売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E38156 


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期累計期間におけるわが国経済は、経済活動の正常化が進み、個人消費の改善が見られる一方、長期化する地政学的リスクを背景とした為替変動、資源・原材料価格の高騰にともなう物価上昇等により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。

国内における再生・細胞医療、遺伝子治療分野においては、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会において、再生医療等製品の製造販売承認が了承された製品が累計で20製品国内上市される等、新たな再生医療等製品の上市への期待感は引き続き高まっている状況です。

このような状況の下、当社は独自のプラットフォーム技術を用いた革新的な再生医療等製品や3D細胞製品の創出を通じて、新たな再生医療・細胞医療の実用化・産業化に貢献するべく、研究・技術開発を中核とする事業活動を推進してまいりました。また、細胞製品開発と並行して、デバイス販売や共同研究活動等により、当社の基盤技術を国内外に普及させる事業活動にも取り組んでまいりました。

具体的には、①再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用細胞製品の受託製造、②創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等を相手方とした創薬支援用のツールとしての細胞製品の開発・販売、③デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を多面的に展開しております。

このような状況の下、当第3四半期累計期間における各事業における経営成績及び進捗の概況は、以下のとおりです。

 

①再生医療領域

当社では、主要な再生医療パイプライン(末梢神経再生、骨軟骨再生、血管再生等の革新的な3D細胞製品)について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)等の公的機関の支援のもと、再生医療等製品の承認取得・実用化を目指し、各大学・研究機関及び連携企業等の共同開発パートナーとともに臨床開発及び研究開発を進めております。

当第3四半期累計期間においては、末梢神経再生については、京都大学医学部附属病院とともに実施した、AMED委託事業「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」が完了したことを受け、医師主導治験の結果について、京都大学とともにプレスリリース並びに第96回日本整形外科学会学術総会等で発表いたしました。その後、本医師主導治験の結果をもとに、次相臨床試験開始に向けた準備を進めております。

骨軟骨再生については、AMED橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンタ技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」において、慶應義塾大学病院とともに次相臨床試験開始に向けた開発を進めてまいりました。また、新たに採択された経済産業省「令和4年度 第二次補正予算『再生・細胞医療・遺伝子治療の社会実装に向けた環境整備事業』」について、引き続き、慶應義塾大学病院とともに骨軟骨再生の社会実装に向けて、開発に取り組んでまいります。なお、骨軟骨再生を中心とする開発については、2023年10月12日に開催されたBioJapan2023において講演・展示発表いたしました。

血管再生については、国立大学法人佐賀大学とともに引き続き、臨床試験を継続して進めております。

さらに、主要パイプラインに加え、次世代のパイプラインの育成及び探索開発が進捗しており、共同研究先である国立大学法人広島大学が採択されたAMED事業「令和5年度 再生・細胞医療・遺伝子治療実現加速化プログラム/「バイオ3Dプリンターで作製した三次元移植組織を用いる革新的歯周再生療法の開発」に参画し、歯科領域における研究開発を進めることとなりました。当社では今後も引き続き、共同研究パートナーとの研究開発を進めるとともに、新たなシーズ探索・基礎研究を進めてまいります。

また、当社と細胞製品の製造に関する包括的パートナーシップ契約を締結している太陽ホールディングス株式会社及びその子会社である太陽ファルマテック株式会社とともに、将来の再生医療等製品の実用化を見据えた、製造販売体制構築に向けて準備を進めました。そのほか、藤森工業株式会社との間では、細胞の大量培養に関する共同技術開発を、また、岩谷産業株式会社との間では、凍結保管技術の開発を進めております。各共同研究については、2023年3月に開催された第22回日本再生医療学会学術総会において、共同研究先とともに開発成果の公表等を行いました。さらに、当第3四半期累計期間においては、PHCホールディングス株式会社及びPHC株式会社との間で、将来の再生医療等製品の商業生産体制構築を見据え、戦略的パートナーシップの強化を目的とした業務提携に関する基本合意書を締結しました。

その他、海外における協業については、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、MetaTech (AP) Inc.及びTaiwan Hitachi Asia pacific Co., Ltd.との間で、再生医療分野の発展及び台湾地域での協業を進めることを目的とした基本合意書を締結しました。

以上のように当社では、今後もパートナー企業との間で戦略的パートナーシップの強化を進め、当社の革新的な再生医療等製品の早期の実用化に向け、開発を進めてまいります。

 

②創薬支援領域

当社では、創薬支援領域において、独自の基盤技術により、スキャフォールドを使用せずに、ヒト3Dミニ肝臓をはじめとした、臓器が有する機能を体外で再現する3D細胞製品「機能性細胞デバイス」の開発を進めております。

当第3四半期累計期間において、これまで積水化学工業株式会社、大阪サニタリー株式会社及び株式会社SCREENホールディングスと共同開発を進めてきた「ヒト3Dミニ肝臓」を富士フイルム和光純薬株式会社を通じて販売開始いたしました。本製品は、従来のツールに比し肝機能が長期間にわたり持続する特徴を有しており、製薬企業や非臨床試験受託会社等の創薬研究のニーズに応える高いユーザービリティを発揮する製品です。また、ヒト3Dミニ肝臓を用いて開発された新しいアプリケーションについて、第50回日本毒性学会学術年会で発表する等、学会並びに展示会での技術紹介・販促活動も拡大しております。

 

③デバイス領域

当社では、デバイス領域において、独自の基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器及び周辺機器類の開発・販売等の事業活動を進めております。また、バイオ3Dプリンタによる基盤技術の普及を進めることによる新たなシーズ探索並びに再生・細胞医療領域におけるポジション確立を目指しております。併せて、3D細胞製品の実用化に必要となる技術応用及び新技術開発にも取り組んでおります。

当第3四半期累計期間においては、当社の再生医療等製品の実用化に向けて、臨床製造に関連した生産技術開発を進めました。業務提携パートナーである日本精工株式会社との間では、当社の再生医療等製品の実用化に必要となる新技術に関する共同開発を進めるとともに、様々なパートナー企業との連携により、製造の機械化・自動化の技術開発にも取り組んでおります。

 

以上の結果、当第3四半期累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a. 財政状態

当第3四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べ643,215千円減少し、4,172,122千円となりました。主な減少要因は、現金及び預金の減少595,542千円であります。

負債については、前事業年度末に比べ114,572千円減少し、930,963千円となりました。主な減少要因は、未払金の減少23,498千円、未払法人税等の減少20,189千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少57,598千円であります。

純資産については、前事業年度末に比べ528,642千円減少し、3,241,159千円となりました。主な減少要因は、四半期純損失の計上534,582千円であります。

この結果、自己資本比率は77.7%と前事業年度末に比べ0.6ポイント減少しました。

 

b. 経営成績

当第3四半期累計期間における売上高は、装置開発の技術支援及びデバイス関連部品の販売等により29,729千円を計上し、販売費及び一般管理費は、合計で540,281千円を計上した結果、営業損失は528,204千円(前年同期は249,185千円の営業損失)となりました。

また、研究開発に係る助成金受領等により、営業外収益11,427千円(前年同期比62.2%減)を計上した一方、借入金の利息等の支払により営業外費用15,466千円(前年同期比13.3%増)を計上したことから、経常損失は532,243千円(前年同期は232,579千円の経常損失)、四半期純損失は534,582千円(前年同期は272,411千円の四半期純損失)となりました。

なお、当社の事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期累計期間における当社の研究開発活動の金額は、264,573千円であります。なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。