E01223 Japan GAAP
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間においては、世界景気は一部の地域において弱さが見られるものの、持ち直しの動きが見られました。しかしながら、資源価格が高止まりしているほか、金融引き締めにより欧米の景気減速が懸念される等、先行き不透明な状況が継続しました。
当企業グループを取り巻く事業環境は、エレクトロニクス分野では、上期好調だったシリコン半導体用途の需要が、半導体産業の調整を受け第3四半期に入り減速の兆しが見え始めてきました。一方、SiC半導体用途では高い需要が継続しました。また、モビリティー分野においては、自動車産業の稼働回復を背景に、一般産業分野においては、企業における底堅い設備投資等を背景に、それぞれ堅調に推移しました。
このような状況の中、当企業グループでは、中期経営計画における経営目標の達成に向け、外部環境の変化を機敏に捉えた事業展開を推進するとともに、生産性向上によるコスト競争力の向上、技術革新に追随しうる新製品および高付加価値製品の開発・増強に着手する等、顧客ニーズに真摯に向き合いながら、事業機会を着実に取り込むべく事業を推進してまいりました。加えて、原燃料価格高騰の影響を軽減するべく採算性の確保・維持に向けた取り組みを進めてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の経営成績は、カーボンブラシ製品の需要が減少したものの、円安の影響に加え、半導体や冶金用途における堅調な需要に支えられ、売上高は36,001百万円(前年同期比12.4%増)となりました。利益については、価格転嫁および販売構成差等の影響で限界利益が増加したことにより、営業利益6,690百万円(同34.7%増)、経常利益7,700百万円(同29.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5,810百万円(同39.9%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
日本
半導体用は強い需要に支えられ前年同期を大きく上回り、機械用カーボン分野や工業炉用・連続鋳造用等の冶金用が堅調に推移したこと等により、売上高は18,571百万円(前年同期比12.9%増)、営業利益は5,992百万円(同26.4%増)となりました。
米国
半導体用が好調に推移したほか、工業炉用を中心とした冶金用や放電加工電極が堅調に推移したこと等により、売上高は3,100百万円(同24.6%増)、営業利益は114百万円(同19.8%増)となりました。
欧州
カーボンブラシ製品の売上は前年同期を下回ったものの、主力の冶金用が好調に推移したことに加え、半導体用が大幅に伸長したこと等により、売上高は3,678百万円(同30.7%増)、営業利益は136百万円(同22.1%増)となりました。
アジア
カーボンブラシ製品は顧客の生産調整の影響等により大幅に減少したものの、冶金用は前年同期を大きく上回り、半導体用の需要は底堅く推移しました。これらの結果、売上高は10,650百万円(同3.6%増)となり、営業利益はカーボンブラシ製品の販売減少による限界利益の減少や一部地域の需要減の影響等により559百万円(同33.1%減)となりました。
品目別の概況は以下のとおりであります。
特殊黒鉛製品
エレクトロニクス分野は、単結晶シリコン製造用やSiC半導体向けの化合物半導体製造用が大きく伸長したこと等により、前年同期比36.2%増となりました。
一般産業分野は、連続鋳造用や工業炉用等の冶金用が大幅に増加したほか、放電加工電極が堅調に推移したこと等により、前年同期比16.4%増となりました。
これらの結果、特殊黒鉛製品全体としては、前年同期比23.4%増となりました。
一般カーボン製品
機械用カーボン分野は、主力の軸受・シールリング等が堅調に推移したこと等により、前年同期比6.3%増となりました。
電気用カーボン分野は、顧客の生産調整等により小型モーター用の需要が大幅に減少したこと等により、前年同期比12.7%減となりました。
これらの結果、一般カーボン製品全体としては、前年同期比4.4%減となりました。
複合材その他製品
SiC(炭化ケイ素)コーティング黒鉛製品は、シリコンおよびSiC半導体向けが増加したこと等により、前年同期を大きく上回りました。C/Cコンポジット製品は、工業炉用および半導体用の需要が増加したこと等により、前年同期を上回りました。また、黒鉛シート製品は、主力の自動車用、半導体用および冶金用がいずれも底堅く推移したこと等により、前年同期並みの水準となりました。
これらの結果、主要3製品は前年同期比17.5%増となり、複合材その他製品全体としては、前年同期比15.6%増となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5,897百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が398百万円減少したものの、棚卸資産が3,022百万円増加、有形固定資産が1,987百万円増加および投資その他の資産が691百万円増加したこと等によるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ268百万円減少いたしました。これは主に未払金が341百万円増加および賞与引当金が638百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が161百万円減少、電子記録債務が114百万円減少、短期借入金が285百万円減少、未払法人税等が604百万円減少および役員賞与引当金が113百万円減少したこと等によるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ6,166百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が4,342百万円増加および為替換算調整勘定が1,652百万円増加したこと等によるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当企業グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の当企業グループ全体の研究開発活動の金額は798百万円であります。
なお、新規技術の発掘や外部機関との連携、研究開発人員の獲得・育成等をより一層加速することを目的に、2023年7月1日付にて、グローバル開発本部傘下の研究開拓室を社長直下の組織に改組いたしました。
