売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01150 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和を受け、回復基調が継続したものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に伴う資源・エネルギー価格の高騰や世界的な物価上昇、各国の金融引き締めによる急激な為替変動等により、先行き不透明な状況で推移しました。

当社グループの主要顧客である鉄鋼業界においては、半導体不足の緩和により自動車生産向け鋼材需要は回復基調にあるものの、人手不足による建設向け鋼材需要の減少や中国不動産不況の影響等により輸出が弱含んでいることから、国内粗鋼生産量は回復が遅れております。また、海外においては、欧州の景気悪化に伴う鋼材需要の低迷が継続するものの、インド等一部地域で鋼材需要が増加していることにより世界全体での粗鋼生産量は、前年同期の水準まで回復しました。当第3四半期連結累計期間の国内粗鋼生産量は、前年同期に比べ1.3%減の6,537万トンとなりました。また、世界鉄鋼協会発表による2023年1~12月の粗鋼生産量は、インドは前年同期に比べ11.8%増の1億4,020万トン、世界全体では前年同期に比べ0.1%減の18億4,970万トンとなりました。

[売上高]

前年同期に比べ118億68百万円増加1,343億49百万円前年同期比9.7%増)となりました。昨年度来、耐火物事業における原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、堅調なインド鉄鋼市場等での事業拡大並びに欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等によるものです。地域ごとの売上高は、日本が727億33百万円(前年同期比10.7%増)、インドが289億99百万円(前年同期比14.2%増 )、アジアが74億76百万円(前年同期比7.3%減)、欧州が157億17百万円(前年同期比11.1%増)、その他が94億23百万円(前年同期比2.6%増)となり、海外売上高は616億16百万円(前年同期比8.5%増)、海外売上高比率は45.9%(前年同期比0.5ポイント減)となりました。

[売上総利益]

前年同期に比べ53億15百万円増加270億79百万円前年同期比24.4%増)となり、売上総利益率は、前年同期に比べ2.4ポイント増加の20.2%となりました。

[営業利益]

前年同期に比べ46億31百万円増加119億45百万円前年同期比63.3%増)となり、営業利益率は、前年同期に比べ2.9ポイント増加の8.9%となりました。販売費及び一般管理費は、前年同期に比べ6億83百万円増加151億34百万円前年同期比4.7%増)となりました。

 

[経常利益]

前年同期に比べ48億66百万円増加130億48百万円前年同期比59.5%増)となり、経常利益率は、前年同期に比べ3.0ポイント増加の9.7%となりました。営業外収益は、為替差益の増加により前年同期に比べ2億61百万円増加18億29百万円前年同期比16.7%増)、営業外費用は、支払利息の増加により前年同期に比べ26百万円増加7億25百万円前年同期比3.8%増)となりました。

[親会社株主に帰属する四半期純利益]

前年同期に比べ42億22百万円増加95億32百万円前年同期比79.5%増)となりました。特別利益は、投資有価証券売却益の増加により前年同期に比べ14億16百万円増加16億36百万円前年同期比645.4%増)、特別損失は、固定資産除却損の増加により前年同期に比べ1億35百万円増加2億11百万円前年同期比177.2%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

なお、各セグメントの売上高は、外部顧客への売上高であり、セグメント間の内部売上高又は振替高は含まれていません。また、セグメント利益は営業利益ベースです。

[耐火物事業]

昨年度来、原料・エネルギー価格等コスト上昇分の着実な販売価格転嫁を進めたことに加え、堅調なインド鉄鋼市場等での事業拡大並びに欧州を中心とする非鉄分野向け拡販等に取り組んだ結果、売上高は前年同期に比べ10.7%増収1,157億3百万円、利益は前年同期に比べ87.5%増益101億90百万円となりました。

[ファーネス事業]

売上高は大型工事案件の受注により、前年同期に比べ5.0%増収111億8百万円となりましたが、利益は受注案件の構成差等により、前年同期に比べ24.3%減益4億84百万円となりました。

[セラミックス事業]

半導体露光装置用セラミックス材料や家庭用燃料電池向け断熱材の受注増等により、売上高は前年同期に比べ1.0%増収62億79百万円、利益は、前年同期に比べ4.0%増益7億91百万円となりました。

[不動産事業]

売上高は、前年同期に比べ横ばいの5億53百万円、利益は、前年同期に比べ4.9%減益4億24百万円となりました。

[その他]

売上高は、前年同期に比べ16.6%増収7億5百万円、利益は、前年同期に比べ133.8%増益55百万円となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の財政状態の状況を示すと、次のとおりです。

①資産

総資産は、前期末に比べ61億49百万円増加して、1,694億89百万円となりました。流動資産は同55億20百万円増加1,137億44百万円、固定資産は同6億28百万円増加557億45百万円となりました。

