売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01317 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項に記載した将来や想定に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が5類へ移行したことにより厳しい行動制限も緩和され、個人消費の回復に加えてインバウンド需要の高まりがみられるなど社会活動、経済活動の正常化が進み、国内景気は緩やかな回復基調にあります。しかしながら、依然として経済全体において物価の上昇が続いていることに加え、日米金利差の拡大などに起因する急激な円安の進行や世界的な金融引き締めが引き続き国内景気を下押しするリスクとなっています。また、住宅投資に関しては、特に持家及び分譲において住宅ローン金利上昇の懸念や建築資材価格の高止まりの影響等から減少傾向に歯止めがかからず、新設住宅着工戸数は軟調に推移し、先行きは不透明な状況となっています。一方で、政府主導で創設された大規模な住宅省エネ支援策である「先進的窓リノベ事業」における補助金制度の活用により、断熱製品を中心とした窓リフォーム市場においては大規模な需要が創出されました。なお、本制度は来年度においても規模を拡大して継続されることが決まっています。

世界経済に関しては、ロシア・ウクライナ紛争の長期化や不安定な中東情勢、米中関係などの地政学的リスクに加え、インフレーションの抑制に向けた世界的な金融引き締め政策の長期化や不動産市場の低迷及び消費意欲の低下による中国経済の先行きの懸念などの影響を受けて景気の停滞感が続いています。一方で、欧州・米国においてはこれまでの金利上昇局面が一服し、かつ直近では利下げ観測もあり、消費マインドに大きな影響を与えることから引き続き状況を注視していく必要があります。

 

このような環境のもと、当第3四半期連結累計期間の売上収益は1兆1,229億38百万円(前年同四半期比0.1%減)と僅かながら減収となりました。また、利益面においては、事業利益は266億13百万円(前年同四半期比26.7%増)、営業利益は254億59百万円(前年同四半期比5.0%増)と増益に転じたものの、継続事業からの税引前四半期利益は有利子負債の増加及び金利上昇に伴う金融費用の増加などもあり191億76百万円(前年同四半期比10.5%減)と減益となりました。

また、当第3四半期連結会計期間において、2020年9月に売却を完了している当社の連結子会社であったPermasteelisa S.p.A.にかかる非継続事業からの四半期損失を48億27百万円計上しています。詳細については、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 15.非継続事業」に記載のとおりです。

それらの結果、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する四半期利益は67億81百万円(前年同四半期比38.5%減)となりました。

 

当第3四半期連結累計期間の業績は、主に欧州・米国地域における金利上昇やインフレーションを背景とした需要低迷の影響を受け、厳しい事業環境が続きましたが、好調な国内事業がけん引し、事業利益は前年同四半期比で増益となりました。

国内事業においては、価格改定効果の浸透に加え、断熱リフォーム向け商材の売上が堅調に推移したほか、水まわり製品も競争環境の平常化によるシェア回復で収益性が改善しました。一方、海外事業においては、欧州・米国地域において高止まりしている金利の引き下げに対する期待感が強まっていることを受け、需要の回復に遅れが生じています。海外事業の収益性の回復に向けて、人員配置の最適化をはじめとする施策を推進してきましたが、その効果の一部は当連結会計年度の第4四半期連結会計期間から発現することを見込んでいます。

 

足元では、国内事業で新築市場の低迷に加え、季節要因による需要の一時的な冷え込みが見られるなど、不透明な事業環境は当連結会計年度の第4四半期連結会計期間においても続き、収益性の改善幅に影響する見込みです。そのような中で、当社グループは引き続き、「LIXIL Playbook」で示した優先課題に沿って、取り組みを着実に推進していきます。また、環境意識やリフォーム需要の高まりに対応し、環境配慮型製品の拡充をはじめ、イノベーションの推進による差別化を通じて事業基盤をさらに強化するとともに、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義と持続的成長の実現に向けて邁進していく所存です。

 

セグメント別の概況は次のとおりです。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業利益は全社費用控除前です。

 

[ウォーターテクノロジー事業]

