売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01256 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日(2023年11月7日)現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

 当期の連結業績につきましては、連結売上高は57,298百万円(前年同期比2.6%減)となりました。営業利益は2,669百万円(同63.9%減)、経常利益は1,165百万円(同87.4%減)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は764百万円(同89.7%減)となりました。

 

 各事業の経営成績は、次のとおりです。

 

(合金鉄事業)

 主力製品である高炭素フェロマンガンの国際市況は、依然として世界的な需給緩和基調が継続しており、前年同期と比べ大幅な安値で推移しました。一方、主原料のマンガン鉱石市況も引き続き安値で推移したものの、前年購入の高い原料価格が反映された期首在庫により主原料コストが押し上げられたことによる在庫影響や電力コストの上昇により製造原価は上昇しました。

 価格決定方式の変更等の収益改善策による増益効果はあったものの、在庫影響によるマイナスを全てカバーするには至らず、前年同期に対して大幅な減益となりました。

 また、海外持分法適用会社においても、シリコマンガン及びフェロシリコン市況の下落や在庫影響等により減益となり、持分法による投資損益は前年同期を大きく下回りました。

 以上の結果、合金鉄事業の売上高は40,662百万円(前年同期比5.4%減)、経常損益は359百万円の損失となりました。

 

(機能材料事業)

 主力商品の一つである酸化ジルコニウムは、車載用電子部品の需要回復の遅れにより販売が減少したものの、昨年生産能力を増強したリチウムイオン電池正極材や再稼働したフェロボロンの販売が増加したことに加えて電力価格上昇分の販売価格への転嫁が進みました。特に第2四半期以降に販売が本格化したフェロボロンが収益に寄与しました。

 以上の結果、機能材料事業の売上高は9,804百万円(前年同期比11.8%増)、経常利益は931百万円(同96.5%増)となりました。

 

(環境事業)

 環境システム事業は、電力価格及び原材料コスト上昇分の販売価格への転嫁が進捗しました。

 中央電気工業(株)の焼却灰溶融固化処理事業は、電力価格上昇に対する処理価格への転嫁が一部にとどまったことや第3四半期に炉修を実施したことによる処理量の減少により前年同期と比べ減益となりました。

 以上の結果、環境事業の売上高は4,561百万円(前年同期比3.9%増)、経常利益は301百万円(同23.5%減)となりました。

 

 

(電力事業)

 電力事業は、再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT)を利用した売電事業として2カ所の水力発電所は順調に稼働したものの、気象条件に恵まれた前年同期と比べると夏場に降雨量が減少したため売電量も減少しました。

 以上の結果、電力事業の売上高は920百万円(前年同期比24.3%減)、経常利益は186百万円(同48.4%減)となりました。

 

(2) 財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ5,779百万円減少し99,164百万円となりました。流動資産は受取手形及び売掛金の減少などにより、前連結会計年度末と比べ5,464百万円減少し51,475百万円、固定資産は機械装置及び運搬具が増加した一方、投資有価証券の減少などにより、前連結会計年度末と比べ315百万円減少し47,688百万円となりました。

 当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、短期借入金の減少などにより、前連結会計年度末と比べ4,227百万円減少し31,490百万円となりました。なお、有利子負債(短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、リース債務(流動負債)、長期借入金、リース債務(固定負債))は、1,193百万円減少し19,858百万円となりました。

 当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ1,552百万円減少し67,673百万円となりました。これは主に、資本剰余金の減少によるものであります。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当第3四半期連結累計期間において、当社の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

 当社グループは、今日まで蓄積を重ねてまいりました製品・技術・サービスをもって合金鉄事業・機能材料事業・環境事業・電力事業における各種製品を改良・開発し、鉄鋼・電子部品材料・電池材料などの業界を始め、各方面の需要家の皆様の要請にお応えしてまいりました。

 

 当社グループは2021年~2023年を実行期間とする「第8次中期経営計画」を策定し、以下を主要課題と位置付け取組んでおります。

 

