売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E31054 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)業績の状況

 

当第3四半期連結累計期間
(2023年4月-12月)

前第3四半期連結累計期間
(2022年4月-12月)

金額

(百万円)

増減

(百万円)

増減率

(%)

金額

(百万円)

増減率

(%)

売上高

4,469

△152

△3.3

4,621

△24.4

営業利益

1,052

173

19.7

879

△64.3

経常利益

1,054

109

11.6

944

△61.6

親会社株主に帰属する四半期純利益

708

53

8.1

654

△61.7

 

 

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)の売上高は、前年同期に比べ3.3%減少の4,469百万円となりました。利益面においては、前第3四半期連結累計期間に発生していた調査委員会費用等が抑制されたこともあり、営業利益は同19.7%増加の1,052百万円、経常利益は同11.6%増加の1,054百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同8.1%増加の708百万円となりました。

当第3四半期連結累計期間は、日本の上場企業に対する改革期待から、我が国の資本市場はグローバル市場から注目を集め、日経平均株価は33年ぶりとなる高値を付けました。一方、上場企業をターゲットとするアクティビストの参入も増加し、活発な株主提案権の行使が行われるなど上場企業における支配権争奪、議決権の安定的確保も注目されました。加えて、経済産業省が「企業買収における行動指針」を策定する中、ストラテジックバイヤー(事業会社)による「同意なき買収提案」や「対抗買収提案の実行」の動きもでてきており、企業再編、事業再編が活発化する素地が整いつつあります。

アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件*1については、アクティビスト対応PA・FA案件を中心とした案件の受託が継続しています。企業再編、事業再編の活発化が予想される中、迫りくる資本リスクへの高まりもあり、企業支配権争奪等を中心としたPA業務*2とFA業務*3においても受託が増加しています。また、有事対応案件がより高度化・複雑化していることで1件あたりの受託金額が増加していることにともない、有事対応案件の受託額が増加しました。

実質株主判明調査等の平時対応案件*4においては、第3四半期以降の下期は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングの新規・追加のプロジェクト受託が増加してきておりますが、上期において、既存のお客様からの契約の一部解約や、新規・追加のプロジェクト受託が減少した影響等によって平時対応案件の受託が減少しました。

グローバルマネーの日本株回帰により、上場企業の経営トップ層や社外取締役の皆様に向けて、マーケット動向・議決権動向や海外機関株主・アセットオーナーの日本企業の変化への期待についてお伝えする機会が増えてきています。一方、企業再編・M&A領域においては、アクティビストファンドの活発化、事業会社による事前同意なき買収提案の実行など経営支配権に大きな圧力が掛かる局面が増え、我が国の上場企業の経営支配権・議決権リスクが一段とクローズアップされつつあります。

当社グループが基軸として掲げる「Power of Equity®*5(株式議決権の力)」という概念の通り、「株主」の外圧のもとで企業再編、事業再編等の我が国の上場企業の存続や支配権を大きく左右する資本リスクが高まる中、当社グループは、アクティビストサイドにつかないプロキシー・アドバイザリーを基盤業務とする、金融取引を行わない独立系のエクイティ・コンサルティング集団、フィナンシャル・アドバイザー集団を堅持し、グローバル資本市場の動向を東京・ニューヨークの両拠点を通じて自ら収集し、株式議決権に関わるコンサルティングと経営支配権に関わるM&Aアドバイザリーを両輪として、日本の上場企業の皆様の持続的な企業成長を支援してまいります。

 

*1 有事対応案件;アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等の有事局面のPA業務やFA業務の対応を行う案件。

*2 PA業務;プロキシー・アドバイザリー業務:委任状争奪戦業務、圧倒的な勝利の実績を誇る。

*3 FA業務;フィナンシャル・アドバイザリー業務:アクティビスト対応、敵対的TOB対応、高度なMBO、M&Aにおいて日本最大級かつ先鋭の専門集団を配備する。

*4 平時対応案件;実質株主判明調査、議決権分析、企業防衛・企業価値向上等に関連する、平時局面のエクイティ・コンサルティング業務を行う案件。

*5 Power of Equity®;「Power of Equity」は、当社子会社株式会社アイ・アールジャパンの登録商標です(登録第6196294号)。

 

 

(2)売上高のサービス別の状況

当社グループの事業領域は「IR・SR活動に専門特化したコンサルティング業」であり、単一セグメントであります。サービス別に売上高の概要を示すと次のとおりであります。

≪サービス別の売上高の概要≫

サービス別

当第3四半期連結累計期間
(2023年4月-12月)

前第3四半期連結累計期間
(2022年4月-12月)

売上高

(百万円)

構成比

(%)

増減率

(%)

売上高

(百万円)

増減率

(%)

IR・SRコンサルティング

4,225

94.5

△1.4

4,286

△24.3

ディスクロージャー
コンサルティング

164

3.7

△26.8

225

△28.5

データベース・その他

79

1.8

△28.2

110

△20.4

合計

4,469

100.0

△3.3

4,621

△24.4

 

 

(a) 当第3四半期連結累計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)と通常プロジェクト(50百万円未満)の内訳

 

 

 

