株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

ブランドなど:POLAORBISJurliqueH2OPLUSTHREEAmplitudeITRIMFIVEISM×THREEDECENCIA
化学化粧品プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E24951 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社グループが判断したものであります。

(1) 業績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年1月1日~2023年9月30日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上での扱いが5類に移行したことに伴い経済社会活動の正常化が進んだことや、訪日外国人による消費拡大も支えになり、緩やかな景気回復がみられる状況です。一方で、賃金の上昇を上回る物価上昇を背景に、個人消費の伸びに懸念が残る中で推移しました。

国内化粧品市場においては、経済活動の正常化による外出機会の増加により、個人消費が持ち直す状況となりました。また、円安も呼び水となった訪日外国人客によるインバウンド需要の回復もみられました。一方で、人々のライフスタイルの変容による消費行動や消費構成の変化、販売チャネルの構造変化、EC市場での広告費の高騰等がみられており、環境変化への対応により一層の工夫が求められる状況にあります。

海外化粧品市場においては、景況感は一部の地域で弱さがみられるものの、持ち直している状況です。中国市場においては、ゼロコロナ政策の解除により経済活動が正常化へと向かい、人の流れが活発化してサービス関連の消費を中心に足元の景気は回復基調にあるものの、雇用不安等の影響で回復のペースは弱含みな状況にあります。また、原子力発電所によるALPS処理水の海洋放出に端を発し、日本製品を回避する動きがみられております。

このような市場環境のもと、2021年からスタートした中期経営計画(2021年~2023年)に基づき、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「経営基盤の強化」「新ブランド、“美”に関する領域拡張」を重点テーマに掲げ、取り組んでまいりました。その結果、当第3四半期連結累計期間における業績は次の通りとなりました。

当第3四半期連結累計期間の売上高は、コロナ禍の混乱からの回復を受けて前年同期比5.9%増126,739百万円となりました。営業利益は売上増加による粗利の増加により、前年同期比55.4%増11,913百万円、経常利益は為替差益が減少した影響により、前年同期比21.9%増14,830百万円となりました。以上の結果に加え、前年に計上した法人税等調整額の減少等の影響により、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比28.8%減9,284百万円となりました。

 

[業績の概要]

 

前第3四半期
連結累計期間
(百万円)

当第3四半期
連結累計期間
(百万円)

前年同期

増減額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

119,654

126,739

7,084

5.9

営業利益

7,668

11,913

4,244

55.4

経常利益

12,169

14,830

2,660

21.9

親会社株主に帰属する
四半期純利益

13,035

9,284

△3,750

△28.8

 

 

 

[セグメント別の業績]

売上高(外部顧客への売上高)

 

前第3四半期
連結累計期間
(百万円)

当第3四半期
連結累計期間
(百万円)

前年同期

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ビューティケア事業

116,231

123,260

7,029

6.0

不動産事業

1,561

1,557

△3

△0.2

その他

1,861

1,920

59

3.2

合 計

119,654

126,739

7,084

5.9

 

 

セグメント利益又は損失(△)(営業利益又は損失(△))

 

前第3四半期
連結累計期間
(百万円)

当第3四半期
連結累計期間
(百万円)

前年同期

増減額

(百万円)

増減率

(%)

ビューティケア事業

8,319

11,707

3,387

40.7

不動産事業

430

420

△10

△2.4

その他

68

64

△4

△5.8

セグメント利益の調整額(注)

△1,150

△279

871

合 計

7,668

11,913

4,244

55.4

 

(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費等を連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等) 1 報告セグメントごとの売上高及び利益又は損失の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。

 

(ビューティケア事業)

ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しております。

POLAブランドでは、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入による更なるブランド価値の向上と、中長期的な顧客基盤構築を進めております。国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合(OMO:Online Merges with Offline)の推進により、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業の実現に取り組んでおります。2023年4月に始動した新メンバーシッププログラム「ポーラ プレミアム パス」により、全ての販売チャネルの顧客IDを統合し、国内全てのお客様に共通のサービス体験のお届けを開始しました。経済活動の正常化による人流の戻りや訪日外国人客の戻りに加えて、「B.Aミルクフォーム」等の新商品やエステの好調により国内事業全体で前年を上回る実績で推移しております。海外事業では、引き続き、最重点市場である中国でブランドプレゼンスの確立のための顧客接点の拡充に取り組んでおります。中国及びアジア地域における景気回復ペースの減速影響を受けるものの、海外事業全体では前年を上回る実績となりました。以上の結果、POLAブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。

ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンス、顧客ロイヤリティの向上と、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据えたシワ改善・美白ケア等、スキンケア顧客の拡大を進めております。国内事業では、ブランド体験の基軸となるワンストップアプリにて顧客に寄り添った伴走型コミュニケーションの提供と、新商品の継続投下により、拡大に転じた顧客数の更なる増加とLTV最大化に取り組んでおります。直販チャネルでは、成長を牽引する「オルビスユードット」のリニューアルや、ベストコスメを多数受賞しているUVのスペシャルケア品等の伸長により、顧客数、顧客単価ともに前年超過となりました。外部チャネルでは、ECプラットフォームを中心に前年同期より大幅に伸長し、顧客接点の拡大に寄与しております。海外事業では、重点市場の中国を中心に事業の成長加速と黒字化に向けた取り組みを進めております。顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化に引き続き取り組んでおり、前年を上回る成長を実現しております。以上の結果、ORBISブランドは前年同期を上回る売上高・営業利益となりました。

Jurliqueブランドでは、豪州及び中国、その他アジア市場での成長に向けた取り組みを継続しております。重点市場の豪州においてオフラインでの回復が進み、前年を上回る実績となりました。また中国においては、景気回復ペースの減速影響を受けながらも、新商品の投入によるブランド価値の向上等により、前年を上回る実績で推移しております。以上の結果、Jurliqueブランドは前年同期を上回る売上高となりました。一方で、販売管理費等が増加した影響により営業損失が拡大する結果となりました。

育成ブランドでは、THREEブランドで黒字化に向けた構造改革の取り組みを進めております。リニューアル発売した基幹スキンケアシリーズとメイクアップの新コレクションにより店頭が活性化し、国内事業は前年を上回る実績で推移しております。以上の結果、育成ブランド全体では前年同期を上回る売上高となりました。また、各ブランドにおいて厳格な費用コントロールを実施したことが奏功し、営業損失は改善しております。なお、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2023年3月6日付で「Amplitude」「ITRIM」の2ブランドの撤退を決定しております。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は123,260百万円前年同期比6.0%増)、営業利益は11,707百万円前年同期比40.7%増)となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当第3四半期連結累計期間は、前年にオフィスビルを一部売却した影響等により、前年同期を僅かに下回る売上高・営業利益となりました。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,557百万円前年同期比0.2%減)、営業利益は420百万円前年同期比2.4%減)となりました。

 

(その他)

 その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。

 ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当第3四半期連結累計期間は、契約件数の増加等により、前年同期を上回る売上高となりましたが、原価率の上昇により前年同期を下回る営業利益となりました。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は1,920百万円前年同期比3.2%増)、営業利益は64百万円前年同期比5.8%減)となりました。

 

(2) 財政状態の分析

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ5,511百万円減少し、200,423百万円前連結会計年度末比2.7%減)となりました。主な増減項目は、投資有価証券の増加7,208百万円、流動資産「その他」の増加2,396百万円、有形固定資産「その他(純額)」の増加4,523百万円により増加し、一方で現金及び預金の減少15,245百万円、有価証券の減少4,176百万円により減少しております。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,111百万円減少し、32,364百万円前連結会計年度末比6.1%減)となりました。主な増減項目は、賞与引当金の増加561百万円により増加し、一方で退職給付に係る負債の減少732百万円、流動負債「その他」の減少2,192百万円により減少しております。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,400百万円減少し、168,058百万円前連結会計年度末比2.0%減)となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上9,284百万円により増加し、一方で剰余金の配当11,516百万円、為替換算調整勘定の減少1,320百万円により減少しております。

 

 

 (3) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。

 
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3,285百万円であります。
 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 主要な設備

当第3四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変更はありません。