 「既存ビジネスの強化」では、合金鉄事業の安定化と合金鉄以外の生産能力増強に取組みました。

 合金鉄事業では、徳島工場への生産集約と大手需要家との価格決定方式の変更のふたつの施策を実行することで、収益の安定化を実現させました。

 合金鉄以外では生産能力拡充による事業拡大として、機能材料事業では、需要家からの供給要請に応え休止していたフェロボロン生産の再開、電子・電池材料では自動車の電動化や自動運転化、或いは、通信インフラ関連の高度化の需要に応えるため生産能力を増強しました。また、環境事業では、パーフェクトリサイクルによる循環型社会への貢献を目指し、焼却灰4号溶融炉を新設し増強を行いました。

 今後、安定稼働による安定生産を前提とし、新たに戦力となった生産能力を生かして新規顧客の開拓による販売増加に努め、成長のための基盤を一層強化してまいります。

 

 「新規ビジネスへの挑戦」では、将来の収益源となる新たな技術・製品の創出のため研究開発への取組みを強化しております。更に研究開発のスピードを加速させるため、大学や優れた技術を持つ研究機関など社外パートナーとの共創にも注力し、共同研究を推進してまいります。また、今後は潜在的なパートナーとなりうる企業とのM&Aやベンチャーキャピタルファンドへの出資を通じ、ベンチャー企業との連携を模索しつつ、当社グループ事業とのシナジー創出機会の探索も進めてまいります。加えて、これまで以上に事業探索や企業連携、人材確保などの施策を積極的に実行に移すことで、新規ビジネスの具体化を加速させてまいります。

 

 「事業環境変化に適応する強い企業体質の構築」では、社会課題の解決と企業価値の向上を両立させるため、地球温暖化対策に関しては、生産活動での省エネやフェロマンガン製造におけるカーボンニュートラル型省エネ技術の調査を積極的に進めるとともに、再生可能エネルギーの活用や革新的技術の開発・導入により、CO2排出量削減を図ってまいります。加えて、当社ではカーボンニュートラルに向けた取組みの一環として「FITトラッキング付き非化石証明書」を購入し、郡山工場の電力使用によるCO2排出量がゼロとなりました。この「FITトラッキング付き非化石証明書」には当社日高事業所の水力発電による電気もトラッキングされております。

 また、DXでは基幹システムの更新、IT人材育成など基盤を強化しつつ、スマートファクトリー化を目指し生産性や業務効率の飛躍的向上に取組んでまいります。更には人材育成、ダイバーシティ、サステナブル調達などへの対応も着実に進めてまいります。

 

 第8次中期経営計画の最終年度(2023年)の目標である「連結売上高600億円、連結経常利益60億円」につきましては、足下の状況では達成が難しい状況ではありますが、各事業の諸施策を着実に実施することで、株主価値の最大化を追求してまいります。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは「特徴ある製品・技術・サービスを開発・提供し、持続的な成長を通じて、豊かな未来の創造に貢献する」という経営理念を掲げております。

 この理念の下、当社グループでは長期事業戦略および第9次中期経営計画(2024年~)の策定に着手いたしました。基本方針を”「事業活動を通じた社会課題の解決への貢献」と「持続的な成長を通じた企業価値向上」の両立”とし、サステナビリティを重要な経営戦略と位置づけ、2030年ありたい姿の実現に向け取組んでまいります。

 前記の基本方針の下、”成長戦略”、”収益性の向上と安定化”、”財務戦略”、”サステナビリティ関連施策”の4つを柱とし、多様なステークホルダーに価値を提供することにより、信頼及び評価向上を目指してまいります。

 なお、長期事業戦略および第9次中期経営計画は年内公表予定としております。

 

(6) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。

 

(7) 研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は477百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(8) 生産、受注及び販売の状況

 当第3四半期連結累計期間において、前年同期比で、機能材料セグメントにおける生産の実績に著しい増加がありました。これは、富山工場においてフェロボロンの生産を開始したことによるものです。