売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02296 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

なお、2022年4月1日に行われたケーエム精工株式会社との企業結合について、前第3四半期連結会計期間に暫定的な会計処理を行っておりましたが、前連結会計年度末に確定したため、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いております。

 

 (1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間における世界経済は、依然として続く物価高騰による欧米を中心とした金融引き締めの長期化や中国における住宅市場の長期低迷などにより減速傾向となりました。わが国においては、ウィズコロナにおける消費活動の活発化、インバウンド需要の回復、半導体不足の解消などにより経済活動が正常化する一方で、海外経済の減速や物価高騰による個人消費の減少などにより力強さを欠く状況となりました。

 このような経営環境において、当社は、持続可能な成長重視の4つの戦略(事業拡大戦略・環境戦略・人財戦略・財務戦略)を掲げた新中期経営計画「Mission G-second(2023年~2025年)」のもと、欧州市場への進出のほか、生産性向上とCO2排出量削減を目的とした生産拠点の集約・最適化、中期経営計画目標に連動した株式報酬制度の導入、グループ資金の有効活用による有利子負債の削減などに取り組みました。また、これら4つの戦略を資本市場が求める企業価値と連動させた新たな経営方針を定め、より積極的な事業活動をスタートさせました。

その結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は332億1千7百万円(前年同期比3.0%増)、営業利益は17億2百万円(前年同期比5.9%減)、経常利益は19億2千6百万円(前年同期比10.6%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は11億2千2百万円(前年同期比30.4%減)となりました。

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 ファスナー事業につきましては、昨年4月に子会社化したケーエム精工株式会社及び株式会社ピニングが業績に貢献しましたが、利益環境は資源価格の高止まりや原材料価格の高騰により厳しい状況となりました。また、コロナ禍において需要先の生産調整で増加した流通在庫が自動車関連業界を中心に解消されず、需要は徐々に戻りつつあるものの本格的な回復には至りませんでした。

 このような状況のもと、製造時の環境負荷低減、持続可能な原価低減を図るため、製造工場の集約を推進しました。また、自動車関連業界を中心に需要が増加傾向にある、薄板の締結に貢献する「ジョイスタッド」、電子基板の締結時に発生する切粉の飛散や落下を防止する「CPグリップ」など、自動車の軽量化やCASE関連製品の需要拡大を図りました。併せて、ドイツで開催の展示会(Fastener Fair Global 2023)に出展し、ヨーロッパ市場の開拓に努めました。

この結果、売上高は245億4千6百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は11億4千万円(前年同期比19.7%増)となりました。

 産機事業につきましては、海外は、アジア地域においては、自動化機運の高まりを受け堅調に推移する一方で、米国・中国における設備投資意欲の低迷などにより厳しい事業環境となりました。国内は、自動車関連業界を中心に引き合いは回復傾向にあるものの、標準機を中心に需要が低迷しました。また、エネルギー・原材料価格の高騰に対する製品価格への転嫁を促進するものの利益環境は厳しい状況となりました。

 このような状況のもと、ヨーロッパ市場の拡充や海外非日系企業との取引拡大に努めました。また、省人化対応としてのロボットの需要増加を見据え、台湾のテックマンロボット社製協働ロボットTMシリーズの「TM Plug&Play」に対応したねじ締めユニット「PD400TM」シリーズをラインナップに加え市場の開拓に努めました。併せて、持続可能なコストの削減を目指した購買業務の最適化に取り組みました。

この結果、売上高は46億2千6百万円(前年同期比0.2%減)、営業利益は5億8千1百万円(前年同期比32.4%減)となりました。

 制御事業につきましては、流量計は、主な需要先である造船業界において、カーボンニュートラルに伴う新燃料の需要に加え、国際海事機関のCO2排出規制としての燃費実績格付け制度に伴う需要が増加しました。システム製品は、省人化・自動化対応としての検査装置や環境意識の高まりによるマイクロバブル洗浄装置の引き合いが増加しました。地盤調査機「ジオカルテ」は、資源価格の高止まりによる住宅需要の低迷から低調に推移しました。

 

 このような状況のもと、ヨーロッパ市場開拓の足掛かりとして、グループ会社の日東精工アナリテック株式会社が、ドイツ・デュッセルドルフを拠点とした子会社を設立しました。また、Bluetooth通信機能を搭載した電子式流量計アイシリーズを市場に投入しました。併せて、加工部品の内製化による安定的かつ低コストな生産体制の確立に努めました。

この結果、売上高は40億2千9百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益は6千3百万円(前年同期比10.0%減)となりました。

 メディカル事業につきましては、団塊世代の高齢化など、医療を必要とする高齢者が増加する中、需要先である医療機関においては、高品質かつ効率的な医療の提供が課題となっており、医療資源にかかる負荷の抑制・分散に向けた取組みが求められております。また、新型コロナウイルス感染症拡大初期の福祉医療機構による貸付の返済時期が到来するなど、厳しい事業環境となっております。

 このような状況のもと、医療従事者や患者の負担軽減に繋がる「医療用生体内溶解性高純度マグネシウム材料(6月23日に日本国特許取得)」の早期製品化に向け、一貫製造設備の構築と非臨床試験に向けた試料の製作、性能試験に加え、医師の手技確立を目的とした動物実験に取り組みました。

この結果、売上高は1千5百万円(前年同期比86.8%増)、営業損失は8千2百万円(前年同期は営業損失7千3百万円)となりました。

 

②財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ7億5千7百万円減少し、526億5千万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が11億4千3百万円、電子記録債権が3億4千5百万円減少したことなどによるものです。

負債合計は、前連結会計年度末に比べ20億6千万円減少し、168億4千5百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が7億1千8百万円、短期借入金が7億1千6百万円減少したことなどによるものです。

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億3百万円増加し、358億5百万円となりました。これは主に、為替換算調整勘定が5億1千9百万円、利益剰余金が4億8千6百万円増加したことなどによるものです。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当連結会社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5億7千2百万円であります。

なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。