富士フイルムホールディングス株式会社

ブランドなど:富士フイルム富士ゼロックス
化学医療機器プライムTOPIX Large70

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00988 US GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

 当社グループの当第3四半期連結累計期間における連結売上高は、メディカルシステム、イメージング等を中心に売上を伸ばし、2,155,411百万円(前年同期比2.9%増)となりました。営業利益は、204,927百万円(前年同期比1.1%増)となりました。税金等調整前四半期純利益は、投資有価証券評価益の増加等により229,664百万円(前年同期比12.1%増)、当社株主帰属四半期純利益は173,760百万円(前年同期比13.0%増)となりました。

 当第3四半期連結会計期間末では、総資産は有形固定資産の増加等により414,733百万円増加し、4,549,044百万円(前年度末比10.0%増)となりました。負債は社債及び短期借入金の増加等により227,825百万円増加し、1,574,276百万円(前年度末比16.9%増)となりました。純資産は為替換算調整額の増加等により186,908百万円増加し、2,974,768百万円(前年度末比6.7%増)となりました。

 事業セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

(事業セグメント別の連結売上高)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ヘルスケア

641,776

690,712

48,936

7.6

マテリアルズ

514,656

494,776

△19,880

△3.9

ビジネスイノベーション

614,079

601,350

△12,729

△2.1

イメージング

323,749

368,573

44,824

13.8

連結合計

2,094,260

2,155,411

61,151

2.9

 

(事業セグメント別の営業利益)

セグメント

前第3四半期

連結累計期間

(百万円)

当第3四半期

連結累計期間

(百万円)

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ヘルスケア

62,247

60,267

△1,980

△3.2

マテリアルズ

57,899

31,380

△26,519

△45.8

ビジネスイノベーション

47,793

50,406

2,613

5.5

イメージング

62,732

88,878

26,146

41.7

  全社費用及び

   セグメント間取引消去

△28,034

△26,004

2,030

連結合計

202,637

204,927

2,290

1.1

 

① ヘルスケア部門

本部門の連結売上高は、690,712百万円(前年同期比7.6%増)となりました。営業利益は、60,267百万円(前年同期比3.2%減)となりました。

メディカルシステム事業では、内視鏡、CT・MRI等の分野で販売が好調に推移したことにより、売上が増加しました。X線画像診断分野では、欧州・中南米を中心にデジタルマンモグラフィ撮影装置「Amulet Innovality」の販売が伸長したことに加え、米国で回診用X線撮影装置「FDR Go PLUS」等のDR製品を中心に販売が伸長し、売上が増加しました。医療IT分野では、医用画像情報システム(PACS)「SYNAPSE」や3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」を中心としたシステム・サービス販売が米国・欧州等の海外市場を中心に好調に推移し、売上が増加しました。超音波診断分野では、据置型超音波診断装置の新製品DeepInsightシリーズの販売が日本を中心に伸長したものの、中国での販売低調により、売上が減少しました。内視鏡分野では、粘膜の僅かな色の違いを強調し、内視鏡観察をサポートするLCI(Linked Color Imaging)をはじめとする画像強調機能を搭載した「7000システム」等の販売が日本・欧州・中国を中心に伸長し、売上が増加しました。体外診断(IVD)分野では、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」と記載します。)関連の検査試薬の需要低下による影響を受けるも、血液生化学検査「富士ドライケム」機器・スライドの販売伸長により、前年同期並みの売上となりました。CT・MRI画像診断分野では、中南米や中東、インドでの販売が伸長したこと等により売上が増加しました。

バイオCDMO事業では、抗体医薬品の製造受託が堅調に推移したことに加え、デンマーク拠点での生産性向上等が寄与し、売上が増加しました。2023年11月には、Johnson & JohnsonグループのJanssen Supply Group, LLCより、2025年に本格稼働を予定している米国ノースカロライナ拠点の大型設備で、長期にわたりバイオ医薬品製造を受託することを発表しました。2023年12月には、中長期的に高い成長が見込まれる細胞治療薬の開発・製造受託ニーズに対応するため、米国ウィスコンシン拠点とカリフォルニア拠点における生産能力を増強するための投資を発表しました。当社は、高い成長を続けるバイオ医薬品市場に対して、生産プロセスの開発受託に加え、小規模生産から大規模生産、原薬から製剤・包装の受託等、お客様のニーズに応え、事業の成長を一段と加速していきます。

ライフサイエンス事業では、培地の販売伸長や、創薬支援用の細胞販売が堅調に推移したことで売上が増加しました。培地市場は、抗体医薬品の需要増に伴い成長が続いています。当社は米国・欧州・日本のグローバル生産体制で、バイオ医薬品の研究開発・製造を強力にサポートしていきます。

医薬品事業では、抗菌剤の需要回復や、COVID-19に対する国産ワクチンの治験薬受託製造が寄与し、売上が増加しました。

コンシューマーヘルスケア事業では、化粧品の新製品「ASTALIFT ADVANCED LOTION(アスタリフト アドバンスドローション)」及び「ASTALIFT ADVANCED CREAM(アスタリフト アドバンスドクリーム)」の販売が伸長しましたが、サプリメントの販売減少等により、事業全体では売上が減少しました。

 

