期純利益584百万円(前年同期比4.8%増)となりました。

受注については、受注高は9,772百万円(前年同期比51.3%増)、受注残高は13,800百万円(前年同期比49.5%増)となりました。決済・金融分野や、クラウドサービス、セキュリティにおいて複数年契約案件が増加し、大幅増加となりました。

 

中期事業計画で拡大を目指しているクラウドサービスについては、売上高1,180百万円(前年同期比33.9%増)、売上総利益180百万円(前年同期比7.2倍)となりました。利益については、サービス構成比率の変化や運用体制の安定化により、前年同期比で増加しました。またクラウドサービスは主に複数年契約の受注となっており、12月末時点で受注残高は7,098百万円となっています。2024年6月期は売上高2,500百万円を計画しており、順調に進捗しています。

 

当社は、決済領域では主にクレジットカード会社のFEPシステムや不正検知システムの開発を行っています。システムの中核は「NET+1(ネットプラスワン)」「ACEPlus(エースプラス)」等の自社製品で構成しており、例えば、FEPシステムの開発では、自社製品販売と、顧客の機能要件に合わせてカスタマイズするシステム開発、開発したソフトウェアを搭載するハードウェア販売の売上がそれぞれ計上されます。

また、セキュリティ領域では、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品「CWAT(シーワット)」と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。

 

※ FEP(Front End Processing)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア

 

(2) 財政状態の分析

(資産)

当第2四半期会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ496百万円増加し、14,179百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ331百万円減少し、7,532百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産299百万円、その他に含まれる前渡金215百万円、前払費用123百万円の増加があったものの、現金及び預金が1,068百万円減少したためです。

固定資産は、前事業年度末に比べ827百万円増加し、6,647百万円となりました。これは主に、有形固定資産のうち工具、器具及び備品123百万円、無形固定資産のうち開発中のソフトウェア463百万円、投資有価証券133百万円の増加があったためです。

 

(負債)

当第2四半期会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ514百万円増加し、5,398百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金252百万円、前受金242百万円の増加があったためです。

 

(純資産)

当第2四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ18百万円減少し、8,780百万円となりました。これは主に、利益剰余金が59百万円増加したものの、株式給付信託(BBT)導入により自己株式99百万円を取得したためです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当第2四半期累計期間末における現金及び現金同等物は、3,619百万円(前年同四半期累計期間末は4,336百万円)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、764百万円の収入(前年同四半期累計期間は1,717百万円の収入)となりました。主な内訳としては、税引前四半期純利益859百万円、減価償却費512百万円の計上、売上債権の増加額57百万円、棚卸資産の増加額74百万円、仕入債務の増加額31百万円、法人税等の支払額282百万円があったためです

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,213百万円の支出(前年同四半期累計期間は864百万円の支出)となりました。これは主に、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出915百万円があったためです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第2四半期累計期間における財務活動によるキャッシュ・フローは、624百万円の支出(前年同四半期累計期間は447百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額524百万円があったためです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第2四半期累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第2四半期累計期間の研究開発費の総額は12百万円です。

主な内容としては、NET+1の機能更新、マルチテナント型不正検知サービスの開発、ハイパフォーマンスコンピューティング・分散処理に関するコア技術開発等を行いました。