売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01280 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 世界経済は、ロシアによるウクライナ侵攻に加えてイスラエルとハマスの対立も激化し、世界各地での地政学リスクの増大のほか、米国におけるインフレ対策の金融引き締めの長期化や中国での不動産市場の調整など、景気の下振れリスクが増えてきました。日本経済は年後半に自動車生産の挽回が本格化し景気を牽引しましたが、海外経済の減速や半導体市況の回復の遅れのほか、円安、物価高、人手不足といった構造的な課題も顕在化してきており、景況感の先行きに対する不透明感が大きくなってきています。

 このような事業環境の中で、当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)は2024年3月期を最終年度とする『中期経営計画(NSR23)』において、「日本精線リニューアル(NSR)継続推進と高機能・独自製品でサステナビリティに貢献」を中期スローガンとして掲げ、高機能・独自製品の販売に注力して企業価値向上に努めております。

 結果として当第3四半期連結累計期間の売上高は、331億43百万円(前年同期比10.9%減)となりました。損益については、太陽光発電パネルなどの製造プロセスで使用される極細線に対する需要の強さは継続したものの、流通在庫の調整を受けたステンレス鋼線の販売量減少による操業度損増加や、これまで収益の牽引役だった半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)の受注減少によって、減益を余儀なくされました。この結果、営業利益23億12百万円(同31.3%減)、経常利益24億62百万円(同29.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益17億12百万円(同29.5%減)となりました。

 

事業部門別の経営成績は次のとおりであります。

①ステンレス鋼線

ステンレス鋼線においては、2022年度第2四半期より自動車用途や建材用途の荷動き鈍化が鮮明となり、2023年度第3四半期(10~12月)も調整が長期化したため月当たり2,677トン(前年同期比11.4%減)となりました。一方、太陽光発電パネルの製造プロセスで使用されるスクリーン印刷向け極細線は、お客さまの細径化ニーズに応える高付加価値製品として好調な受注を確保しました。

なお、LMEニッケル価格については、2020年度第1四半期から右肩上がりの傾向となっていましたが、ウクライナ情勢の影響もあり2022年度の平均価格がポンド当たり11.63ドル(前期比平均に比してポンド当たり2.28ドル上昇)と急激に上昇しました。2023年度は下落に転じ第3四半期においても2023年10~12月の平均価格でポンド当たり7.80ドル(2023年7~9月平均に比してポンド当たり1.43ドル下落)となりました。

結果として、当第3四半期連結累計期間におけるステンレス鋼線全体の月平均販売数量は2,617トン前年同期比20.3%減)と大幅に減少したものの、値上げによる販売単価上昇や極細線の販売増によって売上高283億91百万円(同7.2%減)の減少幅を低減しました。

海外現地法人であるTHAI SEISEN CO., LTD.及び大同不銹鋼(大連)有限公司についても、ステンレス鋼線の販売数量が低迷し、減収となりました。

②金属繊維

金属繊維においては、DRAMの価格低迷により半導体メーカーの設備投資の延期や縮小が影響し、半導体関連業界向け超精密ガスフィルター(NASclean®)に対する実需低迷が第3四半期も続きました。半導体製造装置メーカーにおける中国の成熟世代向け装置の需要が拡大しているものの、装置メーカー各社における当社製品の在庫調整局面が継続しました。

ナスロン®フィルターについても、第3四半期も国内外のポリエステルフィルム用途の販売不振が継続したことに加え、高機能フィルムや中国炭素繊維向けの大型案件が先送りされたため、減収を余儀なくされました。また、2022年度に化合繊維用途や高機能フィルム用途のフィルターの販売を積み上げた耐素龍精密濾機(常熟)有限公司においても、第1四半期(12月決算のため1~3月)にゼロコロナ政策転換による感染症急拡大によって経済活動に大きな制約を受け、回復傾向にあるものの化合繊維用途の販売低迷が継続しました。

結果として、当第3四半期連結累計期間における金属繊維部門の売上高は47億52百万円(前年同期比28.3%減)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメントごとの経営成績については、セグメント間の内部売上高又は振替高の相殺消去前の金額を記載しています。

①日本

主力のステンレス鋼線は極細線で好調な受注を確保するも、自動車用途や建材用途における流通在庫の調整長期化により販売が低迷しました。金属繊維は半導体製造装置に組み込まれる超精密ガスフィルター(NASclean®)が調整局面となり、売上高は297億85百万円(前年同期比10.5%減)、セグメント利益は23億48百万円(同19.6%減)となりました。

②タイ

 ステンレス鋼線の販売数量は需要低迷・過剰在庫の調整から減少し、売上高は36億16百万円(前年同期比16.0%減)、セグメント損失は91百万円(前年同期は3億12百万円の利益)となりました。

③中国・韓国

 ナスロン®フィルターの需要が低迷し、売上高は10億72百万円(前年同期比26.7%減)、セグメント利益は87百万円(同48.5%減)となりました。

 

(2)財政状態の状況

 当第3四半期連結会計期間末における総資産は523億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億37百万円減少しました。流動資産は現金及び預金や受取手形及び売掛金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ17億30百万円減少しました。固定資産は7百万円減少しました。

 負債は138億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億82百万円減少しました。流動負債は支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ26億7百万円減少しました。固定負債は退職給付に係る負債が増えたことなどにより25百万円増加しました。

 純資産は384億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億44百万円増加しました。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4億51百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。