売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E35518 Japan GAAP


 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績

(経営成績)

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症については正常化が完了し、緩やかな持ち直しの動きが継続しました。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっているほか、東欧や中東における政情不安、アジアの地政学的リスク、円安、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響により先行きが不透明な状況となっております。また、バイオテックのファイナンス環境は引き続き日米両方で低迷しており、厳しい環境下にあると考えております。

 

当社グループは、技術的基盤となるCRISPR-GNDM®プラットフォームを元に、世界初のCRISPRを用いた遺伝子制御治療を開発する会社として2016年の設立から今第8期目にいたるまで事業を続けています。ここ数年で類似企業がいくつか設立される中、創業以前からそのポテンシャルに着目し、研究開発が活発なメジャーな分野においてグローバルなリーディングポジションをとり続け、臨床試験が視野に入る段階まで開発を進めていることは注目に値すると考えています。

 

当社は2023年8月にアステラス製薬株式会社よりMDL-201及びMDL-202の開発、製造・販売権を再取得し、LAMA2-CMDをターゲットとしたMDL-101およびDM1をターゲットとしたMDL-202を中心とした筋肉疾患にフォーカスした開発戦略を明確化させました。

 

権利を再取得したMDL-202は、既に筋肉特異的ベクター(細胞に送達するウィルス由来のナノ粒子)への換装を終え、候補化合物の作成を行い、サルにおけるターゲットエンゲージメント試験を開始しております。このようにシームレスかつ迅速に対応できたのは、対象疾患がMDL-101と同じ筋肉疾患であり、プラットフォームを一にする開発において蓄積したノウハウをダイレクトに活かせるからです。また先だって入念な検討を重ね、十分な受け入れ準備を行えたことにより、リードタイムを最小化することができました。対象疾患であるDM1は比較的患者数の多い筋疾患で、他のモダリティーでも多くの開発アプローチがありますが、この中でスピードを持って競合優位性を確立していきたいと考えています。

 

MDL-101は対象となる患者層が主に小児であることから、年齢を合わせた動物による検討が必要と考えられます。当社はサルにおける検討を行い、大人のサルに対する投与に比して同等レベルあるいはそれ以上のGNDM発現とLAMA1の誘導が見られ、また毒性の兆候が見られないことを確認しました。この結果はファースト・イン・ヒューマン(FIH)試験を小児を対象として実施できることの強い裏付けデータとなることを示唆していると当社は考えます。これらの試験結果を受けて、また6月に受領したPreINDに対するレスポンスを考慮し、GLP毒性試験の準備を進めています。また、もう1つ臨床試験に向けて重要となる製造面に関しては、合理的なスペックかつ現実的な収量を実現する製造プロセスを完成し、GMP製造に向けた準備を行っております。

 

上記のような開発の進捗を踏まえ、2023年9月11日に、2023年9月27日を払込期日として、CS Asia Opportunities Master Fund(以下「旧割当予定先」といいます。)を割当先とする新株予約権付社債(以下、「旧新株予約権付社債」といいます。)及び新株予約権(以下、「旧新株予約権」といいます。)の発行を決議いたしました。しかし、旧割当予定先より払込期日付で支払いを行うべく払込金の送金指示を行っていたものの、送金を取り扱う金融機関(プライム・ブローカー)において送金に必要な内部手続が完了していないことから、払込期日までに払込金の送金を完了することができない旨の連絡を受け、旧割当予定先と合意の上、当該旧新株予約権付社債及び旧新株予約権の発行を中止することを決定いたしました。一方で、当社としては2024年内には確実にINDを達成するために、現在未達の状態となっている資金調達を実行する必要がある状況から、引き続き資金調達の可能性を模索し、割当先候補を比較検討の上、所定の手続きと期間を経て、EVO FUNDを割当予定先とする新たな新株予約権付社債及び新株予約権の発行を決定いたしました。

 

この資金調達により、前進するMDL-101の開発を臨床に向けて進めると共に、後続のパイプラインの開発を推進することが可能になります。資金調達の詳細は11月7日付で別途開示した「第三者割当による第1回無担保転換社債型新株予約権付社債(転換価額修正条項付)及び第12回新株予約権(行使価額修正条項付)の発行に関するお知らせ」をご覧ください。

 

この結果、当第3四半期連結累計期間の業績は、事業収益千円(前年同四半期は事業収益40,500千円)、営業損失1,609,433千円(前年同四半期は営業損失1,438,226千円)、経常損失1,542,873千円(前年同四半期は経常損失1,314,537千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失1,581,809千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失1,309,827千円)となりました。

なお、当社グループは、遺伝子治療薬開発事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(財政状態)

(流動資産)

当第3四半期連結会計期間末の流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて956,226千円減少し、2,105,001千円となりました。これは主に、現金及び預金が1,036,086千円減少したためであります。

 

(固定資産)

当第3四半期連結会計期間末の固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて5,570千円増加し、74,175千円となりました。これは主に、投資その他の資産5,570千円増加したためであります。

 

(流動負債) 

当第3四半期連結会計期間末の流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて18,763千円増加し、160,603千円となりました。これは主に、賞与引当金39,110千円増加したものの、未払法人税等10,847千円減少したためであります。

 

(固定負債)

当第3四半期連結会計期間末の固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて6,748千円減少し、40,011千円となりました。これは主に、従業員株式報酬引当金2,462千円減少したためであります。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて962,670千円減少し、1,978,562千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する四半期純損失が1,581,809千円発生したためであります。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

  当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

  当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

  当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は、1,401,667千円であります。

  なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。