今後、グローバル開発本部および研究開拓室の連携のもと、ゼロベースでの基礎研究を推進することにより、中長期的な事業の柱となる新規事業や製品等の創出を強化するとともに、サーキュラーマテリアルをはじめとする環境対応技術を確立するなど、持続可能な企業活動を推進するうえで必要不可欠な技術の構築を進めてまいります。
さらに、将来のエネルギーデバイスや環境負荷軽減に貢献しうる製品について、基礎技術から応用技術までを網羅するべく、企業ならびに研究機関との共同研究を拡充させてまいります。
その他当企業グループ研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設等について、当第3四半期連結累計期間において、著しい変更があったものは、次のとおりであります。
会社名 (所在地) |
セグメントの名称 |
設備の内容 |
投資予定金額 |
着手及び完了予定 |
||
総額 (百万円) |
既支払額 (百万円) |
着手 |
完了 |
|||
東洋炭素㈱ 詫間事業所 (香川県三豊市) |
日本 |
製造設備の増設 |
674 |
- |
2023年2月 |
2025年1月 (注) |
(注)完了予定年月を2024年12月から2025年1月に変更しております。
当第3四半期連結累計期間において新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
会社名 (所在地) |
セグメントの名称 |
設備の内容 |
投資予定金額 |
着手及び完了予定 |
||
総額 (百万円) |
既支払額 (百万円) |
着手 |
完了 |
|||
上海東洋炭素有限公司 (中国 上海市) |
アジア |
製造設備の増設 |
588 |
244 |
2023年3月 |
2024年7月 |
TOYO TANSO EUROPE S.P.A. (イタリア ミラノ市) |
欧州 |
製造設備の新設 |
868 |
202 |
2023年5月 |
2025年3月 |
東洋炭素㈱ 生産技術センター (香川県観音寺市) |
日本 |
研究開発設備 |
636 |
- |
2023年7月 |
2025年3月 |
GTD GRAPHIT TECHNOLOGIE GMBH (ドイツ ランゲンス市) |
欧州 |
製造設備の増設 |
1,327 |
- |
2023年10月 |
2025年9月 |
(6)生産、受注及び販売の実績
生産実績
当第3四半期連結累計期間の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年9月30日) |
|
金額(百万円) |
前年同四半期比(%) |
|
日本 |
19,345 |
117.3 |
米国 |
3,208 |
126.6 |
欧州 |
3,786 |
134.6 |
アジア |
11,668 |
110.3 |
合計 |
38,009 |
117.3 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
受注実績
当第3四半期連結累計期間の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年9月30日) |
|||
受注金額 (百万円) |
前年同四半期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同四半期比 (%) |
|
日本 |
17,841 |
110.3 |
8,647 |
121.2 |
米国 |
3,785 |
111.2 |
4,047 |
118.6 |
欧州 |
3,799 |
117.7 |
2,016 |
144.4 |
アジア |
9,032 |
106.5 |
2,390 |
104.0 |
合計 |
34,458 |
110.1 |
17,102 |
120.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.前四半期以前に外貨建てで受注したもので、当四半期中の為替相場の変動による差異については、当四半期受注金額に含めております。
3.半製品(素材製品)は、主として見込生産であるため、上記の金額には含まれておりません。
4.当第3四半期連結累計期間における受注実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年9月30日) |
|||
受注金額 (百万円) |
前年同四半期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前年同四半期比 (%) |
|
特殊黒鉛製品 |
17,075 |
113.7 |
7,401 |
115.0 |
一般カーボン製品(機械用カーボン分野) |
3,028 |
100.5 |
1,016 |
100.4 |
一般カーボン製品(電気用カーボン分野) |
3,278 |
100.2 |
775 |
91.4 |
複合材その他製品 |
11,076 |
111.0 |
7,908 |
133.1 |
合計 |
34,458 |
110.1 |
17,102 |
120.1 |
5.欧州および一般カーボン製品(機械用カーボン分野)については内示による受注を含めております。
販売実績
当第3四半期連結累計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年9月30日) |
|
金額(百万円) |
前年同四半期比(%) |
|
日本 |
18,571 |
112.9 |
米国 |
3,100 |
124.6 |
欧州 |
3,678 |
130.7 |
アジア |
10,650 |
103.6 |
合計 |
36,001 |
112.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当第3四半期連結累計期間の販売実績を品目ごとに示すと、次のとおりであります。
品目 |
当第3四半期連結累計期間 (自 2023年1月1日 至 2023年9月30日) |
|
金額(百万円) |
前年同四半期比(%) |
|
特殊黒鉛製品 |
17,830 |
123.4 |
一般カーボン製品(機械用カーボン分野) |
3,054 |
106.3 |
一般カーボン製品(電気用カーボン分野) |
3,272 |
87.3 |
複合材その他製品 |
10,008 |
115.6 |
商品 |
1,835 |
79.7 |
合計 |
36,001 |
112.4 |