売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E01474 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期におけるわが国経済は、経済活動の正常化を背景に、企業収益の改善、消費の持ち直しなどで緩やかな景気回復の動きが見られました。一方で、欧米各国での金融引き締めや、中国経済の成長鈍化、原材料価格の高止まりや物価の上昇、不安定な国際情勢など、景気後退の懸念も内包し、先行き不透明な状況が継続しております。

 当社と関連性が高いわが国海運・造船業界は、海運業界では、コンテナ船市況でインフレ長期化を背景にした消費の伸び悩みや新造船の竣工増により、需給の軟化が見られるものの、自動車運搬船やエネルギー輸送船などは、限定的な新造船竣工を背景に船腹需給の引き締まり傾向が継続しており、市況は底堅く推移しております。また、造船業界では、将来の輸送需要の増加に備え、海運各社が省エネ・新鋭船の発注を進めたことで、先物納期の受注も顕在化しており、国内造船所は総じて豊富な手持ち工事量を確保しております。そして今後についても、老朽船の更新投資や、環境対応船の需要の高まりなどで、市況は強含みに推移することが予想されます。

 

 このような状況下、当社は、外部環境の変化に柔軟に対応しながら、主機の受注拡大を具体化し、更にはグローバルライセンサーとして、ライセンス事業を強化することで、世界シェアの向上を目指しております。また、脱炭素の取り組みを進める顧客や業界、社会の要請に応えるべく、当社独自の技術力に磨きをかけ、次世代脱炭素燃料エンジンの開発にも並行して取り組み、気候変動課題の解決に資する革新製品の開発・製品化を進めることで、ESG経営の深化と持続的な企業価値の向上を目指しております。

 

 当第3四半期における経営成績は、売上高は14,462百万円となり、前年同四半期比23.3%の増収、損益は、営業利益は1,411百万円となり、341.4%の増益、経常利益は1,643百万円となり、266.2%の増益、四半期純利益は1,137百万円となり、124.9%の増益となりました。なお、特別利益として補助金収入580百万円を計上、それによる固定資産圧縮を行ったことにより特別損失として固定資産圧縮損580百万円を計上しておりますが、損益に影響は与えておりません。

 

<経営成績の詳細>

①売上高

 豊富な受注残を有する主機関においては、すでに上期より、資機材のロット発注や先行部品組立などを推進し、生産増強への円滑な移行に向けた事前準備を取り進めておりました。下期からは、次世代脱炭素燃料エンジン対応に向けた各種設備工事の順調な進捗に伴い、生産設備に対する影響が解消されたため、工場設備を全面稼働させ、生産量の拡大を図っております。

 また、引き続き、当社UEエンジンの優れた環境・燃費性能を訴求する積極的な営業活動を展開することで、最新鋭省エネ主機関であるLSH型を中心に受注残高を積み上げており、販売単価においても、環境規制に適合する環境対応設備(EGR/SCR)の搭載、最先端の層状噴射技術を搭載したLSJ型機関の販売などで引き続き上昇基調を持続しております。更に国内ライセンシーへの製造委託も進捗させることで、増収に寄与しております。

 修理・部品等では、アフターサービスで、船舶の高稼働運航が継続しており、当社は、きめ細かい客先対応を継続することで、電子制御部品や燃焼室部品を中心とする旺盛なメンテナンス需要を取り込みました。また、ライセンス事業では、当社UEエンジンブランドが市場の需要を捉えており、世界シェアを伸長させていくなかで、特に中国市場において、リプレース需要の見込まれる中国内航船マーケット向けを中心に、ライセンシーがUEエンジンを連続で受注、生産を進めております。当社は、ライセンシーに対してエンジンのキーコンポーネントを販売し、部品供給の売上を立てるとともに、エンジン完成に伴ってロイヤリティ収入を得ております。

 

②損益

 主機関では、生産効率を向上させるべく、同型エンジンを連続で生産する工程を組んでおり、下期からの工場設備の全面稼働で、更に生産効率が改善しております。また、修理・部品等では、アフターサービス、ライセンス、部品供給の全ての事業領域が堅調に推移することで、増益に寄与しました。研究開発については、水素燃料エンジン実機の製造に向けた燃料供給設備・工場内試運転設備などを第4四半期に取得する予定であり、その際に研究開発費の計上が伸びますが、一方で、開発進捗に応じた交付金を受け取ることで、営業外収益として計上予定です。

 

 当第3四半期における取り組みの主な成果の一つとして、当社は、アンモニア燃料アンモニア輸送船の建造に関わる契約を締結し、当社製アンモニア燃料エンジンの搭載が決定しました。本船は、世界初となる国産エンジンを搭載した船舶となり、2026年11月に竣工予定です。

 当社は、次世代脱炭素燃料エンジンを、将来の業績伸長を牽引する原動力と位置付け、ファーストムーバーとして、競合他社に先駆けてアンモニアおよび水素燃料エンジンの開発・設計・製造に取り組んでおります。

これまで、アンモニア燃料エンジンでは、2022年9月にアンモニア燃料船の基本設計承認(AiP:Approval in Principle)を取得、2023年5月に試験機でアンモニア混焼運転を開始するなど、世界初の取組みを続けてまいりました。そして今般、アンモニア輸送船への搭載が決定したものであり、搭載されるエンジン実機は、2025年9月に完成予定です。また、同様に水素燃料エンジンでは、2023年10月に水素燃料船の基本設計承認(AiP)を世界で初めて取得しており、水素燃料噴射装置などを活用し、開発を進めております。エンジン実機は、2027年3月に完成予定です。

更に、開発に並行して、アンモニア・水素燃料エンジン実機を製造・試運転するための工場設備についても、当社工場内に建設を進めております。

 2050年カーボンニュートラルの実現に向け、次代を拓く先端技術領域へ戦略的に先行投資を進めることで、次世代脱炭素燃料エンジンを開発・製造し、広く社会に実装する取組みを着実に進捗させております。

 

 流動資産は、前事業年度末に比べ35.6%増加し、20,622百万円となりました。これは主として現金及び預金が799百万円増加、受取手形及び売掛金が1,684百万円増加、製品が2,265百万円増加、仕掛品が794百万円増加したことなどによるものであります。

 固定資産は、前事業年度末に比べ7.1%減少し、4,842百万円となりました。これは主として有形固定資産が411百万円減少したことなどによるものであります。

 この結果、総資産は、前事業年度末に比べ24.7%増加し、25,465百万円となりました。

 流動負債は、前事業年度末に比べ32.4%増加し、13,834百万円となりました。これは主として電子記録債務が1,827百万円増加、前受金が1,457百万円増加したことなどによるものであります。

 固定負債は、前事業年度末に比べ24.1%増加し、3,257百万円となりました。これは主として長期借入金が677百万円増加したことなどによるものであります。

 この結果、負債合計は、前事業年度末に比べ30.8%増加し、17,092百万円となりました。

 純資産合計は、前事業年度末に比べ14.0%増加し、8,373百万円となりました。

 

(2)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における当社の研究開発費の総額は、632百万円であります。

 なお、当第3四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。