流動資産増加の主な要因は、売上増等に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものです。固定資産増加の主な要因は、機械装置の取得に伴う機械装置及び運搬具の増加によるものです。

②負債

負債は、前期末に比べ26億90百万円減少して、827億91百万円となりました。流動負債は同57億77百万円減少554億円、固定負債は同30億87百万円増加273億91百万円となりました。

流動負債減少の主な要因は、電子記録債務の減少によるものです。固定負債増加の主な要因は、長期借入金の増加によるものです。

③純資産

純資産は、前期末に比べ88億39百万円増加して、866億97百万円となりました。

純資産増加の主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加及び為替換算調整勘定の増加によるものです。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当第3四半期連結累計期間末における有利子負債の残高は、前期末に比べ4億32百万円増加し、398億16百万円となりました。

 

(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは2025経営計画を見直し、2023年7月28日に公表いたしました。また、これに併せて経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標を設定しております。

 

2025見直し経営計画の概要

見直し後の2025経営計画の概要は以下となります。

Ⅰ.基本方針

・耐火物事業の国内主要顧客である鉄鋼業界においては、主要設備の大規模老朽更新を控える中、人口減少に伴う国内鉄鋼需要の減少、他方では東アジア地域での生産能力拡大に伴う鋼材輸出環境の変化を踏まえ、国内余剰生産能力の削減を進めている。

・一方、海外市場においては、インド、東南アジアを中心とした人口増加・経済発展に伴う鋼材需要の持続的な拡大、中国での鋼材品位の高度化が進んでいる。

・こうした状況下、国内需要の構造的変化に対応した国内耐火物事業の抜本的体質強化策を実行し、マザー拠点としての競争力を維持・向上するとともに、海外においては当社の高い技術力を活かしたインド・東南アジアでの拡販、パートナー企業との連携による欧州・米州での事業拡大を進め、グローバルな規模での耐火物事業の更なる成長を図る。

・ファーネス事業においては、鉄鋼分野における整備作業領域の拡大を図るとともに、ゼロカーボン化の流れも踏まえ、当社の高い設計・施工技術力を梃子に省エネ工業炉、環境炉分野での拡販を強力に推進する。

 

・セラミックス事業については、半導体製造装置用ファインセラミックスの受注拡大、環境関連分野への断熱材料開発・拡販、5G・IoT等を背景とした電子部品分野での需要増の着実な捕捉、新規分野への積極的な進出を図る。

・これら各事業分野での戦略推進と合わせ、事業基盤である安全・環境・防災・内部統制分野でより高次元なレベルを追求するとともに、カーボンニュートラル含めたサステナビリティ課題、SDGsへの当社としての取り組みを進め、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進する。

 

Ⅱ.主要施策

①耐火物事業での収益・競争力強化

・鉄鋼各社の構造改革と当社最適生産量を踏まえた国内製造拠点の構造改革

・高収益品の拡販による高収益体制の確立

・製造実力・生産性向上、間接部門効率化・合理化の徹底推進及び人財配置の選択と集中

・原料・調達品のBCP対策強化

・水素還元高炉・電気炉への転換・高炉簡易改修等顧客動向を踏まえた耐火物開発の推進

・グローバルな視点での研究開発体制強化の検討

・海外成長市場、成熟市場でのグループ連携強化及びパートナー企業との提携・協業深化による受注拡大

②ファーネス事業での収益力強化

・大型案件の確実な受注、製鋼・コークス整備作業の基盤強化

・顧客鉄鋼会社の構造改革を踏まえた整備テリトリー拡大

・材工一体の技術力を活かした非鉄を含む国内外顧客への提案力強化による拡販

③セラミックス事業での収益力強化

・半導体製造装置向け量産受注に対応した品質・生産技術力強化、能力増強投資のタイムリーな実行と投資効果の早期発揮

・断熱材・ヒーター・電子部品分野での拡販

・今後の更なる事業拡大を見据えた最適生産及び研究開発体制の整備

④全社的事業基盤の強化と持続可能な社会への貢献

・安全・環境・防災・内部統制活動の深化

・カーボンニュートラル含むサステナビリティ活動基本方針に基づく諸施策の的確な展開

・SDGsへの取り組み

・グローバル人材の育成・採用強化及び人的資本強化施策の推進

・生産性向上に向けたDX推進強化

 

Ⅲ.設備投資計画・財務目標

①設備投資計画

・現行の2025経営計画は、5年間で200億円規模の設備投資を計画しておりましたが、海外事業・セラミックス事業を中心とした更なる成長戦略実現のための案件増等により、同5年間で350億円規模の設備投資計画へ増額いたします。

②財務目標

・主要施策等を推進することにより、ROS8.3%以上、ROIC9.0%以上を目指します。

Ex.2026年3月期(2025年度)連結売上高1,800億円、連結経常利益150億円

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は8億46百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。