主に水まわり製品を手がけるウォーターテクノロジー事業においては、国内事業は新築需要の減退による影響が続いているものの、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、リフォーム関連製品の売上が引き続き堅調に推移したことなどもあり対前年同四半期比で僅かに増収となりました。一方で、海外事業は円安による為替換算影響があったものの、特に欧州地域における金利水準の高止まりに加え、インフレーションが継続している影響などで住宅関連の投資意欲がそがれたことによる需要の減退が著しく、対前年同四半期比で減収となりました。その結果、同事業の売上収益は6,684億63百万円(前年同四半期比2.2%減)と減収となりました。

また、事業利益は、国内事業・海外事業とも価格改定効果による粗利率の増加に加えて販管費の削減に努めたものの、売上の減少による影響や固定費の負担をカバーしきれず、197億10百万円(前年同四半期比45.3%減)と大幅な減益となりました。

 

[ハウジングテクノロジー事業]

主に国内にて住宅建材製品を展開するハウジングテクノロジー事業においては、ウォーターテクノロジー事業と同様に新築需要の減退による影響を大きく受けているものの、これまで取り組んできた価格改定効果の発現に加え、国策による大規模な補助金制度の導入を背景に住宅性能・快適性の向上や環境保護を目的としたリフォーム需要が刺激され大幅に伸長したことなどにより、売上収益は4,625億25百万円(前年同四半期比1.8%増)と増収となりました。

また、事業利益は引き続き資材・エネルギー価格の高止まりによるコスト増加の影響はあるものの、リフォーム関連製品の売上伸長や価格改定効果による粗利の確保に加え、生産現場のアセットライト化などの生産性向上施策に伴う収益性の改善が着実に進んでいることなどから、328億83百万円(前年同四半期比2.1倍)と大幅な増益となりました。

 

(注)1.「事業利益」は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しています。

2.「国内事業」「海外事業」については、当社グループの連結業績管理にて定義しているマネジメントベースの区分を使用しており、所在国による区分とは一部異なります。具体的には、ウォーターテクノロジー事業及びハウジングテクノロジー事業において、国内で管轄している一部の海外子会社を「国内事業」に含めています。

 

(2) 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて339億19百万円増加の1兆8,874億53百万円となりました。流動資産は、棚卸資産の政策的な調整に伴う減少があったものの、季節的要因による営業債権及びその他の債権の増加に加え、さらなる円安の進行による為替換算に伴う増加影響などもあり、前連結会計年度末に比べて46億64百万円増加の7,491億97百万円となりました。一方、非流動資産についても、主にのれん及びその他の無形資産において為替換算に伴う増加影響があったことなどから、前連結会計年度末に比べて292億55百万円増加の1兆1,382億56百万円となりました。

また、資本は6,386億95百万円、親会社所有者帰属持分比率は33.7%(前連結会計年度末も33.7%)です。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額です。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、継続事業からの税引前四半期利益の減少があったものの、営業債務及びその他の債務、営業債権及びその他の債権、棚卸資産などの運転資本の変動に伴う影響があったことなどから100億78百万円の資金増加とプラスに転じました。前年同四半期に比べて202億35百万円の増加です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社の吸収分割に伴う一時的な収入などがあったものの、主に有形固定資産及び無形資産の取得による支出があったことなどから226億60百万円の資金減少となりました。前年同四半期に比べて94億53百万円の増加です。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払があったものの、短期、長期とも有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから324億22百万円の資金増加となりました。前年同四半期に比べて393億10百万円の減少です。

これらの結果、当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて216億65百万円増加の1,283億42百万円です。

 

なお、資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりです。

当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めています。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っています。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大などの影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しています。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めています。

 

(4) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針及び経営環境に重要な変更はありません。また、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についても重要な変更はありません。

なお、株式会社の支配に関する基本方針は、次のとおりです。

当社では、多数の株主に株式を中長期で保有していただくことが望ましいと考え、業績を向上し企業価値を高めて、株主の支持をいただけるような施策を打っています。よって、敵対的買収防衛策については、特に定めていません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、18,119百万円です。

なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。