売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01048 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、一部の地域を除き緩やかに持ち直しているものの、依然として地政学リスクの高まりや、原油・エネルギー価格の高止まり、各国の金融政策に伴う影響、中国経済の先行き懸念などが景気の下振れリスクとなっております。また、国内経済においても、景気は緩やかに回復し、自動車などの生産は持ち直しの動きがみられます。しかしながら、海外景気の下振れや為替変動、物価上昇などのリスクに留意することが必要な情勢が続いています。

このような環境のもと、当社グループにおきましては、2021年度よりスタートしました第5次中期5ヵ年経営実行計画の方針(KIZUNA経営の推進とKIZUNA指標の達成)に沿った重点施策を進め、コア技術・素材を中核とした事業ポートフォリオ改革や新事業の創出などによる持続可能な地球環境と社会を実現するための取り組みに注力しております。業績面では、高付加価値製品の拡販、収益改善策に取り組んでおりますが、スマートフォンの販売不振などによる電子部品の需要環境低迷や原材料価格・エネルギーコストの高止まりが収益性に影響しております。また、2023年5月下旬から連続運転を開始した千葉アルコン製造株式会社の減価償却費負担が大きく影響しておりますが、中長期的な成長市場の需要に応えるべく、水島工場と合わせた2拠点供給体制によるグローバル販売戦略の再構築を進め、水素化石油樹脂の安定供給と収益性の向上を図ってまいります。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は537億13百万円前年同期比12.5%減)、営業損失は19億14百万円(前年同期は営業損失9億90百万円)経常損失は15億3百万円(前年同期は経常損失6億9百万円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は5億82百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失27億21百万円)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント区分の売上高はセグメント間の内部売上高を含んでおりません。また、報告セグメントに含まれないその他事業は、売上高は58百万円(前年同期比65.7%減)、セグメント利益は27百万円(同8.0%減)となりました。

 

① 機能性コーティング事業

電機・精密機器関連業界は、中国における景気低迷などを背景としたスマートフォン、PC、家電の生産調整により、電子部品などの需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、機能性コーティング材料用の光硬化型樹脂は売上高が減少しましたが、スマートフォンやディスプレイ関連分野での在庫調整が一巡し、需要回復の兆しが見られました。また、印刷インキ用樹脂は出版分野の市場縮小が加速しており、売上高は減少しました。

その結果、売上高は110億51百万円(前年同期比8.7%減)、セグメント利益は3億25百万円(同17.4%減)となりました。

 

 

② 製紙・環境事業

製紙業界は、eコマース(電子商取引)市場の世界的な成長にともない堅調に推移していた段ボール原紙など板紙の国内需要が前下期以降低調に推移しています。このような環境のもと、当事業におきましては、国内では原材料価格・エネルギーコストの高止まりや需要低迷の影響を受けましたが、海外での板紙向け紙力増強剤が堅調に推移し、収益性が改善しました。

その結果、売上高は155億62百万円(前年同期比1.6%減)、セグメント利益は9億8百万円(同229.8%増)となりました。

 

③ 粘接着・バイオマス事業

粘着・接着剤業界は、世界的には紙おむつ向け接着剤の需要が堅調に推移しました。自動車関連分野では生産・販売が回復傾向にあります。このような環境のもと、当事業におきましては、ロジンや石化原料の価格の高止まりに加えて、販売が低調に推移しました。

その結果、売上高は188億43百万円(前年同期比19.6%減)、千葉アルコン製造株式会社における減価償却費が大きく影響したことから、セグメント損失は27億96百万円(前年同期はセグメント損失19億59百万円)となりました。

 

④ ファイン・エレクトロニクス事業

電子工業業界は、中国における景気低迷などを背景としたスマートフォン、PC、家電、HDDの生産調整により、電子部品などの需要が低調に推移しました。このような環境のもと、当事業におきましては、ファインケミカル製品や精密研磨剤、精密部品洗浄剤などが低調に推移しました。

その結果、売上高は81億96百万円(前年同期比17.0%減)、セグメント損失は2億6百万円(前年同期はセグメント利益3億74百万円)となりました。

 

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ59億2百万円増加し、1,249億37百万円となりました。主な要因は、現金及び預金が12億35百万円、受取手形及び売掛金が23億67百万円、投資有価証券が24億43百万円増加したことによります。

負債は、短期借入金が28億41百万円減少しましたが、長期借入金が95億58百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ57億51百万円増加し、682億77百万円となりました。

純資産は、利益剰余金が減少したものの、その他有価証券評価差額金が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1億51百万円増加し、566億60百万円となりました。

 

(2) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資等の長期的な資金需要に関しては、金融機関からの長期借入や社債の発行により調達しております。

また、グループ会社の資金調達につきましては、当社において一元管理しております。

なお、当社は格付を取得しており、本報告書提出日時点において、株式会社日本格付研究所「BBB+」となっております。また、金融機関には充分な借入枠を有しており、当社グループの事業の維持・拡大、設備資金の調達は今後も可能であると考えております。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた問題はありません。

 

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は21億83百万円であります。

 

(6) 経営成績に重要な影響を与える要因

当第3四半期連結累計期間において、「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」に記載したとおり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。