② マテリアルズ部門

本部門の連結売上高は、494,776百万円(前年同期比3.9%減)となりました。営業利益は、31,380百万円(前年同期比45.8%減)となりました。

電子材料事業では、半導体市場の市況軟化の影響を受けたものの、2023年10月に米国Entegris社からの買収を完了した半導体用プロセスケミカル事業が寄与し、前年同期並みの売上となりました。今後、製品ラインアップ拡充による顧客提案力強化を通じて、新規ビジネスのさらなる拡大を図っていきます。また、今後の半導体市場拡大を見据えて、2023年4月には欧州における半導体材料工場の製造設備増強、2023年5月には台湾における最先端半導体材料工場の新設、2024年1月には熊本拠点への先端半導体材料の生産設備導入を発表しました。当社は、積極的な設備投資を継続し、高品質材料の安定生産や強固なグローバル製造体制を構築していきます。

ディスプレイ材料事業では、サプライチェーン全体での生産調整期にあった前年同期に対して、売上が増加しました。

産業機材事業では、大手IT企業によるデータセンター建設への投資抑制等を受けたデータアーカイブ用のテープ需要停滞や、業務用PCの需要低迷の影響を受けたタッチパネル用センサーフィルム「エクスクリア」の販売減少等により、売上が減少しました。

ファインケミカル事業では、重合材料の欧州での需要低迷等の影響を受け、化成品販売が減少したことにより、売上が減少しました。

グラフィックコミュニケーション事業では、刷版材料分野において欧米を中心とした印刷物需要減の影響等により、売上が減少しました。デジタル印刷分野においては、2023年4月から開始した米国・英国・フランス・カナダにおける当社のデジタルプリンター(Print on Demand)の販売活動拡大に加えて、カラー中高速クラスのプロダクションカラープリンター「Revoria Press EC1100」及び「Revoria Press SC180 / SC170」の販売を開始する等、さらなる事業拡大を図っています。インクジェット分野においては、セラミック市場向けインクジェットヘッドの販売が、中国での不動産市況の低迷や欧州での金融引き締めによる需要停滞の影響を受けて出荷が減少したこと等により、売上が減少しました。

 

③ ビジネスイノベーション部門

 本部門の連結売上高は、601,350百万円(前年同期比2.1%減)となりました。営業利益は、50,406百万円(前年同期比5.5%増)となりました。

オフィスソリューション事業では、新規OEMの拡大やワールドワイドでの販売価格改定効果等があったものの、欧米向け輸出が減少したこと等により、売上が減少しました。

ビジネスソリューション事業では、国内での自治体向け売上や、DX関連ソリューションの販売が増加したこと等により、売上が増加しました。2023年11月には、お客様のDX活動を通じた成功体験 CHX(カストマー・ハッピー・エクスペリエンス)を実現するソリューション・サービスの第二弾として、お客様が現在利用しているシステムを最大限生かした業務プロセス変革を支援し、DXを加速するクラウドサービス「FUJIFILM IWpro」の提供を、日本及びアジアパシフィック地域で開始しました。今後も業種・業務ソリューションの拡大に加え、基幹DXソリューションの拡大や業務改革を実現するBPOサービス、ITインフラ環境の構築・運用を支援するITOサービスの展開等によって、当事業の成長を加速していきます。

 

④ イメージング部門

本部門の連結売上高は、368,573百万円(前年同期比13.8%増)となりました。営業利益は、88,878百万円(前年同期比41.7%増)となりました。

 コンシューマーイメージング事業では、インスタントフォトシステムINSTAXの販売が好調に推移し、売上が増加しました。従来の製品ラインアップに加え、「INSTAX mini Evo」や2023年10月に発売した“手のひらサイズカメラ”「INSTAX Pal」を中心に付加価値の高い製品の販売が好調に推移しました。当社は、今後も“撮ったその場で、すぐにプリントが楽しめる”インスタントフォトシステムINSTAXの世界を広げていきます。

 プロフェッショナルイメージング事業では、デジタルカメラの販売が好調に推移し、売上が増加しました。前年度に発売した「X-H2」「X-H2S」「X-T5」の好調な販売に加え、2023年6月に発売した「X-S20」、2023年9月に発売した「GFX100 II」の販売も好調に推移しました。2023年10月には、最先端の光学技術・画像処理技術・AIによってトンネル点検業務の効率化を実現する「トンネル点検DXソリューション」の提供を開始しました。当社は、今後も、先進・独自の技術を用いた製品・サービスの提供を通じて、インフラ分野のDXを推進し、社会課題の解決に貢献していきます。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結累計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」と記載します。)は、前連結会計年度末より25,669百万円減少し、当第3四半期連結会計期間末においては242,939百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

  営業活動により得られた資金は241,996百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して178,766百万円増加(前年同期比282.7%増)しておりますが、これは棚卸資産の増加額が減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

  投資活動に使用した資金は391,327百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して165,348百万円増加(前年同期比73.2%増)しておりますが、これは有形固定資産の購入額が増加したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

  財務活動により得られた資金は107,238百万円となり、前第3四半期連結累計期間と比較して128,536百万円増加(前第3四半期連結累計期間は21,298百万円の支出)しておりますが、これは満期日が3ヶ月以内の短期債務が増加したこと等によるものです。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに発生した課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発活動の金額は、117,715百万円(前年同期比2.4%増)であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 重要な会計上の見積り

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④重要な会計上の見積り」の記載について重要な変更はありません。