インフロニア・ホールディングス株式会社

ブランドなど:前田建設前田道路前田製作所
サービス業総合建設プライムTOPIX Mid400

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E36723 


 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、不安定な国際情勢の中、世界的な金融引き締めや為替相場の変動、原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇等がわが国の景気を下押しする懸念が拭えない先行き不透明な状況が続きました。一方で、新型コロナウイルス感染症の5類移行により抑制されていた需要が顕在化したこと等に支えられ、企業収益や雇用、個人消費等、総じて緩やかに回復してきました。

建設業界においては、住宅建設は弱含みで推移しており、設備投資は持ち直しに足踏みがみられています。公共投資については関連予算の執行により底堅く推移してきました。

このような状況の中、当社は、グループ全体が永続的成長を遂げることを目的に、中長期的に目指す姿を、インフラ運営の上流から下流をワンストップでマネジメントする「総合インフラサービス企業」と定め、外的要因に左右されない「高収益かつ安定的な収益基盤」を確立し、実効性のあるガバナンス体制の構築やDXの推進等により迅速かつ適正な経営を実現し、社会変化への対応力を強化することで「あらゆるステークホルダーから信頼される企業」の実現に向けた取り組みを行ってきました。

 当第3四半期連結累計期間の経営成績は、売上高は前年同四半期比655億円(13.2%)増5,614億円、営業利益は前年同四半期比94億円(38.0%)増342億円となり、経常利益は前年同四半期比98億円(38.1%)増358億円となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同四半期比6億円(2.9%)増241億円となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

(建築事業)

 建築事業においては、売上高は前年同四半期比376億円(26.6%)増1,791億円、セグメント損失は11億円(前年同四半期はセグメント利益20億円)となりました。

(土木事業)

 土木事業においては、売上高は前年同四半期比179億円(16.5%)増1,267億円、セグメント利益は前年同四半期比138億円(108.3%)増265億円となりました。

(舗装事業) 

  舗装事業においては、売上高は前年同四半期比88億円(5.1%)増1,835億円、セグメント利益は前年同四半期比61億円(745.5%)増69億円となりました。

(機械事業)

 機械事業においては、売上高は前年同四半期比45億円(18.3%)増296億円、セグメント利益は前年同四半期比11億円(170.5%)増18億円となりました。

(インフラ運営事業)

 インフラ運営事業においては、売上高は前年同四半期比61億円(32.9%)減125億円、セグメント損失は3億円(前年同四半期はセグメント利益74億円)となりました

(その他)

 その他の事業においては、売上高は前年同四半期比26億円(9.7%)増297億円、セグメント利益は前年同四半期比3億円(42.9%)減4億円となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、受取手形・完成工事未収入金の増加などにより前連結会計年度末に比べ1,203億円(13.0%)増加し、10,469億円となりました。負債は、短期借入金の増加などにより前連結会計年度末に比べ1,101億円(19.5%)増加し、6,744億円となりました。また純資産は、前連結会計年度末に比べ101億円(2.8%)増加し、3,724億円となりました。以上の結果、純資産の額から非支配株主持分を控除した自己資本の額は3,626億円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の38.1%から34.6%となりました。

 

 

(3) 経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間は、建築事業、土木事業、舗装事業、機械事業及びインフラ運営事業を中心に研究開発を行い、その総額は3,328百万円です。

 

(建築事業・土木事業及びインフラ運営事業)

子会社である前田建設工業(株)においては、「総合インフラサービス企業」に変革するため、生産性や品質の向上に加え、多様化する社会課題をビジネスを通じて解決することで社会的価値と事業価値の向上を同時に実現する研究開発を推進しています。

当期の具体的な取り組み方針として、請負の自動化・省力化・DX分野、脱請負のさらなる加速を目的としたマネジメント分野、また中長期にわたり取り組むべき社会課題として考えられるカーボンニュートラル分野などに重点を置いています。