大型プロジェクト

(50百万円以上)

通常プロジェクト

(50百万円未満)

件数

(件)

金額

(百万円)

金額

(百万円)

2024年3月期(3Q累計)

16

1,629

2,839

2023年3月期(3Q累計)

15

1,234

3,387

増減

1

395

△547

 

 

(b) 当第3四半期連結累計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)の種類、及び売上金額

 

 

 

(百万円)

プロジェクトの種類

2024年3月期

(3Q累計)

2023年3月期

(3Q累計)

増減

支配権争奪PA・FA

331

80

251

アクティビスト対応PA・FA

736

615

120

企業側FA(M&A等)

562

490

71

大型SR・PA

48

△48

合計

1,629

1,234

395

 

 

当第3四半期連結累計期間の大型プロジェクト(50百万円以上)は、アクティビスト対応PA・FA案件を中心とした案件を受託していることから、前年同期に比べ32.0%増加の1,629百万円となりました。通常プロジェクト(50百万円未満)は、前年同期に比べ16.2%減少の2,839百万円となりました。

 

 

(c) 当第3四半期連結累計期間の有事対応案件と平時対応案件の内訳

 

 

(百万円)

 

有事対応案件

平時対応案件

2024年3月期(3Q累計)

2,049

2,420

2023年3月期(3Q累計)

1,806

2,815

増減

242

△395

 

 

当第3四半期連結累計期間のアクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件については、前年同期に比べ13.5%増加の2,049百万円となりました。アクティビスト対応、支配権争奪、M&A対応等に係る有事対応案件については、アクティビスト対応PA・FA案件を中心とした案件の受託が継続しています。企業再編、事業再編の活発化が予想される中、迫りくる資本リスクへの高まりもあり、企業支配権争奪等を中心としたPA業務とFA業務においても受託が増加しています。また、有事対応案件がより高度化・複雑化していることで1件あたりの受託金額が増加していることにともない、有事対応案件の受託額が増加しました。

当第3四半期連結累計期間の実質株主判明調査等の平時対応案件においては、前年同期に比べ14.0%減少の2,420百万円となりました。第3四半期以降の下期は、お客様との強固な信頼関係にもとづくエクイティ・コンサルティングの新規・追加のプロジェクト受託が増加してきておりますが、上期において、既存のお客様からの契約の一部解約や、新規・追加のプロジェクト受託が減少した影響等によって平時対応案件の受託が減少しました。

証券代行事業においては、受託決定済み企業は2023年12月31日時点で68社、管理株主数は398,368名となりました(前年同期の受託決定済み企業は67社、管理株主数は405,296名)。株式会社SMBC信託銀行との証券代行業務に関する連携を強化するとともに、従来の証券代行機関とは一線を画し、革新的なサービスを展開することで、時代のニーズに応えた証券代行サービスを継続してまいります。

 

① IR・SRコンサルティング

SRアドバイザリー(実質株主判明調査、議決権賛否シミュレーション、コーポレート・ガバナンス改善、取締役会実効性評価、株主還元を含む資本政策等)、プロキシー・アドバイザリー(PA:委任状争奪における全ての戦略立案と実行、臨時株主総会の招集と対応、委任状回収・集計等)、フィナンシャル・アドバイザリー(FA:敵対的TOB対応、自社株TOB、TOB応諾シミュレーション、プレースメント・エージェント(第三者割当増資)、M&A及びMBOの全ての戦略立案・エクゼキューション等)、証券代行事業等を中心とする当社グループの中核的サービスです。

当第3四半期連結累計期間のIR・SRコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ1.4%減少の4,225百万円となりました。

 

② ディスクロージャーコンサルティング

ツールコンサルティング(アニュアルレポート・統合報告書・株主通信等、IR活動において必要とする各種情報開示資料の企画・作成支援)及びリーガルドキュメンテーションサービス(企業再編やM&A時における各種英文開示書類の作成や和文資料の英訳等)を提供するサービスです。

当第3四半期連結累計期間のディスクロージャーコンサルティングの売上高は、前年同期に比べ26.8%減少の164百万円となりました。

 

③ データベース・その他

大量保有報告書や国内・海外公募投信における株式の組み入れ状況等を提供する「Stock Watch」、IR活動総合サポートシステム「IR-Pro」、IR説明会への参加受付や参加者の管理等を上場企業が一括実施することが可能な「アナリストネットワーク」等をWEB上で提供するサービスです。また、個人株主向けアンケートサービス「株主ひろば」を展開しております。

当第3四半期連結累計期間のデータベース・その他の売上高は、前年同期に比べ28.2%減少の79百万円となりました。

 

 

(3)財政状態の分析

① 資産

当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ579百万円減少し、6,782百万円となりました。主な要因は、その他(流動資産)の減少618百万円等によるものであります。

 

② 負債

当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ184百万円増加し、1,466百万円となりました。主な要因は、契約負債の増加197百万円等によるものであります。

 

③ 純資産

当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ763百万円減少し、5,315百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加708百万円、配当による利益剰余金の減少1,474百万円等によるものであります。

 

(4)経営戦略の現状と今後の方針について

前連結会計年度末より変更はありません。