当第3四半期も定期的に審査会を開催し、進捗状況の共有と新たに発生した課題への即時対応を進めています。これにより、昨今の事業環境の急激な変化に即応すべく、取組課題の絞り込み、経営資源の選択と集中を図っています。

10月25日には、BIMと相互連携可能なデータベースと各種ツールの自動連携により、多様なZEB仕様を迅速かつ高精度に評価可能なZEB設計支援システム「ZEB-Scope」を開発したことをプレスリリースしました。本開発システムを活用しZEBの普及に努めながら、ZEB評価に留まらず、建築物のLCAも考慮した最適設計を実現するシステムの実現を目指し、取り組みを進めてまいります。

11月15日には、大深度圧力下におけるシールドマシンのチャンバ内泥土の性状確認を可能とする「泥土の回収試験装置」を大規模シールド工事現場に適用して運用を開始したことをプレスリリースしました。本装置は回収した泥土を大気圧下に解放することなく、チャンバ内の圧力状態を保持したまま試験を行うことができる業界初の構造であり、チャンバ内泥土の性状をより正確に把握することが可能となります。これにより、大深度、高水圧下のシールド工事で安全な掘進が可能となり、周辺地盤への影響を抑制した施工が可能になります。

ICI総合センター内に設置しているICI未来共創センターは、11月15日に「ICI DAYS 2023」を開催しました。今回のテーマ「市民がより能動的にインフラサービスに参画する未来へ」と題して、当センターの描く未来のインフラビジョンを示すとともに、先行する他社の皆様による事例紹介やパネルディスカッションを行いました。今後、共創パートナーの皆様と未来のインフラサービスの実現に向けて、社会にインパクトをもたらすテクノロジー・サービスの開発を進めてまいります。

ICI総合センター内に設置しているICIテクノロジーセンターは、地震国のトルコにおいて自社保有技術である外側耐震補強「マスターフレーム構法」展開を建築事業本部海外部と協力して推進しています。イスタンブール工科大学の准教授を技術顧問とし、専用アンカーの生産、設計、施工を現地に技術移転する体制を構築しました。2023年11月アンタルヤ市での「7ICEES(第7回地震工学国際会議)」では構法説明とトルコ施工事例を発表しました。当センターでは、建物を使用しながら工事可能な本技術が地震国トルコの安全性向上に貢献できるようさらに尽力してまいります。

当第3四半期連結累計期間における研究開発費は2,091百万円となっています。

 

 

(舗装事業)

子会社である前田道路(株)においては、「新たな収益基盤と未来への投資を確立すること」を研究開発部門の使命と捉えており、競争力の促進を図るため、「カーボンニュートラル(CN)に貢献する技術」、「次世代道路包括管理システムの開発」、「ICTやデジタル技術を活用した建設現場の生産性向上」を重点テーマにあげて研究開発に取り組んでいます。

カーボンニュートラルに関しては、低炭素合材の販売促進を継続することに加え、CO2削減技術として、合材工場の実排気ガスに含まれるCO2を直接再生路盤材に炭酸塩化(固定化)するシステムの開発を進めており、来期以降の実装化を目標に、実験用プラントを活用した各種検証を行っています。また、生産性向上に資する技術として開発中の「アスファルト密度計測装置」と前田建設工業(株)らの「次世代αシステム」の現場試行を行い、舗装工事の品質管理を高度化させる技術として成果を取りまとめています。さらに、開発した「建設機械搭載型レーザスキャナ」の多用途化を目指して舗装修繕工事への適用について検証を始めています。

 当第3四半期連結累計期間における研究開発費は979百万円となっています。

 

(機械事業)

子会社である(株)前田製作所においては、海外マーケットの更なる拡大のため、米国市場向けに8.1t吊りクローラクレーンCC1908S-1USを発売しました。また、新分野では、少子高齢化による労働人口減少の社会的課題への取り組みとして、機械の遠隔操作、自動運転に向けたデジタル要素技術開発等に取り組みました。

 当第3四半期連結累計期間における研究開発費は257百万円となっています。